1955年に世界初のゴルフウェアブランドとして誕生したマンシングウェア。ブランドの矜恃が詰まった“MADE IN USA”ポロシャツに、今年もまたビームス プラス別注デザインが登場しました。
アメリカンカルチャーが花開いた60〜80年代に一世を風靡した名作と、本質的で不変的な男性のファッションを体現するビームス プラス。そのコラボレーションはどのようにして実現したのか。
「本質を知る大人のファッションウェア」誕生秘話を、ビームス プラスバイヤーの金子茂氏、ビームス プラス有楽町スタッフの柳井純一氏、マンシングウェア マーチャンダイザーの小森優敏氏の対談形式でお送りします。
マンシングウェアは、古き良きアメリカンカジュアルウェアを象徴するブランドの一つでした
――改めまして、ビームス プラスのコンセプトから教えていただけますか?
金子:「長年着られる、飽きのこない本物の男服」をコンセプトに、次世代に続くカジュアルウェアのオーセンティックを追求したレーベルです。
1945〜1965年は、ゴールデンエイジと呼ばれる古き良きアメリカを象徴する時代ですが、その時代に誕生したウェアを現代的にアップデートして提案しています。
いわゆる“既製服”という概念はこの時代に成熟しました。つまり機能的で合理的な服が完成した時代。アメリカントラディショナルウェアの歴史はいろいろありますが、ビームス プラスはそこに焦点を当てて提案しているんです。
――では、マンシングウェアの歴史の紹介もお願いします。
小森:1955年にアメリカで誕生したブランドです。日本にはその10年後に上陸しましたが、世界で初めてニットのゴルフウェアを作ったとして、モノづくりに長けたブランドとして認知されてきました。
アイビールックが流行した70年代にはポロシャツの代名詞的なブランドとして認知されて、多くのアメカジファンに愛されました。今でも古着屋には当時のアイテムが並んでいることが多いと思います。
――ビームス プラスとしては、マンシングウェアはどのような存在ですか?
金子:スポーツウェアもワークウェアもそうですが、ユニフォームってあるじゃないですか。つまり特定の運動や作業に最も適した、合理的で機能的なウェア。そこが、僕たちがフォーカスするアメリカンカジュアルウェアの面白いところでもある。
マンシングウェアもそうで、ゴルフをするためのポロシャツというポジションで確固たるポジションを築きつつ、それがファッションとしても取り入れられている。そういうところが魅力ですよね。
――日本ではアメカジという文化がとても人気で不動のジャンルですよね。
金子:大先輩の方から当時の話を聞いたりするのですが、戦後、上野や銀座で見ることができたアメリカの人たちのリアルな着こなしは日本人に大きな衝撃を与えましたし、みんながそれを真似したいと思った。当時の映画もそうです。映画にはアメリカの良い部分が凝縮されていて、みんなそれに憧れましたから。
小森:デニムのセットアップにTシャツをインして足元はコンバース。そういうスタイルにみんな憧れがあったんでしょうね。日本ではそれ以降、アメカジというジャンルは定着していて、今はアメカジストリートっていうジャンルもあるくらいですから。
金子:アメカジストリート?
小森:ベースはアメカジですが、サイズアップしてオーバーサイズで緩く着るイメージです。
金子:なるほど。アメカジの普遍性はやっぱりすごいですね(笑)。むしろ今となっては、日本が通称「アメカジ」のジャンルをけん引していると言っても過言じゃないです。
今までもこれからも、ジャンルを問わず、アメカジはファッションの根底にあるものだと思う
小森:時代ごとにアメカジの在り方は変化していますが、そのもととなる部分は変わらない。ジーンズやスウェットやポロシャツなどといったアイテムが、いつもそのベースにありますよね。
金子:アメリカの洋服って目的が明確だから完成されているものが多い。なので誰でも似合うし、少しアレンジすれば今っぽくもなる。だから楽しみやすいんだと思います。
――「時代ごとにアメカジの在り方は変化している」というお話がありましたが、では、現在はどうでしょう?
