ゴルフを始めたばかりであれば、友人や先輩のクラブを借りて練習したり、レンタルクラブを利用したりしている人が多いでしょう。
最初のうちはそれで構いませんが、ゴルフを長く続けるのであれば自分に合ったクラブを購入するのが上達の近道です。
しかし、ゴルフショップに行くとクラブの種類の多さに圧倒され、どれが自分に合っているのかまったく分からずに戸惑ってしまうという声をよく聞きます。
そこで今回は、初心者向けのドライバーの選び方をゴルフショップのクラブフィッターさんに教えてもらいました。
Alpen TOKYO
ゴルフ5 フラッグシップストア 新宿店
大川舞子さん
渋野日向子選手や勝みなみ選手と同学年のいわゆる“黄金世代”。高校時代はプロゴルファーを目指していましたが、大学時代にエンジョイゴルファーに転向。現在はゴルフ5認定レッスンプロ兼クラブフィッターとしてアマチュアゴルファーのクラブ選びをサポートしています。「ゴルフ5」で1人しかいない認定レッスンプロ資格を持つ女性クラブフィッターです。
ゴルフクラブの種類
ゴルフ場でプレーする際、コースに持ち込めるクラブの本数は14本までと決められています。15本以上持ち込むとルール違反になります。14本以内であれば本数が少なくても問題ありません。
ゴルフショップでは初心者向けのスターターキットとして、ゴルフクラブ7~11本とキャディバッグがセットになった商品を販売しています。
スターターキットに入っているクラブはメーカーによって異なりますが、基本的に以下のクラブの組み合わせで構成されています。
■ドライバー
1番ウッドのこと。主にパー4とパー5のティーショットで使用します。ティーイングエリアにティーペッグを差し、その上にボールを乗せて打ちます(これをティーアップと言います)。
■フェアウェイウッド
主にフェアウェイなどの地面の上に止まっているボールを打つために使用するウッドクラブです。略称はFW。
かつては2~5番ウッドの4本が主要ラインナップでしたが、近年は2番ウッドと4番ウッドはあまり販売されなくなり、7番ウッドと9番ウッドが販売されるようになりました。
パー4とパー5の第2打で使用することが多いですが、距離の長いパー3や距離の短いパー4のティーショットで、ボールをティーアップして使用することもあります。
■ユーティリティクラブ
ロングアイアンが苦手な人向けに開発された、ボールが上がりやすく、グリーンに止まりやすいクラブ。略称はUT。3~6番の4本が一般的なラインナップです。
そのなかから自分の飛距離に応じて何本か選びます。主にパー4の第2打とパー3のティーショットで使用します。
■アイアン
主にグリーンを狙うショットで使用します。かつては3~9番+ピッチングウェッジ(PW)の8本セットが主流でしたが、3~5番はユーティリティクラブの普及によってあまり使用されなくなり、6~9番+PWの5本セットで販売されるのが一般的になっています。
■ウェッジ
グリーンまで100~120ヤード以内の距離に近付いてから、グリーン上に止まるショットを打ちたいときに使用します。ロフト角(クラブフェースの傾きの度合を示す数値)が46度から60度まで2度刻みでラインナップされているのが一般的です。
アプローチショットに適したアプローチウェッジ(AW)と、バンカーショットに適したサンドウェッジ(SW)がアイアンセットのなかに含まれている場合もあります。
■パター
グリーン上でボールを転がし、カップを狙うときに使用します。
スターターキットは一般的にドライバー1本、フェアウェイウッド1~2本、ユーティリティクラブ1~2本、アイアン3~5本、ウェッジ1~2本、パター1本で構成されています。
ただし、すべての初心者ゴルファーにスターターキットが向いているわけではないと大川さんは指摘します。
「右打ちの初心者の場合、ボールが右に飛びやすい人が多いですが、左に飛びやすい人もいます。また、初心者でもパワーがある人はスターターキットのクラブは向いていません。
『初心者だからコレです』というクラブはありませんから、スイングタイプを見て選んだほうが、自分に合ったクラブが見つかりやすいです。」(大川さん)
ドライバーとは
ドライバーは14本のなかで最も長いクラブです。ボールを最も遠くに飛ばすことができます。その代わり、ボールと目の距離が離れますから、フェースの真ん中で打つのが難しくなります。
ボールが曲がったときの曲がり幅もクラブのなかで一番大きいので、初心者にとって難易度が高いです。ただし、コースをラウンドするのであれば打てるようになっておきたいクラブです。
なぜかと言いますと、18ホールのラウンドのなかでドライバーの使用頻度はかなり高いからです。
ゴルフ場は一般的にパー3が4ホール、パー4が10ホール、パー5が4ホールで合計18ホール、パー72という構成になっています。
パー4とパー5はドライバーでティーショットを打つように設計されているホールが多いですから、1ラウンドで14回使う機会があります。
初心者がパー72のゴルフ場を72打で回るのは難しいですが、仮に72打で回れるとしたら、そのうちの14打がドライバーに割り当てられているわけです。
