数多くの日本人有名選手が活躍するスポーツの一つであるテニスは、競技としてだけでなく趣味として楽しむ人も多いです。
しかし、まったく経験したことがない人にとってはルールが分からないということも珍しくありません。
そこで今回は、これからテニスを始める人に向けて基本的なルールを紹介します。コートの種類や服装の規定についても紹介するので、大会への出場を考えている人もぜひチェックしてみてください。
テニスコートのサイズやラインのルール
まずは、テニスコートのサイズや、ラインに関するルールを紹介します。
テニスコートのサイズ
テニスコートのサイズは、縦23.77m×横10.97mとなっています。
テニスには2対2で試合をするダブルスと、1対1で試合をするシングルスがありますが、テニスコートの横幅10.97mをフルで使うのはダブルスのみです。
シングルスはダブルスよりもテニスコートのサイズ(横幅)が狭くなり、横幅は8.23mとなりますが、縦のサイズは変わりません。
また、テニスコートに設置するポストは、太さが直径15cm以下で高さは1.07m、ネットは中央部分が91.44cmというルールがあります。
テニスコートのライン
テニスコートにはいくつものライン(線)が引かれていますが、それぞれのラインには以下のような意味やルールがあります。
ベースライン
テニスコートの一番後ろに引かれているラインをベースラインと言います。
シングルス・ダブルスともに同じラインを使い、打ったボールがこのラインより内側に入ればイン、外に出ればアウトとなります。イン・アウトが際どいボールの場合、ベースラインの上に少しでも入っていればインと判断されます。
また、サーブはベースラインの外から打つというルールがあります。
サービスライン
サービスラインとは、ネットを挟んで半分になったコートの中央寄りに引かれている線です。ベースラインと平行になるように引かれています。
サーブを打つときは、相手のコートのサービスラインよりもネット側の枠の中にボールを入れなければいけません。
センターライン
センターラインは、サービスラインが引かれている枠の中に縦に引かれているラインのことです。
例えば、サーブを右側から打つ場合は、対角の左側にボールが落ちるように打ち込みます。その際、本当に対角線上に打てたのか、イン・アウトを確認するために使うのがこのセンターラインです。
センターマーク
センターマークとは、センターラインの延長線上に引かれた短いラインのことです。ベースラインのちょうど真ん中に10cmの長さで引いてあります。
テニスでは、コートを縦で左右に分けたときの右側がデュースサイド、左側がアドバンテージサイドと言います。サーブを打つときは左右どちらか一方から打つことになりますが、このセンターマークのある位置を軸にどちらのサイドかを判断します。
ダブルスサイドライン
ダブルスサイドラインとは、テニスコートの一番外側に縦に引かれているラインのことです。
ダブルスとシングルスではコートの横幅が異なるので、ダブルスの場合はダブルスサイドラインからボールが出たときがアウトとなります。
シングルスサイドライン
シングルスサイドラインとは、ダブルスサイドラインよりも内側に縦に引かれているラインのことです。
シングルスの試合ではこのラインを使い、ボールがシングルスサイドラインから外に出れば、ダブルスサイドラインの内側であってもアウトとなります。
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テニスのルール
次に、テニスの試合に関するルールについて紹介していきます。
テニスは硬式と軟式があり、それぞれルールが異なるので覚えておきましょう。
硬式テニスのルール
硬式テニスでは、試合の前にコイントスなどを行い、サーブ権かレシーブ権、エンド選択権のいずれかを選んで試合を開始します。
サーブ・得点方法
サーブはベースラインの後ろから打ち、手でボールを空中に上げて、ボールが地面に落ちるまでの間にラケットで打たなければいけません。
ラケットで打つまでにベースラインを踏んだときやネットを越えないとき、規定のエリアに入らない場合は打ち直しとなり、2回連続してサーブを失敗すると相手に得点が入ります。
また、サーブ後は打ったボールがサイドラインやベースラインを越えた場合も相手の点数となります。コートに入ったボールを2回バウンドする前に返球できなかったときも、相手に得点が入ります。
ポイントとセットの数え方
硬式テニスの得点は、ポイントとしてカウントされます。ポイントは、ラブ(0)・フィフティーン(15)・サーティ(30)・フォーティ(40)とカウントされ、4ポイントを先に取ったほうが、1ゲームを獲得できるというルールです。
しかし、双方が3ポイントずつ獲得した場合は「デュース」となり、デュースのときは先に連続して2ポイントを取ったほうが、そのゲームを獲得できます。
