ヨガはダイエットや健康促進が期待できることから人気があります。また、エクササイズ効果以外にも、筋肉の緊張をほぐして血行を良くし、姿勢改善にも役立ちます。
そんなヨガのポーズのなかから、今回は肩こり改善・解消におすすめな5つのヨガポーズを紹介。ヨガインストラクターの中橋まやさんに提案していただきました。
それぞれのポーズの効果やフローを紹介するとともに、中橋さんによる実践動画も公開。肩こりに悩んでいる人はもちろんのこと、体がすっきりするので運動不足を感じている人も必見です。
ヨガインストラクター
中橋まやさん
ヨガ歴10年を超えるインストラクター。仕事の疲れで心身が不調だった20代前半にヨガと出会い、その魅力に引き込まれる。20代後半にバリ島で単身ヨガを学び、帰国後はインストラクターとして都内のスタジオを中心にレッスンを行う。初心者でも楽しめるように心掛け、誰も置いていかないことをモットーに年間1,000時間以上のレッスンをこなす。現在はヨガスタジオ「AGNIYOGA」に所属し、さまざまなカテゴリーやレベル別のレッスンを行い、ハンモックを使ったエアリアルヨガの指導も行っている。
ヨガで肩こりを改善・解消できる理由とは?
今回は肩こり改善におすすめのポーズを紹介していきますが、その前に、なぜヨガのポーズは肩こりに効果があるとされているのでしょうか?そのメカニズムを中橋さんにお伺いしました。
「肩こりを改善するポーズには、肩に直結している僧帽筋(そうぼうきん)、肩甲骨の内側にある菱形筋(りょうけいきん)、あとは広背筋や、上腕につながるローテーターカフと呼ばれる棘上筋(きょくじょうきん)や棘下筋(きょくかきん)など、さまざまな筋肉を伸ばす動きが多く入っています。
これらは私たちの日常生活では、意識しなければあまり動かそうとしない筋肉です。ここを動かすことで固まった凝りがほぐれ、血行が良くなることで肩こり改善につながります。」
「また、冬は寒さで血行が悪くなり、代謝も落ちます。これは筋膜も含めて体が硬くなったと感じやすい状態なんですね。
筋肉や関節をしっかり動かすヨガのポーズを行うと、血行が良くなって温まるので、体を動かしやすくなったと感じると思います。そのためヨガは肩こりに効くと言われているんです。」
肩こり改善ヨガポーズ①:キャット&カウのポーズ
最初に紹介するのは、初心者でも実践しやすい「キャット&カウのポーズ」です。
キャットとカウ、つまり猫と牛のポーズ。四つん這いの状態で行い、キャットが背骨を丸めるのに対し、カウは背骨を反らすポーズになります。
「これは背骨を動かすことによって、背骨まわりの緊張や凝りをほぐしていきますので、姿勢が良くなります。特に肩が内巻きになっている人におすすめのポーズです。
胸椎の柔軟性も高くなるため、呼吸がしやすくなると思います。また、お腹を伸ばしたり縮めたり、引き込んだりするので、便秘の方にもおすすめですね。」
まずは四つん這いになります。手をパーに広げて、人差し指と中指が前を向くように手のひらを置きます。
肩の真下に手首がくるようにして、足の付け根の下に膝を置いてください。そして足の甲を下ろし、足先を真っ直ぐ後ろに伸ばします。
四つん這いは両肘がピンと伸びすぎないように、軽く肘を曲げて余裕を持たせます。
また、お腹が落ちやすいので、おへそを背骨に軽く引き込むイメージで姿勢を保ち、お尻が突き出ないように太ももを真っ直ぐにキープ。これが正しいヨガの四つん這いです。
四つん這いの状態から、息を吐きながら両手で床を押し、背骨を丸めながら両手の間に頭を差し込みます。
そして、目線をおへそに向けて、グーッと肩甲骨を上に引き上げていくようなイメージで丸めていきます。これが「キャットのポーズ」です。
