ここ数年のスニーカーシーンをけん引していたダッドスニーカー人気が落ち着きを見せ始め、シンプルなローテクスニーカーが改めて注目されています。
そこで今回は、ローテクスニーカーのなかでも王道中の王道と言えるコートタイプのスニーカーをフィーチャー。
GetNavi編集部がイチオシするフランス生まれの「le coq sportif(ルコックスポルティフ)」の名作3モデルを紹介します。
加えて、GetNavi webのスニーカー記事でおなじみのライター、本間 新氏に“ローテクスニーカーの現在”について語ってもらいました。
フランスで生まれた総合スポーツブランド
まずは、ルコックスポルティフの成り立ちから紹介していきましょう。
ブランドが誕生したのは1882年のフランス。 創業者であるエミール・カミュゼ氏によって、メリヤス衣料製造業からスタートしました。その後、20世紀初頭にはすでに名門スポーツクラブからその品質を認められ、ウェア類の提供が始まっています。
フランスのスポーツシーンにおいて、欠かせないブランドとして成長しました。
そして、ルコックスポルティフを語るうえで忘れてならないのが個性的な雄鶏のマーク。
ブランド名の「ルコック」とは雄鶏のことを意味し、鶏はフランスの国鳥でもあります。戦う鶏をシンボルにしたルコックスポルティフは、 現在も伝統に甘んじることなく革新を重ね続けています。
オリジナリティーあふれる飽くなきチャレンジは、フランスだけに限らず世界中で認められ、今も多くのアスリートやスポーツファンを魅了し続けているのです。
品の良さを感じさせる本国デザインのコートシューズ
前述したように、ルコックスポルティフはフランス生まれのブランド。その生誕の地である本国でも企画を継続して行っています。同時に日本国内向けに独自開発されるモデルもあります。
この2つはどう違うのでしょうか。マーケティング部門SP担当の宮次さんは次のように語ります。
「Made in Franceのシューズは、良い意味で日本国内企画商品と差別化ができています。フランス企画で作られるシューズは本国生産ということもあって、ブランドのアイデンディティがダイレクトに落とし込まれています。ちょっとしたところに品があったり、素材選びがうまかったり、やはり目の付け所が良い。
日本国内企画品がクオリティを落としているわけではもちろんなく、フランスと日本それぞれの軸でラインナップできるのはブランドの強みだと思っています。」(宮次さん)
フランス生産ということもあってプライスがやや上がってしまうとはいえ、本国企画という特別感はスニーカーフリークも多いGetNavi編集部としてはやはり見逃せません。
今回フィーチャーしているコートシューズもMade in France。その魅力を伺ってみました。
「フランス企画のシューズは、コートシューズのようなベーシックなデザインのものが多いですね。シンプルになればなるほど、やはりブランドらしさを感じられる洗練されたものになります。
あと、フランスブランドに誇りを持ってくれる職人とパートナーシップを結んで、1点1点丁寧に仕上げているので実際に手に取って履いてもらえることがうれしいですね。」(宮次さん)
フランス生まれのルコックスポルティフだからこそのMade in France。
長い歴史を持つブランドとしてこれまで培ってきた技術やノウハウを継承しながら生み出されるコートシューズには、他ブランドとは一線を画す品の良さがあります。
ライター本間 新氏が語るローテクスニーカーの現在
ここからは、豊富なスニーカー知識で最新のトレンドをつかむライター、本間氏に登場してもらいます。
一時代を築いたダッドスニーカーブームが落ち着いた今のローテクスニーカーの立ち位置。本間氏が考えるローテクスニーカーの魅力。そして今後の動向についても話してもらいました。
年間400本以上ものスニーカー関連記事を制作。そのほかにも、デニム、ブーツ、バッグなどのファッション系アイテムをはじめ、ゲーム、エアガン、アメ車関連など幅広い記事の執筆を行う。
まずは昨今のスニーカー情勢について。本間氏は次のように語ります。
「やはりここ2~3年くらいはダッドスニーカーの人気がすごかった。メゾンブランドからスポーツブランドまで多岐にわたってダッドスニーカーがリリースされました。ただ、その流れも昨今は落ち着きましたね。
そこから移ろい、現在はダッドスニーカーブームの流れをくみ上げたランニング系の厚底スニーカーと、まったくの真逆に位置するベーシックなローテクスニーカーの2軸に振れていっていると思います。」(本間氏)
ダッドスニーカーという全体的にボリューミーなスニーカーの流行。それに対するカウンターカルチャーとも言えるローテク系の動きは今年に入ってから巻き起こったそう。
