atmos×DESCENTEが発信する、タウン映えもする機能美が詰まったデサントのウェアを徹底解説 【後編:機能編】

  • 2020/11/13 (金)
  • 2023/07/19 (水)

デサントが誇る高機能なアイテムをより多くの人に広めるべく、スニーカーを中心としたライフスタイルを提案するatmosとのコラボレーションが実現。

最も高いスペックを誇るスキーウェア「S.I.O INSULATED JACKET」と「S.I.O SCHEMATECH 3L-SHELL JACKET」をatmosがカラー別注しました。

後編となる今回は、引き続きatmos ディレクターの小島奉文氏(写真左)と、デザインを担当した近藤敏雄氏(写真右)にデサントが誇る機能美についてお話をお伺いしていきます。

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S.I.O INSULATED JACKETのココがすごい!

――S.I.O INSULATED JACKETの主な機能性について教えてください。

近藤:こちらはスイスアルペンチームにサプライしたスキージャケットが元型となっています。今回のアイテムは、1つ課題を設けました。それが切り替え、面の変わり目です。

切り替えを多く作れば、きれいな立体になります。でも、切り替えが多いと無駄な点も出てしまいます。まず縫い代がごつくなっちゃうんですよね。ハリが出て、きれいなシルエットになるけれど、アタリが出てしまい、それが風の抵抗を受けることになる。

なので、今回は切り替えを極力なくして、いかに立体的に仕上げるかに取り組みました。実はこれ、前身頃と袖、後ろ身頃を1つのパーツにしているんです。それで切り替え、縫い代を極力なくしながら、立体的なシルエットに仕上げています。

小島:へぇ、これ1枚になってるんですね。

近藤:そうなんです。特にスキーは可動域が大きいので、この可動域を網羅しながら立体的にしているんです。この型紙技術「S.I.O」はデサントの最大の強みで、スキーウェアの開発当時から取り入れられている技術です。普通のアウターだと、腕を上げると裾が上がっちゃうじゃないですか。でもこれは腕を上げても裾が上がらないんですよ。

小島:なるほど。スキーの競技中に裾から雪が入ってこないわけですね。

近藤:次にディテールです。競技ではヘルメットをかぶって、上からフードをかぶります。その際、グローブをはめたままだとアウトドアのドローコードを絞りづらいですよね。

Boa仕様は2013年から開発し、2014年に採用が始まりました。これでグローブをはめたままでもフードを調整できるんです。本来はシューズに付けるものをあえてウェアに付けるという発想に、当時のBoa社も驚いていましたね。

小島:そうでしょうね。シューズに使われているものだったので、Boaは僕たちにもなじみがあります。

近藤:フロントのデュアルジップもスキーに特化したディテールです。競技は雪山で行われるので、これ1着で対応できないときはインナーダウンやミドラーを着用するんですね。そうするとかさ張ってしまう。

そんなときはジップを外側にすればワンサイズ大きくなるので、もたつきなく着られます。これも選手から要望があったものですね。

小島:デザインとしても面白いし、機能的ですね。

近藤:ベンチレーションも備えています。運動をすることで外気温と服の中の温度差で結露が生じてしまう。それを防ぐためにベンチレーションが付いているんですが、一般的な街着のベンチレーションは両サイドにしかありません。外気が入ってくるところしかないんです。今回のアイテムでは、空気が出ていくところを付けて結露を防ぐ仕様にしています。

小島:この背面のところがそうですか?

近藤:そうです。弁のようになっているので、外気が入ってくることもありません。入った空気がメッシュ部分を通って、この弁から出ていくようになっています。

これもデサントの研究開発拠点「DISC(DESCENTE INNOVATION STUDIO COMPLEX)OSAKA (ディスク オオサカ)」で実験して、どこから空気が入って、どこから出ていくのが効率が良いかの試験を重ねた、エビデンスの取れているものなんです。

結露の話に通じるんですが、素材は東レさんが開発したDermizax®という素材を採用しています。これは結露をいかに減らすかを考えられて開発された素材で、耐水圧20,000mmなので、フードをかぶれば雨もしのげます。

それから、スキーの板を担いだり、バックパックを背負うときの干渉を防ぐために、肩の部分は中にウレタンを入れて加工しています。

背中と袖部分のライナーには保温性のあるHEAT NAVI®を使っています。光エネルギーを効率良く熱に変換するので、+5℃暖かくなりますね。

中わたは、Bemberg®という旭化成さんが開発したものです。紳士服の裏地にも使われているもので、綿を生成するときに本来捨てられているものを再生成して作られているサステナブルな素材ですが、普通の綿より吸湿発熱効果があるんです。

小島:なるほど。だからダウンじゃなくても暖かいんですね。とにかくディテールが盛りだくさんで、機能的にうたえるところが本当にたくさんありますね。

S.I.O SCHEMATECH 3L-SHELL JACKETのココがすごい!

――S.I.O SCHEMATECH 3L-SHELL JACKETの主な機能性について教えてください。

近藤:こちらは中わたと裏地のないハードシェルで、基本的にはS.I.O INSULATED JACKETと同じ内容の機能が備わっています。

こちらにしかない機能としては、SCHEMATECHといわれる素材ですね。これは生地を切り替えることなく、部分ごとに機能性や風合いを変えているんです。表生地が格子状になっているんですが、肩は広めの格子、脇や胸のあたりは狭い格子になっているのが分かりますか?

