ゆっくりとした動作で関節や筋肉を伸ばすストレッチには、自律神経のなかでも体や気持ちをリラックスさせる作用がある副交感神経を優位にする働きがあるため、寝る前に行うのもおすすめです。
この記事では、寝る前のストレッチで得られるメリットや効果を紹介するとともに、おすすめメニューや注意点について解説します。
寝る前のストレッチで得られるメリット・効果
まずは、寝る前にストレッチをする主なメリットや効果を見ていきましょう。
リラックスできる
通常、体を動かすと心拍数や血圧が上がり、交感神経が優位に働きます。
しかし、ゆっくりとした動作で筋肉を伸ばす「静的ストレッチ」には、心拍数や血圧を下げ、副交感神経の働きを活発にするという、通常の運動とは真逆の効果があるのです。
副交感神経が優位になると、心身ともにリラックスできるため、寝る前の運動として適しています。ストレスの解消や慢性的な肩こり・腰痛の緩和にも効果が期待できるでしょう。
静的ストレッチについては、以下の記事で詳しく説明しています。
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1日の疲れを癒せる
ストレッチには、幸せホルモンと呼ばれる脳内物質、セロトニンの分泌を促す効果があります。寝る前にストレッチを行うことで、1日の疲れを癒すことができるでしょう。
また、ストレッチによって筋肉の緊張をほぐすと血流が良くなり、筋肉にたまった疲労物質の排出を促してくれるため、スポーツや仕事、家事などによって体が重たいと感じた日の締めくくりに行うのもおすすめです。
睡眠の質が上がる
寝る前にストレッチを行い、リラックスした状態で入眠することで、安眠効果が期待できます。
心と体のバランスが整うことで、自然な眠気を促してくれるでしょう。
ダイエットにも良い
寝不足の状態でいると、食欲を高めるグレリンというホルモンが分泌されるため、食欲が増してしまいます。
ストレッチによって睡眠の質が上ればグレリンの分泌を抑えられるため、ダイエットにも良い効果が期待できるでしょう。
また、ストレッチには血行を促進して基礎代謝をアップさせる働きもあるため、女性で悩んでいる人も多い冷えやむくみにも良いとも言われています。
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寝る前におすすめのストレッチ5選
ここからは、寝る前のストレッチとしておすすめのメニューを紹介します。1日30分程度、寝る前の時間を使って特に気になる部位から重点的にほぐしてあげましょう。
全身のストレッチ
まずは、全身の筋肉をほぐせるストレッチを紹介します。全身のストレッチの手順は、以下の通りです。
- ベッドや布団に仰向けになる
- 両腕を上げて、バンザイのポーズをとる
- 両手と両足をゆっくり伸ばしながら、背伸びをする
- 背伸びをした状態で30秒キープする
- もとの仰向けの状態に戻る
背伸びをするときは、手と足の指先が上下に引っ張られるようなイメージをしながら、息を止めないように注意しましょう。
首のストレッチ
目の疲れや首のこりが気になるときは、首のストレッチをするのがおすすめです。
首のストレッチの手順は、以下の通りです。
- 頭を右手で押さえながら、首を右に傾ける
- 左手を左肩に置き、首の筋肉が引っ張り合うように軽く押さえる
- もとの姿勢に戻す
- 頭を左手で押さえながら、首を左に傾ける
- 右手を右肩に置き、首の筋肉が引っ張り合うように軽く押さえる
- もとの姿勢に戻す
- 首を1周させる
強く引っ張りすぎると痛みを感じる場合があるので、気持ち良いと感じる程度にとどめておきましょう。
股関節のストレッチ
股関節のストレッチは、骨盤の歪みを整え、姿勢を良くするなどのメリットがあります。
股関節のストレッチの手順は、以下の通りです。
- 床の上にあぐらをかいて座る
- 両足の裏を合わせ、両手で包み込むように持つ
- ゆっくり息を吐きながら、上体を前に倒す
- 背中が丸くならないところまで倒したら、その状態を数秒キープする
- 肘で太ももの内側を押して、股関節の周辺を伸ばす
- もとの状態に戻す
股関節は意識的に動かさないと硬くなりやすい部位なので、寝る前の時間を使ってほぐしてあげましょう。
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肩・腕のストレッチ
肩・腕のストレッチは、肩こりの改善にも効果が期待できます。
肩・腕のストレッチの手順は、以下の通りです。
- 腕を軽く曲げて、脇を開く
- 肘を上げて肩甲骨を寄せるようなイメージで、後ろに大きく肩を回す
- 肘を体の前まで回したら、前に向かって腕を伸ばし、返すように手を組む
- 腕を頭の上まで持ち上げて伸ばし、2〜3秒キープする
上半身のストレッチなので、寝る前にベッドに座りながら行うことも可能です。
足首のストレッチ
よく歩いた1日の締めくくりにぴったりなのが、足首のストレッチです。足の血行が良くなるので、むくみや冷え性の改善にも効果が期待できます。
足首のストレッチの手順は、以下の通りです。
- ベッドや布団に仰向けに寝る
- 鼻からゆっくりと息を吸いながら、両方の足首を手前に起こす
- 口からゆっくり息を吐きながら、両方の足首をもとの位置に戻す
- ②〜③の動きを5~6回繰り返す
こちらも横になってできるストレッチなので、寝る前のちょっとした時間を使って取り入れることができます。
寝る前のストレッチで注意したいポイント
寝る前のストレッチにはたくさんのメリットや効果がありますが、やり方を間違うと眠気が覚めてしまうことがあります。
続いては、寝る前のストレッチで気を付けたいポイントを紹介します。
やりすぎは逆効果
寝る前のストレッチは、筋肉の増強やカロリー消費をするものではなく、体をほぐしてリラックスさせることを目的としています。
激しい動きや長時間行うのは交感神経を優位にして体が覚醒してしまうため、やりすぎには注意しましょう。
呼吸は深くゆっくりと
ストレッチ初心者の場合は、関節や筋肉を伸ばした姿勢をキープする際に、体の動きに集中してしまい、一緒に呼吸まで止めてしまうことがあります。
呼吸が止まると血圧が上がりやすくなるため、常に深くゆっくりと呼吸することを意識しましょう。
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痛くなるまで伸ばさない
筋肉は、気持ち良いと感じる程度に伸ばすのがベストです。
痛みを感じるまで伸ばしてしまうと筋肉痛を引き起こす場合もあるので、無理をせずリラックスすることを重視してください。
寝る前のストレッチで睡眠の質を高めよう
寝る前にストレッチを行うことで、副交感神経が優位になり、自然な眠気を誘ってくれます。
また、ストレッチはセロトニンの分泌も促してくれるので、幸せな気分で眠りにつくことができるでしょう。
ただし、寝る前に体を動かしすぎると、心拍数や血圧が上昇し、かえって眠気が覚めてしまう可能性もあります。寝る前のストレッチはゆっくりとした動きを意識して、無理をせずに行うことを心掛けてください。
今回紹介したおすすめのストレッチメニューも参考に、生活に取り入れてみてはいかがでしょうか。