男子プロバレーボール選手として活躍し、現在は世界最高峰プロリーグ、イタリア1部リーグ(セリエA)のミラノでプレーする石川祐希選手。
最高到達点3m51cmとも言われる跳躍力、相手ブロックのわずかな隙間を見つける的確なコース選択、強烈なスパイクなど、その類まれなる才能に世界中から期待を寄せられています。
そんな石川選手は「高校・大学時代からデサントを長年愛用しています」と話すなど、着用するスポーツアイテムには独自のこだわりを持っているのだとか。
今回、石川選手との共同開発によりデサントから「5本指スーパーショートソックス」をリリース。
開発担当の岡野哲大氏に伺いながら、石川選手がプレー時に抱く体の感覚やアイテムへのこだわり、一流選手として活躍を続ける秘訣をひも解いていきましょう。共同開発時の石川選手のコメントも紹介していきます。
快適性だけでなく、競技時の感覚を左右するバレーボールソックス。石川選手のアイテムへのこだわりとプレー時に抱く感覚とは
――まずは石川選手との共同開発を進めるなかで、石川選手はバレーボールソックスへのどのようなこだわりを持たれていましたか?
岡野:石川選手は以前から「5本指ソックス」を愛用していました。理由として、地面をつかむ感覚や地面の踏ん張りを感じやすいという感覚のことを話していました。
デザインとしては、シンプルなデザインのソックスを好んで着用しています。機能性に特化したソックスを求めるということは、おのずと“無駄のないデザイン”を選ぶことになります。
例えばソックスに刺繍を入れると高級感は出ますが、場合によって裏は少しチクチクして、プレー中に気になってしまうこともあります。
石川選手は、ソックス選びで左右される影響をしっかりと考えられていたのだと思います。
アタックやレシーブの動作で踏ん張る際は、親指に一番力が入ります。5本指ソックスなら、ほかの4本の指が親指に巻き込まれず別々に動かせるので、しっかり踏ん張っている感覚が分かる。バレーをするうえで、愛用するアイテムの一つですね。
――ほかに石川選手が抱く「プレー時に大切にしている感覚」について詳しくお聞かせください。
岡野:バレーボールはジャンプ時の踏ん張りがとても重要。特にアタックでは走力を利用して地面を蹴って高く飛ぶことで、強烈なインパクトを生み出します。
石川選手は190cm以上の長身。80~100cmジャンプすると考えると、身長が高いほど足にかかる衝撃や負担は大きくなります。そのため「足指や足裏の感覚」を重視してソックスを選ぶことで、ケガを予防したり、高度なプレーにつながったりすると考えられていました。
アタックやレシーブの動作をする際に、ストレスなくプレーできることを意識したソックスを選んでいます。生地の厚さ、指の付け根にホールド感のあるようなソックスですと履き心地良くプレーができます。
石川選手と共同開発した「5本指スーパーショートソックス」。地面をつかむ感覚に加え、生地の厚さ、指のホールド感を研究し履き心地の良さを実現
石川選手の武器は「動作の切り返し」。機敏な身のこなしによる負担を“限りなく軽減すること”が鍵に
――今回の「5本指スーパーショートソックス」を開発する過程で、石川選手からはどのような意見がありましたか?
岡野:開発当初、私たちは選手がより高く飛べるサポーターやギアを作るイメージをしていました。
しかし、石川選手からは「ケガなくプレーができるサポーターにしたい」「トップの選手だけでなく、子どもから大人まで多くの人にも履いてもらえる履き心地の良いソックスにしたい」と意見をいただき、考え方が変わりました。
しっかり動きやすいことはもちろん、“長くバレーを楽しむ”という意識を一番に持っていることが印象に残っています。
――そのような石川選手の意見は、商品の設計面でどう活かされているのでしょうか?
岡野:石川選手の意見をくみ取り、アマチュアからトップ選手まで広い範囲のバレーボーラーに履いてもらえるような、自由度の高いソックスの開発を目指しました。
これまでデサントで開発してきたソックスなどをいくつか石川選手に履いてもらい、ディスカッションを重ねて半年ほどかけて設計。履いていて痛くなったり、破れてしまったりする不具合を改善し、長く愛用してもらえるソックスを完成させました。
トッププレイヤーの意見を具現化することで、真の意味で“競技者ファースト”の開発に成功
――石川選手の意見を取り入れたうえで、「5本指」「ショート丈」を選択した理由をお聞かせください。
岡野:デサントの研究開発拠点である「DISC(ディスク)」で検証したところ、バレーボールのジャンプアクションは「5本の足指」を満遍なく使っているという結果が出ました。つまり縦横に機敏に反応してジャンプするために、バレーボーラーには5本の指がしっかり使える5本指ソックスが向いていると考えられます。
また、最近では冬場の体育館でも暖かい空調がきくので、ハイソックスで足を保温することにこだわらなくても良いと思います。締め付けがなく動きやすいので、選手からもショート丈ソックスがよく選ばれているんです。
新しく開発した「5本指スーパーショートソックス」は、ハイカットのバレーボールシューズでもストレスなく履けるような、ちょうど良い丈の長さに調節しました。
――石川選手とセッションするなかで、岡野さんが開発者として得た“気付き”や“新たな発見”を教えていただけますか?
