「お父さん、20年同じ服着てる?」娘がふと気付いた違和感――マンシングウェア“ご愛用者”エピソード
#Munsingwear(マンシングウェア)

「お父さん、20年同じ服着てる?」娘がふと気付いた違和感――マンシングウェア“ご愛用者”エピソード

「突然の問い合わせ失礼いたします。今回はマンシングウェアさんに伝えたいことがあり、問い合わせいたしました。」

あるとき、ゴルフウェアブランド、マンシングウェアを取り扱うデサントのお客様相談室宛に、1通のメールが届いた。差出人は愛知在住の20歳の女性。そこには20年間、同じマンシングウェアのシャツを着続けている父の話がつづられていた。

マンシングウェアのスタッフはメールで語られた父とシャツのエピソードに感動。「ULLR MAG.」ではより詳しくお話を聞きたいと考え、今回、坂井史明さん、麻実さん親子(仮名)にオンラインインタビューを行った。

写真に写った父は、いつも同じシャツを着ていた

父が20年間着続けたマンシングウェアのボーダーシャツ

ご本人にお借りして撮影した、約20年間ご愛用いただいているボーダー柄のハイネックシャツ。

「父はいつから、この服を着ているのだろう?」

メールを送ったきっかけは、娘である麻実さんがふと感じた疑問だった。

記憶にある父はいつも同じ、マンシングウェアのボーダー柄のハイネックシャツを着ていた。家族の間でいつからシャツを着ているか話題になったが、父から返ってきたのは曖昧な答え。そこでアルバムを開いて調べてみると驚いた。

「改めていつから着ているかを調べると、私と2ショットで写る父は、私が高校生のときも、中学生のときも、小学生のときもいつも同じボーダーのシャツを着ていました。一番古い写真は私が幼稚園の頃の写真でした。」

麻実さんには兄が3人いるが、3番目の兄の少年野球の退団式でも、父・史明さんはボーダーのシャツの上にジャケットを着て、挨拶を行った。家族の節目、節目にシャツを着た父がいた。

少年野球の退団式で挨拶をする史明さん

少年野球の退団式で挨拶をする史明さん。(麻実さんが小学1年生の頃)

「このシャツに愛情と歴史があるというか、振り返ってみると不思議と思い出がある。周りには『また、それを着てる』ってよく言われます。」

史明さんは笑顔で話す。麻実さんによれば、ボーダーのシャツは史明さんのトレードマークになっていると言う。

史明さんがシャツと出会ったのは今から20年ほど前、独立して事業を始めたばかりの頃だった。

付き合いのなかでゴルフの魅力を知った史明さんは、地元のデパートにゴルフウェアを探しに行ったところ、売り場でボーダーのシャツに目が止まった。

「その頃はゴルフ場のルールも厳しく、今みたいにラフな格好では入れなくてジャケット着用が当たり前でした。どうせ買うなら、インナーはおしゃれでかっこいいものが良いと思い、目に入ってきたのがこのシャツでした。

私はハイネックをジャケットの下に着るのが好きで、カシミヤのものなども持っているのですが、一番はこのシャツ。マンシングウェアは作りが本当にしっかりしているし、着ていて心地良い。ケチを付けるところが1つもないんです。」

以来、史明さんは途中で買い替えをせず、20年以上ずっと最初に買ったシャツを大切に着続けている。

「うちの家内は3回ぐらい捨てようとしましたよ(笑)。私のいないときにだいたい捨てていて、その度に救い出した記憶があります。」

オンラインインタビューに答える坂井さん親子

麻実さんもシャツの思い出と言えば、まず両親とのやり取りだと話す。

「父と母はシャツを捨てるか、捨てないかでいつも言い争っていたというのが思い出です(笑)。兄たちに聞いても同じだと思います。『これ、捨てたら?』『いや、まだいける』って。」

一方で史明さんは、20年以上同じシャツを着ることができたのは「家内が縫製が上手だから。そのおかげです。」と感謝する。

明るくシャツとの思い出を語ってくれる史明さんだが、2011年には脳梗塞を患った。現在はゴルフを回れるまでに回復したが、一時は右半身が動かなくなった。その入院中にもシャツは傍にあった。

