ルコックスポルティフの歴史と魅力。おすすめスニーカー7選

ルコックスポルティフの歴史と魅力。おすすめスニーカー7選

  • 2020/11/16 (月)
  • 2023/12/06 (水)

仕事も人生も充実している人にとって、身にまとうアイテムは大切な相棒。

着心地や機能性はもちろんのこと、しっくりとなじむデザインの1着に出会えたときはこのうえない幸福感を得られ、自分への自信やエネルギーも湧いてくるでしょう。

連載企画「MY ESSENTIALS」では、数あるスポーツ・ライフスタイルブランドから“特別な価値を持つ”逸品を紹介。

商品企画担当者やデザイナーに直接話を聞き、プロダクトの魅力や開発背景、込められた想いを深堀りしていきます。

第1回は「デザインワーク」をテーマに、1882年にフランスで誕生したルコックスポルティフのフットウェアをセレクト。

ファッションやインテリアなど、モノに対して強いこだわりを持つウルマグ編集部員Aが取材してきました。

自転車にルーツを持つ歴史へのプライド。「デザインワーク」への挑戦をし続けるルコックスポルティフ

フランスで初めてスポーツ用品の製造を手掛けたエミール・カミュゼが1882年にスポーツブランド「ルコックスポルティフ」を設立。

1965年にはサッカーやラグビー、バスケットボールなどのフランスチャンピオンチームが「ルコックスポルティフ」のウェアを着用。

こうした背景を礎に、伝統や歴史を守りながらも既成概念にとらわれず、常に時代を先駆けて進化をし続けています。

「ルコックスポルティフ」のデザインワークのこだわりは、何よりも「デザインファースト」であること。時代の潮流に合わせつつ、フランスのエスプリをきかせたデザインは、スポーツシーンだけではなくライフスタイルにもフィットします。

もちろん、ファッション性だけではなくスポーツに重要な機能性も重視。特にフットウェアは、基礎設計に加えフィット感、クッション性や履き心地の良さを追求しています。

商品NO.1/LCS R800

1990年代に誕生した「LCS R」シリーズ。そのなかでも「ルコックスポルティフ」のプロダクトに大きな影響を与えた傑作機が「LCS R800」です。

独自のクッションテクノロジーで快適性を追求

今期リリースされた「LCS R800」の新色ですね!1990年代のテイストを、今っぽくアップデートしたデザインが最高です。

ひと目見て懐かしさと、新鮮さを感じますよね。このテクニカルなルックスは、機能的なパーツの組み合わせによって生まれました。

原点となる「LCS R」シリーズが生まれた1990年代は、スポーツシューズに機能性だけでなく、高いファッション性も求められた時代。この独特な風合いのフォルムは、そういった時代背景に影響を受けているのですね。

その通りです。機能面としてはミッドソールに密度の異なる2つの素材を注入した、「ルコックスポルティフ」独自のクッションテクノロジー「ダイナクティフシステム」を採用。そしてフォアフットやヒールには着地衝撃を緩和するクッション素材や推進力を高める高反発素材を使用し、履き心地の良いクッション性が追求されています。

ノスタルジックな趣のある独自のルックス&個性豊かなカラー展開

ヒールカウンターのレイヤー構造や、サイドの補強とメッシュの組み合わせにもノスタルジックさを感じます。

今期は「LCS R800」の誕生から30年となり、シリーズのルーツを存分に体感していただけると思っています。

確かにそう思います。カラー展開も絶妙ですね。

ありがとうございます。従来よりも深い色味のトリコロール「WHITE/NAVY」、マゼンタと淡いブルーグリーンの差し色がきいた「WHITE/BLACK」、ダルトーンのピンクとグリーンがクラシックな雰囲気を醸す「WHITE/KHAKI」の3色をラインナップしました。

商品NO.2/LCS TR ⅡOG

1980〜1990年代において、「ルコックスポルティフ」はアスリートに向けて実に多くのイノベーティブなパフォーマンスシューズを創出してきました。

そのなかから1990年代後半に発売された高機能クロストレーニングシューズの復刻進化モデルをリリースしました。

フィット感を高めるラストの再設計

「LCS TR ⅡOG」はゴツめのデザインで存在感があり、今年っぽいコーディネートにもってこいですね。1990年代当時のコレクションから、どのような部分を再編されたのですか?

