【インタビュー】トライアスロン世界ランキング上位のソフィー・コールドウェル選手に競技への思いや今後の目標を聞いてみた

【インタビュー】トライアスロン世界ランキング上位のソフィー・コールドウェル選手に競技への思いや今後の目標を聞いてみた

  • 2020/09/18 (金)
  • 2023/07/20 (木)

1人の選手がスイム・バイク・ランの3レースを連続して行うトライアスロン。世界選手権をはじめとする数々の世界大会のなかには、プロのアスリートだけでなくアマチュアも気軽に参加できるレースがあります。

そんな世界の舞台で、今後一層の活躍が期待されているイギリス人の女性トライアスリート、ソフィー・コールドウェル選手。

幼少期からトライアスロンを続け、 ITU世界ランキング15位(2020年9月時点)の成績を持つ彼女にインタビューを実施。トライアスロンへの思いや今後の目標など、お話を伺いました。

目次

アマチュアも参加できる、トライアスロンの世界大会

トライアスロン(スイム)競技中の写真

「何となくどんな競技かは知っているけれど、ルールなどはよく分からない」「アマチュアの大会ってどんな選手が出場してるの?」など、トライアスロンについて詳しく知らない人は、日本で少なくないのではないでしょうか。

トライアスロンの世界大会は、参加基準や距離もさまざま。トップ選手のハイレベルなレースからアマチュアでも気軽に参加できるレースまで、幅広く開催されています。

実は日本でも数多くの大会が度々行われており、世界のトップ選手を間近で見ることもできます。

まずは、トライアスロンの世界3大大会についてご紹介。それぞれの参加基準や世界大会がどんなものか知ることで、トライアスロンをもっと身近に感じられるはずです。

アマチュアでも完走は夢じゃない。国際基準の距離「スタンダード・ディスタンス」

トライアスロン(ラン)競技中の写真

これからご紹介する3つの世界大会のエリートレース、エイジレースは「スタンダード・ディスタンス」という国際基準の距離で行われています。

トライアスロンには、ほかにも「ミドル・ディスタンス」「ロング・ディスタンス」など距離の異なるレースが多数。そのなかでも「スタンダード・ディスタンス」は大会数も多くショートコースのため、初心者でも始めやすいとされています。

「世界大会」と聞くとトップアスリートだけの競技のように思えますが、トライアスロンはトップ選手と同じ距離で挑戦できる大会がほとんど。一般のアマチュア選手でも世界大会出場は夢ではありません。

トップ選手が集結!トライアスロン世界大会の最高峰「ITU世界トライアスロンシリーズ」

各国の代表選手が世界を転戦し、獲得したポイント数で年間チャンピオンを決定する世界大会が「ITU世界トライアスロンシリーズ」。

国際トライアスロン連合(ITU)が設立された1989年、フランス・アビニオンで開催された第1回ITU世界選手権大会が、この大会の始まりです。2009年からシリーズ制が開始され、現在の転戦形式になりました。

トライアスロンの「世界最高峰」の大会であり、厳しい出場基準をクリアした世界中のトップ選手が参加。距離は、世界基準のショートコースである「スタンダード・ディスタンス」です(パラトライアスロンとエイジレースではスプリント・ディスタンスもあり)。

トップ選手の集まる「エリート」と、5歳ごとに年齢別で分かれた「エイジグループ」でレースが分かれており、エイジレースへの出場は一般選手にとって一つの目標とされています。

参加人数は1600人を超え、世界中からレベルの高い選手が集結。参加者は16歳以上で、最高齢は80歳を超えるなど幅広い年齢層が参加する大会です。

ソフィー選手も二度優勝。アマチュアも参加できる「ITUトライアスロンワールドカップ」

1991年から開催されているITU主催の大会。世界トライアスロンシリーズ同様、世界各国でポイントを獲得する転戦形式です。

1991年から開催されていますが、2008年ITUのレース再編によりレース数が減少。一方、現在の世界トライアスロンシリーズの獲得ポイント数にも反映されるため、多くの選手が参加しています。

ソフィー・コールドウェル選手は2018年・2019年と個人で優勝。世界ランキング16位まで上り詰めています。

この大会も「スタンダード・ディスタンス」で行われていますが、世界トライアスロンシリーズとの違いは、出場基準が高すぎずレースへの参加がしやすい点です。

エイジレースの出場基準は、健康な18歳以上の選手で制限時間内に完走すること。基準をクリアすれば、アマチュアでも参加できる大会です。

アジア代表が決まる瞬間は見逃せない!「アジアトライアスロン選手権」

1991年にアジアトライアスロン同盟(ASTC)が設立され、その翌年に第1回アジアトライアスロン選手権が開催。2006年より、アジア競技大会におけるトライアスロン競技が正式種目となったことで、アジア選手権と兼ねて開催されるようになりました。

