【インタビュー】スキーヤー片岡嵩弥選手にとってのアルペンスキーと技術選

【インタビュー】スキーヤー片岡嵩弥選手にとってのアルペンスキーと技術選

  • 2020/12/22 (火)
  • 2023/07/10 (月)

北海道・朝里川温泉スキー場をベースに活動する片岡嵩弥選手は、今年社会人になったばかりの若手スキーヤーのホープ。2019年には学連選抜から出場した全日本スキー技術選手権大会で、スーパーファイナルの上位30人に食い込みました。得意種目とその強さの秘訣、今後の目標を伺いました。

(ライター|デサント編集部、カメラマン|矢田部裕・村本万太郎)
※インタビューは2020年3月2日に実施しました。

デサント スキー 片岡嵩弥選手

——昨今の活躍の要因を教えてください。

順位が上がるにつれて、デサントでいえば武田竜さんとか須川尚樹さんとか、上位の選手と滑らせてもらえる機会が増えたというのがまず一つ。

毎年大会をこなしていくごとに順位が上がっていっているので、それが自信につながっていることもリザルトが良くなっている要因かなと思っています。

——昨年までは大学生だったんですよね。

そうですね。去年までは北海道大学のアルペンスキー部に所属していました。

デサント スキー 片岡嵩弥選手

片岡選手ご本人からいただいた学生時代のスキー部の仲間たちとの写真。片岡選手は左から2番目。

——アルペンスキー部に所属していながら基礎の大会に出られていたのですね。

もともと、出身の北海道で盛んなジュニア技術選に高校生の頃から出場していました。大学に入るまではアルペン経験はなかったんですが、今技術選で活躍している選手のほとんどがアルペンレーサー上がりなので、ポールを滑る技術も自分の力にしたくて、大学ではアルペンスキー部に所属して基礎とアルペンの両方を練習していました。

——基礎の世界からアルペンの世界を経験してみて、どんなことを思いましたか?

基礎だけだと、自分の曲がりたいように曲がれるので自由に楽に滑れるんです。でもアルペンは、絶対にそこでターンをしなきゃいけないし、決められたコースを誰よりも早く滑らなくてはいけないので、今まで自由に滑っていた分、ポールで規制されたコースをクリアしていくというのが難しかったですね。

——アルペンを経験して、より基礎の技術が上がったということですね。

そうですね。基礎もレースのテクニックが基本だとよく言われるのですが、本当にその通りだなと。アルペンでも速い選手はシルエットもきれいですし、滑りもすごくかっこよくて。そういう意味ではアルペンは技術選にそのままつながるところだなと思います。

——スキーを始めたきっかけは何ですか?

両親がスキーの指導員で、自分も気付いたらスキーをしていました。大会に初めて出たのは小学生のときのジュニア技術選でしたが、小中はレジャースキーという感じで。初めてちゃんと練習と準備をして大会に出たのは高校生のときですね。

デサント スキー 片岡嵩弥選手

片岡選手ご本人からいただいた高校時代のジュニア技術選のお写真。

技術選のほうは、大学1年生の19歳のときに初出場してから、今年も大会があれば5回目でした。

——得意種目と、その強さの秘訣を教えてください。

不整地小回りですね。好きで、滑っていても楽しい種目です。スプリングシーズンの練習で、たくさんコブを滑っていたらほかの種目より滑れるようになっていましたね(笑)。

デサント スキー

デサント スキー

(撮影ディレクターの指示に応えて)得意のコブで迫力のある滑りをする片岡選手。

——逆に課題としていることはありますか?

デサント スキー

(撮影ディレクターの指示に応えて)雪煙を上げながらのワンターンを披露する片岡選手。

レーシングの速く滑るためのテクニックが自分には圧倒的に足りなくて。整地種目、急斜面の大回りだとか小回りの、スキーの動きに関わってくるところで、トップ選手と自分の動きを比べるとそこが足りていないなと。点数の差がそこには出るんで、自分にはないレースのテクニックをこれから身に付けていきたいです。

フリースキーだけしていると、減速しない・加速させていくためのスキーの動かし方という感覚は薄れていってしまうので。きれいにターンするのは僕もできていると思うんですけど、それが技術選で評価される滑りかというとそうではないんですよね。

——好きなスキー場やバーンがあれば教えてください。

小さい頃から滑っている思い出のあるスキー場は、今活動のベースにしている、北海道の小樽市にある朝里川温泉スキー場ですね。

そこの「グリーンコース」という斜面に、毎年大きくて不規則なコブができるんです。その斜面に僕のコブの技術を育ててもらったっていうのと、あとは朝里のメインバーン「レッドコース」。1枚のきれいな整地斜面で、そこでたくさん滑っているので、その2つが僕のなかでは思い入れのある好きな斜面です。

デサント スキー

コブ斜面グリーンコース。

デサント スキー

メインバーンのレッドコース。

——憧れのスキーヤーはいますか?

