テニスのサーブを上手く打つには? 初心者向け上達のコツを解説

テニスのサーブをうまく打つには?初心者向け上達のコツを解説

  • 2023/03/09 (木)
  • 2024/03/13 (水)

テニス初心者にとって、サーブをうまくサービスコートに入れるのはなかなか難しいもの。しかし、打ち方のコツさえつかめば必ず上達できます。ただ闇雲に練習するのではなく、コツをしっかり押さえて練習することが大事です。

そこで今回、テニススクールでコーチを務める衛藤佑樹さんに、サーブの打ち方のポイントを教えていただきました。

グリップの握り方やトスの上げ方、ボールを打つ位置やスイング時の注意点まで、サーブの基本を徹底解説。テニスを始めたばかりの人はもちろん、サーブに苦手意識を持っている人も必見です。

 

<プロフィール>ボンズテニスアカデミー
衛藤佑樹さん
コーチ歴18年のベテラン。千葉県千葉市にあるテニススクール「ボンズテニスアカデミー」のヘッドコーチを務める。スクールでは、初心者から上級者までの個人レッスンを担当し、テニスを楽しんでもらうために一人ひとりとしっかり向き合い、その人に合った指導を行っている。また、全日本ベテラン選手権大会35歳、40歳ダブルスベスト4、千葉県テニストーナメント一般ダブルス優勝など、数々の大会で実績を残す。

https://www.bonds-tennis.com/

衛藤佑樹さんの紹介画像

サーブの種類と打ち方

初めに、基本的なサーブの種類について紹介します。

テニスのサーブは大きく分けると、フラットサーブ・スライスサーブ・スピンサーブの3種類があります。そのなかでも、まず覚えるべきはフラットサーブとスライスサーブです。

フラットサーブ

ボールの回転が少ないサーブで、直線的に飛んでいくのが特徴です。ボールコントロールが難しいサーブですが、その分スピードのある力強いショットになります。

「フラットサーブは、ボールに対してラケットを正面から当てます。精度が高くないとミスしやすいサーブですが、スピードとパワーはサーブのなかでも一番。ファーストサーブに用いることが多いサーブです。」(衛藤さん)

フラットサーブについて解説する様子

スライスサーブ

ボールに横回転が加わったサーブで、右手で打つと左に曲がり、左手で打つと右に曲がるのが特徴です。フラットサーブと比べてスピードは落ちますが、ミスが少ない安定したショットを打つことができます。

「スライスサーブは、ボールに対してラケットをやや斜めに当て、ボールの端を擦るように打つサーブです。精度によっては相手を翻弄でき、またボールをコントロールしやすいのでセカンドサーブにも向いています。」(衛藤さん)

スライスサーブについて解説する様子

スピンサーブは、スライスサーブとは反対方向に曲がるサーブですが、非常に難しいため上級者向けのサーブになります。

また、スライスサーブとスピンサーブには、回転方向を微妙に変えることでトップスライス、キックサーブと打ち分けることができます。

今回は、まず身に付けておきたい「フラットサーブ」の打ち方をメインに紹介します。このサーブが打てるようになれば、テニスがもっと楽しくなるはず!

まずはウォーミングアップから

サーブの練習を始める前に、まずはウォーミングアップからスタート。特に肩甲骨まわりを動かし、筋肉をほぐすことが大事です。

うまくサーブを打つためにも、ケガ予防のためにもしっかりウォーミングアップしましょう。

肩甲骨のストレッチ

肩甲骨のストレッチをする様子

肩甲骨のストレッチは、両腕の肘を曲げて、左右の小指と肘をつけた状態で行います。この姿勢のまま、腕を上下に数回動かすことで、肩甲骨まわりの筋肉がほぐれます。

「肩甲骨の動きを意識しながら、肩甲骨を寄せるイメージで行ってください。」(衛藤さん)

キャッチボール

テニスのウォーミングアップとして、キャッチボールも一般的です。準備運動なしでサーブやスマッシュなどを打つと肩を痛めやすいので、肩まわりの動きを確認しながらゆっくりキャッチボールをするのがおすすめです。

テニスのキャッチボールの様子

「キャッチボールは特にサーブを打つ前、ラケットを上から振る練習の前にぜひやってほしいですね。実はサーブを打つ動作と、ボールを投げる動作は同じです。

右手でサーブを打つ場合、打つ前は右肩が後ろ、左肩が前。打ち終わると左肩が後ろ、右肩が前になります。この肩の入れ替えがボールを投げる動作と同じなので、ウォーミングアップとして最適です。

体が温まってきたら、サーブを打つフォームでキャッチボール。サーブの動きでボールを投げるのがおすすめです。また、右手と左手どちらも行うことでウォーミングアップ効果が高まります。」(衛藤さん)

サーブを打つフォームでのキャッチボールの様子

サーブを打つときの立ち位置

ダブルスとシングルスでは、コートの広さが異なります。シングルスではコート内側のサイドラインが使用され、ダブルスの場合はコート外側のサイドラインが使用されます。

ただし、サーブが有効となるサービスコートの広さはシングルスと同じです。

「ダブルスでは端に立つことが多いのですが、今回はシングルスなので立ち位置は中央寄りになります。センターマークの1歩内側です。」(衛藤さん)

