国内1,000店舗以上の店舗ネットワークを有する靴業界のリーディングカンパニー、株式会社チヨダ。
そのショップで取り扱うレディースシューズのバイヤーであるグローバルブランド統括部の三堀氏と洞野氏に、シューズバイヤーという仕事、レディースシューズ選びやスタイリングのポイントについて伺いました。
レディースシューズバイヤーの仕事とは?
――まずは、株式会社チヨダについて教えてください。
三堀:もともとは、東京の高円寺に「チヨダ靴店」として1936年に創業したのが始まりです。今では、靴専門の小売りチェーンとして、全国で1,000店舗以上の店舗を運営しています。
靴の販売だけでなく、プライベートブランドの製品開発にも力を入れており、お客様の声を大切に、幅広い年代の方に喜んでいただける商品開発を目指しています。
店舗は、東京靴流通センターやシュープラザ、Chiyoda(靴チヨダ)、クローバーリーフなど、立地やお客様のニーズに合わせた商品構成で、地域に根ざしてお店を展開しています。
さらに、新型コロナウイルスの感染拡大を受け、現在インターネットとリアル店舗を融合するという目的を掲げ、お客様にかかるストレスを最小限にして、お買い物を楽しんでいただけるよう、オンライン展開も進めているところです。
――そのなかで、お二人が担当されているのはどういった業務なのでしょうか?
三堀:靴流通センターやシュープラザ、Chiyoda(靴チヨダ)などの各店舗で扱っているブランドのなかで、グローバルブランド統括部として管理を任されているブランドの買い付け(バイイング)を行っています。つまり、店舗の対象としては日本全国になります。
主に女性向けの商品担当として、展示会に足を運び、部署のメンバーそれぞれのバックグラウンドを活かして話し合い、バイイングをしていきます。グローバルブランド統括部ではデサント社のルコックスポルティフをはじめ、11ブランドを対象にバイイングをしています。
――お二人がバイヤーになるまでのご経歴を教えてください。
三堀:2012年に株式会社チヨダに入社し、最初にシュープラザの小田原フレスポ店に配属されました。次に、シュープラザのイオン金沢八景店に異動になり、2019年の2月からグローバルブランド統括部で働いています。
店舗で働いている際に、店頭にない商品の要望やお客様の新たなニーズを聞くうちに、ブランドの発注業務の先にある商品開発や企画、開発などができたら良いなと思い始め、バイヤーを志しました。
洞野:2012年にアルバイトとして、東京靴流通センター上野アメ横店で勤務を始めました。靴の販売をするうちに、お客様の「どのような靴が自分に合うのか分からない」「本当にこの靴を買って良いのだろうか」という悩みに応えることにやりがいを感じて株式会社チヨダに入社することを決めました。
シュープラザ新宿店に異動した後、縁があり2019年の8月からグローバルブランド統括部で勤務を始めました。
――これまでシューズバイヤーとして働くなかで大変だったこと、働くうえでのやりがいについて教えてください。
三堀:全店舗に並ぶ商品をバイイングする部署なので、各地区の売れ筋の違いや、季節や気候によって変わる需要の変化などを考慮する必要があります。でも、配属された当初はそのスケジュールが把握できずに大変でしたね。
この仕事の面白いところは、展示会に行って、半年から1年先に発売する商品を見てバイイングできるところです。トレンドを追うための情報収集は大変ですが、実際に店舗からヒアリングした内容を活かしながらブランドの担当者の方と話をすり合わせていくのはとてもやりがいがあります。
洞野:私の場合、販売してきた店舗がインバウンド需要の多い特殊な店舗だったこともあり、経験してきたノウハウが全国の店舗に通用しなかったため、配属当初は感覚を慣らすのが大変でした。
実際にバイイングした商品が、店舗で人気商品になっているというフィードバックをもらったときにはとてもうれしい気持ちになります。
――バイイングする際に心掛けていること、気を付けていることなどはありますか?
三堀:商品のイメージだけを考慮して買っても、店舗での展開をどのようにすれば良いのか分からなくなってしまうため、売り場や販促物、キャンペーンなどの想定をある程度頭の中でイメージしながら商品を選ぶようにしています。何を売るかだけでなく、どう売るかというところまでを考える必要があります。
洞野:あとは、商品をどう売り切るのか、ということも考えなくてはならないことの一つですね。
――レディースシューズのマーケットではどのような変化が起きていますか?
三堀:昨年あたりから話題になっていた#KuToo(クートゥー)の運動でも分かるように、これまで「女性の靴と言えばパンプス」というイメージが強かったと思うのですが、徐々に服装も含めたあらゆる面でカジュアル化が進んでいると思います。
弊社内でもスニーカーを履いている女性はかなり多くなってきているので、身近なところから変化を感じています。
――新型コロナウィルスによる市場への影響はありますか?
三堀:外出を自粛している方が多い分、衣料品全体の需要は減っていると思います。また、実店舗よりもネットで買い物をする方が増えているため、インターネットで商品を取り寄せ、サイズが合わなかったらすぐに返品できるようなサービスも求められてきていると思います。
洞野:外出の機会が減っている分、運動不足を実感している人も多くいるなかで、軽い運動ができそうなスポーティーなシューズを探している方も増加傾向にありますね。
シューズの選び方・スタイリングのポイント
――女性がお仕事用のシューズを選ぶ際に気を付けるべきポイントはありますか?