選手ではないのですが、山木匡浩(やまきただひろ)さん、ヤマキックスさん。もともと技術選にも出ていたんですが、今はバックカントリーの世界で海外の山々を滑っている人です。

スキーのジャンルは違うけど、僕のこともすごく気にかけてくれたりして。すごく優しくて気さくな方で、スキーヤーとしてそういう雰囲気を持ちたいなあと、尊敬しています。自分の世界は持っているんですがそこに周りの人を引き込んでいくような。すごく吸い込まれそうな人です(笑)。

——今後の目標を教えてください。

デサント スキー

去年スーパーファイナルの上位30人に残ることができたので、次はトップ10・シングルランクをまずは目指していきたいのと、コブでトップを取りたいというのが現状の目標です。

——もし今年も全日本が開催されていたら、何位を目標にしていたのですか?

トップ15ですね。今年種目の設定が変わって、男子のなかでは30人の選抜の後、さらに最終種目が上位15人までだったということなので。

——これからのスキー界を担う、学生スキーヤーへ一言お願いします。

デサント スキー 片岡嵩弥選手

社会人になると、スキーをする環境を作るのが難しいと思いますが、スキーを頑張った経験があるなら、これからも山に行くのをやめないでほしいですね。どう続けるかは難しいと思うのですが、年に1回でも2回でもスキー場で、仲間と「久しぶり!」って会えたら良いと思います。

——片岡嵩弥選手ありがとうございました。これからも頑張ってください!

<プロフィール>

デサント スキー 片岡嵩弥選手

片岡嵩弥
朝里スキースクール所属
1996年12月24日生まれ

北海道小樽市出身。両親の影響で幼少からスキーに親しみ、高校からジュニア技術選に出場。その後、北海道大学に進学し同大学の競技スキー部に所属。技術選と並行しながらアルペンスキーにも取り組む。卒業後は小樽・朝里川温泉スキー場をベースにレッスンや学生・ジュニアのコーチング活動を行いながら技術選に出場中。

関連記事
スキーヤー金子あゆみ選手・春原優衣選手インタビュー「結局は自分らしく、納得できる滑り。」前編

基礎スキーで最も大きな大会である全日本スキー技術選手権大会で、20代前半から活躍してきた、金子あゆみ選手と春原優衣選手にインタビュー。前後編にわたってお届けします。前編では、第57回の技術選が中止になってしまった今の率直な気持ちや、技術選の今[…]

関連記事
スキーヤー丸山貴雄選手・武田竜選手インタビュー 「今は竜がテクニカルリーダー。」前編

全日本スキー技術選手権大会(通称:技術選)で過去5回優勝を経験しているレジェンド丸山貴雄選手と、2019年にチャンピオンに躍り出た武田竜選手に前編後編にわたってインタビュー。前編となる今回は、第57回の技術選が中止になってしまった今の率直な気[…]

アイキャッチ デサント スキーヤー丸山貴雄選手・武田竜選手

関連記事
驚きの機能満載!デサントのスキーウェアを選手とデザイナーが語る

デサントのスキーウェアは、極限まで無駄をそぎ落とし、機能を追求してデザインされています。デザインやカッティングの方法にもこだわり、滑走中のシルエットを引き立ててくれます。そんな国内外のスキーヤーたちに愛されるウェアの秘密を、デザイナーの近[…]

WRITER
この記事を書いた人
ABOUT ULLR MAG.
ULLR MAG.(ウルマグ)とは?

ULLR MAG.(ウルマグ)は、「カラダから心をデザインする、ライフスタイルマガジン」です。
身体を動かすと気分が良い、夢中になれる趣味やスポーツがある、おしゃれをすると心が弾む。
暮らしの中で大切にしたい瞬間は誰にでもあります。

私たちはそんな日々のちょっとした喜びを、
一人でも多くの人へ届けたいと考えています。