この大会はASTCに加盟する35の国と地域が参加する、アジアで最も大きなトライアスロンの大会です。

距離は、エリート・U23・エイジが「スタンダード・ディスタンス」。ジュニア・パラトライアスロンが「スプリント・ディスタンス」というように、レースが細かく分けられています。

大規模な世界大会の直前に開催されるアジア競技大会。世界大会の出場者を決める選考会も兼ねており、アジアを代表する選手や、将来を期待される選手を間近で見ることもできます。

着替えさえもレースの一部。注目の混合リレーも始まり大会では見どころが満載!

トライアスロン(レース中)で着替えている場面の写真

トライアスロンの大会のなかでも、「スタンダード・ディスタンス」のようなショートコースでは、選手同士の攻防が至る所で繰り広げられます。

見どころの一つは、トライアスロンならではの「レース中の着替え」。さらに、2021年より世界大会に正式に追加される「トライアスロンミックスチームリレー」についてもご紹介。

今後、トライアスロンの世界大会を盛り上げる注目の新種目をチェックしていきましょう。

「着替えは素早く安全に!」トランジションエリアを制する者はレースを制す

スイムからバイク、バイクからランへと種目が切り替わる際に、選手は「トランジションエリア」と呼ばれる区間でウェアを着替えます。着替え中もタイムの計測は進むため、いかにタイムロスを減らすか、「着替え」にも工夫が必要というわけです。

しかし、着替えは必須というわけではなく、近年では1つのウェアで3種目参加できるものもあります。また、レースの距離によって種目ごとの距離も異なるため、レースの特徴に合わせたウェア選びが大会に挑む際の重要なポイントにもなるでしょう。

2021年、注目の新種目。「世界ミックスリレー」とは?

2021年開催の世界大会を皮切りに、「トライアスロンミックスチームリレー」が、新たな正式種目として採用。男女2人ずつの混合チームで、各選手が短い距離のミニトライアスロンを行いバトンをつなぐリレー形式です。

個人戦との違いは「ハイスピード」なレースになること。ミニトライアスロンは1人分の距離が短いため、選手はペース配分よりも「全力でレースに挑むこと」が重視されます。従来のトライアスロンとは違うスリル満点なミックスリレーは、今後の世界大会をさらに盛り上げてくれるでしょう。

ブリティッシュトライアスリートの若手実力派、ソフィー・コールドウェル選手にインタビュー。競技に対する姿勢や日課、今後の目標を聞いてみました!

バイクに乗るソフィー・コールドウェルの写真

世界大会の魅力や見どころが分かり、トライアスロンへの期待がますます高まってきました。

ここからは、実際に活躍されている若手トライアスリートの、競技に対するモチベーションの上げ方や目標の立て方を聞いてみましょう。

イギリス人女性トライアスリートのソフィー・コールドウェル選手は、幼少期からトライアスロンを続け、現在 ITU世界ランキング15位(2020年9月時点)という功績の持ち主。競技を始めたきっかけやプライベートの過ごし方など、赤裸々に語っていただきました。

――トライスロンを始めたきっかけは?

私は8歳のときにトライアスロンを始めました。地元でトライアスロンレースがあり、母に連れて行ってもらったことがきっかけです。当時は自分が何をしているのか理解していなかったように思います。

最初はクロールで50mを泳ぐことができなかったので、初めの25mはクロールで、折り返しの25mは背泳ぎで泳いでいました。

競技に取り組んでいくうちに徐々にトライアスロンが好きになり、ジュニア時代から数えると12年間続けています。

――他競技ではなく、トライアスロンから競技を始める選手は珍しいですね。

そうですね。ジュニア時代から経験を重ねている女子選手は多くはありません。ほかの選手は水泳や陸上などの競技から転向した選手が多いですね。

「モチベーションは自分で上げる」。トライアスリートのストイックな姿勢

ソフィー・コールドウェル選手のプライベートの写真

――トライアスリートとしての決まったルーティーンはありますか?

