白銀のゲレンデを颯爽と滑る姿に憧れて、今季こそスキーに行ってみたいと考えている方も多いのでは?
数々の大会で優勝経験を持つトップスキーヤーで、デサントにおいて14年にわたりスキーウェア開発に携わる宮下征樹さんが、スキーに必要なアイテムと持ち物、おすすめの商品を紹介します。
スキー初心者の方はもちろん、アイテムの買い替えを検討しているスキーヤーも必見!また、親子で楽しみたい方に耳寄りの、ゲレンデデビューに役立つ情報も満載です。
スノーレジャーに出かける前のチェックリストとしても、ぜひご活用ください。
宮下征樹
1973年生まれ、長野県出身。1996年、学連から全日本スキー技術選手権大会に初出場。その後2001年、2002年には2連覇を達成するなど、輝かしい実績を持つ。SAJナショナルデモンストレーター認定4回。現在はデサントジャパン株式会社にて、スキーウェアの商品企画・開発に携わる。スキー歴40年以上、流れるような正確無比のテクニックで多くのスキーヤーを魅了する、日本のトップ・デモンストレーターの1人。
- 1 スキー初心者も子どもも押さえておきたい、準備すべきアイテムの基礎知識
- 1.1 雪山で快適に滑り続けるためのスキーウェアの優れた機能性とは?
- 1.2 子どものウェア選びは安全性とサイズ調整機能が鍵に
- 1.3 インナー(アンダーシャツとタイツ)に求める機能は、保温性とストレッチ性
- 1.4 初心者は、上級者に比べて柔らかいスキー板が一般的
- 1.5 スキーポールは身長に合わせて長さ選びを
- 1.6 スキーブーツ(靴)はフィッティングを入念に
- 1.7 靴下は膝まであるハイソックスタイプですねを保護
- 1.8 子どもはスキーグローブ(手袋)の予備を持参しよう
- 1.9 雪遊び時は帽子、滑降時はヘルメットで頭を守る
- 1.10 ゴーグルでUV対策も
- 1.11 フェイスマスク・ネックチューブ・バラクラバで保温&UV対策
- 1.12 インナー(下着・肌着)の着替えは必須!
- 1.13 日焼け止めクリーム・リップクリームでUV対策を
- 1.14 ゴーグル拭きは付属のものでOK
- 1.15 リフト券ケースはウェアに装備
スキー初心者も子どもも押さえておきたい、準備すべきアイテムの基礎知識
スキービギナーや、子どもを連れてファミリースキーを楽しみたい方に向けて、そろえておきたいアイテムを紹介します。
必須のアイテムとは?選ぶ際のポイントは?と迷っている方はもちろん、アイテムの買い替えや買い足しを考えているスキー経験者にも役立つアイテムごとに押さえておきたい機能なども解説します。
雪山で快適に滑り続けるためのスキーウェアの優れた機能性とは?
近年は、街中でも着られるようにとシンプルなデザインのスキーウェアが増えたこともあり、一見すると、タウン仕様の防寒用アパレルと遜色ないように見えるものも増えています。
しかし、スマートなビジュアルのスキーウェアのなかにも、スノースポーツを快適に、安全に楽しむための機能が満載です。保温性はもちろんのこと、ゲレンデでは降雪だけでなく、雨やみぞれが降ることも多いので、はっ水性や防水性も重要に。
さらに、蒸れを外へ逃すことで湿気がこもりにくい状態にする透湿性など、スキーウェアならではの優れた機能性も要チェックです。
<宮下さんコメント>

スキーウェアの場合、過酷な雪山の環境に対応するために、裏生地にフィルムを貼り合わせるラミネート加工を施すなど、風や水の浸入を防ぐための技術が駆使されています。
さらに、デサントが大事にしている機能が透湿性です。汗などの水蒸気を外に逃すことで、ウェア内が蒸れにくくなり、ドライで快適な状態を保つことができます。
子どものウェア選びは安全性とサイズ調整機能が鍵に
子どものウェアでは、基本的な機能性にプラスして、安全性への配慮もチェックしておきたいところ。
例えばフードは、バランスを崩したり転んだりした拍子に引っかかって首が締まってしまわないよう、引っ張るだけで簡単に外せる仕様になっているものもあります。
また、視界が悪いなかや薄暗いなかでも、後ろから見たときに視認性が良くなるように再帰反射材を使っているアイテムも充実。
さらに、子どものウェアを購入する際の悩みどころといえば、サイズ選びです。大人とは異なり、せっかく買ったウェアが翌シーズンにはサイズアウトしてしまうというケースも珍しくありません。
そこで、長い期間着用できるように、成長に合わせてサイジングできる機能を備えた子ども向けウェアの人気が高まっています。
<宮下さんコメント>

