キャンセル待ち70万人!日本一予約が取れないと言われている頭の揉みほぐし専門店「悟空のきもち」は、ほとんどのお客様を約10分で気持ち良く眠らせることができるという人気店です。
施術だけではなく、「質の良い睡眠」を追求する独自商品も開発しています。その一つが、布団の常識を覆す「睡眠用うどん」。
名前の通り「うどん」から着想を得たというユニークな商品で、スポーツブランドであるデサントの「コアクーラー」という商品と同様に、人の「深部体温」に着目して作られています。
今回、「睡眠用うどん」の開発者である、株式会社ゴールデンフィールド 悟空のきもち セラピスト 磯貝麻里さんと、「コアクーラー」の開発に携わる、デサントジャパン株式会社 エキップメント・フットウェア部門 エキップメントマーケティング部 マーケティング1課 井上大輔が、睡眠やスポーツにおける「深部体温」の重要性や、両社の技術を活かしたコラボレーションの可能性を語り合いました。
※撮影時のみマスクを外しています。
「質の良い睡眠」に欠かせない「深部体温」とは?
質の良い睡眠には「深部体温」が深く関係しています。人が眠りにつくとき、体の中心部の深部体温を下げるために、手や足から熱を放出しています。
眠るときに手足が暖かくなるのはこのためで、深部体温が下がることで深い眠りに入り、脳や体を休ませます。眠っていても疲れが取れていないようなときは、深部体温が下がっていない可能性があります。
質の良い睡眠を得るためには、深部体温の低下がスムーズに行われることが重要です。
質の良い睡眠へ、柔軟すぎる発想から生まれた「睡眠用うどん」
――「悟空のきもち」は、なぜ睡眠にこだわっているのでしょうか?
磯貝:実は創業時から睡眠に特化していたわけではないんです。施術後のアンケート結果から、施術中に寝てしまったお客様の方が満足度が高く、さらにその日の夜の睡眠にも良い影響が出ている傾向があると分かり、ドライヘッドスパを“眠らせる施術”へと変化させてきました。
井上:WEBサイトを拝見したのですが、「熟睡用たわし」や「睡眠用うどん」など、どれも面白い商品だなと思うのですが、どうやって開発されているのですか?
磯貝:今販売しているアイテムは、どれも商品開発ありきで考えたのではなく、“思い付いてしまった”ので商品化しています(笑)。頭をほぐすと発想が柔軟になるみたいで、面白いアイデアが出てくる社風みたいなものが、悟空のきもちにはあるんです。
井上:頭をほぐすとそんな効果があるんですね(笑)!「睡眠用うどん」はどのように作られたのでしょうか?
磯貝:「睡眠用うどん」は、スタッフ4人でざるうどん屋さんに行ったときの、たわいもない会話から生まれました。スタッフの1人が急に、「このうどんの中で眠ったら気持ち良さそうだよねー。」と言い出したんです(笑)。そこから会話が盛り上がり、箸でうどんをちぎって並べながら、その場で原型はできていました。
「深部体温」のことを考えると、従来の布団では「掛けるか剥ぐか」の2択でしたが、熱を放出する手と足だけが出せる「うどん」というのは、とても良いのではないかとみんなで話していましたね。
井上:実際に触ってみると、すごいモチモチしていますね!どんな寝心地なんだろうと思っていたんですが、実際に寝てみると包み込まれている感覚で安心感があって、抱き枕にしても良いですし、自由に手足を出せるので寝やすいなと思いました。
磯貝:モチモチ感もこだわったポイントです!「睡眠用うどん」は、自由に連結できる“タテの麺”と“ヨコの麺”で構成されているため、自由自在に手や足だけを出せますし、暑いときは麺を広げて、寒いときは麺を閉じることで温度を調節できます。これにより、深い睡眠に欠かせない深部体温の調節が直感的にできるんです。
質の良い睡眠だけでなくアスリートのパフォーマンスにも影響する「深部体温」
――「睡眠用うどん」と同様、「深部体温」に着目して開発されたデサントの「コアクーラー」ですが、その開発経緯を教えてください。
井上:私自身は「コアクーラー」の開発に携わるまで「深部体温」という言葉を知らなかったのですが、あるマラソン選手が手に保冷剤を握って走っていたことが話題となっていたり、夏の野球大会で熱中症対策として、冷たい水が入ったペットボトルで手のひらを冷やすという方法を取り入れていたりと、手のひらを冷やすことがスポーツに与える影響に興味を持っていました。
それまでは、首や脇やそけい部を冷やすと良いというイメージがあったのですが、手のひらを冷やして、暑さ対策やスポーツのパフォーマンス向上につながるというのは面白そうだなと思ったのです。
コアクーラーの仕組み。
磯貝:触ってみると思ったより冷たくなくて、びっくりしました。着けていても冷たすぎて気になったりすることもないですね。
井上:そうなんです。この「12℃」というのが大事なポイントで、保冷剤や氷のように冷たすぎると、血管が収縮して冷却効果が弱まってしまいます。運動時だけでなく、運動後に深部体温を下げるのにも効果的なので、リラックスした状態で使えるよう、手の操作性にはこだわりました。
――「コアクーラー」はアスリートのパフォーマンス向上や暑さ対策を目的として開発されたものだと思いますが、睡眠時にも良いと気付いたきっかけはあったのですか?