次に息を吸いながら、背骨を下から順番に反らし、首を長くして目線を遠くへ向けます。これが「カウのポーズ」です。このとき、足の甲を下ろしたままでも大丈夫ですが、慣れてきたら足先を立ててみましょう。
このキャット&カウを5回ほどゆっくり繰り返します。息を吐いて丸めて、息を吸いながら背骨を1本ずつ反らしていくイメージで行ってください。
肩こり改善ヨガポーズ②:猫の背伸びのポーズ
次に紹介するのは「猫の背伸びのポーズ」です。名前の通り、猫が背伸びをしているようなポーズで、腕を前に伸ばして肩のまわりの筋肉をしっかりと伸ばしていきます。
「これは内巻き肩の人におすすめです。デスクワークやスマホを操作していると、どうしても肩が内巻きになってしまいます。
猫の背伸びのポーズは内巻きになった肩を外側に広げ、肩こりを解消してくれる効果があると言われています。
あとは胸が広がって呼吸が深くなるので、気分もリフレッシュするかと思います。いつも緊張しがちな肩を、ハーッと息を吐きながらリラックスして力を抜いてあげるのがポイントです。」
先ほどの「キャット&カウのポーズ」と同様に、四つん這いのポジションから始めます。ここでは、まだ足先は立てたままで大丈夫です。
四つん這いと同じお尻の位置と高さをキープしながら、両手を前にテクテク歩かせながら、胸をどんどん床へと沈めていきます。お尻の位置が同じままなので自然と背中が反り、肩まわりの筋肉が伸びていきます。
息をハーッと吐きながら、胸と一緒に脇の下も床へと沈めていくようなイメージで、余分な力を抜いていきましょう。おでこを床につけて、あとはゆっくりと自然な呼吸を繰り返します。
これが「猫の背伸びのポーズ」です。
余裕がある人はこちらに挑戦!
おでこを床につけられれば十分ですが、余裕があれば顎先を床に下ろしてみてください。
さらにもう少し余裕のある人は、立てていた足先を伸ばし、足の甲を下ろしてみましょう。足の甲で軽く床を踏みしめて、指先・足先で伸びる感覚を味わってみてください。
反対に、体や肩まわりが硬く、おでこをつけるのが難しい場合は、胸の下にクッションや枕を敷くと肩まわりが楽になります。
体勢を戻すときは、お尻を後ろに引き、かかとの上にお尻を乗せて、マットにおでこを預けます。
この「チャイルドポーズ」で一休みしてから、ゆっくりと戻ってください。
肩こり改善ヨガポーズ③:針の糸通しのポーズ
続いて紹介するのは「針の糸通しのポーズ」です。これは肩まわりを動かすだけでなく、広背筋をしっかり伸ばすことで肩こりを改善していくポーズとなります。
「背中のほうに広背筋という大きな筋肉があります。ここが固まっていると、肘などがうまく伸ばせなくなってしまいます。針の糸通しのポーズは、この広背筋もすっきりするので、肩や腕を動かしやすくなるんです。
このポーズも内巻き肩や、姿勢の改善に効果があります。また、お尻が高く上がって頭が下がるポーズなので、腹筋が弱い方や女性に多い内臓下垂を改善する効果も期待できます。」
このポーズも四つん這いのポジションから始めます。足の甲は下ろしてもいても、足先を立てていてもどちらでも大丈夫です。
まずは息を吸いながら左腕を肩の高さに上げて、息を吐きながら左腕を右腕の下に通します。次に左肩と側頭部、こめかみあたりを床に下ろします。
このときに軽く左肩で床を押して、首にゆとりを持たせると呼吸がしやすくなります。おへそも軽く引き込んで、体幹でも姿勢を安定させてみましょう。
そして息を吸って右手をアップし、胸を広げながら目線と指先を天井の方向に向けます。そのまま右手を仙骨に当て、その姿勢をキープ。ここで呼吸を5回ほど何度かゆっくり繰り返します。
これが「針の糸通しのポーズ」です。
余裕がある人はこちらに挑戦!
