ランニング初心者もためになる。積水化学女子陸上競技部の選手に聞く、ランニングウェアへのこだわり

  • 2020/10/16 (金)
  • 2023/12/05 (火)

健康志向が高まりつつある近年。特別な用具もいらず、場所を問わないランニングは気軽に始めやすいスポーツとして人気が高まっています。

そんななか、「せっかくなら機能性とデザイン性を兼ねたランニングウェアを新調して、モチベーションを維持したい」という声も。

そこで今回は、積水化学女子陸上競技部に所属されている宇田川侑希選手(写真左)・森智香子選手(写真中央)・野村蒼選手(写真右)にインタビュー。

積水化学女子陸上競技部にはこれまでも日本を代表する選手が所属し、数多くの大会で活躍する陸上チームで、積水化学グループの従業員からの社内公募により「セキスイフェアリーズ」の愛称を持ち、ファンからも親しまれています。

そんなプロランナーの目によるウェアの選び方に加え、ご自身の原動力やチームのこれからについて語っていただきました。

強さの秘訣は「徹底的に自分と向き合える環境」と「意識の高いチームメイト」

ゴール直前の森智香子選手

――まずは皆さんが積水化学女子陸上競技部に入ったきっかけを教えてください。

インタビューに答える宇田川侑希選手

宇田川:私の母校である日本体育大学柏高等学校は、積水化学女子陸上競技部の練習拠点の一つなんです。高校生の頃から練習されている先輩たちを間近で見てきたので、その当時から憧れがありました。

私も実業団に入りたいと思ったのは、あるとき観戦した駅伝大会がきっかけ。選手たちの姿に心を動かされ、自分も誰かを感動させるような走りがしたいと思うようになったんです。そのタイミングで積水化学女子陸上競技部の方から声をかけていただき、入部を即決しました。

森:私は大学3年生のときに日本代表で出場した大会で、積水化学女子陸上競技部の選手と一緒になったのが始まりですね。そのときにすごく印象的だったのが、野口監督の熱量です(笑)。

10000mに出場していた積水化学の選手が途中から独走状態で、「これは優勝できそうだな」と思えるような展開だったんです。それでも野口監督は声が枯れるほど大きな声で、最後まで選手を励ましていて…。

そんな監督の熱意を目の当たりにしたり、選手から普段の練習について聞いたりするうちに、積水化学女子陸上競技部に入りたい気持ちが強くなりました。

あと、監督から「まだ駅伝で優勝したことがない」と聞いたのも大きかったです。私も大学では2位止まりで悔しい思いをしていたので、「初優勝」に貢献したいと思いました。

うちのチームには日本記録やオリンピック金メダルなど素晴らしい歴史はあるんですが、まだ作られていない歴史というのは駅伝しかなかったので、そのメンバーの一員になりたいと強く思いましたね。

野村:私の場合は、高校時代の監督の紹介で中学3年生のときに積水化学女子陸上競技部の合宿に参加したのがきっかけです。それまで地元和歌山にいて近畿大会や県で1位になることを目標にしていた私にとって、日本のトップや世界を見据えている選手たちとの競技レベルや目標の差は衝撃でした。

でも実際に意識の高い選手のなかに入って一緒に練習してみたら、とても楽しくて強くなりたい気持ちが自然と湧いてきたんです。そんな環境のなかでもっと力を付けたいと思い、入部を決意しました。

――ご自身にとってターニングポイントとなったできごとはありますか?

インタビューに答える野村蒼選手

宇田川:去年経験した骨折ですね。ちょうど駅伝のメンバーを選考する時期の骨折で相当気落ちしましたし、もともと負傷も多かったので辞めることも考えました。

でもそんなときに野口監督をはじめ、コーチやトレーナーがすごく力を貸してくださったんです。大きな怪我をしたことで、改めて自分のことを支えてくれている人がたくさんいるということを感じました。

それからは「ここで諦められない、結果をちゃんと残したい」と強く思い、再起することができました。もちろん怪我をしたことは残念でしたが、今は怪我をして得たことのほうが大きかったと思っています。

野村:私も初めて負傷を経験したときに考え方が変わりましたね。一昨年の12月に怪我をしてから2ヶ月思うように走れなくて、辞めることしか頭になかった時期がありました。今までは走れるのが普通だったのに、怪我をしてからは歩くのも痛かったり、走るとまたすぐ痛めたり…。

