普段はなかなか行けない遠くの場所へも気軽に足を運ぶことができ、目的地までの道のりも楽しめる「サイクリング」。
自転車やウェアなど一式アイテムをそろえないと始められないなど、敷居が高いと感じる人も多いのでは。
しかし、実は始めやすいスポーツと言われています。今回は、これからサイクリングに挑戦しようと思っている人向けに、その魅力と必要な装備、選ぶときの注意点について紹介します。
サイクリングとは?
サイクリング(cycling)とは、自転車で道路などを走るスポーツです。もともと自転車は、スーパーやコンビニへ買い物をしに行くため、または駅へ行くための「手段」として利用されてきました。
しかし、最近では「ロードバイク」人気も高まり、より遠くの場所へ行くため、さらには目的地に行くまでの景色などの過程を楽しむ人が増えています。
サイクリングの魅力
日常では味わえない体験ができる
サイクリングの醍醐味といえば、走行中に心地良い風を感じられたり、少し足を伸ばせば都心では見られない自然と触れ合えたりと、普段の生活では味わえない体験ができること。
友人と一緒に楽しんだり、SNSなどを通じて仲間を増やすこともできるかもしれません。
自分の力だけで遠い場所へ行ける
「自分の力だけでこんなに遠くまで行けるんだ」という達成感も味わうことができます。例えば10kmの道のりも、歩けば半日がかりですが、自転車なら30分〜数時間あれば目的地へ到着できます。
ロードバイクやクロスバイクなど、サイクリングに適した自転車を使うことでより快適に楽しめます。
最初は60分、20kmからスタート
まずは片道30分で行って戻ってこられる場所、距離にしておよそ10km先の場所を目指しましょう。最初のうちは交通量が多いところは避け、大きな公園や施設の周りなどで徐々に慣れていくのが賢明。
いきなり1日がかりの長距離を目指すのではなく、回数を重ねるごとに場所を変え、距離を伸ばしていきましょう。
サイクリングに必要な装備7選
サイクリングを始める際、具体的にどんな装備が必要になるのでしょうか。ここからは必要な装備を紹介していきます。
①自転車
長い距離をこぐので、ロードバイクなど長距離向き自転車を使うのがベストですが、購入するとなると10万円以上かかることもあります。まずは所持している自転車を使って始めてみましょう。
俗に「ママチャリ」と呼ばれるシティサイクルでも特段問題はありませんが、やはり長距離向きではないため、ロードバイクなどと比べ体力を使います。また、ブレーキ性能なども劣りますので事故などには気を付けましょう。
最近は自転車をレンタルできるサービスというのも増えているので、活用するのもおすすめです。
お店によっては、初級者向けのマウンテンバイクやクロスバイクから、電動アシスト機能の付いた自転車まで幅広く置いています。1日3,000円ほどでレンタルできることも。購入しなくても、安価な値段で試せます。
レンタルする際は、走行距離や時間などを伝えて、どの自転車が適しているかをお店の人と相談しながら決めると良いでしょう。
②ヘルメット
かぶっているとかっこ悪いと思う人もいるかもしれませんが、事故やトラブルに巻き込まれてしまうこともあるかもしれません。ヘルメット1つで命が救われるケースもありますので、絶対に着用しましょう。
レンタルサイクルショップなどでも借りることができます。走行の妨げにならないよう、軽量かつ安全性に優れたものが良いでしょう。まずはお店の人と相談しながら選んでみてください。
③サングラス
自転車は、思っている以上にスピードが出る乗り物です。瞬きなど目を閉じている間にかなりの距離を進み、危険な場面に遭遇することもあります。
目の中にゴミなどが入るのを防ぎ、日よけ以外にも身を守ってくれる必須アイテム。できる限り着用しましょう。レンタルサイクルショップで借りられる場合もあります。
④グローブ
自転車で街中を走る際は、転倒する恐れもあります。手を守るためにもグローブは必須です。
また、長時間乗ると汗でハンドルが滑ることも。グローブは汗を吸い取ってくれるので滑るのを防止できます。
寒い時期は手を温める役割も果たします。滑り止めや衝撃吸収パッドなどが付いている自転車専用のグローブをおすすめします。
⑤身分証明証
仮に事故を起こしてしまった場合に必要になります。また、自転車をレンタルする際にも必要です。免許証や保険証など必ず持参しましょう。
⑥ライト&テールライト
ライトは前照灯、テールライトは自転車の後ろでチカチカと光り、車のドライバーに自身の存在を知らせるライトです。暗い道を通る際に車両などへのアピールになり、危険から身を守ります。
走行する際のルールとして必須の装備ですが、サイクルショップで自転車を借りる場合は、最初から装備されています。
⑦パンク修理用の工具セット
サイクリングをする際、最も重要な持ち物はパンク修理用の工具セットです。
サイクリングでの行く先にはどんなトラブルが起こるかは予想できません。反対にパンク修理ができればどこへでも行くことができます。
仮に自分で修理できなくても、一緒にサイクリングに行く仲間の誰かが修理できれば、自分がパンクをした場合に手伝ってくれるケースもあるので「マナー」として持って行きましょう。
レンタルサイクルショップでも借りられます。