余裕がある人は、右手を背中側からグルッと左足の付け根に回します。付け根をつかめるようであればつかみます。この間も自然な呼吸を繰り返し行います。
次に、息を吸いながら右手をアップして、天井の方向に引き上げます。そして息を吐きながら頭の真上や耳の上あたりを通しながら、マット先端の真ん中あたりに指先か手のひらを下ろしてください。
目線は右の脇の下から天井を見上げてみましょう。
このとき、指先は高くて良いですし、手のひらを下ろした状態でもどちらでも大丈夫です。この状態で5回ほどゆっくり呼吸を繰り返してみてください。
戻るときは、右手を顔の横に下ろし、右手で軽く床を押しながら左手を抜いて、四つん這いのポジションに戻ります。
肩こり改善ヨガポーズ④:バッタのポーズ
次に紹介するのは、うつ伏せで行う「バッタのポーズ」です。肩甲骨を動かすことで肩こりを改善・解消していくポーズとなっています。
「これまで紹介してきたポーズをいろいろやりながら、体が温まってきたらやってほしいポーズです。これも内巻き肩の人におすすめで、背筋を鍛えられるので姿勢改善にもつながります。
背筋が弱くなると姿勢が悪くなり、肩が凝りやすくなってしまいます。背筋をしっかり鍛えてあげることで、肩や肩甲骨のポジションが良くなって姿勢が改善され、内巻き肩も改善されます。」
このポーズはうつ伏せから始めます。うつ伏せになったらおでこを床に預けて手足を伸ばします。足幅は腰幅と同じくらいにして、足先を真っ直ぐ後ろに下ろしましょう。
手のひらは天井の方向に向けて、指先も後ろに伸ばした状態にします。お尻にキュッと軽く力を入れながら、息を吸いながら両足を足の付け根から引き上げていきます。
そして息をフーッと吐きながらお腹に力を入れ、次の息を吸うときに胸を引き上げていきます。指先を遠くに引っ張るようなイメージで腕も伸ばしていきましょう。
目線は床に向けたまま、軽くおでこも床から持ち上げ、頭頂部を前方に向けます。余裕のある人は両手を後ろに組んで、肩甲骨を寄せながら胸を開いていきましょう。
この姿勢を3呼吸くらいキープ。これが「バッタのポーズ」です。
戻るときは、息を吐きながら手足をゆっくり床に下ろし、ハーッと息を吐いてリラックスしましょう。
肩こり改善ヨガポーズ⑤:魚のポーズ
最後に紹介するのは、仰向けで行う「魚のポーズ」です。肩こり改善はもちろん、内巻き肩の人におすすめのポーズとなっています。
「このポーズは肩が外側に広がっていくので、内巻き肩や肩こり改善につながります。また、胸が広がるため呼吸が深くなり、寝る前に行うと安眠効果にも期待できます。
あと、顎先からデコルテまでしっかり伸ばせるので、ここの引き締めにもなります。
スマホ操作などでうつむきがちだと顎下がたるみやすいので、アンチエイジング的な意味でもおすすめです。終わった後はすっきりしますよ。」
「魚のポーズ」は仰向けの状態からスタートします。仰向けになったら足をピタッと閉じ、手のひらは床に向けて体の横に置きましょう。
足首は90度に曲げる形でも、足先を前方に伸ばす形でもどちらでも大丈夫です。
まず右手を右のお尻の下に入れて、左手を左のお尻の下に入れます。次に、肩と肩甲骨と両肘を背骨に引き寄せて、両腕を背中の下に入れた状態にします。
自分のタイミングで良いので、この状態から息を吐きながら両肘で床を押し、胸を天井の方向に引き上げていきます。そして肩甲骨を背骨に乗せて、頭頂部を床へと下ろしましょう。
この姿勢でゆっくり5呼吸。これが「魚のポーズ」です。
初めて挑戦する場合や、頭頂部を床に下ろしたときに違和感がある人は、床につけるのは後頭部付近でも問題ありません。後頭部であればポーズをとりやすいので、まずはここから始めてみるのも良いでしょう。
戻るときは、息を吐きながら上体を下ろします。両手を解放して、ハーッと一呼吸。もしくは両手を後頭部の後ろで組み、フーッと息を吐きながら目線をおへそに向け、最後に首を緩めてもOKです。
自分に合ったヨガポーズで肩こりを解消!
肩こり改善におすすめなヨガポーズはいかがでしたか。今回紹介した5つのポーズは、①から順番に難易度が上がります。
体が硬い人や初めてヨガに挑戦する人は①からスタートして、自分に合ったポーズを見つけて肩こり改善を目指しましょう。
また、これらのヨガポーズは姿勢改善にもつながります。中橋さんによる実践動画をお手本にして、ぜひトライしてみてください。