ランニングは心拍数を意識しよう!目安となる数値や測り方を解説

ランニングは心拍数を意識しよう!目安となる数値や測り方を解説

  • 2023/05/08 (月)
  • 2023/05/30 (火)

ランニングによるトレーニング効果を高めるためには、心拍数を意識することも重要です。とはいっても、どうやって意識をすれば良いのか分からないという人もいるでしょう。

この記事では、ランニング中の心拍数から何が分かるのか、目安となる数値や具体的な測り方について解説します。

ランニング中の心拍数から分かること

ランニング中の心拍数から分かること

心拍数とは、1分間に心臓が拍動する回数を表したものです。

ランニングなどの運動時には、体を動かすために必要な酸素を筋肉に届ける必要があります。

血液中に取り込む酸素の量を増やすために呼吸の回数が多くなり、全身により多くの酸素を送り心臓の動きが速くなることで、心拍数が上がります。

激しい運動をするほど多くの酸素を必要とするため、心拍数は高くなるのです。

ランニング中に心拍数を測ることで、体にどのくらいの負荷がかかっているのかの目安となる運動強度を知ることができます。

運動強度が高すぎると、筋肉を動かすために必要な酸素を十分に取り込むことができなくなり、長時間体を動かし続けることは難しくなるでしょう。

一方で、運動強度が低すぎると、ランニングを行っても効果を得にくくなることがあります。そのため、ランニングでは心拍数を測りながら、適切な運動強度で行うことが重要なのです。

運動強度を求める計算式

運動強度の計算式は、以下の通りです。

運動強度(%)=(運動時心拍数-安静時心拍数)÷(最大心拍数-安静時心拍数)×100

計算に必要な心拍数の数値は、以下の3つです。

  • 運動時心拍数
  • 安静時心拍数
  • 最大心拍数
  • 心拍数の求め方や目安となる数値については、次の章で解説します。

    (出典:心拍数と運動強度,公益財団法人長寿科学振興財団 健康長寿ネット)

    ランニングで目安となる心拍数や数値

    ランニングで目安となる心拍数や数値

    心拍数は個人差が大きいため、普段から自分の数値を把握しておくことが大切です。
    続いては、ランニングで目安となる心拍数や数値について紹介します。 

    安静時心拍数

    安静時心拍数とは、体を動かさず筋肉に負担がかかっていない状態の心拍数を指します。

    健康な成人の場合、1分間に約60~100回が目安だと言われており、男女別の中央値は男性が約66回/分、女性が約68回/分です。

    安静時心拍数は、ランニングやウォーミングアップを始める前に測定しましょう。

    (出典:心拍数,厚生労働省e-ヘルスネット)

    最大心拍数

    最大心拍数とは、人が発揮できる最大の心拍数のことです。
    一般的に以下の計算式で最大心拍数を求められます。

    最大心拍数=220-年齢

    つまり、25歳の人の最大心拍数は195回/分、30歳の人の最大心拍数は190回/分となるのです。

    また、高齢者を対象とする場合の計算式は以下の通りです。

    最大心拍数=207-(年齢×0.7)

    例えば、80歳の人の最大心拍数は、151回/分ということになります。

    最大心拍数は年齢とともに低くなる傾向がありますが、同じ年齢の人であれば心拍数と運動強度の関係はほぼ一定のため、運動強度を測る際には心拍数をもとに計算します。

    (出典:心拍数と運動強度,公益財団法人長寿科学振興財団 健康長寿ネット)
    (出典:心拍数,厚生労働省e-ヘルスネット)

    LT値

    運動中に血中の乳酸濃度が急激に増加し始める値のことを、LT値(乳酸性作業閾値)と言います。

    乳酸とは、筋肉がエネルギーを作るときに糖質(グリコーゲン)をエネルギー源として分解されてできる物質で、激しい運動を行った後に蓄積されることが多いため、筋疲労の原因の一つだと考えられています。

