「inov-8 (イノヴェイト)」のハイキングシューズやトレイルランニングシューズが、近年のスニーカーブームとアウトドアブームの2つのトレンドに見事に乗り、人気爆上がり中です。
このジャンルのシューズと言えば、どうしてもアウトドアシーン専用の靴というイメージがありますが、イノヴェイトのフィールドは山だけではないんです。これまで培ってきた機能性を発揮しながら、都市部にも目を向けたデザインが秀逸で、GetNavi編集部は注目しています。
本記事では、イノヴェイトの歴史や魅力的な機能を掘り下げ、編集部がイチオシするシューズも紹介。
また、GetNavi webのスニーカー記事でおなじみのライター、本間 新氏にもイノヴェイトの魅力を語ってもらっています。後半までお見逃しなく。
「確かな機能」を日常にまとい、制限と上手に付き合う
2020年は、多かれ少なかれ制限が強いられた時代でした。新型コロナウイルスの流行により、県をまたいでの移動やライブやフェスなどのエンタメイベント、飲食店での外食など、たくさんのモノが制限されています。
そんな時代だからこそ、自ら制限を解き放つ行動や思考をしなければいけないとGetNavi編集部は考えます。
「制限と上手に付き合うためのコトやモノ」を常に探して、取り入れて、アップデートすれば、こんな時代でもきっと楽しめるはず。と、聞こえの良い言葉が並びますが、「じゃあ、制限と上手に付き合うためのコトやモノって何?」という話になりますよね。
そこで、GetNavi編集部が重視したいポイントが「確かな機能性」です。
持ち歩く荷物が軽くなれば、身軽になれる。コンパクトにできるレインウェアがあれば、傘を持ち運ぶ必要がなくなる。そして、疲れないシューズがあれば、移動がラクになる。
機能性によってパフォーマンスが上がることで、日常の制限をすべてではないけど、取り払ってくれる。より充実した、アクティブな生活につながっていきます。
2021年は「機能性」を日常に取り入れて過ごしてみてはいかがでしょうか。その「確かな機能性」というキーワードに、今回紹介するイノヴェイトは見事にマッチするんです。
イノヴェイトとは?
まずは、ブランドの成り立ちについて説明していきましょう。
イノヴェイトが誕生したのは2003年のイギリス。オフロードシューズブランドとして、ナチュラルで軽量、抜群のグリップ力を追求。トレイルランニングのみならずトレーニングやハイキングなど幅広いシーンに向けたアイテムを展開しています。
イノヴェイトを読み解く5つのキーワード
ナチュラルラン
イノヴェイトがコンセプトに掲げているのが「ナチュラルラン」。足の前足部から着地する走法のことで、筋肉や膝の負担を減らし、けがのリスクを下げてくれます。
さらに、前方に体の重心が向くため、かかと着地に比べて走行リズムを速くとることができるという利点があります。
また、もう1つイノヴェイトが重視しているのが「ALL TERRAIN RUNNING」。イギリスの丘陵地帯から南極やサハラ砂漠など、世界中のあらゆる地形を実際に走ってシューズのテストを慣行。 そのグリップ性への飽くなき探究心でアスリートから確かな支持を集めています。
グラフェン
イノヴェイトは素材使いでもその探究心を発揮しています。
2010年にノーベル物理学賞を受賞した「グラフェン」。この素材は折り曲げ可能な薄さや軽量性がありながら、鉄の200倍の強度を持っているのが特徴。薄さと軽量性を兼ね備えた特徴を持っているのですが、イノヴェイトは世界で初めてアウトソールに配合することに成功させました。
世界初という響き、GetNavi的にはたまらなくワクワクします。先端テクノロジーを採り入れながら、手に取りやすい価格で実現するという点も素晴らしいですね。
ドロップ
イノヴェイトのシューズ展開で特徴的なのが4段階に設定されたドロップ。
シューズのかかととつま先の高低差のことを意味するドロップは、差が高くなるごとに従って重心が前方へと移り、前足部を使った走行を促進する効果があり、高低差が少ないほど上級者向けになります。
イノヴェイトでは、8mm・6mm・4mm・0mm(ZERO)の4段階のドロップが用意されており、自分の目指すスタイルに応じたシューズを選ぶことができます。
重量=モデル名
同ブランドにおいて、その軽量性も大きな魅力の一つです。
一般的な登山靴が300〜400g程度に対して、イノヴェイトのシューズは200g〜300gが標準設定。その軽量性は手に取った瞬間に分かるのですが、ここでもう一工夫を施しています。
なんと各シューズのモデル名はすべて、品種と数字となっていて、この数字部分が片足のおおよその重量になっているのです。履いてみても、パッと見でも、それぞれの重さが分かるのは非常に便利ですよね。
GORE-TEX
