トレーナー武井敦彦氏
#le coq sportif (ルコックスポルティフ)

「俺、昔は運動神経よかったんだよ…」と語る人に今すぐ始めてほしいテニスの話

現在、働き盛りの年代の方の多くが、プロ野球やJリーグといったプロ選手に憧れを持ち、部活動も野球部やサッカー部に入部した人が多くいると思います。

青春時代に仲間たちと汗を流した日々は最高の思い出となり、そのときの記憶は一生忘れられないモノになっているでしょう。

しかし、社会人になってからはスポーツをする機会も減っているはず。実際、スポーツ庁の平成30年度「スポーツの実施状況等に関する世論調査(※1)」では、20代~50代で「運動不足と大いに感じる」という割合が高くなっています。

※1 20代 38.7%、30代 46.4%、40代 45.3%、50代 43.3%

また、この1年間に実施した種⽬について、男女ともにウォーキングが第1位(男性 62%、女性 62.1%)となっていて、階段昇降、トレーニング、体操やランニングが続いています。

試合ができるほど人が集まらなかったり、道具をそろえたりするのが億劫といった理由からか、野球やサッカーを実施する割合は男性で約4%に止まっており、団体競技ではなく個人で気軽に体を動かせるスポーツへの移行が高まっています。(※1)

そのようななか、おすすめしたいのが「テニス」。サッカーや野球などは、部活に入っていた人や小さい頃からやっている人じゃないと入りづらい雰囲気があると思いますが、テニスは社会人から始める人も多く、最低2人いれば楽しめるというハードルの低さもメリットに繋がっています。

また、男女差や年齢差が野球やサッカーと比べ少なく、スクールや社会人サークル、ミックスダブルスのペアなどもあり、さまざまな人と新たに出会えたり、家族とのコミュニケーションにも最適な場所となっています。

加えて、テニスコートは全国で6,454施設(※2)、そのなかでインドアコートも520施設(※2)あり、天候に左右されないで行えることも魅力の1つと言えます。

※2 平成29年度 テニス環境等実態調査 報告書

ラケットやシューズを購入することにハードルを感じている方は、まずレンタルを実施しているコートを選んで行ってみることもおすすめ。

レンタルであれば、ラケットやシューズも500円程度なので、ウェアだけを持参すれば、仕事帰りにも気軽に利用しやすいです。

また、プレー後に汗を流すためのシャワールームやロッカールームを完備しているコートなら、通勤の途中でも通いやすく、ビジネスパーソンにとっては重宝します。

テニスは個人競技ですが、テニススクールなどで気の合う仲間を作ることも可能です。チームスポーツに比べ対戦相手との接触が少なく、密になりづらいという点も現代社会においては重要。

ニューノーマル時代に新しく始めるスポーツとして、テニスは最適と言えます。

トレーナー武井 敦彦氏に聞く、他競技からテニスを始めるメリットとは?

トレーナー武井 敦彦氏

ここからは、国内外のプロ野球チームでトレーナーとして活躍後、現在Passion Sports Training代表として、テニスや野球、ビーチサッカー日本代表を中心に、プロからジュニアアスリートまで幅広くパーソナルトレーニングを中心に行う武井敦彦氏に「テニスの運動面でのメリット」「他競技からスイッチして始める際の体の動かし方の共通点」などについて、お話を聞きました。

――サッカーや野球といった別競技からテニスを始めるのは難しいのでしょうか?

テニスはスクールでのレッスンが充実しており、「初心者」「初級者」「中級者」「上級者」コースとレベル分けが細分化されています。自身のレベルに合わせてできるので、他競技を行っていた方も比較的に始めるハードルは低いと感じています。

――テニススクールではどのようなレッスンから始めていくのですか?

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まずテニススクールの初心者コースに入ると、必ずコーチが打ちやすい場所にボールを出してくれます。生徒さんは、動かなくてもボールを打てますので、まずはボールを打つ感覚を掴みテニスの楽しさを体感することが多いです。それが上達していくと相手とのラリーを想定し、前後左右のステップなど、足を使用した練習を行っていきます。

テニスは、全身を使わないとボールが上手くヒットできません。プレーを続けていくことで、バランスよく筋肉を使うことになり全身を鍛えられます。

――野球やサッカーをしてきた方は、その経験や体をテニスでどう活かせますか?

