さまざまな症状を引き起こすストレートネックとは?原因と予防方法を紹介

さまざまな症状を引き起こすストレートネックとは?原因と予防方法を紹介

  • 2023/05/18 (木)
  • 2023/05/24 (水)

パソコン作業やスマートフォンを長時間使用することが原因だと言われている「ストレートネック」。悪化すると、慢性的な頭痛や肩こりなどの不調につながることもあります。

そこで今回は、ストレートネックの原因や予防につながるストレッチなどを、鍼灸師・スポーツトレーナーの宮崎和さんに教えてもらいました。

ぜひ参考にして、身体の不調を解消しましょう!

 

宮崎和さんのプロフィール画像
鍼灸師・スポーツトレーナー
宮崎和(みやざき やまと)

1987年生まれ、東京都出身。2008年、学校法人 三幸学園 東京リゾート&スポーツ専門学校を卒業。2021年国家資格 鍼師・灸師を取得し、同年9月に株式会社ワイズケアに入社後、練馬区の『ワイズ整骨院』院長就任。2022年、往診治療に専念するため独立。現在は、一人ひとりの症状に合わせたオーダーメイドの施術を行っており、鍼灸治療・リラクゼーション・運動療法などトータルケアを行う。

ストレートネックになる一番の原因は「同一姿勢」

――ストレートネックとはどのような状態のことを言うのでしょうか?

宮崎:ストレートネックとは、読んで字のごとく『首が真っ直ぐ』になってしまっている状態のことを言います。本来、人間の背骨は『生理的S字湾曲』という緩やかに波を打つような状態が正常です。

首(頸椎)・胸(胸椎)・腰(腰椎)に正常なカーブがあることで、歩行時の頭部の上下運動の衝撃などに耐えられるようになっていますが、ストレートネックでは首の骨が前に出てしまい、首や肩に負担がかかってしまいます。

正常な状態とストレートネックの説明画像

人の体格によって誤差は生じますが、頭は体重の約10%あると言われているので、シンプルにとても重い部分だと認識していただければ良いと思います。また10%というのは、正しい姿勢時に首がきちんと乗っている状態なので、これが数cm前に行くだけで、首への負荷が何倍もかかります。

ただ、これは広義なものだということを認識してほしいです。ギックリ腰、猫背という言葉は一般の生活でもよく聞く症状だと思いますが、そこに入るぐらいストレートネックという言葉が知られるようになりました。

注意してほしいのは、肩や腰に痛みが出たとしても、その原因がストレートネックだと断言できることはありません。きちんと病院に行き、医師から診断され、初めてストレートネックと言えます。症状ではなく、状態を指していることを知っておいてください。

ストレートネックの状態について解説する宮崎さんの画像

――ストレートネックによる身体への悪影響を教えてください。

宮崎:ストレートネックの人は正常な人に比べて、頭部の荷重に対しての耐性力が弱いため、日常生活での頭部の荷重で首の筋肉に大きなダメージを与える可能性があります。

そうなることで、首周辺を通過する神経や血管を圧迫することになり顔にむくみが出たり、脳にも酸素が行きにくくなることもあるので疲れやすくなったりするケースがあります。また、首に負担がかかるので、肩こり・首こりの原因になることも十分に考えられるでしょう。

そのほかにも首から出ている神経が腕のほうに向かっているので、そこが圧迫されると腕の痺れ・手の痺れなどが出てくることもあります。

――ストレートネックになる一番の原因は何ですか?

宮崎:「同一姿勢」です。やはり同じ姿勢をずっと続けることが、一番の原因だと考えられます。タクシーやバスの運転手、コンピュータ関連などのデスクワークの多い方などは、同じ姿勢で何時間も作業を行うので、ストレートネックになる可能性が高いと言えます。

また、現代ではスマートフォンが普及したことでSNSやゲームを同じ姿勢で長時間行うことも、ストレートネックになる原因だと考えられています。

ストレートネックの原因について解説する宮崎さんの画像

近年では、新型コロナウイルス感染防止のため、在宅勤務が推奨されていました。その前までは、通勤などで身体を動かす時間があったと思うのですが、それがなくなり、動く時間が少なくなったことで、身体の不調を訴える方が多くなりました。やはり、身体を動かす時間が少ない人は要注意です。

