実は危険な「汗冷え」のメカニズムを知ろう登山で準備しておきたい、インナーでできる簡単な対策って?
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実は危険な「汗冷え」のメカニズムを知ろう!登山で準備しておきたい、インナーでできる簡単な対策って?

  • 2021/06/28 (月)
  • 2021/09/14 (火)
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長時間、重い荷物を背負った状態で、足場の悪い坂道を登り続けるため、いつも以上に汗をたっぷりかく登山シーン。汗で濡れたスポーツウェアが肌に張り付き、時間が経つにつれ、身体が冷えてくるのを感じた経験はありませんか? 

身体を動かしている最中は汗が流れるくらいに暑くても、汗が乾くときに熱を奪われるため、急に寒さを感じることがあります。

「汗(水分)は空気に比べて25倍の熱伝導率を持っており、肌やウェアに汗が残ったままだと、体の冷えにつながってしまうのです。」と話すのは、登山用品を中心とするアウトドア用品を多数取り扱う「石井山専」新宿東口ビックロ店 清水良文店長。

「例えば、山の上で外気温が下がったのに加え、強い風も吹いて0℃になった状態で汗をかいているのと、平地で30℃の状態で汗をかいているのとでは、体温の奪われ方がまったく異なります。前者の場合、体温を奪われ続けると、低体温症になってしまう危険性もあります。それを避けるために、いかに早く汗を乾かすかが、より重要になるのです。」と清水さん。

汗冷えの結果、余分な体力やエネルギーを奪われ、パフォーマンスが低下するだけではなく、最悪の状況に至る可能性も…。

そこで今回は、汗冷えによるパフォーマンス低下のメカニズム、汗冷えを避けるためのインナーウェア選びについて、前出の清水さん、ティップネス東新宿所属のインストラクター・高橋雅史さんに話を聞きました。

取材に協力してくれた識者

清水良文
「石井山専」新宿東口ビックロ店店長。山に囲まれた山梨生まれという環境と父の影響もあり、高校時代に登山をスタート。大学時代に石井スポーツでバイトを始め、卒業後入社し20年になる。甲府店・吉祥寺店を経て2013年12月より石井山専新宿ビックロ店に勤務。石井スポーツで山登りの技術やそれを活かした接客を学びながら現在に至る。自然を感じることのできるテント山行が好き。

高橋雅史
ティップネス東新宿に勤めるインストラクター。2006年入社。木場店・六本木店・喜多見店勤務を経て、現在は東新宿店にて専門職社員(レッスン社員)として在籍。担当レッスンはエアロビクス、マーシャルアーツ、筋力トレーニング、ヨガなど週に17本。プログラム開発や人材育成にも携わる。“参加していただいた皆様が笑顔になれるような楽しいレッスン”を心掛けている。保有資格:NSCA-CPT

ケガの原因にもなり得る汗冷え

高橋雅史インストラクター

1週間に17本のレッスンを担当する高橋雅史インストラクター。うち10本はエアロビクスやマーシャルアーツ(ボクササイズ)などの、汗をたっぷりかく有酸素運動系のプログラムだとか。

「ほとんどのレッスンで必ず行うのはウォーミングアップ。体温(筋温)を上げてより安全にかつ高いパフォーマンスを発揮していただく目的があります。汗冷えはウォーミングアップで上げたはずの体温の低下を招いてしまうのです。その結果、筋肉が強張ったり関節の動きに影響が出たりすることで、本来発揮されるはずのパフォーマンスを低下させ、ケガの原因になってしまいます。」(高橋さん)

レッスン中の汗冷えによるパフォーマンス低下を避けるため、高橋さんは自身が担当する有酸素系レッスンの日は、ウェアを吸水(吸汗)速乾性のあるものにしたり、レッスンが続くときには合間に必ず着替えをしたりすると話します。

「ウェアを意識的に選んでいるので、私自身はレッスン中に汗冷えを感じることはほとんどありません。レッスンに参加していただくお客さまのなかには、汗をたくさんかかれているのに着替えをされないまま運動を続けたり、ストレッチをされたりする方もいらっしゃいます。

ご自身の運動パフォーマンスを考えて運動されている方は少ないのかもしれませんが、安全かつ効果的に運動するためにも、運動中・運動後に汗冷えを起こさないよう心掛けることが大事だと思います。」(高橋さん)

速乾性・はっ水性インナー×吸湿性ウェアで汗冷え知らずに!

つまり、汗(水分)を肌に残さないことこそが、汗冷え対策として最も有効!そこで、汗冷えを引き起こしにくいインナーの選び方を前出の清水さんに教えていただきました。

「汗冷えを避けるインナーとして、綿に比べると乾きが速い化学繊維のものが主流でした。さらに最近では水分を吸わないポリプロピレン製で、かつはっ水性(水切れが良く、乾きやすい性質のこと)のある高機能なインナーが主流になりつつあります。

吸湿性が低いとはいえ、多少は水分を吸ってしまうポリエステル製のインナーもありますが、はっ水機能付きのものが増えています。」(清水さん)

1枚で過ごせるインナーもありますが、清水さんが勧めるのはインナーを着用した上に、もう1枚吸湿性のある素材のウェアを重ねる着方です。しかし、2枚重ねると暑いのでは…?

「スポーツ時の重ね着になれていない方はそう思われるかも知れませんが、速乾性・はっ水性の高いインナーに吸湿性の高いウェアを重ねると、汗がはっ水性の高いインナーから吸湿性の高いウェアのほうへと移行します。そのため、肌に触れるインナーはもちろん、肌面はずっとドライなまま、快適な状態で過ごせるのです。」(清水さん)

そんなインナーに共通するのは「メッシュ素材」でできていること。いくつか取り出してもらったところ、小さめなメッシュから大きめなメッシュまで、さまざまなタイプがありました。どんな選び方をすれば良いのでしょうか?

汗の乾きやすさ重視の粗いメッシュ

保温性重視の細かいメッシュ

「夏に『汗の乾きやすさ』を重視したいならメッシュが粗いもの、冬に『保温性』を重視したいならメッシュが細かいものを選ぶと良いでしょう。シーンによって使い分けたいなら、例えばランニングや自転車などの平地でのスポーツだと、メッシュが粗いほうが汗抜けしやすいのでおすすめです。

一方、標高が高くなるほど気温が下がっていく山登りでは保温機能を重視したいので、メッシュが細かいものを選ぶと良いでしょう。季節や気温、スポーツをする場所などに合うインナーを選んでほしいですね。」(清水さん)

インナーの着方・選び方まとめ

  • 基本は「速乾性・はっ水性の高いインナー×吸湿性の高いウェア」の組み合わせ
  • 夏はメッシュが粗いインナーを
  • 冬はメッシュが細かいインナーを
  • 登山はメッシュが細かいインナーを
  • せっかくスポーツに取り組むのに、パフォーマンスが落ちてしまってはもったいない! 
    汗冷えを防ぐインナーを活用してみてはいかがでしょうか。

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