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フォアフット走法、ヒールストライク走法、ミッドフット走法を分析。ランニングコーチ・園原健弘が導く「日本人にフィットしたランニングフォーム」

ランニングパフォーマンスを向上させる上で、正しいフォームへの理解を深めることは欠かせません。特に“着地”は多くのランナーによって議論が交わされており、走法によって「身体への負担を軽減する」「長い距離をラクに走る」「無駄な動きを少なくし、ロスを最小限にする」といったメリットが期待されています。

代表的な走法である「フォアフット走法」「ヒールストライク走法」「ミッドフット走法」はそれぞれ走りにどのような影響をもたらすのでしょうか?

今回は、ランニングコーチ・園原健弘に「正しいランニングフォーム」についてお話を伺いながら、“着地”に関する正しい知識を紹介します。

フォアフット走法、ヒールストライク走法、ミッドフット走法の解説と、それぞれのメリット&デメリット

フォアフット走法・ヒールストライク走法・ミッドフット走法の図

ランニングを日課にする人のなかには、陸上競技選手のフォームを参考にする方も多いのではないでしょうか。しかし、有名選手の走り方をまねすれば、自分も良い走りができるとは限りません。

例えば、マラソン王国のケニア・エチオピア出身の選手に多い「フォアフット走法」は、直立した際にかかとが浮くような身体特性を持っているアフリカ系選手に向いた走法で、そうではない日本人の体形に向いているとは言い難いのです。

「フォアフット走法」「ヒールストライク走法」「ミッドフット走法」のそれぞれの特徴を理解し、自分に合った正しいランニングを考えていきましょう。

陸上強豪国のケニアやエチオピア選手に多い「フォアフット走法」

フォアフット走法の図

フォアフット走法とは“つま先”から着地する走り方のこと。ケニア、エチオピアなどの長距離走やマラソンで記録を残している選手の多くはこの走法です。では、メリット&デメリットを下記にまとめていきます。

メリット

フォアフット走法は「衝撃を分散し、疲れにくい走り」が可能になると言われます。ランニング中にかかる足への負担は、着地時に地面から足に伝わる衝撃によるもの。前足部であるつま先から着地することで、着地時にかかる衝撃を分散し、足への負担を軽減できると言われています。

また、“バネ”の役割を担う腱を使った走法になるため筋肉への負担が少なく、長距離でも疲労を抑えて走り切ることができるでしょう。

また体の軸を保った前傾姿勢で「自然に前へと進む」ことができるのも、フォアフット走法のメリットです。上半身を前傾させることで体は自然とバランスをとり、足はどんどん前へと運ばれていきます。エネルギーを抑えつつ、ランニングスピードの向上につながることでしょう。

デメリット

フォアフット走法は「日本人の体形では体への負担が大きい」とよく言われています。日本人の体形は骨盤が落ち、重心がかかと側にあることが一般的。海外のランナーに比べると、フォアフット走法の習得が難しいと言われています。無理をしてフォアフット走法を続けてしまうと、ふくらはぎやアキレス腱に大きな負担がかかるとされています。

ふくらはぎやアキレス腱への負担が少ない「ヒールストライク走法」

ヒールストライク走法の図

ヒールストライク走法は、“かかと”から着地する走り方。足から地面へと力が伝わり、それに反発する力を利用して前へと進みます。日本人ランナーの多くがこの走り方を取り入れていますが、どのようなメリット&デメリットがあるのでしょうか。

メリット

ヒールストライク走法は「日本人が習得しやすい」と言われている走り方です。日本人の多くは体の重心がかかと側にあると言われているため、スムーズに取り入れることができます。

ふくらはぎの筋肉やアキレス腱ができていないランニング初心者でも、少ない負担で走り切ることができるでしょう。

日本人向けのランニングシューズは、かかとから着地しやすい設計のものが多くあります。それらはかかと部分に設置された厚いクッションが足への衝撃を吸収し、前への推進力をサポートする機能があります。なにより、選べる種類が豊富だと、シューズ選びも楽しみの一つにもなりそうですね。

