無酸素運動だけでダイエットは成功するのか!?プロのトレーナーが解説

無酸素運動だけでダイエットは成功するのか!?プロのトレーナーが解説

  • 2023/06/13 (火)
  • 2023/06/15 (木)

気になる体の部分を効果的にダイエットできる無酸素運動&有酸素運動。日常で運動に慣れていない人にとっては、その「運動」に抵抗を感じるかもしれません。

しかし、無酸素運動(筋トレ)は運動が苦手な人でも、自分の筋力や体重、柔軟性などに合わせたメニューが選べます。

また、ジョギングなどの有酸素運動をプラスしなくても、無酸素運動だけでも効果は期待できるとプロのトレーナーは断言します。

 

<識者紹介>

森俊憲氏のプロフィール画像

ボディデザイナー 森 俊憲(もり としのり)さん

大学卒業後10年間、京セラで移動体通信のマーケティング、携帯電話事業会社「ボーダフォン」にてアプリ開発を担当する部署などで勤務。在籍時から筋トレには興味があり、当時はまだ一般的ではなかった自重トレーニングなど、自宅で手軽にできる筋トレをホームページで立ち上げるとアクセスが増加。筋トレの需要やこれから先はスマホがパーソナルなゲートウェイになるという確信性から独立し、オンラインフィットネス専用の会社・ボディクエストを2007年に設立。オンラインフィットネスのトレーナーとして個人のボディデザインサポートのほか、企業向けの健康指導も行う。

無酸素運動と有酸素運動の違い

無酸素運動と有酸素運動の違い

ダイエットでポイントとなるのが適度な運動です。

そもそも運動には、無酸素運動と有酸素運動の2種類ありますが、それぞれの運動がダイエットにどのような効果があるのか、まずはその違いを知ることから始めましょう。

無酸素運動(スクワット・腹筋・背筋など)

無酸素運動には短距離走や投てきなども含まれますが、ダイエットにおいてはいわゆるウエイトトレーニング、筋トレと呼ばれる運動になります。

短い時間で筋肉に強い負荷をかけて行う運動のことで、主な目的は筋力の向上と筋肉量の増加です。運動中に呼吸をしないということではなく、筋線維を収縮させるためのエネルギーを酸素を使わず作り出すこと。

有酸素運動(ジョギング・エアロバイク・水中ウォーキングなど)

有酸素運動の主な目的は脂肪の燃焼です。こちらも運動中に呼吸をするということではなく、脂肪を燃やすときに必要な酸素をうまく使っていく運動で、軽めの運動を少し長く続けるのが有酸素運動です。

「要はダイエットして、自分がどんな姿になりたいのかが大事です。ボクサーやスイマー、またはマラソン選手のような体を目指したいのであれば、有酸素運動を優先に行ったほうが良い。

一方で、ボディビルダーやフィジーク、女性ならビキニフィットネスと呼ばれるようなボディコンテストを目指すようなメリハリのきいた体にしたいのであれば、無酸素運動(=筋トレやウエイトトレーニング)で負荷をかけるトレーニングを優先しましょう。自分の目的に合わせた運動をすることが重要です。」(森さん)

無酸素運動をするメリット

無酸素運動をするメリット

メタボ対策、細マッチョ&ぽっこりお腹を解消したい男性や、美脚を目指したい女性など、ターゲットにした部位が明確であれば、適度な無酸素運動が効果的です。

食事だけのダイエットでは口から取り入れるエネルギーを制限しているだけなので、ピンポイントでお腹を引き締めたい、優先的に脚を引き締めたい、と思っても実現しません。基礎代謝を上げる有酸素運動も同様です。

しかも、無酸素運動である筋トレやウエイトトレーニングには、ほかにはないメリットもあります。

「無酸素運動は、時間対効果や努力対効果が高い。短時間、隙間時間でインプットすることができる。有酸素運動は思い立ってすぐ5分では終わりづらい。

しかし無酸素運動の場合は思い立ったらすぐできて、ほんの数分程度で終了することができるのは大きなメリット。かっこよくなるためにダイエットをしたいと思ったときに、何も考えずに有酸素運動という思考になる方はちょっともったいない勘違いをしています。」(森さん)

無酸素運動を効果的に行うポイント

無酸素運動を効果的に行うポイントについて話す森氏

道具がなくとも、手軽に自宅でいつでも行えるのが無酸素運動。生活スタイルや筋力の違いなどで行うメニューは柔軟に組むのが成功の鍵だと言えます。

そのため、決まった時間や回数はありませんが、長く無理なく、そして効率良く行うためにはいくつかのポイントがあります。

  • トレーニングは短時間で
  • 忙しい日常のなかでトレーニングに長い時間を割くのは容易ではありませんが、1回の運動で最低5分、だいたい20分程度で完了しますので無理なく続けられるはずです。

  • 適度な休憩を取る
  • 筋トレによって筋線維に損傷ができます。その損傷は自然治癒(超回復)によってより強く太い筋肉に修復されます。

    そのサイクルは24~48時間。十分な負荷をかけた場合は、最低でも丸1日、筋肉を休ませる必要があります。

  • 栄養素を摂取する
  • 筋肉を増やすためには、肉・魚・乳製品・大豆製品などのタンパク質を豊富に含んだ栄養素をしっかり摂る必要があります。筋肉が増えれば基礎代謝が上がり、太りにくい体になります。

  • 食後すぐと空腹時の運動は控える
  • 軽い炭水化物なら食事してから2時間後、脂質の多い食事なら4時間後が運動する時間の目安。

    空腹を感じる前に行います。空腹状態では低血糖で効果は低下するので、バナナやおにぎりなどの補食を1時間前までに摂りましょう。

  • 栄養補給を行う
  • 筋トレ直後の30分間は「ゴールデンタイム」と言われ、適切に栄養素が補給できると、筋肉の成長を促し疲労回復も促進する効果が期待できます。タンパク質を多く含む豆腐やチーズを食べるのが効果的です。