また、6ゲームを先取したほうが、1セット獲得となりますが、5対5になった場合は2ゲーム連続して獲得するか、6対6になった場合はタイブレークに突入し、7得点(6対6になった場合は2得点を連続で)獲得した選手が1セット獲得となるのが一般的です。
硬式テニスのセット数は試合によって異なりますが、プロの試合においては、一般的に3セットマッチと5セットマッチが採用されることが多く、3セットマッチの場合は先に2セット、5セットマッチの場合は先に3セットを取ったほうが勝利となります。
軟式テニスのルール
軟式テニス(正式名称:ソフトテニス)でも、サーブ権を決めるときはラケットを使ったトスやコイントスなどを行い、勝ったほうがサーブ権かレシーブ権のどちらかを選べます。
サーブ・得点方法
硬式テニスと同様、サーブはベースラインの後ろから打ち、手でボールを空中に上げて、ボールが地面に落ちるまでの間にラケットで打たなければいけません。
ラインを越えたときや2回バウンドする前に返球できなかったとき、サーブを2回失敗したときなどに相手に得点が入るというルールも硬式テニスと同じです。
ポイントとセットの数え方
軟式テニスの得点もポイントとしてカウントされますが、ポイントカウント方法は硬式テニスと異なり、ゼロ(0)・ワン(1)・トゥー(2)・スリー(3)とゼロから順に得点をカウントアップしていきます。
4ポイントを先取したほうが1ゲーム獲得となる点と、双方が3ポイントずつ獲得した場合に「デュース」となる点は、硬式テニスと同じです。デュースのときは2ポイント連続して取得したほうが1ゲーム獲得となります。
軟式テニスには通常5ゲームマッチと7ゲームマッチがあり、5ゲームマッチの場合は3ゲーム先取、7ゲームマッチの場合は4ゲームを先取したほうが勝ちというルールです。
テニスコートの種類
テニスをするうえでルールを理解しておくのはもちろん重要ですが、コートの種類や特徴を理解しておくことも大切です。そこで続いては、テニスコートの種類について紹介します。
テニスコートはコートの表面に使われている素材によって5つの種類に分類され、公式の試合で使われているものが3種類、それ以外に2種類あります。
グラスコート
グラスコートは、表面が芝生でできており、ウィンブルドンで使用するコートとしても知られています。
天然芝のグラスコートは、球速が上がり、ボールのバウンドが低くなる特徴があります。また、足元が滑りやすかったり、荒れやすかったりすることから攻略が難しいコートとも言われています。
グラスコートは、ウィンブルドンで使われていることもあってテレビなどで見る機会は多いですが、芝生を使ったテニスコートは維持するのが大変なこともあり、通常のテニスコートとして使われることは少ないでしょう。
クレーコート
全仏オープンテニスでも使用されている、土でできたコートをクレーコートと言います。ヨーロッパに多く見られるテニスコートで、日本でも一時期までは主流となっていました。
クレーコートは、使用する土質によってボールのバウンドの仕方や球速、滑りやすさに違いが出るという特徴があります。
また、天候によっても左右され、湿度が高い日はバウンドが低くなったり、返球速度が下がったりする傾向にあります。空気が乾燥している日はボールのバウンドが高くなったり、球速が上がったりすることもあります。
ハードコート
ハードコートは、アスファルトなどの硬い素材をゴムなどでコーティングしており、コーティングに使用されている素材によって、球速もバウンドの高さも異なるのが特徴です。
現在多くの国々で主流になっているテニスコートで、公式試合では全豪オープンと全米オープンで使われています。
砂入り人工芝(オムニコート)
オムニコートと呼ばれている砂入り人工芝は、日本で主流となっているテニスコートです。水はけが良く、小雨程度ならプレーすることができるため、雨の多い日本に適したテニスコートと言えるでしょう。
ただし、世界で主流となっているハードコートに比べると球速が下がり、バウンドも低くなる傾向があります。大きな大会に使用されるコートではないため、プロの選手にはあまり利用されないコートです。
とはいえ、足や腰への負担が少ないというメリットもあるため、国内でテニスを楽しむ人には馴染み深いテニスコートでしょう。
カーペットコート
屋内用のテニスコートやテニススクールなどで用いられることが多いのが、カーペットコートです。カーペットコートは、毛足が短いカーペット素材で作られており、体に負担がかかりにくいという特徴があります。
バウンドが低く球速は上がるため、テンポの速いラリーが続きやすいコートですが、ボールが思った以上に伸びることがあるため、コツをつかむまでは難しさを感じる人もいるようです。
また、普通のテニスシューズでは足を取られることもあるため、カーペットコート専用のテニスシューズを履くのがおすすめです。
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テニスウェアのルール
テニスでは、大会ごとに服装規定が定められていることがほとんどです。