デメリット

かかとから着地し、つま先で蹴り出すのがヒールストライク走法ですが、かかとからの着地は走りに「ブレーキ」をかけ、「膝関節への負担」がかかってしまいます。他の走法に比べて地面を蹴るまでに時間がかかるため、スピードの面では不向きとも言われています。また、足がのびた状態の着地になり、衝撃が膝関節への負担となるのもデメリットと言えます。

着地時のブレーキを最小限に抑える「ミッドフット走法」

ミッドフット走法の図

最後は、ミッドフット走法、足裏全体で着地する走り方です。最近ではTVドラマでも話題となり、ランナーの間でも注目を集めました。フォアフット走法・ヒールストライク走法とはまた違う、メリット&デメリットを解説していきましょう。

メリット

ミッドフット走法には「衝撃を吸収し、足への負担を軽減」するというメリットが挙げられます。
足裏全体を使って走ることで、着地時は足が曲がった状態になります。これにより、関節だけではなく筋肉でも衝撃を吸収。体への負担を抑えられることから、膝を故障したランナーが痛みの対策として取り入れることも多いです。

さらに、この走法は「トレーニング」としても取り入れることができます。足裏全体での着地により体幹が安定し、体全体を使った走りが可能に。ランニングのスピードアップだけでなく、トレーニングとしても適した走り方です。正しいフォームを習得することで、ランニングフォームや身体機能の向上にもつながるでしょう。

デメリット

ミッドフット走法のデメリットとしては「フォームの習得に時間がかかる」ことが挙げられます。日本人ランナーの多くが、かかとから着地するように習慣づいていることが要因の一つと言えるでしょう。
また、いきなり長距離を走ると体に負担がかかってしまう場合もあり、注意が必要です。

ランニングコーチ・園原健弘が語る「ランニングフォーム」の正解。3種類の走法を検証して、日本人の能力に合ったフォームへと導く

デサントのシューズを持つ園原氏

日本人のトップランナーにも多いことで「フォアフット走法」が注目を集めがちですが、かつて箱根駅伝にも出場し男子50キロ競歩で世界大会にも出場した園原健弘さんは、その状況に警鐘を鳴らします。そこであらためて、正しいランニングフォームの理解について、園原さんにお話を聞きました。

フォアフット走法はアフリカ系ランナーに向く

――最近よく聞かれる「フォアフット走法」などのランニングフォームについて、園原さんの考えを聞かせてください。

フォアフット走法は、ランニングフォームにおける一つの理想形だと考えています。前足部から着地することで、アキレス腱は体の重量、重力だけで伸び切ります。そして、一気に縮みます。アキレス腱はバネであり、一連の伸縮に筋力はいりません。ですから、フォアフット走法は最小限のエネルギー消費量で済む。完成したフォームであることは確かです。

――では、誰もがフォアフット走法を目指すべきなのでしょうか。

それは望みません。問題は、そのフォームがそれぞれの身体特性と合っているかどうかです。フォアフット走法をするには、骨盤が前傾している方が良い。さらに、足首が柔らか過ぎてもいけません。着地で足首が柔軟に動けばアキレス腱が伸びにくくなりますから。そして、直立した際にかかとが浮くような身体特性を持っているのが理想です。これらは、ケニアなどに代表されるアフリカ系の選手に多いタイプです。

無理をすれば「ゆがみ助長ラン」になる?