小島:確かに違う柄になっていますね。

近藤:この格子の縦と横の交わる部分は白くなっているんですが、この筋の部分の糸を溶かして抜いているんです。これによって、風合いもハリコシがあるところと柔らかいところが1つの生地で部位によって分かれています。

スキー板やバックパックを背負う肩部分はハリを出し、脇や胸のあたりは、動いたときにシワやたるみが出ないよう柔らかくしているんです。

これも東レさんと開発した素材です。パフォーマンスを最大限発揮するための型紙技術であるS.I.Oを損なわないために開発を進めました。

小島:そんなことまでしているんですか!?プロの選手と同じスペックのものを僕たちも着られるということですね。

近藤:おっしゃる通りです。でも実際に選手に渡すものは、さらに機能が盛りだくさんなんですよ。

ハイスペックなジャケットは街着としても実用性が高い

――今の説明を聞いて、いかがですか?

小島:いやぁ、ここまで高スペックとは驚きですね。これだけ機能美を追求しているので、まさに大人のための1着ですね。

今までは分かりやすく言うと、ゴアテックスかゴアテックスじゃないか。それぐらいの認識でいたお客さんも多かったと思うんですが、こうしていろいろお話を聞くと、より興味が湧きますね。新しいテクノロジーや素材には、僕自身とても興味があります。

でも選手が着ているスペックのものをタウンユースできるというところは、しっかりアピールしていきたいですね。

――実際に街で使うときに役立つ機能は、どのあたりでしょうか?

小島:ベンチレーション機能はタウン使いでも必要ですね。冬場、外は寒いですが、満員電車に乗るとすごく暑くなってきてしまう。競技用の高いベンチレーション機能だから、街でも快適に過ごせると思います。

それから肩まわりですね。僕もバックパック通勤ですし、バックパックを背負う人にとってはアウターの肩まわりは擦れやすいので、気になる部分だと思います。特にこの2点は日常に寄り添った機能だなと思いました。

あとは圧倒的な耐水圧ですね。僕があまり傘を差したくないタイプというのもありますが、街ではもちろん、出張や旅先にもこれを着て行けば傘がいらないというのは便利です。

近藤:これ1着あれば手荷物も減らせますね。

小島:僕は自転車通勤しているので、この耐水圧の高さはすごく響きました。このDermizax®はストレッチ性もすごく高いですね。やっぱり伸びない生地だと疲れますからね。ストレッチ性があると動きやすいですし、自転車に乗るときにも良いですね。

あとはとにかく軽いのも良い。歳を取ってくると重くてかさ張るものは着なくなって、こういう軽くてハイスペックなものにシフトしてきているんですよね。まさにこういう1着を求めていました!

近藤:自転車に乗るという小島さんの話を聞いて、ベンチレーション機能は自転車を乗る人にも良いなと思いました。走っているときに空気が抜けるので、風で背中が膨らみにくい機能にもつながるかなと思います。

独自の型紙技術であるS.I.Oによる、腕を上げても裾が上がりにくいという部分も、街では十分意味のある機能じゃないかなと思います。

小島:とにかくまずは着てみてほしいですね。これだけ機能性が高いと安心感がありますが、実際に着て試してみると、よりその安心を実感できると思います。水沢ダウンのときも「高いダウンがきた!」って思われがちなんですが、実際に着るとクオリティと値段に納得すると思うんです。

うちのお客さんは若い子が多くて、彼らの世代だと、たくさん詰まっているほうが暖かいと思っているようなんです。でもこういう軽くて暖かなハイスペックなものもある、ということをまずは知ってもらいたいですね。

まだまだ続く!?atmos×DESCENTEの取り組みに乞うご期待!

――最後に今回の企画の感想をお聞かせください。

小島:改めてお話を聞いて、機能や素材、縫製すべてのスペシャリストであるデサントさんに、カジュアルタウンユースするときにこんなのどうですかって、もっと僕らからも提案できることがあるんじゃないかなと思いました。

機能は最高というのは理解できたので、それを若者にどう落としていくか、どういうシーンで伝えられるかが重要になってくると思うんです。デサントに触れたことがない人たちに向けて、どこをエントリーにするか、ということですね。

機能性の高いTシャツやショーツなど、SSで買いやすいものから提案して、最高じゃん!ってFWに続いていく。そういう1年の流れもあると思います。

いろいろなケースで提案して、まだ一度もデサントの商品を買ったことがないという人に、atmosのフィルターを通して入口になれたら良いかなと思います。今回の企画を通して、今後そういう可能性はあるんじゃないかと感じました。

近藤:今回のアイテムのような提案は、やはり我々だけじゃできなかったことで、コラボレーションがないとできなかったと思います。それはスキーウェアのデザインをしていく面でも勉強になったというか。

今回の対談で、いろいろお話しましたが、やはりすべてをお客さんに伝えるのは難しいですね。いただいた1つのアイデアとしては、もっと機能を凝縮した、分かりやすいアイテムというのが、これからファッションとつながる架け橋になるんじゃないかなと今感じているところです。

今後の企画に向けて、課題にしていきたいなと思いましたね。

<プロフィール>

atmos ディレクター
小島奉文 (写真左)

世界的な人気を誇る東京発のスニーカーショップ「atmos」のディレクター。2001年より「atmos」の前身である「CHAPTER」でキャリアをスタート。2007年よりディレクターに就任し、数々の別注企画を手掛ける。

デサントジャパン株式会社
デサントマーケティング部門 デサントリテール部 リテールMD課 デザインディレクター
近藤敏雄 (写真右)

1994年にデサント入社。スキー部門に配属後、アスレチック部門も経験し、長年デサントスキーウェアのデザインディレクターを務め、現在はリテール商品も手掛ける。

写真:横江 淳
テキスト:伊藤伊万里(ライトアウェイ)

 

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