立ち位置とセンターマークの様子

このセンターマークは、コート外にも線が伸びていると想定してください。線はありませんが、このラインを踏んでサーブしてしまうとフォルト(サーブの失敗)になります。

もちろんベースライン(コート後方の枠線)を踏んでもフォルトです。ベースラインはサーブを打つ瞬間も踏んではいけないので注意してください。

ラケットの握り方(グリップ)

サーブを打つ際のラケットの握り方は、コンチネンタルグリップ(包丁握り)がおすすめだと衛藤さんは話します。

コンチネンタルグリップは、ラケットを地面に対し垂直に立てて持ち、包丁を握るようなイメージでグリップを握ります。握手をするように握る、とも表現されます。

テニスラケットの握り方の様子

「このコンチネンタルグリップがサーブでは一般的です。ストロークでは別の握り方になりますが、慣れてくると打ち方に合わせて無意識に握り方を変えられるようになります。

また、コンチネンタルグリップでのサーブは手の返しを使って打つのですが、この返しのタイミングがズレるとボールはうまく飛びません。返しに慣れていない初心者の方は、ラケットの面が正面を向かないので最初は打ちにくいと感じると思います。

その場合はラケットの面を少し内側に倒して握る(=厚く握る)ように伝えていますが、そうするとスライスサーブやスピンサーブが打ちにくくなります。今後、さまざまなサーブを打てるようになるためにも、コンチネンタルグリップでのサーブ練習がおすすめです。」(衛藤さん)

テニスラケットの握り方を指導する様子

サーブはトスの上げ方が重要

ほかの打ち方とは異なり、サーブには「トスを上げる」という動作が加わります。トスがあることで途端に難しくなり、サーブに苦手意識を持ってしまう人が多いそうです。

しかし、サーブをうまく打つためには、「トスを上手に上げることが重要」と衛藤さん。そんなトスの上げ方のコツとは?

「まずボールの握り方ですが、ギュッと握るのではなく、手の平にくぼみを作って、そこにボールを乗せるだけ。生たまごを潰さないように優しく持ちます。

そして投げるのではなく、肩の高さでボールを上に離してあげるイメージです。力を入れず、手の平のくぼみをパッと開く感覚でトスを上げると、ボールは自然とふんわり上がります。

また、ボールにはなるべく回転をかけないように、そっと上げたほうが打ちやすいですね。1回転くらいにとどめたいところですが、これが意外と難しい。でも、説明したトスの上げ方なら、あまり回転はかからないと思いますよ。」(衛藤さん)

トスを練習する様子

打ちやすいところにトスを上げる

では、トスはどこを狙って上げれば良いのでしょうか。

「トスは自分が打ちたいところに上げます。狙ったところに上がらなかったら上げ直します。プロの試合では時間制限がありますが、一般的には何回トスを上げ直してもルール上は問題ありません。

トスが狙ったところからズレているのに、そのまま打ってしまうとサーブミスになりやすいので要注意。特に初級の方はトスに合わせてスイングを持っていく方が多いのですが、そうではなく、自分の打ちたいところにトスを上げることが大事です。

まずはボールなしでスイングして打ちたい場所を決め、そこにトスを上げるとサーブが断然打ちやすくなります。狙ったところにトスが上がらなかったら、もう1回やり直せば良いだけです。」(衛藤さん)

12〜1時の位置に顔の少し前を狙って上げる

スイングの指導をする様子

とはいえ、打ちたいところと言われてもピンと来ない人もいるのではないでしょうか。具体的にどこを狙ってトスを上げると良いのでしょうか?

「サーブの種類にもよりますが、一番打ちやすいのは1時の位置です。フラットサーブは12時の位置、スライスサーブは1時、人によっては2時くらいの位置が目安です。スピンサーブになると反対に11時くらいの位置で打ちます。

その位置に向かって、顔の少し前を狙ってトスを上げます。ベースラインの少し前に落ちるくらいが目安です。ジュニアのレッスンでは、フラフープを置いて、この中に落ちるようにトスを上げる練習を行います。

ちなみにトッププロはかなりジャンプして打つので、2mくらい前方にトスを上げるのですが、これを真似すると背中が折れて前傾になりうまくサーブが打てません。」(衛藤さん)

サーブを打つ姿勢はトロフィーポーズ

トロフィーポーズの様子

サーブをうまく打つためにはフォームも大事。テニスでは、トスを上げてからスイング開始までの姿勢は「トロフィーポーズ」と呼ばれます。

これはトロフィーの上部の像がよく取っているポーズに由来します。右手で打つ場合、左腕を斜め上方向に伸ばし、右腕は肘を曲げて、弓を引いているような姿勢です。

このトロフィーポーズを身に付けることでサーブが安定し、力強いサーブを打てるようになります。

「トロフィーポーズの注意点は、(右手で打つ場合)右肘が下がらないようにすることです。右肘が下がっていると、肘を上げて打つというワンモーションが増えてしまいます。

余計なモーションが増えるとボールを当てにくくなるので、なるべく左右の肩のラインを真っ直ぐに。肘を下げる場合も、肘だけが下がらないように肩のラインは真っ直ぐにキープします。