三堀::すでにお話したように、スニーカーへと流れが移り変わっているとは思うものの、業界によってはまだまだオフィスではフォーマルなパンプスを履く必要があると思います。そのような場合は屈曲性に優れた靴や、インソールが入ったクッション性のあるような、楽に履けるけれどきちんとして見える商品が売れています。
洞野:スニーカー通勤OKという職場なら、クラシカルでシンプルな商品を選ぶと、公私どちらも使えるので便利ですね。色も黒や白といったベーシックなものならどんな服装にもフィットするはずです。
――休日用のシューズの場合はどうでしょうか?
三堀:服装の系統にもよりますが、コートタイプのベーシックなシューズはさまざまな服装とも相性が良く、1足あると使い勝手が広がります。
洞野:あえて仕事で使えないような黄色や赤といった、遊び心を込めたシューズを1足持つのもおすすめですよ。
――ドレスアップ用のシューズの場合はいかがでしょうか?
三堀:少し細く、ヒールのあるシューズだと、エレガントな印象を与えてくれます。飾りでパールやビジュが付いていると、ドレスがシンプルであっても、足元に華やかさ与えてくれると思いますし、飾りのないパンプスでも、光沢のあるエナメルやサテン系の素材を選んでいただけると洗練された空気感を演出できます。
――シューズ起点でのスタイリングのポイントを教えてください。
三堀:足元にボリュームがあるシューズや派手なシューズを選んだ場合、スポーティーなアイテムを選ぶと全体のコーディネートのバランスが良くなります。
キャンバス地のシューズなどには、リネン系の素材が使用されている服やワイドパンツなどを合わせると、ナチュラルな印象を出せる思いますよ。
バイヤーから見るルコックスポルティフ
――ルコックスポルティフのブランドにはどのような印象を持っていますか?
洞野:仕事にもプライベートにも使える、さまざまなシーンにマッチしたデザインが多く、おしゃれなブランドだというイメージを持っています。
三堀:個人的には、女性向けのブランドというイメージが強くありますね。女性らしさのあるデザイン、すっきりと見えるデザインが多い印象です。お仕事履きで普段パンプスを履いている方が、1足スニーカーを買おうと思ったときに選びやすいブランドだと思います。
――LAローランSLの商品の特徴や魅力を教えてください。
三堀:コートシューズは比較的アウトソールの部分が重いモデルが多いなか、このLAローランSLは軽量で、足を曲げる形状に沿って靴も曲がってくれるため、歩きやすいという特徴があります。シンプルなデザインなので、さまざまな服との合わせが良く、コーディネートのバリエーションを楽しめるのも魅力です。
洞野:前から見るとベーシックに見えるのですが、後ろにワンポイントのカラーが入っているため、自分のなかのこだわりや遊び心を表現できるデザインだと思います。
――続いて、テルナバウンドコートという商品の特徴や魅力を教えてください。
三堀:テルナバウンドコートはローランに比べると厚底ですが、こちらも軽量なモデルです。実際に履いてみると、履き口にクッションが入っていて、中のインソールも低反発なので、足を入れたときに快適な履き心地が感じられます。
洞野:ローランよりもスポーティーなイメージがあるので、スポーティーな服との合わせがぴったりですし、若い年齢層の方にもフィットしやすいシューズだと思いますよ。
――それぞれどのようなシーン・スタイリングで履くと良いのでしょうか?
三堀:私がワイドパンツ好きというのもありますが、ローランの場合はぜひワイドパンツと合わせることをおすすめしたいですね。シンプルなスキニーパンツなどでも、後ろ側にワンポイントがあることでおしゃれな印象になると思います。
洞野:最近流行っている甘辛コーデを取り入れて、服のスタイリングはあえてスポーティーな感じにしてみるのも面白いと思います。トレンチスカートに合わせるのもかわいいかもしれませんね。
――テルナバウンドコートはどうですか?
三堀:タイトスカートとの合わせがかわいいと思います。上は透け感のあるブラウスに下はタイトスカートを合わせ、こちらのシューズを履くと、少し外し感のあるおしゃれさが出せると思います。
洞野:このシューズはスカートに合わせることが多いかとは思いますが、あえてストレートパンツにしても素敵かもしれません。足がすっきりと見えるのも魅力ですね。
――最後にウルマグの読者にメッセージをお願いします。
三堀:ルコックスポルティフは、ブランドのなかからどのシューズを選んでも合わせやすい商品だと思うので、どのスニーカーを履こうか悩んでいる方は、ぜひ1足手に取って履いてみることをおすすめします。
洞野:普段どうしてもかっちりとした格好をしなければならない方も多いとは思いますが、ルコックスポルティフはカジュアルに寄りすぎないブランドだと思うので、初めてのスニーカー通勤にはおすすめですよ。
三堀 彩佳(画像左)
2012年に株式会社チヨダ入社。シュープラザの小田原フレスポ店、イオン金沢八景店での勤務を経て、2019年の2月からグローバルブランド統括部に所属。現在はグローバルブランド統括部におけるレディースシューズのバイイング業務を担当。自身の体験を踏まえ、リアルな女性のニーズを捉えた提案が得意。
洞野 雪希(画像右)
2012年より東京靴流通センター上野アメ横店にアルバイトとして勤務開始。その後、シュープラザ新宿店に異動。2019年8月よりグローバルブランド統括部に所属し、グローバルブランド統括部におけるレディースシューズのバイイング業務を担当。海外で生まれ育った経験から、インバウンドの顧客対応もできる。

株式会社チヨダ
1936年、「チヨダ靴店」として東京都杉並区高円寺で創業。「東京靴流通センター」や「シュープラザ」をはじめとした靴用品や靴のショップを幅広い顧客層をターゲットに全国展開している。靴の小売りチェーンとしては店舗数日本最大を誇る。
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