できれば準備したいもの
ウェア
最初は動きやすい服装であれば問題ありませんが、安全性や機能性を考えると、ゆくゆくは専用ウェアを着用することをおすすめします。
最近ではデザイン性に優れたウェアが増え、おしゃれさを重視して選ぶ人も多いようですが、夕方や夜間の走行、トンネルを通る場合は、安全に配慮し車のライトが反射する素材が使われているものを選びましょう。
走行中は風の抵抗があるためサイズが大きめのものを選ぶと、走行の妨げになってしまうことがあります。体にピタッとフィットするものを選びましょう。
また、サイクリングパンツは下着なしで着用するので、パッドのフィット感で選ぶのもポイント。
飲み物と食べ物
走行中は想像以上にパワーを消耗するので、なるべくカロリーが高いものを持っていきましょう。
チョコレートを持参する人が多いですが、溶けてしまう可能性があるので、糖分が摂れるうえに溶けにくい「スポーツ羊羹」や、摂取しやすいエネルギーゼリーなども携帯しておくと便利です。
例えば60分のサイクリングの場合、ペットボトル1本(500ml)を持参して30分ごとに水分を取りましょう。食べ物はスポーツ羊羹2本、またはエネルギーゼリー1本を目安に。
荷物は走行の妨げにもなるのでなるべく増やさず、足りなくなったら途中コンビニなどで補充しましょう。
飲み物や補給食は、おろそかにすると危険です。激しくかつ長時間にわたってスポーツをすると、極度の低血糖状態に陥る「ハンガーノック」という症状になるケースがあります。
ハンガーノックは、体の中からエネルギーがなくなることで思考能力が弱まり、体温が低下するなどで動けなくなる症状です。飲み物も長時間口にしないと、脱水症状に陥ることも。最低限は必ず持参しましょう。
シューズ
最初は持っている運動靴でも問題ありません。
ペダルに「カチッ」とはめるタイプの自転車専用シューズは使いこなすのが難しく、乗り慣れないと走行に支障をきたす場合もあるためです。
運動靴を着用する際は、疲れにくいよう、なるべく底が硬いものを選ぶのがおすすめです。また、靴ひもがチェーンに絡んだりしないよう、短くまとめるようにしましょう。
レインウェア
1着持っていれば、休憩時など少し寒くなったときに羽織って風をしのぐことができます。レインウェアは手のひらサイズまで圧縮でき、ウェアのバックポケットに入れられるものを準備しましょう。
サイクリングを始めるうえで注意すべきこと
交通ルールを必ず守る
自転車は乗り物として車両に分類されるので、歩道ではなく車道の左側を走ります。交通ルールをしっかりと守りましょう。
自動車が通っている道を走るので、緊張感を持ちましょう。周りには自動車やほかの自転車などがいることを常に意識し、自動車と同じ感覚で交通の流れをきちんと読んで道路に出ましょう。
スポーツとして捉える
サイクリングはスポーツです。長時間体を使うので、始める前には準備運動をしっかり行いましょう。出かける際は、体調が整った状態で出発しましょう。
荷物は少なめに
不安なあまり、つい多くの荷物をバッグに詰めてサイクリングに行きがちですが、荷物が増えるほど走行の妨げになります。また、大荷物の入ったバッグは肩こりのほか腰にも負担を与えます。
バッグは持って行かないのがベスト。おすすめは、バックポケットが付いた「サイクルウェア」。補給食が入れられるように作られており、財布やレインウェア、携帯電話も収納可能です。
また、ロードバイクを使う場合は、自転車自体にウォーターボトルやパンク修理用工具セットなどが装着できるので、より身軽にサイクリングが楽しめます。
とはいえ最初は、所持している服や自転車でサイクリングに行ってもOK。もしバッグを持って行く場合は、リュックサックが良いでしょう。
走行の妨げにならないと感じた場合は、小型のウエストポーチやショルダーバッグでも代用可能です。
まとめ
まずは所持している服・バッグ・シューズなどを使い、公園や施設の周りなど近場で「体験」することから始めてみましょう。
もう少し安全に配慮したい、機能的なグッズをそろえたいと思う人は、レンタルサイクルショップに行ってお店の人に相談してみてください。
路上に出る際は、交通ルールをきちんと守って、事故を起こさないよう十分な配慮が必要です。
サイクリングは非日常感が味わえ、今の生活により多くの楽しさをもたらしてくれるはず。まずは自分の身の回りのものを使ってチャレンジしてみてください。
BFY オーナー
自転車プロロードレース選手
山本雅道さん
中学2年のときにサイクリングを始め、同3年のときに三重県にある鈴鹿サーキットで行われる「シマノ鈴鹿ロードレース」中学生の部で見事優勝。横浜高校では自転車部に所属し、卒業後にプロデビュー。主にイタリアおよびフランスで活動し、1999年、2000年の全日本選手権U-23で連覇を達成した。2011年に引退を発表するも、2015年に現役復帰。昨年2018年まで「シエルヴォ奈良」で監督兼選手として活躍している。
通勤・通学用に毎日乗る。体を動かすために週末だけ乗る。趣味のカメラやサーフィンを、より楽しむために。仕事道具の1つとして…。自転車に乗る理由や目的は、10人いれば10通り。ニューノーマルな暮らしや電動自転車の活況にも背中を押され、自転車熱[…]