フィット感を高めるためにラストを再設計し、当時よりも軽量性・クッション性を向上させました。また、重厚感のあるアウトソールに加え、インソールには高機能素材“オーソライト”を採用するなど、細部までこだわった高機能なモデルです。

カラーも現代風に洗練されていて。いやー、かっこいいです!全体をモノトーンでまとめながらも、アクセントカラーを配したユニークなルックスにツボりました。

商品NO.3/LCS R800 VINTAGE(VINTAGE PACK)&QUARTZ AILE VINTAGE(VINTAGE PACK)

普遍的なものはデザインでは残せても、風化していく様には勝てないもの。

誕生してから現在までの「通過した過程」を残しながら、現在のテクノロジーを駆使してバックラッシュさせるのが「ルコックスポルティフ」のスタイルの一つです。

世の中のライフスタイルが大きく変遷を遂げた1980〜1990年代にフォーカスを当て、「VINTAGE PACK」として誕生した「R800」と「QUARTZ AILE」の2モデルは、当時のシルエットを忠実に再現し、移り変わる時代を通過してきた者だけが見てきた風景を繊細にビジュアルへと落とし込んでいます。

対峙するメッセージを素材で表現

遺産を意味する「ヘリテージ」と、現代を意味する「モダン」の共存。挑戦的なコンセプトがおもしろいですね。

対局にある2つのテーマを現代へのメッセージとして伝わるように、アッパー素材やソールで表現しています。

ソールに使用されている「VINTAGE PROCESS」は経年するほどに味わいが出て、アッパー素材の「WASHING LEATHER」は抜け感のある洗い加工の風合いが素敵ですね。これらで「ヘリテージ」感は十分に伝わってきました。

「WASHING LEATHER」はメッシュと組み合わせることで、時代背景が相殺されるように工夫しています。「R800」と「QUARTZ AILE」両モデルとも、見るほどに深みを感じてもらえるのではないでしょうか。

オリジナルテクノロジーでクッション性を向上

「モダン」の部分はどのように表現されていますか?

ミッドソールに着目してください。密度の異なる2つの素材を注入してクッション性を向上させた、オリジナルテクノロジー「ダイナクティフシステム」を採用しています。

現代的な機能性も備わっていますね。一方でヒールカウンターの複雑なレイヤーなど、1990年代らしいテクニカルなルックスが残されている点にもしびれます。

商品NO.4/LA ROLAND LE+Ⅱ

軽量性とフィット感をコンセプトに作られた、「ルコックスポルティフ」の定番コートスタイルです。

アッパー材に天然皮革を使用し、シュータンとヒールパーツをアレンジしたハイクラスモデルで、スポーツシーンはもちろんタウンでもスマートに履きこなせる1足です。

クッション性、軽量性を考慮し履き心地も重視

テニスをルーツにしたシューズはルコックスポルティフの定番ですが、これも銘品の予感がしますね。

テニスの全仏オープンの舞台となるスタッド・ローラン・ギャロス。テニスファンならずとも知られる世界4大大会の中で唯一のクレーコートへのオマージュを、インソールとヒールパーツのデザインにあしらったスペシャルモデルです。

ルックスはシンプルですが、プロダクトに込められたブランドの精神にマニア心をくすぐられます。もちろん見た目だけではなく、シューズに足を入れた瞬間に「履き心地」へのこだわりも伝わってきました。

さすがですね。アウトソールにはラバーと軽いEVAを適切に配置し、クッション性と軽量性を考慮。インソールには優れたクッション性と通気性を兼ね備えた、オーソライトが採用されています。