正しい姿勢かどうかをセルフチェックしてみよう

ストレートネックの原因を探るうえでは、『姿勢不良』かどうかのチェックが必要です。正しい姿勢をセルフチェックすることで、自身がストレートネック気味なのかが分かると思います。

あくまで目安ですが、一度試してみてください。

セルフチェック1

耳の穴・肩の中心・大転子(だいてんし)・膝関節前部・外くるぶし5点がすべて直線状に並ぶのが理想的な姿勢であるとされています。

真っ直ぐに立ち、耳の穴・肩の中心の骨・大転子(※太ももの横にある少し出っ張ったところ)・膝関節前部・外くるぶし約2cm前方と、5点が直線上に並ぶことが理想的な姿勢です。

これら5点中1点でも狂いがあると、いわゆる生理的湾曲が崩れ、姿勢不良と呼ばれる状態に陥ってしまいます。

正しい姿勢のチェックポイントの画像

第三者に真横から見てもらうのが最も簡易的ですが、1人で行う場合はスマホカメラアプリ(グリッド線撮影アプリ)などで行うことも可能です。

ただし、ある程度熟練した人に見てもらわないと見誤ることがあるので、セルフチェックの場合は大体の指標としてください。

セルフチェック2

仰向けでベッドや床に寝てもらい、肩が床からどのくらい離れているのかを見ます。ストレートネックのチェックではないのですが、首が前に出ている人で肩が反っている人はいないです。

肩と床の距離が約2.5cm以内であれば問題ありませんが、それ以上になっている方は『巻き肩』になっており、首も前に出ている可能性が高くなります。

巻き肩のセルフチェックポイントの画像

ストレートネックを予防するストレッチ

一番の問題は同一姿勢を長く続けることなので、休憩時間などを利用して身体を動かしてあげることが大切になります。

ここでは、自宅などでできる3つのストレッチを紹介していきます。

キャット&カウ

  1. 四つん這いの状態になる
  2. 背中を丸めて目線はおへそに向ける
  3. 胸・肩の順に背中を反らし、目線を上へ向ける
  4. 10回ほどゆっくり繰り返す

キャット&カウで背中を丸めている画像

キャット&カウで背中を反らしている画像

注意点は、背中を丸めるときに突き上げるようなイメージを持ってください。腹筋が少し痛くなるような感じで背中を丸めます。

背骨がきちんと動いていることを確認しながら、リラックスして息を止めないで行いましょう。

キャット&カウ+ツイスト

  1. 四つん這いの状態になる
  2. 左手を頭につける
  3. 頭につけた左手を右手につけるように身体をねじる
  4. 頭につけた左手の肘を天井に向けるように身体をねじる
  5. 左右で各10回ずつ行う

キャット&カウ+ツイストで左手を頭につける画像

キャット&カウ+ツイストで身体をねじる画像

背骨をねじる動きを加えることで、トレーニング要素が増すストレッチになります。背骨がきちんと動いていることを確認し、リラックスして息を止めないで行いましょう。

肩甲骨のストレッチ

  1. 目一杯肩を上に上げる
  2. ストンと下に落とすことで肩がニュートラルな位置になる
  3. その状態から肩を1cm下げる
  4. 肩甲骨を寄せる
  5. 5~10回行う

肩甲骨のストレッチ手順の画像

デスクワークなどで固まってしまいがちな肩甲骨を動かす運動になります。注意点は、肩甲骨を寄せるとき、肩が上がらないように意識することです。

もし上記のストレッチを試してみて、痛いと感じた人は専門家(鍼灸院・接骨院など)に見てもらいましょう。長期的なアプローチになりますが、身体が動かせるところまで戻る可能性があります。

※デスクワークなどを長時間行って首が前に出てしまった方や、運動時間が少なく筋力が低下していると感じている方を対象としたストレッチなります。もし上記のストレッチを2週間続けた後に、身体が不調になった場合はすぐに止めてください。

 

今回指導してもらった宮崎さんは、上記のストレッチを行うことで徐々に筋肉がつき、身体がきちんと動かせるようになることが重要だと話してくれました。

加えて、通勤などで日々歩くことを意識するだけでも身体に良い変化が出てくるというアドバイスももらいました。

同一姿勢を長時間しないことを心掛け、ストレートネックになる原因を取り除いていきましょう。

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