防水素材と言えば、スポーツやアウトドア好きなら一番に名前が挙がるのが「ゴアテックス」ではないでしょうか。
もはや、防水アイテムの代名詞。しかし、一体それが何からできていてどういう構造なのか、また、ウェアを買おうとしたときに何をどんな風に選べば良いのか迷ってしまう方は多いのではないでしょうか。
ゴアテックス素材が水を防ぐ仕組みや、シーンに合わせたゴアテックス ウェアの選び方について、日本ゴア社の小木曽晃子氏と、デサントジャパンでのセールスプロモーション担当の齋藤淳氏にお話を伺いました。
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ゴアテックスファブリクスとは?
――防水素材と言えば「ゴアテックス」をイメージする人が多いと思うのですが、そもそもゴアテックス ファブリクスとはどういう素材なのでしょうか?
小木曽:ゴアテックス ファブリクスはアメリカで生まれた防水耐久性・透湿性・防風性を兼ね備えた素材で、アウターや靴などに採用されています。
ゴアテックス ファブリクスは、ゴアテックス メンブレンという内部に微細な孔(あな)を無数に持つ、膜のような素材に表地や裏地を貼り合わせたものです。
表地と裏地との組み合わせでさまざまな生地を作ることができます。
――そのゴアテックス メンブレンというのは、何からできているのでしょうか?
小木曽:天然鉱石のホタル石を原料にした、ePTFEというフッ素樹脂からできています。フッ素樹脂を薄い膜状に加工してゴアテックス メンブレンが作られます。
――水を通さないのに蒸れない「防水透湿」という機能はどういう構造でしょうか?
小木曽:ゴアテックス メンブレンの孔は、水滴が通過できないほど小さく、水蒸気の分子よりは大きいのです。それによって、ゴアテックス ウェアは、メンブレンが雨などの水の浸入を防ぐと同時に、汗による水蒸気を放出するため蒸れにくく快適な環境を維持することができます。
齋藤:やはりアウトドアの環境では、汗をかいたときに蒸気を逃がさないと汗冷えにつながることもあります。ただ防水するだけでなく、透湿性もウェアとしてはとても大事なことだと思います。防風性もありますよね。
小木曽:風というのは、空気の流れの“かたまり”が体に当たって風や風による寒さを感じるのですが、ゴアテックス メンブレンは立体的なくもの巣のような構造になっているので、風が散ることで体に当たる風を防ぐという仕組みです。
ゴアテックス メンブレンに使われているフッ素樹脂の素材は他分野にも応用されていて、ファブリクスだけでなくスマートフォンの防水フィルムなどの工業での利用や医療の分野にも使用されています。
――ゴアテックス ファブリクスの構造には種類があるのでしょうか?
小木曽:最も主流なタイプは3層(3レイヤー)です。
ゴアテックス ウェアの生地は、先ほども説明したように、ゴアテックス メンブレンに生地を貼り合わせて作られています。この組み合わせによって、いくつものファブリクスの種類を作ることができます。
ゴアテックス ウェアには大きく分けて3つのクラスがあります。
メンブレンの両側に生地を貼ったもの(表生地+ゴアテックス メンブレン+裏生地)。
用途や製品によって異なるが非常に丈夫で、裏生地があるので肌触りが良い。
メンブレンに表生地を貼ったもので、裏地は貼り合わせず独立している(表生地+メンブレン)。
3層よりも1枚生地(裏地)が少ないために柔らかく、動きやすく透湿性を重視したもの。
裏地は離れているため、その中にインサレーションを入れるタイプもある。
空気の層ができるため保温性を高めることや、メッシュなどの裏地を組み合わせることも可能。
メンブレンに表生地を貼り、裏地をつけず、裏面にコーティングを施したもの(表生地+メンブレン+コーティング)。
軽量でコンパクトに折り畳める携行性もあり、透湿性が高い。
齋藤:一言に「防水ウェア」と言っても、ただ水を防ぐだけでなくゴアテックス メンブレンそのものに透湿性や防風性という優れた機能があり、さらに、ゴア社がメンブレンにあらゆる表地や裏地を貼り合わせてさまざまな生地を製造しています。
その後、メーカーが使用するさまざまなシーンの用途に適したゴアテックス ファブリクスを選択し、高機能なウェアができあがっているのです。
ウェア選びではもちろん見た目も大事。でもそれ以上に、ウェアそれぞれの用途を理解することでより快適にアクティビティを楽しむことができるはず!
小木曽 晃子
日本ゴア株式会社
ファブリクス・ディビジョン ゴアテックス ブランド PR
齋藤 淳
デサントジャパン株式会社
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