夏はランナーにとっては、暑さという過酷な環境との戦いにもなります。
特に近年は夏の暑さが厳しくなっているなか、2020年6月に多くのメディアで取り上げられて注目を浴びたアイテムが、デサントから発売されました。
それが、手のひらを冷やすことで暑熱対策ができるグローブ「CORE COOLER(コアクーラー)」です。
GetNaviチームでも昨年、この「コアクーラー」と「適温クーリングフェイスガード」を紹介。そしてこの夏、コアクーラーの第2弾として「コアクーラーフットカバー」「コアクーラー3Dアームカバー」「適温3Dクーリングフェイスガード」が発売されました。
今回は、改めてコアクーラーの核となるシャープ独自の「適温蓄冷材」の効果と、第2弾3アイテムの特徴、さらにはアイテムを実際に使用したシティランナーのレビューをお届けします。
過酷な環境下のなかで昨年ヒットした暑熱対策アイテム
まずは下の表をご覧ください。
気象庁のデータによると、ここ3年間(2018~2020年)の東京の8月平均気温は最低気温でも平均24.5℃を超える年が珍しくなく、ランニングをするには過酷な環境となっています。
そのため、あまりの暑さに夏場のランを諦めてしまう人も多いのではないでしょうか。
東京8月の平均気温
平均気温 | 平均最高気温 | 平均最低気温 | 最高気温 | 最低気温 | |
2018年 | 28.1℃ | 32.5℃ | 24.6℃ | 37.3℃ | 18.3℃ |
2019年 | 28.4℃ | 32.8℃ | 25.2℃ | 35.6℃ | 20.7℃ |
2020年 | 29.1℃ | 34.1℃ | 25.3℃ | 37.3℃ | 14.7℃ |
(出典:気象庁・気象データ)
とはいえ、ランニングは継続してこそ効果が出る運動であり、すでに習慣化しているランナーは走らないと落ち着かないはず。そんな「走りたいけど、走りたくない」という状況下でヒットしたアイテムが適温蓄冷材なのです。
TEKIONとは、電機メーカーのシャープが液晶材料研究で培った技術を応用した独自の蓄冷材です。
手のひらを適温の12℃で冷やすことで、体の中心部の温度である深部体温の上昇を抑制することに着目。その適温蓄冷材を入れるアタッチメントをスポーツブランドのデサントがタッグを組んで開発しました。
グローブ型にすることで、蓄冷材を握り続ける必要がないため、物をつかむなど手の操作性が妨げられにくいのが特徴。スポーツシーンに加え、スポーツ観戦や出勤、買い物といった日常の外出時など、さまざまなシーンで使用することが可能。
2020年6月にデサントからコアクーラーとして発売されると、大きな反響を呼びました。
コアクーラー(グローブ型):3,960円(税込)
カラー:ブラック・ブルー・グレー・レッド
※グローブ2個(両手用)・蓄冷材2個入り
冷たすぎずちょうど良い冷却温度(12℃)で深部体温の上昇を軽減
これまでは暑熱対策として、氷や保冷材で首や脇の下、鼠径部(そけいぶ/太ももの付け根)などを冷やすことが良いとされていました。
しかし、脳に近い部分を冷やすよりも、脳から離れた手のひらを冷やすことが効果的で、冷やしすぎると血管が収縮し血液が体に巡らず、その効果が十分に発揮されないことが分かりました。
シャープが開発した適温蓄冷材は、ずっと皮膚に当てても冷たすぎて痛くなることがないちょうど良い冷却温度(12℃)によって、血管が収縮せず効率良く血液を冷やして深部体温を下げることができる、まったく新しい適温蓄冷材です。
手のひらには、体温を調整するAVA血管という特殊な血管があります。
この血管を通る血液を冷やすことによって冷えた血液が体温を巡り、体の中心部の体温(深部体温)が下がることが独立行政法人 労働安全衛生総合研究所とシャープの検証で分かりました。
また、体温を調整するAVA血管は手のひらだけでなく、頬や足の裏などにもあることから、頬のAVA血管を蓄冷材でクーリングするという新たな発想で生まれたフェイスガードも登場。
コロナ禍の屋外スポーツ時に着用できるアイテムとして好評を博し、暑熱環境下でも高いパフォーマンスを発揮することが求められるトップアスリートにも愛用されています。
保冷持続時間は約30分です。しかし着用により適温蓄冷材が完全に溶けてしまっても、冷凍庫にて2時間以上で凍結。また5℃前後で凍り始めるので、冷蔵庫でもOK。適温蓄冷材は何度でも使用可能です。
「コアクーラー」第2弾、使用範囲を広げた3アイテムが登場
では、運動後のクーリングと休息時、睡眠時に使用するコアクーラーフットカバー、UVカット機能を兼ね備えたコアクーラー3Dアームカバー、そして3Dカッティングを採用しフィット感をより高めた、適温3Dクーリングフェイスガードを紹介していきましょう。
