「レシーブの時、腕が痛いからやめたい」バレーボール小中学生の悩み解決を目指すサポーターとレシーブ練習のコツを石川祐希選手に聞いた

「レシーブの時、腕が痛いからやめたい」
バレーボール小中学生の悩み解決を目指すサポーターとレシーブ練習のコツを石川祐希選手に聞いた

  • 2021/11/16 (火)
  • 2023/12/01 (金)

世界最高峰プロリーグであるイタリア「スーペル・レガ」のパワーバレー・ミラノに所属する石川祐希選手。

デサントは石川選手とアドバイザリー契約を結んでおり、バレーボール選手としての経験やアイデアをもとに商品を共同開発しています。

そんななかで話に上がったのが、バレーボールを始めた小中学生が途中でやめてしまう理由の一つに「ボールをレシーブする際の腕の痛み」があること。

そこで、この悩みを解決する目的で「リストサポーター」をデサントが石川選手と共同開発しました。

このサポーターは、ボールの衝撃を緩和するだけでなくバレーボール初心者がレシーブを上達する工夫も施されています。

具体的にどのような工夫が施されているのか、石川選手に取材。併せて、「レシーブの基本」も教えてもらいました。

「正しい位置でレシーブできれば痛くない」

インタビューに答える石川祐希選手

――今回、デサントと共同開発したリストサポーターは、レシーブ時のボールの衝撃を緩和するアイテムとなっていますね。

そうですね。子どもたちのなかには、せっかくバレーを始めても、腕が痛くてやめてしまう子が多いと聞きました。その課題を解決し、たくさんの人にバレーボールを楽しんでもらいたいと思い、この商品の開発に携わらせていただきました。

このリストサポーターを使ってバレーボールを楽しみながら、しっかり基礎・基本を身に付けてほしいと思っています。

――石川選手も、バレーを始めた頃は同じように腕の痛みを感じたのでしょうか?

はい。僕がバレーを始めたのは小学校4年生からですが、その頃は腕が痛かった記憶がありますね。今も強いボールをレシーブするときは痛みを感じることがありますよ。

――今でも痛むことがあるんですね。

プロになると練習でサーブマシンなどを使うことが多くなり、回転数や摩擦の強いボールを受ける機会が増えてきます。レシーブをする腕の位置が少しでもズレるとあざになったりということがありますね。

3つの工夫で、衝撃緩和とレシーブの上達をサポート

デサントと石川選手が共同開発した「リストサポーター」

――このリストサポーターは、どうやってボールの衝撃を緩和するのでしょうか?

大きく3つの工夫があります。1つ目は、サポーターの素材を適度に厚くし、ボールから受ける衝撃を緩和するようにしました。

2つ目の工夫は、親指を引っ掛ける構造になっている点です。バレーを始めたばかりの人はレシーブの位置が定まらず、親指近くにボールが当たることが多い。ここは特に痛みを感じやすいんですよね。

そこで、親指の近くにボールが当たっても衝撃を和らげられるように、この構造にしました。また、親指に引っ掛けることでサポーターがズレにくくなるメリットもあります。

――なるほど。そして3つ目の工夫とはどんなものですか?

リストサポーターの3つ目の工夫

腕の内側にプリントされたデサントのロゴマークです。

レシーブするとき、このロゴの位置にボールを当てると衝撃を吸収しやすく、痛みを感じにくい。正しいレシーブの位置を覚えるための目印になっています。

また、レシーブのときにはボールを返したい方向にロゴの中央の矢印を向けて、目線も同じ矢印の先を見るようにします。

そうすると、体全体でボールを受けて、より正しい姿勢でボールを返すクセがつくので、レシーブの上達にもつながり、ボールの衝撃を緩和するだけでなく、子どもたちがうまくレシーブできるように工夫されているんです。

初心者の人は、どうしてもボールを怖がってしまいレシーブが苦手になりがちです。正しい位置でレシーブできれば痛みもありませんし、思い描いたところへパスできるようになります。

それを手助けしてくれるのがこのリストサポーターです。僕自身、子どもの頃にあったら欲しかったですね!

石川祐希に聞く「バレーボールのレシーブがうまくなる練習のコツ」

レシーブを受ける石川選手

――リストサポーターの仕組みが分かったところで、子どもたちに向けてレシーブの仕方を石川選手に教えていただけたらと思います。

分かりました。レシーブには、いくつかポイントがあります。まずは手の組み方ですが、両手を重ねるときは、どちらの手を上にしても構いません。

それよりも大切なのは構えたときの両腕の高さです。両腕の高さをそろえて平らな面を作るイメージで手を組みましょう。両腕の高さがそろわずにどちらかの腕の高さが高くなってしまうと、ボールを真っ直ぐ返すのが難しくなります。

そして、レシーブでは肘をしっかり伸ばし続けるのが基本です。

ボールを当てる位置については、親指近くではなく手首と肘の間、そのなかでも少し手首寄りの位置にボールを当ててレシーブしましょう。

――腕や肘以外で注意する点はありますか?

レシーブの構えをするときは、足のスタンスを肩幅より少し広めに取り、腰を落としましょう。膝は力を抜いて少し曲げます。

もう1つ、気を付けてほしいのが目線です。ボールが来てレシーブを受けるまで、顎をしっかり引きましょう。ボールを受けるときに顎が上がると目線がブレてしまい、正確なレシーブが難しくなります。顎を引き、レシーブの瞬間までボールをきちんと見るのが大切ですね。

基礎練習を続けるコツは「技術を極める」意識を持つこと

インタビューに答える石川選手

――ありがとうございます。石川選手も、子どもの頃にこういった基礎練習を何度もしたのでしょうか?

そうですね。小中学生の頃は基礎練習をたくさんした記憶がありますし、今でも基礎・基本は大切にしています。基礎・基本ができているから、試合で幅広い応用ができると実感します。ぜひ子どもたちには今のうちに基礎練習を頑張ってもらいたいです。

――基礎練習というと、どうしても前向きになれない子どもも多いと思います。石川選手から何かアドバイスはありますか?

基礎練習は反復練習が多いので、「つまらない」とか「苦しい」と思うこともあると思います。でもそこに楽しさを加える工夫をしてみたり、「うまくなりたい」という強い気持ちを持って取り組んでほしいですね。

そして、できたときの達成感や自分がレベルアップしていることを少しずつでも実感してほしいです。僕は、今は「楽しむ」というより「極める」といったモチベーションで練習しています。

――ありがとうございます。このリストサポーターによって、よりたくさんの人がバレーを楽しめると良いですね。

そうですね。バレーボールを最近始めた人やレシーブの痛みに悩む人、レシーブに苦手意識がある人は、ぜひ手に取ってみてください。

 

<プロフィール>

石川祐希(いしかわ ゆうき)

イタリア「スーペル・レガ」パワーバレー・ミラノ所属。大学卒業後はプロバレーボール選手として活動し、イタリアでの選手生活は7シーズン目を迎える。

 

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