紫外線対策と日焼けの対処ってどうするの?医師が徹底解説!

紫外線対策と日焼けの対処ってどうするの?医師が徹底解説!

  • 2023/07/13 (木)
  • 2023/07/28 (金)

夏は日差しが強く日焼けが気になる季節ですが、シワやシミのもとにもなる紫外線は、夏だけではなく、寒い冬や曇りの日でも一年中降り注いでいます。

日焼けを防ぐためには、日頃から紫外線対策をしっかり行うことが大切です。

そこで今回、皮膚科の専門医である巣鴨千石皮ふ科の小西真絢院長に、紫外線対策の方法や日焼けしてしまったときの対処法について教えていただきました。

 

<プロフィール>

小西真絢先生

小西真絢(こにし・まあや)

日本皮膚科学会認定専門医
巣鴨千石皮ふ科 院長

https://sugamo-sengoku-hifu.jp/

杏林大学医学部医学科卒業後、東京医科歯科大学皮膚科に入局。その後、総合病院などで経験を積み、2017年、生まれ育った千石にて 「巣鴨千石皮ふ科」 を開院。大学や総合病院などで培った経験を活かし、地域のかかりつけ医として「目に見える異変は何でも相談できるホームドクター」を目指し、患者様一人ひとりに最適な治療を提供しています。多汗症の治療にも力を入れており、相談しにくい汗の悩みに初診からオンライン診療に対応することで、全国から多くのご相談をいただいています。

日焼けのメカニズムとは?

紫外線の種類

地上まで届く紫外線には、UV-A(紫外線A波)とUV-B(紫外線B波)の2種類があります。

地表に届く紫外線の約90%を占めるUV-Aは、波長が長く、さまざまな物質を透過します。そのため、曇りの日や屋内で過ごしているときにも注意が必要です。

UV-Aは表皮(ひょうひ)を通過し、真皮(しんぴ)にまで届き、ダメージを与えます。短期間で肌の状態が変わるような変化はありませんが、ダメージを蓄積することで、シワやたるみの原因となります。

一方、UV-Bは波長が短く、日焼けや炎症を引き起こし、シミやそばかすの原因となります。主に肌の表面にダメージを与え炎症を引き起こし、その後、肌が黒くなります。

エネルギーが強く、短時間浴びただけでもダメージを受けるため、UV-Bを浴び続けると皮膚がんの原因にもなります。また、波長が短いためオゾン層や窓ガラスに阻まれやすいという特徴もあります。

紫外線の種類について

紫外線が与える影響

紫外線を浴びると、表皮にあるメラノサイト細胞が活性化してメラニンを生成します。そして、メラニンが紫外線を吸収して肌を守ります。これが日焼けのメカニズムです。

UV-Bにより作られたメラニンは、肌の細胞が一定の周期で生まれ変わるターンオーバーにより、徐々に表面に押し上げられ、角層に到達するとシミやそばかすになります。

また、真皮まで到達するUV-Aは、肌のハリや弾力を維持するコラーゲンやエラスチン、ヒアルロン酸を生み出す線維芽細胞(せんいがさいぼう)にダメージを与え、シワやたるみの原因となります。

紫外線が肌に与える影響について

紫外線により傷付いた肌は、回復するためにターンオーバーを早めますが、その結果、古い角層と新しい角層が表皮に混在する状態になり、ザラつきやくすみ、毛穴汚れの原因にもなります。

紫外線対策のおすすめ方法

紫外線対策には次のような方法があります。それぞれの特徴を押さえ、適切に対策するようにしましょう。

日焼け止め

肌や髪に日焼け止めを塗布します。クリーム、ミルク、ジェル、スプレー、シートなど、さまざまなタイプの日焼け止めがあるので、肌質や塗布したい場所によって使いやすいものを選びましょう。

日焼け止め商品に記載されている「PA」は、UV-Aを防止する程度を表す指数(Protection Grade of UV-A)で、効果の低い順からPA+、PA++ 、PA+++、PA++++の4段階で評価されています。

また、「SPF」はUV-Bを防止する程度を表す指数(Sun Protection Factor)で、2~50+までの数値で表され、数値が大きくなるほど防止効果が高くなります。