サッカーは連続して動く競技で、アジリティ能力(前後左右の4方向に自在に方向転換出来る能力)が求められます。テニスでもラリーをするときに、前後左右に動くので、サッカーの経験者は、その能力が活かされますね。

実際、海外の有名な選手達もアップ時にサッカーバレー(サッカーにバレーボールの要素を加えたトレーニング)を取り入れ、アジリティ能力を鍛えています。

そしてテニスでは、サーブやボールを力強く打ち返すときに下半身がとても重要で、野球経験者は走り込みをしていたという人が多いと思いますので、その鍛えてきた下半身が活かされます。

あと、やはりボールを当ててコントロールするという感覚が良いので、テニスのスイングの習得や上達スピードが早い方が多いです。

――社会人になり、仕事やプライベートが多忙でストレスを抱えている方も多いと感じています。テニスをすることでストレス解消に繋がりますか?

まず自律神経は、交感神経(日常の活動中やストレス時の神経)と、副交感神経(睡眠中やリラックスをしているときの神経)が相反して活動をしています。

テニスは「仲間でワイワイできる」、そして「ボールを打ち返すことによる爽快感」「ラリーが続くと心地良い」など、気持ち良いと感じることが多く、副交感神経が有利になる要素が詰まっています。

加えて、テニスクラブにはレストランなどが併設されているところもあり、そこで交流を深める方たちも多くいて、プレー後に仲間たちと会話を楽しめることもストレス解消になっていると感じます。

――30代を過ぎてくると体重が中々落ちず、運動して痩せたい人もいると思います。テニスは痩せやすいスポーツなのでしょうか?

以前は健康のために活発な運動(例:ジョギングなど)を、少なくとも週3回、1回の運動につき20分以上が必要だと言われていました。

しかし、現在では運動時間の合計が少なくとも30分以上で、それを毎日行うのが望ましいと言われており、テニスはその理論に適しているスポーツです。

テニスコートをレンタルすると大体1時間単位になっていて、ラリーなどが終わったタイミングなどで、適度に休憩を取りながらできるので、自然と30分以上体を動かします。

ジョギングなどもインターバルを取りながら、30分以上無理なく運動できますが、1人だとどうしても心が折れてしまいがちです。

テニスは、仲間やテニススクールの生徒さんと一緒に汗を流せるので、楽しみながらできます。だからこそ、1度テニスを始めると継続する人が多いんです。

またある調査(※3)によると、年齢が23~69歳のテニスプレイヤーたちが、週2回10年間プレーをした結果、体脂肪率の平均値がテニスをしたグループは20.4%、それに対ししなかったグループは23.9%という結果が出ています。テニスは、継続して運動できるので、健康的になるための一助になっていると思いますね。

※3 Pluim, B. M., Staal, J. B., Marks, B. L., Miller, S., & Miley, D. (2011). Health benefits of tennis. British Journal of Sports Medicine, 41, 760-768.

――テニスクラブでは新型コロナウイルスの感染防止対策を行っていますか?

私がアドバイザーをしているテニススクールでは、ウォーミングアップ時にも間隔をあけています。そして、レッスンでコーチの球出しのときにも、生徒の間隔を2m空けるラインを設定し、密にならないようにしています。

また、少し息苦しくなると思いますが、マスクの着用もお願いしています。密にならないことを心掛けていますので、周囲の人からも新しく始めるスポーツとして理解されやすいと思います。

――サッカーや野球と比較してけがのリスクはありますか?

サッカーや野球と比べると、けがの種類が違います。テニスは「非コンタクトスポーツ(相手選手と直接接触しない競技)」で、サッカーや野球は「コンタクトスポーツ(相手選手と直接接触する競技)」になります。

コンタクトスポーツだと自分自身が予想できない動きの連続です。例えば、サッカーでは相手がどのようにボールを奪うためにタックルをしてくるのか。そして野球では、走塁時や守備でも捕球をするときには、選手同士の接触の可能性もあります。コンタクトスポーツは、相手が関わることなので、捻挫や骨折などのけがをするリスクがあります。

