ダイエットのために、朝ご飯を抜いているという人もいるかもしれません。しかし、ダイエット中だからこそ、朝ご飯をしっかりと食べたほうが良い理由があります。
この記事では、管理栄養士監修のもと、ダイエット中に朝ご飯を食べるメリットと食べないデメリット、おすすめの朝食メニューを紹介します。
ダイエット中に朝ご飯を食べる3つのメリット
朝ご飯は抜かずに、しっかりと食べることがダイエット成功への近道です。まずは、ダイエット中に朝ご飯を食べるメリットを3つ紹介します。
基礎代謝量・消費カロリーが増える
ダイエットの基本は、1日の摂取カロリーが消費カロリーを超えないようにすることです。そのためには、基礎代謝量を高めて効率良くカロリー消費できる体をつくることが重要となります。
人間の代謝量は体温と深い関わりがあり、体温が1℃上がると代謝量は13%アップすると言われています。朝ご飯を食べると体温が上がるため、代謝を高めることにつながるのです。
朝ご飯を抜いた状態で活動を始めた場合、体を動かすエネルギーを補うために、筋肉を分解する働きが起こりやすくなります。
筋肉が分解されると筋肉量が減り、基礎代謝量が低下するため、痩せにくい体になってしまうのです。
血糖値の急激な上昇を防げる
血糖値の急上昇は、血糖の吸収を促す「インスリン」というホルモンの分泌を促すため、ダイエット中は特に注意したいポイントです。
血糖値は、空腹の状態が続いた後に食事を取ると急上昇しやすくなります。
これは、空腹状態では細胞がエネルギーを作り出すために「血糖を吸収しよう」という働きが活性化し、インスリンが活発に働いて血糖を細胞に取り込むためです。その結果、血糖値が急上昇・急降下することになり、体脂肪としてため込みやすくなります。
朝ご飯をしっかり食べておけば昼食時の急激な上昇を防ぐことができ、1日を通して血糖値の変動が安定的になるでしょう。また、昼食の食べすぎを防げるというメリットもあります。
体内リズムが整う
体内リズムは、睡眠や腸内環境に影響を与えると言われています。
睡眠不足になると食欲を増進させるホルモンの分泌量が増えるため、ダイエットにはNGです。また、腸内環境の悪化は便秘や代謝の低下を引き起こします。
そのため、ダイエットを成功させるには体内リズムを整えることが重要なのです。
朝ご飯を食べると体内時計がリセットされるため、夜になると眠くなるというリズムが自然に整いやすくなります。
また、腸の活動が活発になり、朝の排便がスムーズになるといった点もメリットの一つです。
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ダイエット中に朝ご飯を食べないデメリット
朝ご飯を抜くことで1日の総摂取カロリー量を減らすことはできるかもしれませんが、以下のようなデメリットがあることも覚えておきましょう。
何となくイライラする
朝ご飯を抜いた状態で1日を過ごすと「何となくイライラする」と感じることが増えるかもしれません。これは、体内時計が正常に働かず、自律神経が乱れているサインです。
さらに、イライラやストレスを発散しようとして無意識に昼食を食べすぎてしまうという悪循環が生まれることも考えられます。
また、朝ご飯を食べないと脳のエネルギー源となるブドウ糖が不足するため、集中力や記憶力の低下にもつながります。
午前中の授業や会議などに集中できないと感じる場合は、朝ご飯を抜いていることが原因かもしれません。
体脂肪がつきやすくなる
前述の通り、朝ご飯抜きで空腹状態が続いた後に昼食を食べると、血糖値が上昇しやすくなります。血糖値が上昇するとインスリンが過剰に分泌されるため、脂肪を蓄えやすくなるのです。
そのため、1日あたりの摂取エネルギー量が同じでも、食事回数が少ないほど太りやすいと言われています。
ダイエット中の朝ご飯で摂りたい栄養素
せっかく朝ご飯を食べるなら、ダイエットに効果が期待できる朝食メニューで成功を目指しましょう。具体的には、以下の3つの栄養素を取り入れるのがポイントです。
食物繊維
食物繊維は野菜などに多く含まれる栄養素で、小腸で消化・吸収されることなく大腸まで届くのが特徴です。