効果の高い日焼け止めは肌にかかる負担が大きくなるため、日常的な外出時はSPF20程度のもの、アウトドアのレジャーはSPF50程度のものを使うなどシーンで使い分け、できるだけ早く落とすようにしましょう。

なお、日焼け止めを選ぶ際は、紫外線吸収剤が入っていないものがおすすめです。紫外線吸収剤が紫外線に当たり性質が変化することで、かぶれてしまう可能性があります。

例年、3月頃から紫外線が増え始めるため、シミを防ぐためにも日焼け止めを使うことをおすすめします。また、多量の汗をかくと日焼け止めが流れ落ちてしまうので、こまめに塗り直しましょう。

日除けアイテム

サングラスや帽子、日傘などの日除けアイテムを使うことも有効です。

忘れてしまいがちですが、頭皮と髪も紫外線のダメージを受けています。頭皮がダメージを受けると、髪の生えるサイクルに悪影響が生じるほか、髪質が劣化してパサつきや乾燥、退色の原因にもなります。

帽子や日傘を使い、頭皮と髪を守りましょう。

また、紫外線を目に受けると、体が「紫外線が体内に入って来た」と感知してメラノサイト細胞を活発化させてしまいます。

シミやそばかすの原因になることに加え、目の細胞にもダメージを受けてしまうので注意が必要です。

また、ドライアイや充血、白内障につながる可能性もあるので、UVカット機能付きのサングラスで予防しましょう。

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紫外線対策を紹介するイラスト

UVカット効果のある化粧品

化粧下地やファンデーションなど、UVカット効果があるものを選んで使用することもおすすめです。日焼け止めと同じく、化粧崩れにより効果が落ちてしまうので、こまめに塗り直すようにしましょう。

また、唇も紫外線を浴びると日焼けしてしまうので、UVカット効果のあるリップなどを塗ることをおすすめします。

ビタミンC・ビタミンEを摂る

紫外線を浴びると、体内では活性酸素が発生し、肌も酸化によるダメージを受けてしまいます。抗酸化作用のあるビタミンC・Eが含まれている食品を摂ることで、活性酸素の働きを抑えることができます。

UVカット効果のある衣類

衣類にも紫外線をカットする機能が備わっているものがあります。衣類に記載されている「UPF値※」を参考に、シャツや上着、アームカバーなど、シーンに合わせて取り入れることで、紫外線対策ができます。

※UPFとは衣類の紫外線防止指数のこと。UPF50の衣類を着た場合、通常(20分)の50倍となる約16時間半に渡って紫外線をほぼ遮断し、日焼けを防ぐ効果が期待できます。

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日焼け時の対処法とは?

長時間のアウトドアやスポーツなどで日焼けしてしまった場合には、このような対処が必要です。

肌をしっかり冷やす

肌に赤みやほてりがある場合、しっかりと冷やして炎症を鎮めます。いわば、やけどしているような状態なので、冷たいタオルや保冷剤などを使って冷やしましょう。

日焼けによる炎症を起こしている肌は、とてもデリケートです。保冷剤を使う場合は直接当てずにタオルに包んで当てるようにし、冷却ジェルシートなどは使わないようにしましょう。

保湿をする

日焼け後の肌は水分が不足しているため、赤みやほてりが消えたら保湿をします。なるべく肌を刺激しないよう、化粧水やクリームなどをやさしく塗りましょう。

体の内側からケアをする

抗酸化作用のあるビタミンC・ビタミンEを積極的に摂取したり、日焼けにより失われた水分を補給したりすることも大切です。また、十分な睡眠を取ることも肌の回復に効果があります。

もし、翌日になっても日焼けによる痛みが消えない場合などは、早めに病院を受診しましょう。

紫外線対策を取り入れて肌を守りましょう

日焼け対策について話す小西先生

今回紹介したように、紫外線から肌や目、体を守ることはとても大切です。ぜひ日頃から、きちんとした対策を行うようにしましょう。

なお、多くの皮膚科では、シミ対策やシミを薄くするための薬剤による治療も行っています。紫外線による肌のトラブルでお悩みの方は、まず医師に相談してみるのがおすすめです。

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