    「ダイエットに取り組むことは難しいことではなく、特別な才能は必要ありません。ただ継続できるかどうかが一番大切。どのような方法が自分にとって本当にベストなのか。そのため、頑張りすぎず自分自身が無理なく楽しく続けられるバランスを見つけることが重要です。

    意識してほしいのが、行動予定を目標にしないこと。例えば、『週2回筋トレします』と言う方がいますが『いや、それは予定ですよ』と。筋トレをすることが目標ではなく、その結果理想の体型を手に入れることが目標ですから。」(森さん)

    まず目安になるのが3ヶ月間続けること。筋肉細胞は新陳代謝で毎日少しずつ誕生しており、およそ60日程度の周期ですべての細胞が入れ替わります。

    バッファーを考慮して、約3ヶ月頑張れば効果が出やすいとのこと。

    また、トレーニングで破壊された筋肉を自然治癒する「超回復」の間は筋肉を休ませることも重要ですので、同じ筋肉の筋トレを毎日行わないほうが良いとのことです。

    無酸素運動と有酸素運動を組み合わせるのもおすすめ

    無酸素運動と有酸素運動を組み合わせるのもおすすめ

    運動習慣のない人がダイエットを始める場合、最初は手軽な無酸素運動から始め、有酸素運動を取り入れることで、より効果を高めることが期待できます。

    「最初から有酸素運動と無酸素運動を、『こういうバランスでやらないとこの体になりませんよ』と言ってしまうとハードルが高くなってしまいます。まずは手軽な無酸素運動から始めて、手応えを感じたら次の段階という意味で有酸素運動をすすめることもあります。

    男性なら細マッチョを目指すとかメタボ対策、ぽっこりお腹をどうにかしたい。女性だったら美脚を目指す方が多いのですが、例えば美脚でしたらスクワット1セット10回を1日2~3セットを1日おきに行い、筋肉を休めている間にウォーキングやランニングを入れます。」(森さん)

    無酸素運動+有酸素運動の具体的な組み合わせ例

    今回は、個人のボディデザインサポートを行う森さんに仮想ユーザーを設定し、自宅でできる効果的なおすすめメニュー(無酸素運動+有酸素運動)を紹介していただきました。

    お腹まわりが気になっている人は、ぜひチェックしてみてください!

    ◎ユーザーA

  • 男性
  • 30代前半
  • 身長175cm、体重78kg
  • 目標:痩せてかっこよくなりたい。ボテッとしたお腹まわりの肉を落としたい。
  • 【おすすめメニュー】体の緩み、お腹まわりのたるみ解消メニュー

    「年々、年を追うごとに体つきが少しずつ変わってきているという気配を感じている方も少なくないと思いますが、セルフチェックのポイントはずばり筋肉量の減少です。全身の筋肉比率が変わることで、ボディラインには顕著な変化が生じます。

    特にお腹まわりの緩みやぽっこり感には要注意。腕や胸が細くなってきているのにお腹まわりのサイズは成長しているという場合、放っておくとどんどん自分らしくないシルエットになるので、エクササイズやトレーニングによる対策がマストです。」(森さん)

    10秒クランチ

    「お腹を引き締めるためには、第一にお腹の中心線『腹直筋』を効果的に活用する必要があります。

    この『10秒クランチ』は、短時間に集中して腹筋を収縮させるため、筋肉への刺激を感じやすく、トレーニングへの意識性も高めます。」(森さん)

      クランチのスタートフォーム

    1. 床に仰向けになり、両膝を立てます。両手は耳の横に添えておきます。
    2. クランチのスタートフォームから背中を離した状態の画像

    3. 息を大きく吐きながら、腹筋を縦に思い切り縮めるイメージで背中を床から離します。腹筋が収縮すると、自然と肩が持ち上がります。力を込めた状態で10秒静止。

      1日に2~3セット実施するのがおすすめです。

    4. クランチで背中を上げた状態から両足を浮かせた画像

    5. ②の動作が問題なくできる場合は、両足を床から浮かして動作しましょう。負荷は若干上がりますが、その分お腹引き締めの効果性が高まります。
    6. ニータッチ

      「脚を高く挙げることで、普段あまり使えていない大腰筋までしっかりと刺激でき、運動不足の解消はもちろんのこと、脂肪燃焼を促す運動効果が得られます。」(森さん)

        ニータッチのスタートフォーム

      1. 真っ直ぐに立って背すじを伸ばし、両手を左右に広げます。
      2. ニータッチスタートフォームから膝を高く上げた画像

      3. 背すじを伸ばしたまま、もも上げの要領で脚を高く上げて、膝を左右反対の手でタッチします。ももの高さは床と平行か、それよりも少し高めくらいにして動作します。

        上体は安定させて、勢いや反動を使わないように意識してください。左右の脚を交互に上げて、20~30回実施。脚の高さも少しキツいかなと感じる程度で行うことが大切です。

        もし、時間がある場合は、多めに数をこなして軽く汗ばむ程度に頑張ると効果的です。

      4.  

        自宅で手軽に、自分のペースで無理なくできる無酸素運動を、まずは3ヶ月間続けて見ましょう。

        痩せるのではなく、気になる部分の脂肪を減らし、筋肉をつけるダイエット。理想の体を取り戻すために、あなたも始めてみませんか。

         

        撮影/我妻慶一
        文/マイヒーロー
        編集/GetNavi web

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