岡野:僕ら開発者は、選手のハイパフォーマンスにつながることを一番に考えがちです。
しかし、トップ選手である石川選手が大切にしていたのは「ケガなくプレーすること」「長く楽しむこと」。“スポーツを楽しむ”という基本的な部分を考えたモノづくりをしていこうと気付きました。
あとは、「尊重」「感謝」「努力」を大切にする石川選手の考え方がとても良いなと思っています。石川選手のような相手を思いやる優しさや人につないでいく精神を、今後仕事をしていくうえで大切にしていきたいです。
今回開発した「5本指スーパーショートソックス」は「指が別々に動く感覚」「フィット感」「履き心地」がポイント。地面をつかむ感覚や踏ん張る感覚を大事にしている方は、ぜひ履いて実感していただきたいです。
立体構造・クッション・メッシュ調・アーチ構造を研究して生み出された「5本指スーパーショートソックス」をチェック!
「アマチュアからトップ選手まで、多くのバレーボーラーにより長くバレーを楽しんでほしい」。
そんな石川選手の想いから“フィット感”や“履き心地の良さ”を追求し、デサントの「5本指スーパーショートソックス」が開発されました。
最後に「5本指スーパーショートソックス」の機能性や特徴を紹介します。
立体構造に改良することで、履き心地と指の間のストレスを軽減
一般的な5本指ソックスは指先を入れる部分も平面状に縫い上げていますが、デサントの「5本指スーパーショートソックス」は指の形に沿った「立体構造」に縫い上げることで履き心地を改良。指先の形に合わせた設計で高いフィット性を実現しました。
この立体構造によって、アタックやレシーブ時にかかるブレーキに対して、ソックスが指の間へ食い込むストレスを軽減。地面からの力が1点ではなく面全体に加わることで、足の痛みやソックスが破れてしまう悩みも解消してくれます。
クッション性を調整し、着地、切り返し時に体にかかる負担を軽減
かかと部と前足部には、柔らかいパイル構造を採用。ソックスのクッション性を向上させ、衝撃による負担を軽減しています。
また、「ブレーキ時にソックスが指の間に食い込んで痛い」という石川選手の悩みを参考に、従来の滑り止め機能を改良しています。衝撃吸収力を確保しつつ生地を薄くすることで、ちょうど良くブレーキのかかるソックスになっています。
アーチサポートで履き心地にも配慮。メッシュ素材で通気性にも優れる
運動機能に重要な中足部の「アーチサポート」を採用。土踏まずを締める構造になっており、足裏がアーチ状になることで着地時の衝撃が和らぎ、足が疲れにくくなります。
さらに、足の甲部分はメッシュ調にすることにより通気性を向上させ、蒸れを軽減する設計になっています。
石川選手共同開発「5本指スーパーショートソックス」は機能性に優れた1足
パフォーマンスを高めるという点に固執せず、「ケガなくプレーすること」「長く楽しむこと」という石川選手の視点を盛り込んで開発したソックス。バレーボールと真摯に向き合い、日本を代表する立場であるからこそ、“スポーツを楽しむ”ことを何よりも大切に感じられているようでした。
そんな、石川選手のプロフェッショナルな意見をもとに生み出された、「5本指スーパーショートソックス」。このソックスを履くことで、「指が別々に動く感覚」や「フィット感」、「履き心地の良さ」を体感してみてはいかがでしょうか。
インタビュー動画はこちら
<プロフィール>
石川 祐希
2018年大学卒業後、プロバレーボール選手としてイタリア・セリエA、“シエナ”に所属。現在は同じくイタリア・セリエA、“ミラノ”で活躍している。
デサントマーケティング1部 チームスポーツMD課
岡野 哲大
2013年にデサント入社。アスレチック部門「MoveSport」デザインカテゴリーを担当。デサントがサプライヤー契約を結ぶ各競技のデレゲーションウェアもデザイン。2018年からはバレーボールデザイン担当になり現在は野球デザインも兼任。
バレーボールの世界最高峰プロリーグであるイタリア「スーペルレガ」の、パワーバレー・ミラノに所属する石川祐希選手。デサントは、石川選手とアドバイザリー契約を結んでおり、これまでバレーボール用の「膝サポーター」や「5本指ソックス」などを共同開[…]