トレーニング時のルーティーンは、週ごとにほとんど決まっていますが、日によって少しずつ調整しています。工夫して簡単なメニューに変更したり、負荷をかけるために、トレーニング施設(ラボ)で行うこともあります。

――モチベーションを上げるための秘訣は?

私は比較的、自発的にモチベーションが上げられるほうだと思います。競技をしていくうえでは自分自身の目標を達成したいし、そのためにはできる限りのことをしたいと常に思っています。明確な目標を設定し成果を上げていくことが重要だと思っています。

トライアスロンは私にとって仕事でもあるので、生きていくための収入源でもあります。それらが糧となり、モチベーションを上げていくための動機付けになっています。

――オフシーズンの過ごし方は?

オフシーズンの終盤に旅行に出かけます。1週間ほど使って、トライアスロンのことは忘れて、普段行かないところに行ったりします。

また、身寄りのない保護犬を預かることもあります。里親が見つかるまで、彼ら(保護犬)の面倒を見ます。今2匹の犬を飼っているのですが、彼らも保護された子たちなのです。当初、里親が見つかるまでと思っていましたが、そのまま私の家で飼うことにしました。

ちなみに、遠征中は近くに母親が住んでいるので、私の犬たちの世話をしてくれています。なので、彼ら(飼っている犬たち)は母の家に泊まっています。

プロのトライアスリートが重視する、ウェア選びのポイントとは?

ソフィー・コールドウェル選手と2匹の犬の写真

――ソフィー選手は、よくプライベートでもデサントウェアを着ていただいていますが、何か理由はありますか?

シンプルに私はデサントのウェアが好きです。もちろんトレーニングでも着用しますが、品質が良く、動きの妨げになりません。今もデサントのウェアを着ていますが、着心地が良いんです。

――デサントのなかで、好きなアイテムはありますか?

ジャケットですね。トレーニングに行く道中に着たりしています。冬は寒いので保温力の高いデサントのウェアを特によく着ています。また、サイクリングウェアも快適で好きです。ランニングウェアも同様にフィットするので、使い心地が良く気に入っています。

イギリストライアスロンチームサプライモデルのレプリカの写真

参考:イギリストライアスロンチームサプライモデルのレプリカ商品。

――レーススーツで重要としているポイントは?

一番重要なのは、水中で速く泳げるという点です。水が入り込んできたりしないことです。また、自転車やランニング時の動きやすさです。暑い場所では、通気性も必要になるので、そこも注意しながらウェアを選んでいます。

「引退後も身体を動かしていたい」。ソフィー選手が見据える今後の競技人生

ラン競技中のソフィー・コールドウェルの写真

――ここから数年間のゴール(目標)はありますか?

私にとってはここから先4年後に向けて準備をすることです。若手アスリートから次のランクにいくにはほかの経験値のある選手のレースの仕方を見て学ぶことも大切で、毎回のレースで得るものがあります。

イギリス代表に選ばれるかどうかは別として、世界の女子トップ選手のなかで活躍し続けて、経験を積むことが必要だと考えています。

――“Design that moves”というデサントのタグラインがありますが、ソフィー選手をmoveする(動かす)ものは何ですか?

それはたくさんあります。一番大きいのはスポーツ愛です。トライアスリートでなくても、世界中で自国のトップ選手としてレースをしていないとしても、何か体を動かすことはしていたいです。外に出かけたり、運動をすると気分が良くなります。

ほかの選手と引退後の話を話していたのですが、私はきっと水泳もサイクルもランニングもしていると思います。引退後も大会に出るとは言えませんが、身体を動かすことが好きというのは変わらないと思います。“move”(動くこと)が好きということが私をmove(動かす)しています。

競技も観戦もこれ1枚で快適!「イギリストライアスロン・レプリカウェア」で自分をmove(動かす)しよう

ソフィー選手が所属する、GB(イギリス)トライアスロンチームのレプリカウェアシリーズ。特にレプリカジャージは、フィット感がありながら、吸水速乾性や換気性も抜群です。

 

<プロフィール>

ソフィー・コールドウェル選手のプロフィール写真

ソフィー・コールドウェル選手(Sophie Coldwell)
ブリティッシュトライアスロン所属
1995年 2月25日生まれ

【主な戦績】
2018年 ITUトライアスロンワールドカップ ティサウーイバーロシュ 個人 優勝
2019年 ITU 世界トライアスロン ミックスリレーシリーズ エドモントン 1位
2019年 ITU トライアスロンワールドカップ カリアリ 個人 優勝

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