長谷川涼香「水着は自分のパフォーマンスを上げてくれるパートナー。」

競泳 長谷川涼香 選手インタビュー「水着は自分のパフォーマンスを上げてくれるパートナー。」

  • 2021/03/05 (金)
  • 2023/06/14 (水)

「水着は、水泳選手にとって欠かせないパートナー」。そう話すのは、200mバタフライの第一人者として国内外で活躍する長谷川涼香選手(東京ドーム/日本大学)。

世界を舞台に戦う選手の水着選びのポイントだけではなく、ジュニア選手の登竜門、JOCジュニアオリンピックカップに出場したときの思い出などもじっくりと伺いました。

長谷川涼香

――2020年は新型コロナウイルスの感染拡大という大変な1年でした。そのなかで、長谷川選手は自己ベストを更新されました。改めて振り返ると、どんな1年でしたか?

2020年の春には、目標の一つに掲げていた大会が延期になってしまいました。でも、私は大学4年生まで水泳を続けると決めていたので、2020年に現役選手としてのキャリアが終わるわけではありません。なので、2020年の目標を日本学生選手権に切り替えて練習してきました。

むしろ、今は自分がもっと速くなれるチャンスなんだ、と前向きに考えられたので、とても集中して練習に取り組むことができました。その結果、得意な200mバタフライで4年ぶりの自己ベストを出せましたし、ベストが出たことで自信を持って、今まで以上に試合に臨めるようになりました。

――自己記録を更新することを目標に、モチベーションを保たれてきたのですね。

夢としては、もちろん世界大会でメダルを獲りたいという思いはあります。ですが、私の一番の喜びは、自己ベストを出すこと。私としては、自己ベストを出すことのほうが、メダルを獲ることよりも一段階上にあるんです。

メダルを獲ることが一番だと考えるのは、あくまでも他人の価値だと思うんです。8月に久しぶりに自己ベストで泳ぐ感覚を味わって、すごく楽しかった。そのときに、やっぱり自己ベストを出す喜びに勝るものはないな、と感じました。

長谷川涼香 アリーナ

――そんな2020年シーズンは、ULTIMATE AQUAFORCE X MFの水着でスタートして自己ベストを更新。12月の日本選手権にはULTIMATE AQUAFORCE X MFのARENA BISHAMON デザインで、200mバタフライを2連覇されました。

はい、自分の体にフィットしている感じがすごくあって泳ぎやすいですね。それに加えて、浮く感覚がすごく泳ぎやすくて気に入っています。バタフライは腰の浮きがとても大切。ULTIMATE AQUAFORCE X MFを着て泳ぐと、腰の位置を常に高く保つことができると感じています。

――開発にも携わったと伺いました。

初めての経験で、水着ってこうやってできていくんだ、と感動しました。自分が意見を伝えて、それが形になっていく。本当にすごいなって思います。

――どんな意見を伝えたのですか?

私が水着で大切にしていて、選ぶ基準にもなっているのは“フィット感”です。特に、肩の締め付けがちょうど良いかどうかと、胸と腰の部分から水が入ってこないかの2点を大事にしています。

長谷川涼香 アリーナ

2020年 第96回 日本選手権水泳競技大会にて。

――開発に携わることで難しかったことはありますか?

例えば、胸から水が入らないことを重視すると、肩ひもの締め付けがきつくなって肩がこってしまいます。かといって、肩ひもを緩くしてもらうと、今度は胸から水が入ってしまいます。ここの良いバランスを探すのが難しかったですね。そうやってできた水着を着させていただいたときは、フィット感が素晴らしくて感動しました。

開発チームの方々と共同作業で水着を作っていくのは、すごく楽しかったです。作る人と泳ぐ人。両者が二人三脚のように、力を合わせて作ることで良い水着ができあがるんだと実感しました。

――12月には、新しいデザインのARENA BISHAMON COLLECTIONが登場しました。

かっこいいですよね。模様もかっこいいんですけど、黒をベースにしたところに模様が描かれているのが特にかっこいいと思っています。練習のときに着る水着はかわいいデザインを選んでいますが、レースのときはかっこいいデザインのほうが好きです。

長谷川涼香 アリーナ

2020年 第96回 日本選手権水泳競技大会にて。

――水着にこだわり始めたのはいつ頃からですか?

小学6年生のときに出場した、JOCジュニアオリンピックカップ夏季大会の100mバタフライで9位になったときですね。それまでは、フィット感が悪くても母が買ってきた水着を着ていました。

でも、9位になってそれじゃダメだと思ったんです。だから、ちゃんと自分で見て、試着して、フィットするものを選ぶようになりました。

長谷川涼香 アリーナ

――ちょうどJOCジュニアオリンピックカップのお話が出ましたが、何か思い出はありますか?