ひもを引っ張ることで、パンツの丈や袖を短くできるなど、子どもの成長に合わせて、サイズ調整できるタイプのスキーウェアへの注目度が高まっています。
また子どもたちは、雪の上で転がったりソリを楽しんだりと大人とは異なる動きをすることも多く、通常のパンツタイプだとウエスト部分から雪が入ってしまうことも。
ウエスト部分を背中まで高くして雪の浸入を抑えると同時に、サスペンダーを付けることで、パンツがずり落ちることを防ぐ工夫も施されています。
インナー(アンダーシャツとタイツ)に求める機能は、保温性とストレッチ性
インナーは、日常的に使用している保温素材を使ったアンダーシャツを活用しても大丈夫。ただし、スキーをするうえでは動きやすさも重視したいので、できればストレッチ性の高いものがおすすめです。
<宮下さんコメント>

インナーは、アンダーシャツとタイツを用意しましょう。いずれも保温性が高く、ストレッチ素材であるなど、動きやすいアイテムを選ぶと良いでしょう。
さらに、インナー選びのポイントになるのが吸汗速乾性など、ドライ機能の充実です。特に子どもの場合は、大人以上に汗をよくかくため、インナーがベタベタした状態のまま着続けると寒さの原因に。
風邪をひいてしまわないよう、速乾性に優れた素材のものをそろえるのがベスト。ドライ効果の高いインナーを用意し、必ず着替えを持って行くようにしましょう。
初心者は、上級者に比べて柔らかいスキー板が一般的
各メーカーから、シーズンごとにおしゃれでかっこいいスキー板が続々と登場しています。デザイン性だけではなく、初心者・中級者・上級者・子どもなどスキーのレベルや体格に合わせて最適なスキー板を選びましょう。
まずは、スポーツショップのスタッフの方に相談を。または、初期段階ではレンタルで挑戦するというのも一つの方法です。
ブーツとスキー板を固定するためのビンディングは、スキー板とセットで販売されている場合もあります。
別々に購入する際は、ビンディングとスキー板のスペックの相性が重要になるので、スキー板選びと併せてショップの方のアドバイスも参考にしましょう。
<宮下さんコメント>

上級者の場合、スピードに乗ったときにさらにエネルギーを高められるよう、硬い板が主流。逆に初心者の場合は、操作性のしやすさを重視して柔らかい板を選ぶのが王道です。
重さの面でも、初心者向けのほうが軽くてコントロールしやすいスキー板が一般的です。
またビンディングは、転んだときのケガのリスクを抑えるために、簡単に外れるような安全装置が付いている商品が大半です。
一方、上級者の場合は滑降スピードが速く、重圧がかかるので、ハードな滑りにも耐え得るよう、簡単に外れないような仕様になっています。
スキーポールは身長に合わせて長さ選びを
スキーポールは、多くの場合100cm・105cm・110cmといった単位で販売されています。持ったときの手の高さ、肘の曲がり具合などで選びましょう。
機能面での大きな違いはありませんが、フルカーボンで軽いものや、グリップ素材に特化した商品なども登場しています。
<宮下さんコメント>

スキーポールを選ぶときの最大のポイントは、長さです。身長に合わせて選びます。手に持ったときに肘が90度に曲がる程度の長さがちょうど良いでしょう。
スキーブーツ(靴)はフィッティングを入念に
ブーツ選びでは、サイズの合ったフィット感の高いブーツであることが必須条件です。
ゆとりがあって足がグラグラしてしまう、逆にサイズが小さくて痛くて履けないということがないように、フィッティングを入念にしてから購入しましょう。
<宮下さんコメント>

上級者はスピードに耐えられるように、足首をしっかり固定できるタイプを選ぶ方が多いのですが、初心者の方の場合、慣れるまでは歩きやすさを重視し、柔らかい履き心地のものがおすすめです。
靴下は膝まであるハイソックスタイプですねを保護
普段履いているハイソックスで代用している方も多いかもしれませんが、スキー用のソックスには形や素材などにさまざまな工夫が施されています。
指先のタイプの違いや厚さ、着圧具合など、動きやすさや履き心地の好みに合わせて選びましょう。
<宮下さんコメント>

