健康のためにランニングを始めて、「今ではマラソン大会に参加するほどハマってしまった」という方も少なくないのではないでしょうか。
最初はお腹まわりを気にしてダイエット目的で始めても、「良いタイムを目指したい」「距離もどんどん延ばしていきたい」など、走ることの楽しさを知ることで大きな目標にチャレンジしたくなりますよね。
しかし、忘れてはならないのがケガのリスクです。走りに慣れてくるほど、油断は禁物。「脚にちょっと違和感があるけれど大丈夫だろう」と、侮って無理をすれば大きなケガにつながる恐れもあります。
ランナー膝とは?ランニング中によくあるケガとその原因
基本的に長距離を走るマラソンでは、当然ながら脚に負担がかかります。そのため、ランニング中に起こるケガも脚に関するものが多いのが特徴です。
なかでも最も起こりやすい「ランナー膝」をはじめ、ランニング中にはどんなケガが考えられるのか見ていきましょう。
腸脛靭帯炎(ちょうけいじんたいえん)
「ランナー膝」や「ランナーズニー」と呼ばれる、ランナーによくあるケガの一つです。
腸脛靭帯と大腿骨(だいたいこつ)が擦れ合うことで炎症が起こり、膝関節の外側に痛みが出ます。しばらく休養すると痛みが引きますが、走り始めるとまた痛みが現れます。
主な原因は走りすぎと言われているため、これから長距離に挑戦しようとしている方は、急に負荷を増やさないよう注意しましょう。
シンスプリント
すねの内側に鈍い痛みが出るシンスプリントもランナーによくあるケガで、ランナー膝と同じく過度な負荷が原因と言われています。また、ランニングを始めたての方に多く起きることから「初心者病」とも呼ばれています。
シンスプリントになっても激しく痛むわけではないため放置されがちですが、疲労骨折でも同じような場所に痛みが出るので注意が必要です。「脛骨(けいこつ)疲労骨折」の可能性もあるため、すぐに医療機関で診察を受けましょう。
捻挫
足をくじいたときに強い負荷がかかり、靭帯が損傷してしまうケガです。
マラソンランナーに起こりがちなのは、やはり足首の捻挫。くるぶしのあたりが腫れたり痛んだりします。同じように負荷がかかって骨がずれると、脱臼になります。
足首の捻挫には「内反捻挫」と「外反捻挫」の2種類がありますが、ランナーの場合はほとんど足首を内側にひねる内反捻挫です。外側のくるぶしに腫れや痛みが起こります。
足底筋膜炎(そくていきんまくえん)
足の裏(かかと~足指の付け根にかけて)に張っている足底筋膜が炎症を起こし、足裏に痛みが出るケガで、「足底腱膜炎」とも呼ばれます。
主な原因は、長時間のランニングで何度も繰り返す着地ですが、加齢により筋力が低下して起こることもあります。
マラソンではコンクリートなどの硬い地面を走るため足裏に負荷がかかりやすく、ランナーにとっては発症しやすいケガと言えるでしょう。
アキレス腱炎
アキレス腱やそのまわりの膜が炎症を起こすケガで、かかとの後方に痛みが出ます。ランナー膝やシンスプリントと同じように、走りすぎが主な原因で、アキレス腱に過度な負荷がかかることで起こります。
年齢を重ねると若い頃よりアキレス腱が硬くなるので、無理をすると「アキレス腱断裂」の恐れも。完全に断裂したときはバットで殴られたような感覚があり、歩くことも困難になります。
ランニング中のケガは軽減できる。体を調整する4つのポイントとは?