ありがたいことに怪我が治って今も続けられていますが、負傷後は今まで当たり前だと思っていたことに感謝できるようになったのは成長かなと思っています。

森:私は入部した年の、初めてのアメリカ合宿と大会です。大学時代にインターカレッジや日本選手権で結果を残してきた自負があったんですが、その合宿で自分の甘さを思い知らされました。

海外も高地トレーニングも初めてで、周りには実力ある先輩たち。いろいろなことに自分の心身が追い付かず、思うような走りができないまま1ヶ月の合宿が終了。しかも、その後出場したアメリカでのデビュー戦でボロボロに負けてしまって…。

そこで野口監督に雷を落とされて、意識を変えることが必要だと痛感しました。今まで築き上げたものを全部捨てて必死で食らいつき、2週間後の東日本大会で結果を出そうと決めたんです。その結果優勝できたのですが、もし大学時代の甘い考えのままだったら実業団では通用せずに潰れてしまっていたと思います。

――チームの雰囲気はいかがですか?

宇田川:ご飯の時間などはたわいない話をしたりして、とても楽しい雰囲気です。でも練習となるとみんな集中モードに入るので、ここぞというときに力を出せるチームですね。オンとオフの切り替えはしっかりできていると思います。

――チームがまとまるきっかけとなったできごとは何かありますか?

インタビューに答える森智香子選手

宇田川:去年のプリンセス駅伝での優勝です。「次もこの調子でいけるんじゃないか」という、良い雰囲気で次の大会に向かうことができました。

森:それまでは結構「個」が強かったり、まだチームとしてまとまりきれていない感じがあったんです。でもその優勝は力を合わせて獲れたということもあり、みんなで喜びを分かち合えたことでチームの団結力が上がったと思います。

プロランナーの視点から見る、「快適な走り」を支えるランニングウェアの条件

デサントのパンツをはいた様子

【ランニング】SyuuuttoFit 防風ランニングロングパンツ

――プロランナーにとって、ランニングウェアは重要なアイテムの一つだと思いますが、ウェアを選ぶ際のこだわりを教えてください。

森:やはり気分を上げていきたいので、デザインやシルエットは大切です。私はピンク色が好きなので、デザインも女性っぽいウェアを選びがちですね。もちろん夏なら速乾、冬なら保温といった機能性も重視しています。

――デサントの「SyuuuttoFitパンツ」をはいてみていかがでしたか?

ウェアについて話す陸上選手3名

森:「SyuuuttoFitパンツ」は、膝下が結構フィットしているのが特徴的ですよね。ぴったりしているけど伸びが良いので、窮屈ではなくとても過ごしやすいと思いました。

宇田川:全部がタイトなわけではなく、膝上はゆったりしているのがすごくはきやすいです。

SyuuuttoFitパンツをはいた後ろ姿

森:あと、ファスナー付きのポケットがあるのはうれしいですね。合宿中、ホテルの鍵を持ち歩いたりするときとかに重宝しそうです。

宇田川:個人的には後ろポケットが魅力的。散歩中にスマホで音楽を聴くことが多いんですが、スマホを後ろポケットに入れると横ポケットよりも重みが気にならないんですよね。

デサントのパンツをはいて練習する様子

――今年も猛暑でしたが、気温が高い日はどんな工夫をして練習されていましたか?

コアクーラーを試着している様子

野村:今年の夏は、手のひらを適温で冷やす「コアクーラー」のおかげで暑さに負けずに練習ができました。

森:普通の保冷剤だと冷たすぎてずっと持っていられないんですが、これはちょうど良い冷たさ。それに走るときはあまり手を固く握らないので、アタッチメントによって自分の握力を使わずに持っていられるのも助かります。

宇田川:ランナーはもちろん、熱中症対策などのニーズにも応えられるアイテムだと思いました。

――「HEATRELEASE クーリングキャップ」も使用されたと伺いましたが、使い心地はいかがでしたか?