    LT値の計算式は、以下の通りです。

    LT値=(最大心拍数-安静時心拍数)×0.75+安静時心拍数

    LT値の数値は人によって異なり、運動を継続的に行っている人ほどLT値が高くなる傾向にあります。

    そのため、ランニングを継続して行い、以前よりも数値が上がったという場合はそれだけ運動能力が高まったと考えて良いでしょう。

    (出典:無酸素性代謝閾値/AT,厚生労働省e-ヘルスネット)
    (出典:乳酸,厚生労働省e-ヘルスネット)

    VO2Max

    VO2Maxは最大酸素摂取量とも言い、運動中に体内に取り込まれる酸素の最大量のことです。

    有酸素性能力や有酸素性パワーと呼ばれることもあり、VO2Maxの値が大きいほど全身持久力に優れていると言えるでしょう。

    例えば、30歳男性のVO2Maxの平均値は40ml/kg/分程度ですが、長距離走選手の最大酸素摂取量は90ml/kg/分を超えることもあります。

    VO2Maxを高めるには、ショートインターバルトレーニングやHIITトレーニングといった高強度のトレーニングが有効です。

    ただし、正確に測定するには専門の機器が必要になります。

    (出典:最大酸素摂取量/VO2max,厚生労働省e-ヘルスネット)

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    ランニング中の心拍数はどれくらいがベスト?

    ランニング中の心拍数はどれくらいがベスト?

    ランニング中に目安となる心拍数は、目的によって異なります。例えば、健康維持やダイエットが目的でランニングをする場合は、最大心拍数の60〜80%程度が目安です。

    また、持久力の向上が目的であれば、最大心拍数の80〜90%を目安に運動強度を高めていきましょう。

    以下は、年齢別に見たランニング中の心拍数を表にまとめたものです。年齢や運動目的によって異なるため、目安として運動をするときの参考にしてみてください。

    年齢 最大心拍数(bpm) 運動強度 ランニング中の心拍数(bpm)
    20歳 200 低(60〜70%)

  • ダイエット
  • 健康維持
  • 長距離走
  • 120~140
    中(70〜80%)

  • ダイエット
  • 健康維持
  • 中距離走
  • 140~160
    高(80〜90%)

  • アスリート
  • 短距離走
  • 160~180
    30歳 190 114~133
    133~152
    152~171
    40歳 180 108~126
    126~144
    144~162
    50歳 170 102~119
    119~136
    136~153
    60歳 160 96~112
    112~128
    128~144

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    ランニングで心拍数を測る方法

    ランニングで心拍数を測る方法

    心拍数を正確に測定する場合は心拍計などを使用しますが、簡易的な方法として手首や首の付け根に指を当てて脈拍の回数を数える方法もあります。

    しかし、ランニングをしながら手首や首に指を当てて数えるのは難しいため、スマートウォッチやウェアラブルデバイスなどの心拍数を測定できる端末を活用するのがおすすめです。

    安静時心拍数の測定方法は、以下の通りです。

    1. 秒数を計測できる時計やストップウォッチなどを用意し、体を動かさず安静にする
    2. 手首や首の付け根などの脈を感じやすい場所に指を置き、15秒間の脈拍を数える
    3. ②の値を4倍すると、1分間あたりの心拍数となる

    例えば、15秒間の脈拍数が15回の場合、安静時心拍数は60回/分となります。

    (出典:心拍数,厚生労働省e-ヘルスネット)

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    ランニングは心拍数を意識して効率良くトレーニングしよう

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    心拍数は、自身の運動強度を知るための目安となります。

    ダイエットや健康維持など、目的に合った運動強度を維持し、効率良くトレーニングをするためにもランニング中は心拍数を意識してみてはいかがでしょうか。

    目安となる心拍数の数値や測り方について、今回紹介した内容をぜひ参考にしてみてください。

    ランニングについて詳しくはこちら

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