2021年の年始の駅伝で総合7位となり、2年ぶりのシード権を獲得した順天堂大学 陸上競技部。
キャプテンとして最後の駅伝に挑んだ4年生の清水颯大選手、大型ルーキーとして注目される1年生の三浦龍司選手など、若きランナーの走りがこの成績につながったと言えるでしょう。
今回は、デサントが順天堂大学 陸上競技部のサポートをしている経緯から、清水選手と三浦選手、そして長門俊介監督にオンラインインタビュー。年始の駅伝を終えて感じること、コロナ禍でシード権を再獲得するまでの道のりなどを振り返っていただきました。
さらに、卒業する清水キャプテンから三浦選手へのメッセージや、2人が愛用しているお気に入りのアイテムも紹介します。
「もっと上を目指せた」シード権のうれしさより悔しさが勝った駅伝
――まずは年始の駅伝、お疲れ様でした!総合7位(往路7位、復路8位)という結果について、率直にどう感じていますか?
清水:シード権を獲得できたことはホッとしています。来年は学生三大駅伝のすべてに出場できるので、4年生として後輩にシードを残せたのは良かったかなと。ただ、本音は「もっと上を目指せた」という悔しさのほうが強くて。後輩にもこれで満足してほしくないと思っています。
三浦:僕も悔しい気持ちのほうが強いです。狙っていた5位以上に届かなかったし、清水さんと同じく、「もっと上を目指せる!」と感じました。それは部員全員が感じていることだと思います。
写真左:清水選手、写真右:三浦選手
長門:2人が言うように、今回は悔しさと可能性を感じた大会でしたね。直前に選手のケガがあり、ベストメンバーで挑むことはできませんでした。その影響で清水も急遽6区に回して…。だからこそ、「もっと上に行ける」という可能性も感じました。
写真:長門監督
キャプテンが区間2位の快走を見せた6区
――6区の清水選手は、区間2位の走りを見せました。総合順位も7位から5位に上げる結果となりましたが、当日の走りを振り返ってどのような感想をお持ちですか?
清水:スタート前から、少しでも前との差を縮めようと思っていました。6区は序盤の上りで差がつきやすいので、最初から飛ばそうと。実際に、スタートから5km地点で想定より20秒ほど速く入れて、プラン通りのレースができました。体の動きも予想以上に良かったです。
――最後の駅伝、かつキャプテンということでプレッシャーはありませんでしたか?
清水:もちろんありました(笑)。キャプテンという立場はもちろん、年始の駅伝では過去3年、一度も思うような走りができなくて(※1年生7区区間18位、2年生6区区間15位、3年生6区区間12位)。「もし今回も走れなかったら……」という不安はありましたね。
――そのなかで、これだけの走りができました。
清水:最後の最後に、開き直れたんです。今年にかける思いは誰よりも強かったし、キャプテンが不安に負けてはいけないと思って。何より、1年間、できる限りの準備をした自信があったので、良い意味で開き直れたんだと思います。
注目の新人を待ち受けていた「超スローペース」
――三浦選手は初めての出場でいきなり1区を任されました(区間10位)。昨年10月の予選会では大迫傑選手の保持していたU20日本最高記録を更新。11月の全日本大学駅伝も1区で区間賞を獲得するなど、スーパールーキーとして注目を集めていましたよね。今回の走りを振り返ってどう感じますか?
三浦:スタート後、前半のスローペースに戸惑ってしまいました。ジョグのように遅く感じるところもあって。うまく体力温存すれば全日本のように後半でペースアップできると考えていたのですが、途中から急激にペースが上がり、ついていけなくて……。実力不足を痛感しましたね。
長門:本人はそう言いますが、順大はここ数年、1区で出遅れるケースが続いていたので、三浦が1年生ながら流れに乗ってくれたのは大きかったですよね。それ以降の選手の頑張りにつながったと思います。
コロナ禍で変化した大会や練習。そのなかで好成績を収めた理由とは
――コロナ禍の1年間は、練習や大会の様子も大きく変わったと思います。どのように対応していましたか?
清水: 昨春は全員が一時帰宅になり自主トレをしていたのですが、全員がポジティブに捉えていましたね。各自でメニューを考えて、足りない部分を補おうと。一時帰宅が終わって久々に合流したら、むしろ前より力が付いている人のほうが多くて(笑)。三浦もこの期間のトレー二ングが秋の活躍につながったと思います。
三浦:そうですね。入学してすぐ一時帰宅になって、まだ部活の雰囲気さえつかめていないときでした(笑)。ただ、自分で練習を考えて、パフォーマンスをコントロールできた経験は大きかったです。今後の競技人生に活きると思います。
――一時帰宅時には、どのような練習をしていたのでしょう?