基本的に着用するテニスウェアは、男性はゲームシャツ+ゲームパンツ、女性はワンピースか、シャツ+ショートパンツまたはスコートであることが条件です。
ほかにも、2020年現在定められている覚えておきたい服装規定について、JTA(日本テニス協会)のルールブックから抜粋して紹介します。
禁止されているシャツ・パンツ
テニスの公式試合では、Tシャツやランニングシャツ、ジーンズやランニング用のパンツなどは着用することはできません。
しかし、原則禁止のTシャツタイプでも、テニスウェアのメーカーがゲーム用のシャツとして販売しているものは、レフェリーの判断によって着用可能です。
レギングスの着用に関するルール
テニスでは、膝上の丈のサポートタイツをコンプレッションショーツ、ロング丈のサポートタイツのことをレギングスと呼びます。
2017年に発表されたルールにより、テニスの公式試合ではコンプレッションショーツの着用のみ認められていましたが、2020年のルール変更に伴い、これまで禁止とされていたレギングスの着用もすべての大会で許可されることになりました。
ロゴマークについてのルール
テニスウェアの製造者ロゴに関してもルールがあります。
上着は前後や襟に13㎠以下のロゴが2ヶ所、または26㎠以下のロゴが1ヶ所付いているものであれば認められています。
また、パンツやスコートも13㎠以下のロゴであれば2ヶ所、26㎠以下のロゴの場合は1ヶ所付けられます。ただし、所属団体名や契約スポンサー名などのコマーシャルロゴは付けられません。
帽子・アンダーウェア・ソックス・リストバンド・ヘッドバンドなどの小物に付けられるロゴは、13㎠以下のものが1つのみと定められています。
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ダブルスで大会に出場する場合のルール
ダブルスで大会に出場する場合、これまでは「パートナー同士が同系色のテニスウェアを着用しなければならない」という決まりがありました。
しかし、2020年に「パートナーのテニスウェアの色には制限を設けない」というルール変更があったため、ダブルスの試合でもシングルスと同じ規定を守っていれば、テニスウェアの色は自由となります。
マスク
テニスのプレー中にマスクやフェイスカバーを着用する場合、スポーツに適したものがおすすめです。
冷感タイプのものやUVケア機能が備わったもの、アジャスター付きのものなど、必要な機能性チェックして選ぶと良いでしょう。
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テニスのルールに則ったウェアを選ぶのにおすすめのブランド
テニスウェアを選ぶときは、試合に出場するときのことを想定し、服装規定に則ったものを選ぶのがおすすめです。
服装規定に則ったものを選ぶには、テニスウェアを取り扱うスポーツブランドで「ITF服装規定およびJTAルールブック服装規定適用商品」という記載があるかどうかを確認しましょう。
ここでは、テニスの服装規定に則ったウェアを扱う、おすすめのブランドを紹介します。
le coq sportif(ルコックスポルティフ)
ルコックスポルティフは、高機能かつおしゃれなテニスウェアを展開するフランス発祥のスポーツブランドで、世界中のプロテニスプレーヤーからも愛用されています。
また、雄鶏のロゴが印象的な、年齢や性別を問わず幅広い層に好まれるデザインもルコックスポルティフの魅力の一つと言えるでしょう。
ルコックスポルティフからは、JTA公認のゲームシャツやパンツが多数販売されているため、テニスの試合出場を想定して服装規定に則ったウェアを選びたいという人はぜひチェックしてみてください。
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フォアハンド
テニスの基本的な技術の一つに、利き腕側でボールを打つプレー「フォアハンド」があります。
ここでは、フォアハンドの概要や基本的な打ち方について解説します。
テニスを始める際には、まずラケットの振り方やボールの打ち方から練習を始める人がほとんどです。なかでも基本であるフォアハンドをしっかりと覚えることで、テニスの上達が早くなるでしょう。そこで今回は、フォアハンドストロークの基本的な打ち方や動[…]
テニス肘
テニスをプレーするうえで、誰もが陥る可能性のある疾患の一つに、テニス肘があります。
ここでは、テニス肘の症状や原因、肘を痛めてしまった場合に痛みを緩和する方法などを詳しく解説します。
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テニスのルールやウェアの規定を理解しておこう!
テニスには細かなルールがたくさんあるため、慣れるまでは難しく感じるかもしれません。しかし、基本的なルールさえ覚えてしまえば、誰でも楽しめるおすすめのスポーツです。
これからテニスを始める人は、テニスのルールを覚えるとともに、試合出場も視野に入れて、公式ルールに則ったテニスウェアをそろえてみてはいかがでしょうか。