中学生のとき、100mバタフライで初めて1分を切ったことは特に印象に残っています。大会新を出したレースも、ですね。決勝レースでキャップが脱げてしまって、全然力を出し切れなかったような失敗談もたくさんありますよ。

あとはグッズを買うのが楽しみでした。気に入ったデザインがあったらTシャツなど、いろいろ買いましたね。売店で記念グッズを見るだけでも楽しいんですよね。

長谷川涼香 アリーナ

小学校高学年の頃の長谷川選手。

――長谷川選手から水着選びのポイントを教えてもらえますか?

最初にお話したように、フィット感ですね。小さく見えても意外と伸びるモデルや、体をしっかりと締め付けて安定させてくれるモデルもあります。水着がレーシングタイプに近付けば近付くほど、やはり締め付けは強くなっていきます。

でも、それが合わない人もいると思うんです。競技レベルが高いから、最高レベルの水着を着なければならない、ということはありません。

ULTIMATE AQUAFORCE Xだとフィット感が高くて泳ぎにくいと感じるならば、まずはAQUAFORCE FUSION-Tri(アクアフォース フュージョン トライ)を使ってみると良いかもしれません。

布帛というフィット感のある素材を使っているのですが、肩ひもにはニット素材を使っていてある程度の柔らかさがあるので、肩がこるようなこともありませんから。

また、布帛水着が慣れない方には、ニット素材で柔らかいAQUA XTREME(アクア エクストリーム)がおすすめです。

その代わり締め付けはULTIMATE AQUAFORCE Xより緩いので、もしかしたら記録を追い求める方には物足りないかもしれません。

長谷川涼香 アリーナ

2020年 第96回 日本選手権水泳競技大会にて。

――自分の好みのフィット感と泳ぎやすさを知ることも大切ですね。

そうですね。私も水着を選ぶときの最大のポイントは、フィット感ですから。

それに、AQUAFORCE FUSION-TriやAQUA XTREME、ULTIMATE AQUAFORCE Xのデザインも配色などを近付けていて、全体の一体感があるんです。

――最後に、2021年シーズンの目標を聞かせてください。

最終的な目標は世界大会でのメダル獲得。タイムで言えば、日本新記録を出したいと思っています。

そのために、スピードや持久力だけではなく、技術面でももっと成長できるように、自分のパフォーマンスを高めてくれる水着というパートナーと一緒に頑張ります。応援、よろしくお願いします!

 

<プロフィール>

長谷川涼香 アリーナ


長谷川 涼香
東京ドーム/日本大学 所属

東京都出身2000年1月25日生まれ。専門種目はバタフライで、2012年のJOCジュニアオリンピックカップで優勝以来、国内外の大会で活躍。2016年リオ五輪 200mバタフライ日本代表。2020年12月の全日本選手権では200mバタフライで優勝。

 

関連記事
競泳 大本里佳 選手インタビュー「悔いが残らないように今できることを全力で取り組む」

環境の変化は、時として人を大きく成長させてくれるトリガーになります。大本里佳選手(ANAイトマン)も、大学進学を機に地元の京都から東京に練習環境を移したことで、選手として大きく飛躍されました。練習内容も大きく変わり、さまざまな練習道具も活[…]

大本里佳「悔いが残らないように今できることを全力で取り組む」

関連記事
競泳 入江陵介 選手インタビュー「諦めない力を身に付けることが夢を叶える力になる」

15年もの長い間、日本代表として世界と戦い続けている入江陵介選手(イトマン東進)。今年の4月に行われた第97回日本選手権水泳競技大会 競泳競技でも、50m、100m、200m背泳ぎで3冠を達成しました。100m背泳ぎでは8年連続10回目の[…]

入江陵介「諦めない力を身に付けることが夢を叶える力になる」

関連記事
アリーナのトップ水着ができるまで。メイドインジャパンのモノづくりとは?

宮崎県西都市にあるデサントアパレル株式会社西都工場にやってきました。こちらの工場では世界で戦うトップスイマーが愛用する「アリーナ」ブランドのスイムウェアの縫製を担っています。普段はなかなか表に出てこない「アリーナ」の商品ができるまでを追い[…]

アリーナのトップ水着ができるまで。メイドインジャパンのモノづくりとは?
WRITER
この記事を書いた人
ABOUT ULLR MAG.
ULLR MAG.(ウルマグ)とは?

ULLR MAG.(ウルマグ)は、「カラダから心をデザインする、ライフスタイルマガジン」です。
身体を動かすと気分が良い、夢中になれる趣味やスポーツがある、おしゃれをすると心が弾む。
暮らしの中で大切にしたい瞬間は誰にでもあります。

私たちはそんな日々のちょっとした喜びを、
一人でも多くの人へ届けたいと考えています。