インタビュー中の園原氏

――日本人はそういった身体特性を持っているのでしょうか。

多くの人は持っていないでしょう。骨盤は薄くて平べったく、筋肉もお尻の後ろより横につきやすい。つまり、骨盤の前傾が起きにくいのです。足首も比較的柔らかいですね。そして、かかとからべったりと地面に足が着いているはず。その意味で、フォアフット走法に適した身体特性を持っているとは言いにくいです。

――そうなんですね。

そのときに、全員が「フォアフット走法が良い」と流れてしまうのは好ましい状況とは言えません。仮に金メダルを目指すランナーなら、「理想形」であるフォームを求めて、理論的なトレーニングでフォアフット走法を身につけるのもわかります。しかし、一般的なランナーが無理にフォアフット走法を実践しようとすれば、身体特性と合わないため体に無理をさせてしまう。場合によっては体に負担をかける「故障助長ラン」になるかもしれません。

ヒールストライクは長距離移動に適している

――故障助長ランですか…

はい。たとえばフルマラソンでサブスリーを狙う人や、健康のためにランニングをする人は、無理にフォアフットを求めない方が体にストレスなく、健康で楽しいランニングができるかもしれません。その意味で、フォアフット走法以外の選択肢を、私たちはもっと重視しなければいけません。

――その選択肢というのは、ミドルフット走法やヒールストライク走法になるのでしょうか。

そうですね。確かに日本人はフォアフット走法をしにくい体形なので、アキレス腱のバネを使いにくい。しかし、一方でヒールストライク走法に適しており、重力の位置エネルギーを変換するのが得意です。それは長距離移動に適しているんですね。

「起こし回転」を使った推進力とは

インタビューを受ける園原氏

――重力の位置エネルギーを変換するとは、どういうことでしょうか。

人間のかかと部分にあたる「踵骨(しょうこつ)」は、丸くなっていますよね。かかとから着地すると、この丸みによって、地面へ直線的にかかった力が、コロンと前方へ変換される。転がるようにして前足部が着地します。このような作用を「起こし回転」といいます。

――その「起こし回転」が位置エネルギーの変換になるということ?

そうです。かかとから着地するのは、決して悪いことではありません。確かにアキレス腱のバネを使いにくいですが、一方で起こし回転によりうまく位置エネルギーを前方への推進力に変換できる。大切なのは、自分の身体特性と目指すレベルを考えて、適切なフォームを選ぶことです。フォアフットにもヒールストライクにもそれぞれ良さがあり、合った身体がある。その中で選択しなければなりません。

シューズのグリップ力にこだわる必要あり

シューズを持つ園原氏

――ちなみに、ヒールストライク走法で大切なポイントはありますか。

体幹の強さです。足をついたときに、きちんと地面にグリップし、ガッチリと着地しなければいけません。そこでブレてしまうと、起こし回転にムダが生じて前方への推進力につながりにくくなります。その意味で体幹を強くすること。また、きちんとグリップするランニングシューズを選ぶことも大切です。

――起こし回転を生かすための工夫ですね。

はい。ランニングはどうしても「量」や「時間」を中心に考えられがちです。「何キロ走った」「何分で走った」と。しかし、あくまで技術のスポーツであり、大切なのはフォームと、それに合ったシューズを突き詰めること。適切な選択ができれば、体の力や外部の力(重力や地面反力)を引き出せるはずです。その心地良さを感じて欲しいですし、健康にもつながるでしょう。

日本人が走る為に必要な機能を追求したシューズ。デサント「GENTEN」

DESCENTE (デサント)・GENTEN-EL
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【ランニングシューズ】<世界陸連ルール改定後の800m以上のトラック種目で使用可能>GENTEN-EL(エリー)

¥17,600(税込)

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DESCENTE (デサント)

【ランニングシューズ】DR-MOVE 2

¥10,780(税込)

<プロフィール>

園原氏のプロフィール画像

園原健弘
ランニングコーチ。実業家。

1962年生まれ、長野県出身。長野県飯田高等学校卒業後は、明治大学に進み、箱根駅伝にも出場した。その後、「日本陸上競技選手権大会優勝」など大きな大会で活躍。1992年、バルセロナオリンピック日本代表に選ばれ、男子50キロ競歩に出場した。現在は、ランニング指導者、ウォーキング指導者として活躍し、講演活動なども行っている。明治大学体育会競走部監督

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