驚きの機能満載!デサントのスキーウェアを選手とデザイナーが語る

  • 2020/11/20 (金)
  • 2023/07/19 (水)

デサントのスキーウェアは、極限まで無駄をそぎ落とし、機能を追求してデザインされています。デザインやカッティングの方法にもこだわり、滑走中のシルエットを引き立ててくれます。

そんな国内外のスキーヤーたちに愛されるウェアの秘密を、デザイナーの近藤敏雄氏と、デサントのトップスキーヤー、武田竜選手・丸山貴雄選手・湯浅直樹選手・大越龍之介選手に伺いました。

「軽くて動きやすい。」パフォーマンスを最大化するための型紙技術

――デサントのスキーウェアに施されている「S.I.O.」とは何ですか?

近藤:デサント独自の型紙技術のことで、長年かけて培われた競技スキーのウェア(ワンピース)開発のノウハウがベースとなっています。最少限のパーツで立体を作る。それにより、風の抵抗を減らし、パフォーマンスの最大化を目的としています。

インタビューに応えるデザイナーの近藤氏

通常のデザインやカッティングは平面上で行われますが、「S.I.O.」は体に1枚の生地を当てて行います。

そのため、身頃と袖が一体となり最小限のパーツで構成し軽量化を実現。加えて、縫い目もかなり少なくなっています。

基本的に縫い目というのは、テンションがかかりストレッチ性がなくなってしまうのですが、「S.I.O.」はそもそも縫い目が少ないですし、縫い目があるところも摩擦の多いところは避けているため、一度着てみるとストレスのなさや動きやすさを実感してもらえると思います。

さらに、デザインやカッティングの際にモデルとなる人には競技姿勢を取ってもらうので、パターン自体が運動中の体の自然な動きに合わせて作られていて、滑走中の動きを制限しません。

近藤氏

――デザイナーである近藤さんが作るウェアのデザインのこだわりを教えてください。

近藤:Less is moreという考え方を大切にしています。というのも、デサントの開発は機能性の追求によって形作られていて、それは、最小の設計で最大の機能を生むことを目的とし、「デサントデザイン」の本質です。

――近藤さんありがとうございました!

デザインを話す近藤氏

デサント契約スキーヤーたちが求める、ウェアの機能性やデザインとは?

――みなさんがスキーウェアに求めるものは何でしょうか?

インタビューに応える武田竜選手

武田竜選手(基礎スキーヤー) SAJ令和2承認第00024号

武田:滑走中は体を全体的に動かすので、ストレッチ性はすごく求めています。

丸山:動きやすくストレスのないもの、パフォーマンスをしやすいものであってほしいです。さらに、(基礎スキーで重要な)滑りのシルエットは、自分が思い描く動きにプラスでウェアが引き立ててくれる部分があります。滑りを引き立ててくれるウェアというのも大切です。

――スキーウェアの保温性は重要視していますか?

インタビューに応える丸山貴雄選手

丸山貴雄選手(基礎スキーヤー) SAJ令和2承認第00025号

丸山:レッスンのときはずっと滑っているので大丈夫ですが、大会で「この1本を集中して滑らなくてはいけない。けれども、スタート前に長い待ち時間がある」というときに、体を冷やさないという点で保温性は大事ですね。

湯浅:基本的に寒いところで行われるスポーツですので、保温性が足りず体が冷えてしまうと、パフォーマンスの低下に直結してしまうので、十分な保温性はウェアにおいて一番大切だと思っています。

――着用ウェアにヒートナビという保温機能が付いていますが、実際の体感はいかがでしょうか?

丸山:寒さ対策はウェアの下に着るもので調節もしていますが、 ヒートナビのおかげで中わたはもうほとんどいらないんじゃないかと思うほど、最近は寒いと感じることはあまりないですね。

ヒートナビ広告

ヒートナビ:炭素系無機物質を練り込んだ生地が、太陽光エネルギーを熱に変換する機能。

――スキーウェアのファスナーが2つある「デュアルジップアジャストメント」の使い心地はいかがでしょうか?

武田:北海道はすごく寒いので、ウェアの中にたくさん着る場合もあります。そのようなときは外側のファスナーを使えば、ウェアの中に少し空間ができるので締め付け感なく着用できます。

逆に春はウェアの中に着るものは少なくなるので、シングル(内側)のファスナーを使ってすっきりと着ることができます。季節に合わせて調節ができ、とても機能的です。

湯浅:この構造は、中に厚めのミドラーを着ていても外側のファスナーを使えば窮屈にならない!よくできているなと驚きました。

丸山:ウェアの中に着るミドラーの厚みに対しての調整に加え、外側に出てくるシルエットの調整がきくので非常に画期的だと思います。

「シングルジップを使って細身にきれいなスタイルで着たい」「外側のジップでパンツに合わせて少しゆったりと着たい」どちらの需要も満たすことができます。周りの選手仲間たちにも好評ですよ。

デュアルジップアジャストメント

――みなさんが着られているウェアにはデサント独自の型紙技術「S.I.O.」というものが施されていますが、いかがでしょうか?

インタビューに応える湯浅直樹選手

湯浅直樹選手(アルペンスキーヤー) SAJ令和2承認第00026号

湯浅:ウェアを初めて見たとき、明らかに縫い目が少ないので「これ何かあるな!?」と思いましたね。「アルペンスキーのレーシングスーツはもともと空気抵抗をいかになくすかを考えて作られていて、その技術をS.I.Oジャケットに応用した」と説明を受け、納得でした。

丸山:しっかりバランスを取るために手を横に広げるときなどに、ウェアのラインが滑りを引き立ててくれるんです。すごく大切なラインだと感じています。スッと張っているところは張っていて、よく動かすところは可動性が良い、という違い、機能性を滑っているときに感じます。

――最後にデサントスキーウェアの印象を教えてください。

インタビューに応える大越龍之介選手

大越龍之介選手(アルペンスキーヤー) SAJ令和2承認第00027号

大越:デサントのレーシングスーツとウェアは世界で戦うために必要なものなので、絶対にこれでなければいけないと思っています。

武田:デサントは世界の一流スキーヤーも着ているようなハイブランドなので、デサントのスキーウェアはクオリティが高いというイメージがあります。

丸山:長年トレーニングウェアやミドラーからウェアまでいつもデサント。いつも自分の傍らに、当たり前にあるものになっています。

<プロフィール>

デサントジャパン株式会社
デサントマーケティング部門 デサントリテール部 リテールMD課 デザインディレクター
近藤 敏雄

1994年にデサント入社。スキー部門に配属後、アスレチック部門も経験し、長年デサントスキーウェアのデザインディレクターを務め、現在はリテール商品も手掛ける。

湯浅 直樹
株式会社ヤマヲ
アルペンスキーヤー

2017年 FISワールドカップ シュラートミング(オーストリア)回転7位
2018年 全日本スキー選手権男子回転優勝

SAJ31承認第00564号

大越 龍之介
株式会社東急リゾートサービス
アルペンスキーヤー

2019年 FIS ファーイーストデサントカップ 男子回転3位
2018年 ワールドカップ ヴェンゲン(スイス)回転19位

SAJ31承認第00565号

丸山 貴雄
白馬村スキークラブ
基礎スキーヤー

2019年 全日本スキー技術選手権大会男子総合 6位
SAJナショナルデモンストレーター

SAJ31承認第00568号

武田 竜
ドラゴンワークス株式会社
基礎スキーヤー

2019年 全日本スキー技術選手権大会男子総合 1位
SAJナショナルデモンストレーター

SAJ31承認第00569号

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