日本の夏の平均気温は年々上昇傾向にあり、炎天下で勝負に挑む高校球児たちは熱中症対策が欠かせません。
2020年からは日本高等学校野球連盟が熱中症対策の一環として白スパイクを解禁すると、球児たちはこぞって白スパイクを履くように。
2020年夏の交流試合では出場した全32校中14校、2021年春の全国大会では32校中25校が白スパイクを着用していたことからも、暑さ対策として白スパイクが支持されていることが伺えます。
では、白スパイクと黒スパイクではどのぐらいの温度差があるのでしょうか。今回は実際に白スパイクと黒スパイクの温度差をデサントの研究開発施設「DISC OSAKA」で検証しました。
白スパイクで暑さ対策はできるのか!?最新モデルの野球スパイクで検証
今回検証に使用したのは、デサントの最新スパイク「コウノエベルトスパイク2G」。足の甲をしっかりとホールドするコウノエベルトが特徴で、地面をつかむような一体感がある履き心地のモデルです。
<検証1>白スパイクはマイナス何℃?
最初の検証では、白スパイクと黒スパイクの表面温度を比較してみました。
DISC OSAKAのグラウンド上にて、夏に近い環境下で太陽を一定時間スパイクに当て、アッパー裏(スパイク内)の表面温度を計測。
今回の検証では、白スパイク、黒スパイクともにGAINAを搭載したコウノエベルトスパイク2Gを使用しました。
検証時の様子
検証日時:2021年6月7日 12:00~16:00
天候:晴れ
【検証結果】
DISC OSAKA グラウンド上での、白スパイクと黒スパイクのアッパー裏表面温度の測定結果。
同測定結果の13:00~15:00の平均温度を抜粋。
※本実験結果はあらゆる気候での効果を保証するものではありません。
※本実験結果はスパイク着用環境での評価ではありません。
このグラフを見れば、白スパイクと黒スパイクの温度差は一目瞭然!
さらに、試合が多く行われるような時間帯である13:00~15:00のスパイク内部の平均温度では、白スパイクは黒スパイクに比べて約12℃も温度が低い結果となりました。
<検証2>GAINA搭載でさらに地熱をカット
上の<検証1>では、白スパイクと黒スパイクのアッパー裏の表面温度の差を検証し、白スパイクのほうが表面温度が大きく低いことが分かりました。
さらに、実はこのコウノエベルトスパイク2Gには、真夏のグラウンドでも高いパフォーマンスを発揮するためのある秘密があります。それが、インソールの靴底面に塗布されている特殊断熱塗料「GAINA」です。
GAINAとは、株式会社日進産業による断熱塗料の長年の研究・開発により生まれた特殊セラミック断熱塗料。
ロケット打ち上げ時に大気との摩擦により生まれる熱から機体や機器を守るために使用される、JAXAが開発した断熱塗料技術を応用したものです。
このGAINAを塗布することで、地面からのスパイク内への熱侵入も減少させることができるのです。
今回は、GAINAの効果を測るべく、日進産業さんのオフィスでも検証を実施。
通常のスパイクとGAINAを搭載した白スパイクを、それぞれ80℃に設定したホットプレートの上に人工芝を置いて、35℃に設定したセンサーに向かって侵入してくる熱量を計測しました。
検証時の様子
計測日:2021年6月25日
センサー設定温度:35℃
室温:26±0.5℃
【検証結果】
このグラフを見ると分かるように、この検証では、GAINAを搭載した白スパイクが通常のスパイクに対し、なんと約60%も侵入熱量をカットすることが分かりました。
また、検証にご協力いただいた日進産業 相澤貴洋さんからのコメントもいただきました。
GAINAを搭載した白スパイクなら、シューズ内の温度にはっきり違いが出ます。履いてすぐに体感できると思いますよ。(日進産業 営業部 相澤貴洋さん)
夏の野球の暑さ対策にはGAINA搭載の白スパイクがおすすめ
今回の検証で、暑さ対策には黒スパイクよりも断然白スパイクが向いているということが判明!
さらに、黒スパイクに比べて表面温度が低い白スパイクに、高い断熱効果を持つGAINAを搭載することで、よりシューズ内の熱量が抑えられることも分かりました。
高校球児たちの間で定番となりつつある白スパイクに、GAINAの断熱効果が加われば、足元の暑さ対策はばっちりです!
日本高等学校野球連盟の用具使用制限をクリアし、公式戦でも使用可能となった白スパイク。
高い断熱効果を持つGAINAを搭載することで、地面から侵入する熱を減少させ、真夏のグラウンドでも十分にパフォーマンスを発揮できます。
さらに、コウノエベルトで甲を締めることでスパイクと足の一体感が向上するとともに、指先で地面を捉えやすくなり接地時のブレの軽減が期待できます。
テキスト/伊藤伊万里(ライトアウェイ)
高みを目指す高校球児にとって、日々の練習はなくてはならないもの。しかし直射日光が照りつける夏のグラウンドは想像以上の酷暑になります。暑さを軽減させ、快適に練習に取り組むには、通気性や軽量性、耐久性、ストレッチ性が備わったウェアの着用が重要で[…]