柳井:いわゆるアメカジ世代の40代前後の人たちと違って、今の若い人たちは当時のリアルになじみがありません。だからこそ逆にオーセンティックなポロシャツやチノパンツがとても新鮮に見えるんだと思います。
それをとてもトラディショナルに取り入れる人もいれば、先ほどお話に出たように、少しサイズを上げてストリートな着こなしをする方もいる。多様性が増していると思います。
金子:今また若い人たちの間で古着が流行っているじゃないですか。先日ビームス プラスに来店された20代くらいの方たちが「ここ古着屋みたいだね」って言ってたんです(笑)。
だからなんて言うんだろう…1周回ってこういうジャンルがまたすごく新鮮に見えているんだと思いますし、そして僕らとはまた違う新しい楽しみ方も見つけ出してくれる。そういう感じなのかなって思いますね。
そのなかでビームス プラスは、教科書的な存在になれば良いと思っています。
小森:つい先日、古着屋に行った際に、たまたまそこに居合わせた若い子たちがマンシングウェアのポロシャツを見て「なにこれかわいい、ペンギンだ〜」って言ってたんです。
マンシングウェアというブランドを知らない人たちが、単純に古着としてそのポロシャツをかわいいといって手に取ってくれるのはとてもうれしいこと。時代を超えて残るということの証ですから。
金子:うんちくとはまた別の、そういうポップさもアメリカンカジュアルウェアの魅力の一つですよね。僕らも、そうやって何十年先に残るものをこれからも提案していければと思っています。
マンシングウェアの本気を目の当たりにして、コラボレーションを決めました
――マンシングウェアとビームス プラスのコラボレーションは今回で2回目ですが、この企画がスタートしたきっかけを教えてください。
金子:マンシングウェアがMADE IN USAのポロシャツを忠実に復刻させるプロジェクトを展開したのが2018年のこと。それを拝見させてもらったとき、ポロシャツ自体はもちろんタグやパッケージまですごくこだわって作られていて驚きました。
ここまで本気でやっているのであればぜひということで手を挙げさせてもらったのが始まりです。ビームス プラスは玄人裸足な洋服好きが多いのですが、ここまで本気のアイテムであれば絶対に通用すると思ったので。
小森:マンシングウェアは基本的にゴルフウェアとしての提案しかしてこなかったので、ビームス プラスとの取り組みでファッションとして発信できることはとても光栄でした。
完成したMADE IN USAのポロシャツは、僕らとしても自信があるものでしたから。
――コラボレーションのデザインポイントを教えてください。
金子:アイテム自体の完成度の高さは最大限に残しながら、今の時流に沿ってシルエットを少しアレンジしました。具体的には身幅をすこし広くしてゆとりを持たせた感じです。
また、ロゴも昔のペンギンマークを採用させていただき、インラインにはないカラー展開にしています。
あとは高温多湿な日本の夏の気候に合わせて、マンシングウェアと一緒に快適に着れる軽めの生地を開発したのも特徴ですね。
――お客様の評判はいかがですか?
金子:とても良いです。クラシックなアメリカンスタイルを求める人はもちろん、若い人たちの反応も良いです。
ポロシャツは一般的にはセットインスリーブが主流のなか、マンシングウェアはラグランスリーブだったり、脇下にガゼットが付いていたり、ネックの後ろにボタンが付いていたりと、スポーティーなディテールが残してあって、それが新鮮に見えるという人も多いですね。
あとは、ツウなこだわりを持った年配のゴルファーからも人気があります。
――ビームス プラス的なスタイリング提案があればぜひお願いします。
金子:マンシングウェアのポロシャツはスポーティーな要素が強いので、シンプルに着こなすのがおすすめです。ベーシックなチノパンツや5ポケットパンツなどと合わせても良いと思いますし、ネイビーブレザーを羽織ってもかっこいいと思います。
今の時代を象徴するアイテムができたと思っています。何十年か後に、もしかしたらどこかの古着屋に並んでいるかも!?
柳井:最近はビームス プラスのスタッフもポロシャツを着ることが増えたんですよ。
――それは何か理由があるのでしょうか?
金子:上品さも兼ね備えているということが大きいと思います。Tシャツ1枚では心もとないし、シャツを着るにはちょっと堅苦しい。ファッション的な観点からも、リモートワークなどが増えている時世的な観点からも、ポロシャツはすごく理にかなったアイテムなのだと思います。ケアも楽ですし。
柳井:今日の僕のように、ポロシャツの裾をパンツにインするときは襟のボタンをすべて留めることが多いですし、金子のように裾をアウトして着るときはボタンを少し開けて着ることもある。そのときインにTシャツを着るか着ないかっていうのも印象を左右するポイントです。
すごく狭い世界ではありますが、ポロシャツって意外と着こなしのアレンジの幅も広いんです。
小森:本来スポーツウェアとしての提案なので、着心地の良さは自信があります。加えて、若い世代などであれば、いつものサイズからさらに1つ上を選んでオーバーサイズで着るというのも面白いと思います。
ビームス プラスの提案も含め、自由に着こなしてもらえれば私たちとしてもうれしいですね。
金子:機能的で、時代性を備えていて、しかも飽きがこない不変的なアイテムである。両者のコンセプトがうまくつながった、新しいスタンダードになりうるアイテムだと思います。
30年後、どこかの古着屋に置かれていてもおかしくないアイテムだと思います。
<プロフィール>
金子 茂(中央)
ショップスタッフを経て、2015年にビームス プラスのバイヤーに。現在、ビームス プラス公式ブログ『All Night BEAMS+』の月曜日のブログを担当し、商品への熱い思いをつづる。3年前にはログハウスを購入し、D.I.Yや薪割りなどログハウスライフを満喫。
柳井 純一(右)
新入社員でビームスに入社。ビームス 立川に配属。その後、現在のビームス プラス 有楽町に配属されショップスタッフとして日々お客様が楽しんでいただけるように、ビームス プラスらしさ、コーディネートの楽しさを伝えるように心掛けている。また展示会も同行しバイイングも行う。
小森 優敏(左)
マンシングウェア マーチャンダイザー
wear:@ma0509
Instagram:@munsingwear_penguin
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