また、手首の形も固定して、サーブを打つまで変えないようにしてほしいですね。サーブを打つときに手首が後ろに寝てしまう(手の甲側に折れる)方が多く、ただボールを打ち上げるだけのサーブ、いわゆる羽子板サーブになってしまいます。」(衛藤さん)

スイングを練習する様子

押さえておきたいスイングのコツ

サーブの打ち方(スイング)のコツは、「ボールが当たったくらいから加速するようなイメージ」と話す衛藤さん。力強いサーブを打つことを意識して、スイング動作全体に力が入っている人が多いそうです。

「トスを上げて、ボールが狙ったポイントに落ちてくるまで、力まず楽にラケットを持ってきて、ボールが当たるくらいから加速。当たった後の振りが一番速くなるようなイメージで打つのがコツです。

ラケットにボールが当たる前より、ボールが当たってからの振りを速くすることで、ピュンと伸びるサーブになります。」(衛藤さん)

スイングは最後まで振り抜く

スイングのお手本の様子

初心者の場合、サービスコートにサーブを入れたいという思いから、怖くて最後まで振り抜けない人も多いとのこと。途中で止めてしまうと手打ちになり、ボールは緩くポーンと上がるだけなので、スイングは最後までしっかり振り抜くことがとても重要です。

「スイングはフィニッシュが大事。レッスンでは、必ずグリップエンドが見えるところまで振るように伝えています。しっかり振り抜くことができればグリップエンド(ラケットの持ち手の先端部分)が見えるので、これを目安にスイングの練習をしてください。

また、スイングした後にラケットが足に当たる方も非常に多いのですが、これは体の回転が足りないことが原因です。ウォーミングアップのときに話しましたが、右肩と左肩が入れ替わっていないと最後まで振り抜くことはできないので、フォームを意識して練習すると良いでしょう。」(衛藤さん)

サーブは1・2・3のリズムで打つ

トスを上げてボールを打つまでの一連の動きをタイミング良く行うために、ぜひ取り入れたいのが1・2・3のリズムです。サーブは、1でトスを上げて、2でしゃがみ、ジャンプして3で打つのがおすすめです。

サーブのお手本の様子

「まずはウォーミングアップとして、1・2のリズムから。足を使わず、1でトスを上げて、2で打つ練習を繰り返して、タイミングをつかんでいきます。

次のステップとして、1・2・3のリズムで、ためて・蹴って・打つ。サーブの威力を上げたいときは足を使うのですが、初心者の方は1・2で打つことから始めても良いと思います。」(衛藤さん)

ボールの当て感を向上させる

サーブの指導をする様子

サーブの打ち方のコツを頭では理解していても、実際にボールをうまく打つのは難しいもの。この「当て感」を向上させるにはどうすれば良いのでしょうか?

「テニスはサーブに限らず、ラケットの面を真っ直ぐボールに当てることがとても大事です。球技経験のない方などは、最初からラケットを振りかぶってスイングしてもなかなか当たらないので、段階を踏んで練習します。

例えばサーブが曲がってしまう場合は、ラケットの面が真っ直ぐボールに当たっていません。そこで、まずネット前に立って、ラケットの面を真っ直ぐネットに当てる練習を行います。

そしてラケットを担ぐような体勢から、ボールを当てるところからスタート。ここからスイングを振り抜くまで、徐々に動きを加えていくことで当て感をつかむことができます。」(衛藤さん)

サーブがうまく打てているかチェック

サーブ練習の様子

サーブがうまく打てるようになっているかは、どのようにチェックすれば良いのでしょうか?

「狙ったところに、ある程度狙ったスピードで飛んでいるかを確認してみてください。狙い通りならサーブがうまく打てていることになります。

最初は打ったボールを見る余裕がないかもしれませんが、そのうち打った後にピタッと止まれるようになるので、その頃にはボールがどこに飛んだか確認できるはずです。

イメージをすることは結構大事で、サーブを打つ前にどこにどういうスピードで狙うのか、しっかり意識してほしいですね。狙ったところに飛んでいない場合は、ラケットの向きや姿勢など、スイングとイメージが連動していないので、そこを改善していきます。」(衛藤さん)

サーブがうまく打てるとテニスがもっと楽しくなる!

ここまでサーブの基本的な打ち方を紹介してきました。衛藤さんの解説により、それぞれのポイントも分かったのではないでしょうか。

今回紹介したなかでも、トスは打ちたいところに上げること、ボールはラケットの正面に当てること、スイングは最後までしっかり振り抜くことが特に重要です。

このようなコツを意識しながら練習することで、サーブは必ず上達します。狙い通りにサーブを打てるようになれば、テニスがもっと楽しくなるはずですよ。

 

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