スキーブーツはすね部分が高いので、ブーツの縁がすねに当たらないように保護する意味でも、膝あたりまであるスキー用の長めのハイソックスを選ぶと良いでしょう。
子どもはスキーグローブ(手袋)の予備を持参しよう
5本指やミトンタイプなどが主流のスキー用グローブ。機能面では、保温性や防水性の高さが特徴で、内側にラミネート加工が施されています。
もちろん、自分の手にフィットするサイズであるかどうかもしっかりチェックを。インターネットなどで買う場合にも、しっかり採寸してサイズ表と照合しましょう。
<宮下さんコメント>

上級者モデルになると、オールレザーでグリップ感に優れた素材のものなどもありますが、基本的には保温性・防水性などを基準に好みのデザインのものを選びましょう。
また、子どもは雪遊びなどですぐに濡れてしまうので、予備としてプラス1セット持っていくと安心です。
雪遊び時は帽子、滑降時はヘルメットで頭を守る
スキーのときには帽子をかぶることで冷たい風から頭をカバーすることができます。多彩なデザインのものがそろっているので、保温性・はっ水性に留意しながらウェアとのコーディネートを楽しんでください。
また滑るときは、大人も子どももできるだけヘルメットを着用することをおすすめします。
<宮下さんコメント>

タウンユースの一般的なニット帽でも構いませんが、雪や雨が降ったときのことを考えると、はっ水機能を備えた帽子が良いでしょう。
また、子どもはヘルメットをかぶったほうが安全です。海外のスキー場では、大人、子ども問わずヘルメット着用を推奨しているケースもあるほど、実は重要なアイテムです。
雪遊びをするときは帽子、滑るときはヘルメットと使い分けるようにしましょう。
ゴーグルでUV対策も
スキーを楽しむ際に欠かすことのできないアイテムといえば、ゴーグルです。視界を確保することはもちろん、雪面からの照り返しなど、紫外線から目をカバーしてくれる効果もあります。
<宮下さんコメント>

スキー場では、雪上の紫外線が非常に強いので、サングラスやゴーグルは必須です。
また、転倒したときに目を守るという役割もあるので、初心者は特に、しっかりと目のまわりを覆うタイプのスキー用ゴーグルを選びましょう。
フェイスマスク・ネックチューブ・バラクラバで保温&UV対策
今では日常生活でもマストアイテムとなったマスクですが、スキー用のフェイスマスクは呼吸のしやすさや保温性、速乾性などの機能にも工夫が凝らされているので、スキー用のものを選ぶことをおすすめします。
また、フードのように頭からかぶるフードウォーマーや、首から口元まで覆えるネックチューブ、目出し帽と言われるバラクラバなど、いろいろなタイプがあります。
<宮下さんコメント>

フェイスマスクの役割としては、防寒のほかに紫外線防止の意味合いもあります。
ネックチューブやバラクラバなどは、ゴーグルと合わせて使うと顔全体を守ることができますが、その分、息苦しさを感じる可能性も。通気性に優れた素材のものを選んだほうが快適です。
インナー(下着・肌着)の着替えは必須!
ウェアの中は思いのほか汗をかくので、下着・肌着の着替えは持参するようにしましょう。
<宮下さんコメント>

大人はもちろん、子どもはさらに汗をかいたり、遊び回って濡れたりする可能性が高いので、着替えは多めに用意したほうが安心です。
日焼け止めクリーム・リップクリームでUV対策を
冬だからと油断しがちですが、雪面からの照り返しも含めて、ゲレンデの紫外線は大敵です。日焼け止めを忘れずに持参しましょう。
また、唇の日焼け防止と乾燥防止の役割から、リップクリームも併せて用意を。
ゴーグル拭きは付属のものでOK
ゴーグル購入時に付属しているものを使うことが多いですが、携帯しやすいようにストラップタイプになっているものなどもあるので、プラスアルファで用意しても良いでしょう。
リフト券ケースはウェアに装備
スキー用のウェアであれば、大半の場合は腕部分などにリフト券を入れる機能が付いているものが主流です。
ウェアと別で用意する場合には、腕に巻くタイプ、グローブの手の甲の部分に入れるタイプなどもあるので、使いやすいものを選びましょう。
また、スマートフォンやコインを一緒に入れられるタイプなど、機能性にも注目してみてください。
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