三浦:地元の陸上トラックはコロナの影響で使用できなかったので、毎日長い距離を走って脚づくりをすることにしました。ワンパターンでも、繰り返して強化しようと思ったんです。メニューを作るうえで自分の体を見つめ直しましたし、脚の状態・疲労も日々チェックしましたね。
こんなときだからこそ、キャプテンは「ポジティブでいるべき」
――清水選手は、キャプテンとしてチームを引っ張るなかで何を大切にしていましたか?
清水:こんな時期だからこそ「ポジティブでいよう」と意識していました。僕が理想のキャプテン像として思い描いていたのは、昨年のキャプテン・藤曲寛人さんです。藤曲さんはいつもポジティブというか、開き直っていて。どんなときでも「何とかなるだろ」「まあ余裕だろ」みたいな(笑)。
――年始の駅伝でも「開き直れた」と話していましたが、そういう背景があったんですか?
清水:……かもしれません。僕はもともとネガティブな面があったのですが、この1年、キャプテンはポジティブでいるべきだと思ってきたので。コロナで試合も減りましたが、むしろ「練習をしっかり積める」と、チーム全体でポジティブに捉えて。それがシード権の獲得につながったと思います。
普段から学年の垣根をなくすことが「チームのために」という頑張りになる
――三浦選手はキャプテンを見てきてどんなことを感じましたか?
三浦:いつも、僕ら後輩が個性を出しやすいように、学年の壁をなくす雰囲気を作ってもらったのが印象的です。後輩を笑わせたり、話しやすい空気にしてくれたり。のびのびと力を発揮しやすい環境だったと思います。
――特に印象に残っているシーンはありますか?
三浦:うまく伝えられないのですが(笑)、ミーティングのときにちょっとした言葉でみんなを笑わせて、下級生が意見を出しやすい雰囲気にしてもらいました。そういった気遣いも含めて、僕らがキャプテンの思いを引き継いでいきたいと思っています。
清水:もともと堅苦しいのが嫌いで、なるべく学年の隔たりをなくしたかったんです。1年から4年まで本当の意味で結束すれば、試合で苦しいときに「先輩・後輩のため」「チームのため」という気持ちが強くなるはず。そして、それが成績につながると思うので。
長門:先輩・後輩の仲が良いのは順大のカルチャーでもありますよね。体育会系の厳しい縦社会を想像されがちですが、うちは適度な上下関係がありつつ、風通しは良いと思います。
「三浦はこのままいけばどんな選手も超えるランナーになる」
――清水選手は卒業して実業団に所属します。これから、エースとして順大を背負っていく三浦選手にどんなことを伝えたいですか?
清水:三浦はこのままいけば歴代のどんな選手も超えるランナーになると思っているので、とにかく突っ走ってほしいですね(笑)。チーム全体を見ても、1・2年生のレベルが高いし、それに負けじと3年生も頑張っているので、来年はとても期待しています。僕自身は実業団で競技を続けますが、後輩の刺激になる走りをしたいですね。
三浦:ありがとうございます。年始の駅伝でチームの選手層の厚さを実感できたので、自信を持って1年を過ごしたいです。一人ひとりが自分の能力を過小評価せず、楽しんで走れれば、まだまだ上を目指せるチームだと思うので。
――監督はどう感じていますか?
長門:清水をはじめ、今の4年生がベースを作ってくれました。私もまだ上を目指せるチームだと思うので、年始の駅伝を足がかりに、上位争いを目指したいと思います。
順天堂大学のメンバーが愛用しているアイテムとは
――記録を伸ばすうえでは、シューズをはじめ、 ランニングアイテムも大切な要素だと思います。お2人はどんなアイテムを愛用していますか?
清水:いろいろあるのですが、冬場に使うアームウォーマーにはこだわっています。僕は腕が細めで、走っているうちにアームウォーマーがズレて気になることが多かったんですが、今使っている「3DUVアームカバー」はしっかりフィットするので好きですね。実業団に入っても使い続けるつもりです。
三浦:同じく体を温める意味で、僕はランニングパンツの「Syuuutto Fitパンツ」を愛用しています。着圧がほど良くて、軽いのに1枚で暖かさを感じるタイプが好きで、今年使っていたパンツは良かったですね。
今後もトレーニングはもちろん、自分に合ったアイテムをうまく使いながら、チームとしても個人としても、さらに成績を伸ばしていきたいと思います。
文/有井太郎
撮影(アイテム)/森カズシゲ
<プロフィール>
清水颯大(しみず・そうだい)
順天堂大学駅伝部4年生。主将を務める。2021年の年始の駅伝では6区で区間2位の好走。今後は大塚製薬に入社し、実業団の選手として競技を続ける。
三浦龍司(みうら・りゅうじ)
順天堂大学駅伝部1年生。2020年に3000m障害で日本歴代2位の記録をマーク。年始の駅伝における予選会のハーフ走破タイムは、U20日本人最高記録を樹立した。
長門俊介(ながと・しゅんすけ)
順天堂大学駅伝部監督。学生時代に同大学駅伝部に所属。4年連続で9区を走り、2007年には区間賞を獲得した。2011年にコーチ就任し、2016年から監督。
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