開発担当者いわく、3点に共通して言えることはフィッティング。適温蓄冷材を入れたときにも体にフィットするように素材選びやデザインを行ったとのこと。
【その1】コアクーラーフットカバー
コアクーラーフットカバー:4,400円(税込)
カラー:ブラック・ブルー
サイズ:フリー
※フットカバー2個(両足用)・蓄冷材2個入り
フットカバーは、土踏まず部分に適温蓄冷材を入れて使うアイテム。
適温蓄冷材の破損の恐れがあるため、装着したまま立ったり歩いたりするのではなく、運動後のアフタークーリングや運動前に体を冷やすプレクーリングで使用します。
そのため、がっちりとしたサポーターではなく、靴下感覚で着脱しやすい快適なアイテムとなっています。
さらには、睡眠時に使用すれば疲労回復の点で有利に働くため、スムーズな入眠や睡眠の質向上が期待できます。
AVA血管を研究する神戸女子大学教授の平田耕造氏は「運動や気温上昇などによる、AVA血管拡張時に、血管を収縮させない程度の温度で積極的に手足を冷やすことは、深部体温を通常の体温へと低下させることにつながり、疲労回復の点で有利に働きます。」と推奨。
睡眠は最初の90分でいかに深い眠りにつくか、そのタイミングでコアクーラーの使用がおすすめだと言います。
【その2】コアクーラー3Dアームカバー
コアクーラー3Dアームカバー:4,950円(税込)
カラー:ブラック・ネイビー・ホワイト
サイズ:フリー
※アームカバー2個(両手用)・蓄冷材2個入り
アームカバーは、袖口までを覆うアイテムで既存のグローブ型を改良したもの。
これは「コアクーラー」の使用者に女性が多く、リクエストがあったため開発されました。腕の部分はUV(UPF50+)仕様を施し、3D設計でフィット感があり、ずり落ちにくくなっています。
汗をかきやすい肘裏はメッシュ構造で快適に着用できます。
【その3】適温3Dクーリングフェイスガード
適温 3Dクーリングフェイスガード:4,950円(税込)
カラー:ブラック・ネイビー・ホワイト
サイズ:フリー
※蓄冷材2個入り(両頬用)
既存の適温クーリングフェイスガードから、新たに3Dカッティングを採用することで呼吸がしやすく、より高いフィット感と軽量化を実現。吸汗速乾素材で、UPF30のUVカット機能素材も採用しました。
両頬部分の適温蓄冷材が頬のくぼみにフィットするためズレにくく、口元を覆うことで周囲への飛沫抑制エチケットにもなるため、屋外でのオンオフ全般のシーンで着用できます。
「コアクーラー」の最新アイテムをシティランナーが実際に使ってみた
最新の「コアクーラー」3アイテムを、都内在住のシティランナーに実際に試してもらいました。
「ランニング後のクールダウンにコアクーラーフットカバーを着けました。まず、ズレがなく足へのフィット感の良さに驚きました。横になりながら足を休息させるとすごく心地良く、疲れが癒されていくのを感じました。
また、就寝前にも使用しましたが、すごく良かったですね。日常生活での足の疲れをゆっくりと癒してくれますし、“冷たすぎずぬるすぎない温度感”が快適でリラックスして眠ることができました。今ではクセになって毎晩使用しています。」(高原さん)
続いて、適温3Dクーリングフェイスガードを使ってもらいました。
「装着するとすぐに顔が冷やされて、感触は良かったですね。走っている最中は蓄冷材の重みでズレるのが少し気になる程度。通気性が良く、通常のマスクよりもすごく呼吸がしやすかったです。」(高原さん)
最後に、コアクーラー3Dアームカバーは腕をカバーする分、少し暑さを感じたと言います。
「女性など日焼けを気にするランナーであれば、紫外線対策に良いのかなと思います。個人差はあると思いますが、自分は腕まで覆ってしまうと少し暑さを感じました。手のひらだけの効果で考えれば、ひんやり涼しくて良い感じでした。
手のひらだけを冷やすグローブタイプは、走っているときのストレスも感じなさそうなので、今度使ってみたいと思います。」(高原さん)
今回紹介しているコアクーラーフットカバーや適温3Dクーリングフェイスガード、コアクーラー3Dアームカバーは家庭内での洗濯が可能。そのため、使用後の汚れや臭いが気になったときは気軽に洗えるので安心ですね。
猛暑で行動を控えるのではなく、効果的に12℃の冷たすぎず、ちょうど良い冷却温度で深部温度を下げる新発想の適温蓄冷材を活用して、暑い夏を快適に過ごしてみませんか。
自宅や就寝前などリラックスする際に着用しクーリングすることで効率的に深部体温も下げ、体をリカバリー。翌日も充実したライフスタイルを過ごせることでしょう。
モデル/中嶋タカシ(HEADS)
撮影/大田浩樹
スタイリング/宮崎 司
文/マイヒーロー
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