「2020年まではダッドスニーカーに力を入れていたほかのブランドも、2021年に入ってからこぞって定番モデルに改めて注力している印象があります。この流れは絶対的にコートシューズが再注目される要因だと思っています。」(本間氏)
加えて、現在のスニーカートレンドは1つのジャンルが特出しているわけではなく、あくまでもフラットな状態。だからこそ普遍的なコートシューズが改めて注目されているのもかもしれません。
コートシューズの利点はやはりその汎用性。ベーシックなデザインは年齢を問わず、スタイリングで悩まず合わせられるのは強みでしょう。
そして、本間氏の視点ではもう1つの強みがあるようです。
「先ほど挙げた厚底スニーカーは、競技用のシューズとして販売しているモデルを街履きに使うケースがほぼほぼです。そうなるとやはり用途は競技用なので、街履きだとオーバースペックになってしまう。
踏み出す推進力を促すシューズなので、極端に言ってしまうと、街中でふと立ち止まっている間でも前傾姿勢になりかねない。クッション性が優れているなど利点はありますが、逆に疲れてしまうという意見もありますね。」(本間氏)
機能性がゆえに噛み合わない厚底スニーカー。実はその点でコートシューズには優位性があります。コートシューズももとをたどればスポーツシューズではありますが、日常的に履きやすいようにリプロダクトされています。
先鋭的なものにはどうしても鮮度が求められますが、ベーシックな定番は廃れません。これこそがコートシューズの強みだと言えるでしょう。
フランスの信念が宿る名作コートシューズ
ここで、GetNavi編集部がチョイスしたおすすめコートシューズ「BLAZON(ブラゾン)」を紹介します。
ルコックスポルティフ BLAZON:24,200円(税込)
BLAZONは、ブランドとして新しいアイコニックモデルを作ろうと手掛けられた1足となります。
フランスブランドならではのスマートなシルエット。そして、アッパーには革のなかでも品質が高く耐久性に優れた部分であるフルグレインレザーを採用。
この2つの要素により、耐久性としなやかで自然な美しさを実現した魅力的なルックスへと仕上がりました。
そんな1足のなかで特筆すべきはヒールパッチ。シューズ名となっているBLAZONは紋章を意味し、中世ヨーロッパ社会において個人や所属などを識別するために色の塗り分けや模様を施した図案のこと。
BLAZONでは6色展開し、それぞれ紋章にならった色になっています。
BLAZONではあえて雄鶏ロゴでなく、ブランドネームをサイドに型押し。このさりげないアクセントが洗練された装いへと引き上げてくれました。
アウトソールのヒールにはフランス国旗を落とし込んだデザイン。ちらりと見えるこの遊び心は思わず履いて出かけたくなるディテールです。
また、Made in Franceコートシューズ「BLAZON」には、仕様が違う他モデルも存在します。その選択肢の幅の広さも特徴でしょう。
ルコックスポルティフ BLAZON RAYURES:25,300円(税込)
こちらのモデルはヒールパッチがストライプになっています。シュータン・インソール・履き口まわりなど、細部に至るまで惜しみなくレザーを使用することで、品格のある装いと快適な履き心地を両立させています。
ルコックスポルティフ BLAZON RENTRÉE DES CLASSES:25,300円(税込)
「RENTRÉE DES CLASSES」はフランス語で「Back to School」という意味で、新学期が始まるのをイメージして、ボールペンで書いたように透かしたようなロゴプリントが、アッパーのサイドとヒールパッチに描かれています。インソールのデザインは方眼ノートをイメージ。
あなたの強い味方として活躍する、不朽の名作
ここまでルコックスポルティフのコートシューズの魅力をたっぷりと伝えてきました。
フランス生まれという背景を活かしたブランディング。そして、Made in Franceによる小粋なセンスが光るデザイン。この2つの強みを注ぎ込んだコートシューズたちをぜひ手に取ってみてください。
流行に左右されることもなく、年齢やスタイリングにもとらわれないスニーカーはきっとあなたの強い味方となってくれるはずです。
撮影/大田浩樹
スタイリング/宮崎 司
文/マイヒーロー
東京・上野にあるミタスニーカーズは、日本はもちろんのこと、世界中のスニーカーファンから支持を得ているスニーカーセレクトショップ。ミタスニーカーズが手掛けるコラボレーションモデルや別注モデルは、リリースされる度に話題を呼びます。その中心を担[…]