井上:開発当時は睡眠時に着用することは想定していなかったのですが、あるとき、うちの子どもが手足に「コアクーラー」を着けて寝始めて、それから毎日「お父さんアレ出して」と言って「コアクーラー」を着けて寝るようになりました。
周りの社員にも聞いてみると、同じく子どもが寝るときに着けていたり、エアコンをずっとつけているのが気になるという方が寝るときに着けているという話がありました。
磯貝:これなら冷たすぎずに気持ち良いので、寝つきが良くなりそうですね。
井上:体温調節に詳しい専門家の方にもお話を伺ったところ、特に全体重を支えている足裏は熱くなりやすいと聞き、フットカバーも開発しました。睡眠は最初の90分の質を高めることが重要ですので、眠るときに使っていただくと良い効果が期待できます。
「アスリート×睡眠」の可能性を探る
――もし、「深部体温」にこだわる両社がコラボするとしたら、どのようなアイデアが思い付きますか?
井上:アスリートはいろいろな大会に出場するため移動が多いのですが、夜行バスや新幹線、飛行機など、長時間の移動中に快適に眠れるよう、「睡眠用うどん」が持ち運びできると良いですね。
デサントの高い縫製技術を活かして「睡眠用うどん」をコンパクトにして、「どこでもうどん」といった商品を作ってみるのはどうでしょう?うどんに包まれている安心感が心地良くて、これならアスリートの方も移動中にリラックスできるんじゃないかなと思います。
磯貝:「睡眠用うどん」は寝ているときに包まれている安心感を出すために、ある程度重さを感じるように作られていますので、移動用は軽くして持ち運びしやすくすると良さそうですね。
井上:移動中も質の良い睡眠で体を休めて、本番で良いパフォーマンスを出してもらえたらうれしいですよね。
磯貝:アスリートが良いパフォーマンスを出すときなど、“ゾーンに入る”と言われる集中した状態があると思いますが、試合やレースなどの前に、「悟空のきもち」の施術で意図的にリラックスさせて、“ゾーンに入る状態”を作れたらすごいと思いませんか?
井上:面白そうですね!ゾーンに入る状態って再現性がないと聞きますよね。短距離走の選手の話を聞いたことがあるのですが、ゾーンに入ると周りの音が何も聞こえなくなるようです。
磯貝:「悟空のきもち」は約10分で寝かせることができるのですが、これはいきなりブレーキをかけて急停止させるような状態です。いろいろな急停止のさせ方があるのですが、これまでの経験上、意識がある状態でいびきだけかかせることもできます。
お客様自身は意識があって、まさか寝ているとは思っていない状態であるため、施術後に「まったく寝れなかった」と言われてしまうこともあるんですが、これを狙ってできるとした場合、アスリートの方がゾーンに入る状態に応用できるんじゃないかなと。
井上:デサントには「DISC」という研究開発拠点があるので、悟空のきもち×アスリート×DISCで実証実験をしてみたいですね。なかなかハードルは高そうですが、新たな発見があるかもしれません。
磯貝:「何分前にどんな施術をすれば良いのか?」などのパターンを見つけられれば、アスリートの方に新しい価値を提供できそうですね!