アウトドア好きはもちろん、一般的にも知名度も抜群のGORE-TEX。 防水耐久性・防風性・透湿性を備えた高機能素材で、イノヴェイトではこの素材を多くのモデルで使用しています。
イノヴェイトではGORE-TEX搭載モデル名に、「GTX」という表記を入れており、モデル名を見るだけで搭載/非搭載が分かります。
この分かりやすさは実にユーザーフレンドリー。GetNavi的には、ちょっとしたうんちくを披露できるポイントとして好感度大です。
これら機能の追求とユーザーへの配慮が、イノヴェイト最大の強みと言えるでしょう。
そして、ここからはイノヴェイトのなかでもGetNavi編集部がピックアップしたおすすめのモデルを掘り下げていきます。
年間400本以上ものスニーカー関連記事を制作。そのほかにも、デニム・ブーツ・バッグなどのファッション系アイテムをはじめ、ゲーム・エアガン・アメ車関連など幅広い記事の執筆を行う。
飛ぶように軽いGORE-TEX搭載シューズの復刻モデル
イノヴェイト/FLYROC 345 GTX CD<
数あるモデルのなかから今回ピックアップしたのが、「FLYROC 345 GTX CD」。2006年にオリジナルモデルが開発され、イノヴェイトでは初めてトレランシューズにGORE-TEXが使われたモデルです。
当時、GORE-TEX搭載シューズで345gは飛べるほど軽いという由来から「FLYROC(岩を飛ぶように走る)」と名付けられ、ベストセラーとなりました。
そして2019年、デサントがアーカイブスタイルと最先端の機能・ファッション性を融合させた商品カテゴリーであるNEW VINTAGEシリーズをスタートさせるにあたり、同モデルに白羽の矢が立ったのです。
「イノヴェイトは2015年ぐらいに始まったアウトドアブームから注目していました。やはり、防水性や耐久性などの機能性の高さは街履き専用のスニーカーとは一線を画しており、常にレビュー対象として候補に挙げていましたよ。
90年代のスニーカーシーンを経由したスニーカーフリークも、トレランシューズやトレッキングシューズの復刻モデルや最新モデルを掘り始めた印象があり、キャンプ場でもよく目にしていました。」(本間氏)
復刻モデルとなった本作は、ローカットに日本人の足に合う幅広設計で、履き心地が良好。内装したGORE-TEXにより防水性を実現。アッパーにはコーデュラナイロンを採用することで耐久性を向上させています。
「この防水性と耐久性はイノヴェイトの魅力だと思います。2016年頃、フェス特集の取材を担当した際に、会場でのイノヴェイトの着用率の高さが印象的でした。
もちろん悪天候や悪路にも対応できるシューズとして選ぶ人が多いからかもしれませんが、フェスとなるとやはりファッションを意識している人も多い。このときから、イノヴェイトの立ち位置が変化してきたのを感じました。」(本間氏)
解剖学に基づいて中足骨の先端部分に配置されたMETA-FLEX。このアウトソールの溝が、前足に自然な屈曲点を生み出し、より自然で効率的な動きを実現します。
「ナチュラルランをコンセプトに掲げるブランドとだけあって、アウトソールまで抜け目ないですね。グリップ性はもちろんのこと、歩きやすさも申し分ないので一度履くとクセになります。」(本間氏)
シューホールの補強を目的としたテープ。このデザインもトレランシューズならでは。ワントーンで仕上げたことにより、都市型のスタイリングにも難なくハマります。
「イノヴェイトのシューズはアウトドアシーンを意識した機能性を持っていますが、デザインは色味を抑えていてどのモデルもスタイリッシュな印象です。
今はアーバンアウトドアという言葉が浸透したように、フィールドの垣根がなくなっているので、このシューズを街中で履いても難なくなじむ。むしろ足元のファッションに気を遣っている人という印象を抱きます。」(本間氏)
2020年の新色として、ホワイトグレー(写真)とネイビーを発売。この2色に加え、定番カラーであるブラックとダークオリーブを展開しています。
「イノヴェイトはテクノロジーの開発が優れているので、今後も楽しみです。機能性がどんどん備わっていけば、着用者自身の可能性を広げてくれるし、より良い生活が過ごせると思うんです。あとは、やはりモノは自分で体感してこその魅力だと思うので、いろいろな人にぜひ手に取ってもらいたいですね。」(本間氏)
シーンにとらわれないハイスペックシューズ
イノヴェイト FLYROC 345 GTX CD:22,000円(税込)
本来想定されたアウトドアシーンだけでなく、タウンユースにも難なくなじむイノヴェイトのシューズ。ストレスを軽減し、活動の幅を広げてくれるのは間違いないでしょう。
そして、洗練されたスタイリッシュなデザインは普段のコーディネートにおいても大活躍。この一石二鳥と言っても過言ではないシューズはゲットしておいて損はなしです。
撮影/木村心保
スタイリング/宮崎 司
文/マイヒーロー