日常生活に支障をきたすこともある、ランニング中のケガ。特にマラソンをする方やランニング歴が長い方は、ランナー膝などで頻繁に痛みに悩まされることもあるでしょう。
毎日のことだからこそ、ケガを恐れることなく気持ち良く走りたいもの。そのためには、普段から対策を続けることが重要です。
ここでは、ランニング中の体を支える4つのポイントを紹介します。
ランニングシューズの構造をチェック
ランニング初心者のうちは、安価なものや知っているブランドのものをとりあえずそろえるという方も多いはず。ランニングシューズには、足の負担を受け止める重要な役割があります。初心者こそ、まずは自分に合ったものを選びましょう。
また、一般的なスニーカーとランニングシューズの大きな違いは、運動時の体への負担を軽減する機能があるかどうかです。
着地の衝撃を吸収するミッドソールがない一般的なスニーカーでは、ランニング中に足のねじれに耐え切れず、膝に負担をかけてしまいます。これが繰り返されるとケガや故障につながるため、運動に適したランニングシューズを選ぶことが大切というわけです。
ランニングフォームを見直す
ケガを防ぐためには、自分流のランニングフォームを見直すことが大切。ランニングフォームにはさまざまな種類があり、距離や骨格によって一人ひとりに合ったフォームを身に付けることで安定した走りを実現します。
ランニングフォームにおいて、注意するべきポイントは大きく分けて3つあります。
①姿勢・重心
ケガのリスクが高い方は、骨盤が遊脚側(体重を支える側)に傾いていたり、上半身の前傾が大きすぎたりする傾向が見られます。
ランニングの姿勢が前後左右にブレると、走りにブレーキをかけてしまう原因になることも。ランニング中は重心がブレないように、体の軸が真っ直ぐになるように意識しましょう。
普段の生活から猫背や反り腰のクセがある方は余分に体力を消耗してしまうので、より注意が必要です。
②着地
一般的な着地方法としては、つま先で着地する「フォアフット走法」、足裏全体で着地する「ミッドフット走法」、かかとで着地する「ヒールストライク走法」が挙げられます。
日本人の骨格にはヒールストライク走法が向いていると言われていますが、距離や時間によって着地方法もさまざま。自分に合った正しい着地方法を身に付けることで、ケガのリスクを軽減させることができます。
③腕の使い方
ランニングでは、脚だけでなく腕を使うことも大切です。しかし、誤った使い方をすればケガにつながってしまうことも。
例えば、腕を前後に大きく振りすぎると体を必要以上にひねってしまい、結果的に、関節や筋肉にまで負担をかけてしまうことになります。
腕は自然に振ることを意識し、ランニングペースに合わせてフォームやリズムを変えることがポイントです。
3ステップの簡単なストレッチに取り組む
続いて、膝・太もも・アキレス腱・ふくらはぎの各部位に効果があるストレッチを紹介します。
たった3ステップで誰でも簡単にできるので、ランニング前やお風呂上がりなどに実践し、ぜひケガ予防に役立ててください。
①膝&太もも前面のストレッチ
- 長座の姿勢で座り、両手をお尻の後ろにつけて体を支える。
- ストレッチしたいほうの膝をつま先が外側になるように曲げて、曲げた脚のかかとをお尻の脇につける。
- ゆっくりと上半身を後ろに倒し、20~30秒間キープする。
※もう片方も同様に行う。
【ポイント】
②太もも裏面のストレッチ
- 腰の位置よりやや低い高さの台や机を準備する。
- ストレッチしたいほうの足首を台の上に乗せる。
- それぞれの脚は伸ばしたまま、ゆっくりと上半身を前に倒し、20~30秒間キープする。
※もう片方も同様に行う。
【ポイント】
③ふくらはぎ&アキレス腱のストレッチ
- 正座の状態で座る。
- 片方の脚をお尻の下に敷いたまま、ストレッチしたいほうの膝を立てる。
- 立てたほうの脚の太ももを上半身で押すような感覚で、前方に体重をかける。
※もう片方も同様に行う。
【ポイント】
④足首のストレッチ
- 椅子に座り、ストレッチしたいほうの足をもう片方の太ももあたりに乗せる。
- 乗せた足と反対側の手で足先をつかみ、足首をグルグル回す。
- 20~30回ほど回したら、逆回転で同じ回数回す。
※もう片方も同様に行う。
【ポイント】
ランニングサポーターを使って体のバランスを整える
体のバランスが悪いと特定の部位に負荷がかかり、ケガや運動機能の低下を招くことがあります。そんなランニング中の体のバランスを整える方法の一つが、ランニングサポーターです。
サポーターと聞くと、ケガをした後や体の不調が出てから使うイメージがあるかもしれません。しかし、日頃からランニングサポーターを使用することで姿勢やバランスの矯正になり、ケガの予防にもつながります。
ランニングフォームの見直しや体のケアと併せてランニングサポーターを活用し、体幹トレーニングのように体のバランス調整をしていきましょう。
ランニングサポーターなら「コウノエベルト」がおすすめ!