「病院に家内が持ってきてくれてたと思うんですけど、ジャージの下に着ていた思い出がかすかにあるんです。やっぱりシャツに執着があったのかもしれないですね。」

もともと明るい史明さんだが、仕事に現役復帰できないとの不安もあり、うつ病になった。麻実さんによれば、にぎやかな坂井家もその時期は暗く沈んだと言う。そんな史明さんを救ったのが家族だった。

病を患っていた時期に、家族と一緒に出かけた際の史明さん

病を患っていた時期に、家族と一緒に出かけた際の史明さん。

「長島温泉の近くにテーマパークがあるんですけど、娘が高校2年生の頃、家内も一緒に3人で行きました。私を元気づけてやろうということだったと思います。そのときもこのシャツを着ていました。これが、このシャツとの一番の思い出かもしれません。やっぱり家族に救われた。そこにマンシングウェアのシャツがあった。今振り返ってみると、不思議ですね。」

業種を超えて共感した、ものづくりの大切さ

遊園地で遊ぶ坂井さん親子の写真

幼い麻実さんを連れて出かけた遊園地でも、史明さんはこのシャツを着ていた。

史明さんは発電所やプラントの防食の仕事をしているが、マンシングウェアのシャツを通してものづくりの精神に共感した。

「ものづくりと言っても分野は違いますが、最終的にお客様に喜ばれる長持ちをするものを作るという点は同じだと共感しました。そこは今、日本人が、日本の企業が忘れかけているものです。20年前にこのシャツを製作した人たちは、素材、糸から吟味をして、デザインをして、長く使えるものを提供しようと努力したのだと思います。」

マンシングウェアを担当するデサントジャパン・ブランドマーケティング部門ゴルフマーケティング部部長の上山晋史は、坂井さん親子からのメールを読んで社員一同感動したと話す。

「作ったものをご評価をいただけるのは、ものづくりをする人間にとっては一番の褒め言葉です。弊社には若い社員もベテラン社員もたくさんおりますが、コロナ禍で昨今、あまり明るい話題がないので非常に喜んでいました。

商品がたくさん売れることはもちろん嬉しいことですが、我々の原点は、長く使ってもらえる良い製品を作ることです。

糸の選定から始まり、編立の段階、それから染色の段階、縫製の段階。そして製品になった際の検査。20年間という長い期間、ご愛用いただけたことは、これらのさまざまなメンバーがものづくりに対し、情熱を持って仕事をしていた結果だと思います。

サステナビリティが求められる今、坂井さんからのお話で、改めてその大事さを感じました。」

家族との思い出が詰まったシャツ

このシャツには坂井さんご家族の思い出が詰まっている。

史明さんはシャツから“日本におけるものづくりの大切さ”を感じたと語ったが、マンシングウェアは海外での生産が増えるなか、現在でも国内でシャツを生産している。上山はこう話す。

「今は海外生産が非常に増えてますが、マンシングウェアは弊社のブランドのなかでも日本生産にこだわっているブランドです。やっぱり日本製の品質、ジャパンメイドを非常に大事にしてきたことが良かったのではと思っています。」

麻実さんは、父が20年間同じシャツを使っていることを知り、考えることがあったと言う。

「私の世代はプチプラが流行っていたり、ファストファッションを着たりと“使い捨ての世代”です。長く使える良いものを買おうという考えはこれまであまりなかったんですが、今回こういう風に父が1枚のシャツを大事に着ていることを知り、良いものにはそれだけの価値があるのだなと思いました。」

娘のその言葉を聞き、顔をほころばせた史明さん。

「今回、娘が送ったメールに対し、マンシングウェアさんが真剣に受け止めたくれたことに非常に感銘を受けましたし、娘には『人生の中で誇りに思う』と伝えました。この20年間、このシャツを着て本当に良かったと思います。」

今もゴルフを続け、つい先日もマンシングウェアのゴルフ用パンツを購入したという史明さん。最近では息子さんたち3人がゴルフに興味を持ち始めたのだと言う。

いつかは息子たちとホールを回ることが夢だ。そのときにはきっと、いつものボーダーのシャツを着ているはずだ。

坂井さん親子

取材・文/徳重龍徳

 

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