一方テニスは、非コンタクトスポーツ。ラケットを振る競技なので、肩痛、ひじ痛、手首などを痛める可能性がありますが、これらはストレッチなどである程度予防ができます。

またテニスは、前後左右動くため捻挫のリスクがありますが、ラリーや試合時にも相手のボールをある程度予測しながらプレーできるので、大きなけがに繋がることは低いです。

――けがの予防のためにも運動前後のストレッチは大切ですね。

トレーナー武井 敦彦氏

そうですね。ストレッチは、筋肉と腱を伸ばすものです。筋肉が固いと関節の動きが悪くなり、サーブ時にも肩が回しづらくなります。ただ人間は賢いので、肩が動かないと違う部分を使ってしまいます。

本来、テニスでは肩甲骨周りの筋肉を使いますが、それができないと首回りの筋肉で代償し、そのあたりが張ってきてしまいます。最終的には、けがのリスクが高くなってしまいますので、ストレッチはとても重要です。

肩甲骨や胸周りのストレッチ、また重心を落とすので下半身の柔軟性はマストです。

――テニスをする方に向けておすすめのストレッチを教えください。

ストレッチをサポートする武井 敦彦氏

私がおすすめしたいのは「ダイナミックストレッチ」です。テニスは、ストレッチショートニングサイクル(筋腱複合体を伸ばしてから縮めるような運動。例: ジャンプ、ダッシュ、切り返し動作など)が必要とされているスポーツなので、体を動かしながら、ダイナミックに伸ばしていくことが大事です。

1つ目は、腿裏やふくらはぎを伸ばすストレッチ。クラウチングスタートの体制をとり、その場で体を上下に動かします。

そして2つ目は、肩甲骨や胸周りのストレッチ。下半身の重心を落とし、両腕をくっつけ、体の正面に持ってきます。その状態をキープし、両腕を頭のところに来るまで上げます。両腕が上がらないところまできたら両腕を離し、肩甲骨を意識しながら腕を後ろに回します。

この2つのストレッチは、実際にテニスのプレーに入ってから使う筋肉を伸ばします。あらかじめ動かしておくことで、けがの予防に繋がります。

――30代以降の方がテニスを始めるのに、気を付けたほうが良いことはありますか?

普段から運動している方なら良いのですが、学生時代以降運動から離れてしまっている方は、注意が必要です。テニスは意外と激しいスポーツなので、最初から無理をしてしまうとけがのリスクもありますし、体にも負担がかかってしまいます。

また最近では、新型コロナウイルスの感染予防のため、マスク着用でプレーをしているところもあります。まずは、無理をしないというのが大切ですね。仲間同士でやるときは、テニスの経験者にリードしてもらうと良いでしょう。

――テニスにのめり込める要素を教えてください。

テクニックやフォームなどに「こだわり」を持ってプレーすると、とても面白くなります。

ある程度上達してきたら、ただボールを打ち返すだけではなく、スタンスの位置やグリップの持ち方を変えると、ボールの軌道やスピードの変化など、様々なボールを打てるようになり、実戦形式の練習などを行うと楽しさをより理解できると思います。

また、テニスはラケットやシューズなどもたくさんの種類があるので、自身に合うものを選んでいくこともおすすめです。

加えて、ウェア選びも「のめり込み要素」になります。テニスショップに行けば、カラフルなウェアも多く取りそろえてありますので、見ているだけで楽しめますね。

近年では、プレーのときだけではなく普段使いとしてもテニスウェアは注目されています。やはりスポーツ用なので、肩回りが動きやすい仕様になっていて、ストレスなく日常でも着られます。

デザインも良いので、オンオフで気兼ねなく使えるところも良いですね。

<プロフィール>

武井敦彦(たけい・あつひこ)

1980年9月21日生まれ。高校卒業後、渡米。2006年よりMLBのアスレティックトレーナーとして数々の選手をサポートし、07年にはパイオニアリーグベストトレーナー賞を受賞。09年からのフリー活動を経て、11年に横浜DeNAベイスターズのアスレティックトレーナーに就任。13年、Passion Sports Trainingを立ち上げ代表に就任。現在テニス、野球、ビーチサッカーを中心に、プロからジュニアアスリートのパーソナルトレーニングや各種スポーツ医科学セミナー講師などを行う。博士課程在籍。

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