HEATRELEASEクーリングキャップを試着する様子

宇田川:実は私、熱がこもるからキャップは苦手なんです。でも「HEATRELEASEクーリングキャップ」は穴が空いていたり、内側のクッションで頭と帽子の間に隙間ができていたりするので、風通しがすごく良いですね。しかもとても軽いので、ストレスなくかぶれるキャップだなと思いました。

HEATRELEASEクーリングキャップの内側の作りを説明する様子

森:私はもともと帽子派ですが、帽子をかぶった後におでこに跡が付くのが本当にイヤで(笑)。会社に行く前にひと走りすることもあるんですが、そんな状態で出社するのが恥ずかしくて…。

その点、クッションが付いている「HEATRELEASEクーリングキャップ」だと、おでこに跡が付かないし汗も吸ってくれるので気に入っています。

HEATRELEASEクーリングキャップについて話す様子

野村:深くかぶれるし、ほど良いフィット感があって走っているときもまったく気にならなかったので、パフォーマンスに支障をきたすこともありません。これからも強い日差しの日や雨の日の練習に使っていきたいですね。

集中とリラックスをうまく切り替え。休むことが明日の頑張りにつながる

――厳しい練習をこなしていくうえで守っている「マイルール」はありますか?

インタビューに答える森選手・野村選手

野村:ずっと頑張っているとメンタルが疲れてしまうので、しっかりやるときはやって休むときは休む。オンとオフの切り替えを意識したら心や体への負担が減り、集中力が上がったように思います。

宇田川:私は怪我をしやすいので、人一倍ケアの時間をしっかり取ること。超音波の器具を当てたりマッサージをしたり、毎日ちゃんと自分の疲労と向き合うようにしています。

森:私は、毎日必ず湯船にゆっくりつかることですね。時間があるときは1時間以上入ることも。疲労回復という意味もありますが、「明日も頑張ろう!」という切り替えのタイミングでもあると思っています。

「走りを通して元気を届けたい」。明日へと駆ける彼女たちの原動力

インタビューに答える宇田川選手・森選手・野村選手

――ずばり、皆さんの原動力は何でしょう?

森:「支えてくださっている方や応援してくださっている方の期待に応えたい」という気持ちですね。地元長崎はここから遠いので、ちょっとした成果ではなかなかそちらまで届かないんです。だからテレビに映る試合や新聞に載るような大きい大会でも結果を残し、普段応援してくださる方に自分の頑張りを見ていただきたいです。

野村:私も同じく、皆さんからの応援の声や地元の友達がかけてくれる言葉が力になっています。あとは、先輩たちの姿にもたくさん刺激をもらっています。大きな舞台で活躍されている先輩たちを見ると、「いつか自分も同じ場所に立てるような選手になりたい」と思えるので。

宇田川:私もやはり支えてくださっている皆さんへの感謝の気持ちです。怪我の多い私をいつも気にかけてくれて、フォローしてくださる会社の方へ、走りで結果を出すことで恩返しがしたいですね。

あとは家族。特に母がいつも心配してくれて、ちょっと私の調子が悪くなってくると必ず「最近大丈夫なの?」って連絡が来るんですよ(笑)。母親の勘なんですかね。

母はいつも「元気に楽しくやっているのが一番」と言ってくれますが、やっぱり私としては自己ベストを出すことや駅伝のメンバーに選出されることで、感謝の気持ちを届けたいなと思っています。

――では皆さんの原動力である、応援してくれているファンの方たちにメッセージをお願いします。

宇田川:世の中は、まだコロナ禍で大変な状況が続いています。私たちにできる精一杯の走りを通して、勇気や感動、元気を少しでも皆さんに届けられるような活動をしていきたいと思っています。

――最後に、ランニングを楽しむ読者の方たちにアドバイスをお願いします。

森:適度な運動は体にはもちろん、気分が落ち込んだときもリフレッシュできるので、心身の健康維持のためにもぜひ習慣にしていただきたいですね。疲れていると走りに行くのはつらいと思いますが、そんなときは自分の好きなウェアやアイテムなどを「走る楽しみ」として取り入れるのをおすすめします。

 

<プロフィール>

3選手のプロフィール写真

宇田川侑希(写真左)

東京都出身。日体大柏高校卒業後2016年に入社し、現在キャプテンを務める。先輩からも後輩からも慕われ、頼れるチームの相談役。趣味はミステリー小説を読むこと。

森智香子(写真中央)

長崎県出身。大東文化大学卒業後、2015年に入社。「声が大きくて、いつも笑っています」と本人も話す通り、チームを盛り上げるムードメーカー。趣味は映画鑑賞、ゆっくり湯船につかること。

野村蒼(写真右)

和歌山県出身。神島高校卒業後、2018年入社。チームメイトいわく、「みんなに好かれる癒し系」。趣味はオフの日に電車に乗って東京都心を探索すること。

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