便秘予防をはじめとする整腸作用があることでよく知られていますが、ほかにも血糖値の急上昇を抑制したり、余分な糖や脂質に吸着して便と一緒に体外に排出したりする働きがあり、ダイエット中は積極的に摂取したい栄養素の一つです。
また、まず野菜から食べ始めるという食べ方もポイントです。サラダや味噌汁など、野菜を使う料理を取り入れるようにすると良いでしょう。
タンパク質
タンパク質は、筋肉を作るために欠かせない栄養素です。
ダイエットは「基礎代謝量を高める」ことが成功の鍵になります。そのためには、タンパク質を摂取して筋肉量を増やすことが有効です。適度な運動後にタンパク質を補給すると良いでしょう。
タンパク質は、肉や魚、卵、牛乳、大豆製品などに多く含まれているため、朝食メニューにもおすすめです。
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糖質
意外に思われるかもしれませんが、糖質もダイエットに欠かせない栄養素の一つです。
糖質が不足すると活動するためのエネルギーが足りなくなり疲労を感じやすくなるほか、体内に糖質がない状態で運動すると筋肉を分解する作用が起きてしまいます。運動する前には糖質でエネルギー補給をすることを意識しましょう。
過剰な糖質制限はダイエットの逆効果となるため、米やパンなどの糖質を多く含む食品を食べるようにしましょう。
特に、米は脂質が少ない食品のため、ダイエット中にもおすすめです。
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ダイエット中の朝ご飯はコレで決まり!おすすめの朝食メニュー例
続いては、ダイエット中の朝ご飯におすすめの具体的なメニュー例を紹介します。時間がない朝におすすめの朝食メニューも紹介するので、ぜひ参考にしてみてください。
和定食(白米・納豆・味噌汁)
まずは、朝ご飯の定番、和定食メニューです。
白米で糖質、納豆でタンパク質、味噌汁には食物繊維が豊富な海藻や野菜をたっぷり入れることで、ダイエットに良い3つの栄養素をバランス良く摂取できます。
朝、白米を炊く時間がない場合はコンビニのおにぎりでもOKです。
洋定食(パン・卵料理・野菜スープ)
朝はパン派という人には、以下の洋定食メニューがおすすめです。
パンは糖質、卵料理はタンパク質、野菜スープは食物繊維と、ダイエットに良い3つの栄養素を摂取できます。
卵料理は、スクランブルエッグや目玉焼きなど簡単なものでOKです。卵がないときには、ヨーグルトや牛乳にしても問題ありません。
サラダやフルーツを取り入れるのも良いですが、冷たいものよりも野菜スープで体を温めてあげたほうが1日の代謝がアップします。
時間がない朝に!オートミール×バナナ
朝は忙しくて朝ご飯を食べる時間がないという人におすすめなのが、オートミールとバナナを組み合わせた簡単メニューです。
オートミールとは、燕麦(エンバク)やオーツ麦などの穀物を食べやすく加工した食品のことです。
オートミールに牛乳をかけてレンジで温めるとミルクがゆのようになるので、そこに切ったバナナと蜂蜜をトッピングすればおいしく食べられます。
ダイエット中こそ朝ご飯を食べよう!
ダイエット中にカロリーを気にして朝ご飯を抜くのは、逆効果になることもあります。
朝ご飯を食べて体内時計をリセットし、体温を上げて代謝を高めたほうが、結果的に1日の消費カロリー量は増加するでしょう。
また、朝ご飯を抜くと活動のためのエネルギーが不足するため、午前中にイライラしたり集中力が続かなかったりと、日常生活にも良くない影響が出てしまうかもしれません。
今回紹介した3つの栄養素がバランス良く摂れる朝食メニューも参考に、朝ご飯をしっかり食べて、健康的なダイエットに取り組んでみてください。
管理栄養士
荒井名南
管理栄養士のほか、フードスペシャリスト、健康食育ジュニアマスター、離乳食アドバイザーの資格を保有。保育園での給食運営や食育指導を経て、「親子のしあわせごはん」をテーマに食育やアレルギー食に関する執筆・監修、レシピ開発などを行っている。