ラグビーの試合では、相手のトライを防ぐために「タックル」が行われるシーンが多々あります。
一見、ただ相手にぶつかって倒しているだけのようにも見えるかもしれませんが、実はさまざまな種類があり、それぞれ難易度や危険性が異なります。
この記事では、ラグビーのタックルとはどのようなプレーなのか、種類や反則ルールについて詳しく解説します。
ラグビーのタックルとは?
ラグビーのタックルとは、ボールを持っている相手選手を捕まえて地面に倒すプレーのことです。
ボールを持って前に進むプレイヤーのことを「ボールキャリア」、タックルを行うプレイヤーのことを「タックラー」と呼びます。
タックラーになるのは、主にフォワードのポジションであるFL(フランカー)の選手です。守備ではCTB(センター)の選手がタックラーとなり、相手チームの攻撃を食い止める役割を担います。
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ラグビーの基本タックルは6種類
ラグビーの基本的なタックルには、次の6種類があります。
フロントタックル
フロントタックルとは、相手のボールキャリアに正面から立ち向かい、相手が走る方向の逆側に倒すタックルのことです。
頭を下げた低い体勢から相手の両脚を両腕でつかみ、そのまま仰向けにして倒します。
正面から衝突するので、強い衝撃を受けることになります。そのため、パワーはもちろんのこと、スピードやメンタルの強さも求められるプレーです。
サイドタックル
サイドタックルとは、相手のボールキャリアを横から押して倒すプレーのことで、試合中に最も多く見られる種類のタックルです。
基本的なやり方はフロントタックルと同じですが、サイドタックルは横から相手を捉えるため、左へ走る相手には左肩を軸にして、右へ走る相手には右肩を軸にして押し倒します。
また、相手にフロントタックルをかわされて、結果的にサイドタックルになることもあります。
スマザータックル
スマザータックルとは、相手のボールキャリアの上半身に向かって、飛びながら抱きつくようにして倒すプレーのことです。
相手からボールを奪うこととパスを出させないことを目的としているため、倒すことよりも腕の動きを封じるように行います。
リアタックル
リアタックルとは、相手のボールキャリアを後ろから倒すプレーのことです。相手の脚に手をかけて転ばせます。
リアタックルは相手を追いかける場面で行うため、細身の選手でも仕掛けやすいのが特徴です。
ただし、相手をしっかりとつかんでいなければタックルとは認められず、相手がすぐに起き上がってプレーを続行してしまうため、足首をつかんで試合を止めることを意識しましょう。
チョップタックル
チョップタックルとは、相手のボールキャリアの腰から下に低く入って倒すプレーのことです。
体格差のある選手を止めるために使われることが多く、近くに味方選手がいれば倒れた相手選手からボールを奪うプレー(ジャッカル)を行うことも可能です。
ただし、足元に入るタックルなので、相手が倒れる前にオフロードパス※を通される可能性が高くなります。
※オフロードパス:タックルを受けながら出すパス。
チョークタックル
チョークタックルとは、相手のボールキャリアを押し倒すのではなく、上半身を抱え込むようにして動きを止めるタックルです。
1人がチョークタックルで相手の動きを止めることができれば、モール※を形成してボールを奪ったり、モールでボールが出せない状態にするモールアンプレアブルで試合の中断を狙ったりすることもできます。
相手からボールを奪うにはチームプレーが不可欠なタックルなので、素早く状況を判断しながら仕掛ける必要があります。
※モール:ボールキャリアを含め、両チームから1人ずつのプレイヤー(計3人以上)が立った状態で組み合う密集集団。
ラグビーの危険なタックルは反則になる!
ここまで紹介したようにラグビーのタックルには複数の種類があり、いずれもボールを持った選手を倒して攻撃を止めるというのが基本です。
しかし、相手選手を倒せれば何をやっても良いというわけではありません。ここからは、ラグビーで反則行為とみなされる危険なタックルの種類をいくつか紹介します。
ハイタックル
ハイタックルとは、相手選手の肩から上を狙ってタックルをする反則プレーです。
命に影響がある事故を招きかねないため、特に危険なプレーとしてタックラーへの罰則規定も重くなっています。
反則行為とみなされれば、相手チームにペナルティキックが与えられるほか、イエローカードによるシンビン※やレッドカードによる一発退場を命じられる可能性もあります。
※シンビン:10分間一時退場させること。
ノーボールタックル
ラグビーでは、ボールを持たない選手へのタックルは禁止です。
ボールキャリア以外にタックルを行った場合、ノーボールタックルという反則行為となり、相手チームにペナルティキックを与えることになります。
アーリータックル
アーリータックルとは、ボールを持つ前の選手にタックルをするという反則プレーです。
例えば、パスを受けようとしている選手や、キックオフでボールを取ろうとジャンプした選手をタックルで倒してしまうと反則となります。
相手がパスを受けた瞬間にタックルをするのは有効なプレーですが、少しの時間差で反則になってしまうので注意しましょう。
アーリータックルを行ったタックラーは、イエローカードによるシンビンを受けるケースが多く、悪質と判断された場合にはレッドカードを出されてしまう可能性もあります。
レイトチャージ
レイトチャージ(レイトタックル)とは、パスやキックが行われた後に遅れてタックルすることです。
レイトチャージを取られると、相手チームのペナルティキックで試合が再開されます。
スティフアームタックル
スティフアームタックルとは、相手を抱えるようにして倒すのではなく、自分の腕を伸ばして振り回すようにしてぶつける反則プレーです。
スティフアームタックルを取られると、相手チームのペナルティキックで試合が再開します。場合によっては、シンビンや一発退場を命じられるケースもあります。
タックルは「ラグビーの華」!ルールを守って安全にプレーしよう
相手の動きを止めたり相手からボールを奪ったりするタックルは、「ラグビーの華」とも言われる見応えのあるプレーです。
フロントタックルやサイドタックル、リアタックルなどさまざまな種類があるので、それぞれの違いを覚えておくとプレーや観戦をより楽しめるでしょう。
ただし、タックルのなかには重篤な事故を引き起こしかねない危険なプレーも存在します。危険性や反則ルールも理解して、安全にプレーを楽しみましょう。