商品NO.5/MONTPELLIER.JP

“時代に流されない本質的なプロダクト”をコンセプトに、丁寧なものづくりの信念に基づいたメイドインジャパンモデル。

ベースモデルにはルコックスポルティフの定番モデル「MONTPELLIER」を採用し、シンプルかつベーシックなデザインで、長年にわたり愛されるアイコニックなモデルにしました。履くほどに足にしっくりとなじみます。

高品質のジャパンレザーを使用

老舗タンナー「株式会社山陽」で生産されたジャパンレザーがアッパーに使われているということで、かなり注目しています。

創業100年以上の歴史を持ち、日本の皮革業界をけん引してきたトップカンパニーとのコラボレーションです。仕上がりの外観や手触りを重視して、厳選された染料やWAX仕上を施しました。

触り心地の良いソフトな質感のレザーからは、老舗ならではの丁寧な仕事ぶりを感じさせますね。今回新たに「WHITE TRICOROLE」と「BLACK」の2色が加わったので、どれを選ぶか本当に悩ましいです。

135年の歴史を持つブランドの伝統と革新的な価値を創出

外側だけではなく、内側の設計にも工夫が見られます。

靴のアッパーの内側(肌に接する側)、いわゆるライニングは全面に足当たりの良いピッグスキン(豚革)を使用。履くほどに、革が足になじむ快適さを実感できると思います。

軽量性とクッション性を追求した発泡ラバーアウトソールが搭載されているのも、ルコックスポルティフらしさを感じられて好きです。「履き心地の良いラスト設計」「こだわりの資材と素材」「繊細なディテール」の表現力はさすがですね。

135年以上の歴史を持つブランドの伝統と、革新的な価値を創出する洗練されたプロダクトとして、自信を持っておすすめできます。

商品NO.6/SURSEINE

「履きやすい」をコンセプトに、幅広でかかとが小さい特徴を持つ日本人の足に合わせたラスト設計で、フィット感を考慮した、レトロ感のあるランニングスタイルのモデルは、世代問わず評判を呼んでいます。

ラスト設計とアウトソールでスポーツDNAを再現

一見すると、シンプルなシューズという印象を受けました。

細かいこだわりで言うと、ラスト設計のフィット感とともに、軽量性や屈曲性を考慮したアウトソールでスポーツDNAを再現しています。

カジュアル、ビジネス問わず、いろいろなシーンで使えそう。

そうですね。ベーシックなデザインを活かし、天然皮革とナイロンのコンビネーションで落ち着きのあるシルエットに仕上げています。

商品NO.7/ALVIL

アッパーとソールを加熱・加圧着する、スニーカーの伝統的な製造法を「バルカナイズ製法」と呼びます。

シルエットが良く、レトロ感も漂うこのバルカナイズルックを残して現代の機能を搭載したコートスタイルスニーカーがこの「ALVIL」というモデルです。

特徴的なアイレットステイのV字カット

オールドスクールなバルカナイズルックのシューズですが、どこか現代風なテイストを感じました。

バルカナイズ系スニーカーを、ルコックスポルティフらしくアレンジしているからではないでしょうか。例えば、軽量インジェクションEVAソールを採用することで、マルチに使用できるコートスタイルモデルとしての仕上がりになっています。

アイレットステイ部分のV字カットデザインも、ユニークな遊び心がありますね。

デザインの一部でありながら、屈曲性の妨げにならないように設計されています。こういった工夫からも、ルコックスポルティフの“らしさ”を感じていただけるとうれしいです。

ルコックスポルティフが描く「デザインワーク」への未来

既成概念にとらわれず常に進化し続ける「ルコックスポルティフ」。伝統と歴史に裏付けされた「デザインワーク」へのこだわりは、今後も時流に合わせて大切に育まれていくでしょう。

今回紹介したフットウェアも、素材や設計、ディテールを通して“ユーザー”の創造力を押し上げてくれる逸品ばかり。ぜひ、その魅力を直に体感されてはいかがでしょうか。

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