パー4やパー5のティーショットでドライバーを使わなければならないというルールはありませんが、ドライバーを使わないとグリーンまでの距離が残りますから、1ホールごとの打数が増える可能性が高くなります。
初心者向けドライバーの選び方
初心者がドライバーを選ぶ際、どのようなポイントを気にしたほうが良いのでしょうか。
「今のドライバーは『こういうスイングタイプの人はこういうヘッド形状のほうが良い』と、各メーカーが研究して開発していますので、同じメーカーの同じシリーズでもヘッド形状が何種類かに分かれています。
大まかに言うと、ボールがつかまりやすいタイプ(右に飛びにくく、左に飛びやすい)、ボールがつかまりすぎないタイプ(左に飛びにくい)、スタンダードタイプ(真っ直ぐ飛びやすい)です。
なので、ボールが右に飛びやすい初心者は、ボールがつかまりやすいヘッド形状を選ぶのがセオリーになります。」(大川さん)
一方で、前述したように、そのセオリーがすべての初心者に当てはまるわけではないと付け加えます。
「やはり基本はゴルファーのスイングタイプを見てから、そのスイングに合ったドライバーを選びたいですね。
初心者の方は『打ち方がまだ分からない』とおっしゃるケースもありますが、そのなかでも“クラブに自分のスイングを合わせる”のではなく、“自分のスイングにクラブを合わせる”ようにフィッティングをさせていただいています。」(大川さん)
フェース面も意識してほしい
ゴルフでボールを真っ直ぐ飛ばすには、クラブヘッドのフェース面(※)の向きも重要になってきます。
※フェースとは、ゴルフクラブのヘッドの打球面、正面のことを言います。
「打ち方は、基本的な動きやボールの位置などをアドバイスさせていただくこともあります。
そのうえで、ボールに当たった瞬間にフェース面が開いている(右を向いている)のであれば、『面が開いているので、閉じやすいようにシャフト(※)を取り替えてみましょうか』といった形でゴルフクラブのフィッティングを進めていきます。
そういった意味では、初心者の方はフェース面を意識してほしいので、面が大きいドライバーを選んでもらいたいです。」(大川さん)
※シャフトとは、ゴルフクラブのヘッドとグリップをつなぐ棒状のもの。
というのも、大きなヘッドほど真芯のエリアが広くなるため、ミスが出にくくなるからです。さらにフェース面の大きさに加え、ドライバーを構えたときの見た目の印象も重要だと言います。
「ドライバーを構えたとき、光沢のあるヘッドとマット加工のヘッドでは見え方がものすごく変わります。『構えやすいな』とか『これなら打てそうだな』と感じるドライバーを選んでもらいたいです。
逆に『この形は構えづらいな』や『表面がボコボコしていてイヤだな』と感じるドライバーはやめておいたほうが良いです。ゴルフは結局のところメンタルスポーツですから、少しでも気になる部分があると、それがどんどん大きくなります。」(大川さん)
また、ドライバーは同じヘッド形状でもロフト角が異なる商品がいくつかラインナップされています。ロフト角とはウェッジの説明で触れたように、クラブフェースの傾きの度合を示す数値のことです。
ドライバーは男性向けモデルが9度から10.5度、女性向けモデルが11度から13.5度くらいの間に設定されています。ロフト角はヘッドに刻印されています。
「初心者の方はボールが自然と上がりやすいほうが良いので、男性であれば10.5度からフィッティングしていきます。ただ、ボールが上がりすぎているのであれば9.5度でも構いません。これもスイングタイプによって変わります。」(大川さん)
さらに、女性だからといって女性向けクラブを選ばなければいけないという決まりがあるわけでもないと言います。
「女性でも身長が高い人や、パワーのある人だったら男性向けクラブをおすすめすることもあります。そういったことも含め、ドライバーを初心者の方が1人で選ぶのは難しいと思うので、気軽にショップスタッフに相談してほしいですね。」(大川さん)
ドライバーで打つ際のコツ
初心者向けのドライバーの打ち方もアドバイスしてもらいました。
「ドライバーに限らず、ゴルフクラブは腕の力で振るとフェース面が開きやすく、ボールが右に行きやすい構造になっています。ですから、クラブフィッティングのときに打ち方をもう少しアドバイスしたいと思うことはすごく多いです。
下半身の力を使ってクラブを振れるようになるとスイングの再現性が高まり、フェース面がボールに真っ直ぐ当たるようになります。そうすると、クラブの本来の性能が発揮できるようになります。
そのうえで、クラブフィッターがどんなドライバーを選んでいるかと言いますと、飛距離が出るよりも方向性が安定するクラブです。『右にも左にも曲がるけど飛びますよ』というクラブよりも、方向性が安定したほうが絶対にゴルフが楽しくなります。」(大川さん)
これから初めてドライバーを購入しようと思っている人、新しいドライバーへの買い替えを検討している人は、ぜひ参考にしてみてください。
Alpen TOKYO
住所:東京都新宿区新宿3丁目23-7ユニカビル
営業時間:平日11時〜22時/土日祝10時〜22時
撮影/中田悟
文/保井友秀
編集/GetNavi web
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