さまざまあるランニングサポーターのなかでも、自分の骨格に合ったものや調整したい箇所へ着用することで、効果をより実感できます。
酒屋の前掛けから誕生したというコウノエベルトは、わずか2.5cm幅のベルト。そのメリットや活用法を紹介します。
コウノエベルトとは?
コウノエベルトは、膝や足首などの関節を正しく機能させるアイテム。普段のランニング中やマラソン大会中などシーンを選ばずに使用でき、装着するだけで体のバランスを整えることができます。
ラインナップには、骨盤用・肘用・膝用・足首用の4種類があるため、不安を感じている部位に合わせてピンポイントで使用できます。
コウノエベルトのメリット
コウノエベルトのメリットは大きく分けて2つあります。
メリット1:筋肉の動きを妨げない
一般的なサポーターは筋肉を締め付けながら体の動きをサポートしますが、長く使用しているとサポーターが筋肉の代わりをしてしまい、筋力を低下させる恐れがあります。
一方で、コウノエベルトは細い構造をしているため、筋肉の動きを邪魔しません。関節(骨)に直接作用するので、体のバランスを整えながら筋力を強化することもできます。
メリット2:日常生活でも使用できる
スポーツのパフォーマンスを向上させたい方はもちろん、日常的に膝や足首に不安を抱えている方も活用できます。
骨盤のずれや体の歪みは、日常生活による体へのストレスからくるもの。立ち仕事やデスクワーク、重いものを運ぶなど仕事中に体をサポートするのにもおすすめです。
また、細いコウノエベルトは服装を邪魔することもないので、普段使いにも良いでしょう。
もしケガをしてしまったら?ランナーが知っておきたい「RICE処置」とは
ケガの予防法を徹底しても、スポーツをしていれば予期せぬタイミングでケガをしてしまうこともあります。もしケガをしてしまったときは、RICE処置という応急処置を行いましょう。
RICE処置とは?
ケガによるダメージを最小限に抑えるための応急処置のことです。
Rest(安静)・Icing(冷却)・Compression(圧迫)・Elevation(挙上)の頭文字をとって、RICE処置と呼ばれています。
この処置を行うか行わないかで回復スピードが変わるため、ケガをしたらできるだけ早くRICE処置を行うことをおすすめします。
RICE処置のやり方
ここではランナーによくある脚のケガを想定して、RICE処置の方法を解説していきます。
R -Rest(安静)
患部の腫れを防いだり、悪化させないようにするのが目的です。
テープや副子(ふくし)※があれば、それらを使って患部が動かないように固定しましょう。筋肉をできるだけ動かさないようにすることで、血管や神経の損傷を防ぎます。
※副子:添え木、または骨折・外傷・炎症などの際に患部を固定する器材を指します。
I -Icing(冷却)
痛みを緩和させ、内出血や炎症を抑えるのが目的です。アイシングバッグなどの専用アイテムがなければ、氷を入れたビニール袋などを使っても構いません。
それを患部に当て、感覚がなくなったタイミングで冷却をやめ、また痛み始めたら再開します。医療機関を受診できない場合は、これを1~3日ほど続けてください。
氷は直接肌に当てず、アンダーラップなどを巻いてから当てると良いです。冷やしすぎると凍傷の恐れもあるので注意しながら行いましょう。
C -Compression(圧迫)
腫れや内出血を抑えるのが目的です。
テーピングパッドやスポンジを患部に当てて、その上から弾性包帯やテープを巻きましょう。このとき、患部を中心に広めに、強めに巻いてください。
ただし、強く巻きすぎると血液の循環が悪くなってしまいます。足先がしびれたり青みを帯びたりする場合は一旦外して、緩めに巻き直しましょう。
E -Elevation(挙上)
痛みを緩和させ、腫れを軽減させるのが目的です。
クッションや枕など何でも構いませんので、台になりそうなものの上に脚を乗せ、患部を心臓より高い位置に上げておきましょう。そうすることで内出血を防ぐことができます。
ランニングサポーターや専用シューズでケガを予防しよう
マラソンや長距離のランニングをケガなく楽しむには、普段から体のケアやトレーニング、そして万が一に備えた応急処置の知識が重要になります。
ランニングサポーターなどのアイテムを活用してみるのも、効率的でおすすめです。長くランニングを楽しむために、ぜひ参考にしてみてくださいね。
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