冷え症に悩む人は少なくありませんが、体全体に寒さを感じる通常の冷えとは異なり、手足は冷たいのに上半身に熱さを感じる、通称「冷えのぼせ」という症状を訴える人が増えているそうです。
その詳しい原因と対策を、渡邉賀子先生に伺いました。
麻布ミューズクリニック名誉院長。慶應義塾大学医学部漢方医学センター非常勤講師。漢方専門医、日本東洋医学会指導医、医学博士。1997年北里研究所にて日本初の「冷え症外来」を設立。03年慶應義塾大学漢方クリニックにて「漢方女性抗加齢外来」を設立。現在は熊本市・帯広中央病院院長を務める。
末端は冷たいのに上半身がほてる
“冷え”と“のぼせ”、一見すると正反対のことのようですが、一体どのような症状なのでしょうか?
「その名の通り、手や足など末端は冷えているのに、上半身や顔がカッカと熱くなるのが『冷えのぼせ』の症状です。よく似た症状に、更年期を迎えた女性に起こる“ホットフラッシュ”がありますが、冷えのぼせは年齢を問わず誰にでも起こります。」
下記の項目で1つでも当てはまる人は、冷えのぼせの可能性が高いでしょう。
冷えのぼせチェックテスト
疲れやだるさなど不調の原因に!
冷えのぼせが起こる原因とは?
「冷えのぼせも“冷え”の一種で、体温調整機能がうまく働かないことで起こります。考えられる原因は、筋肉や食事量が少なく、体が熱をうまく作られない状態にあること。
さらには、自律神経のバランスが乱れて、血管の収縮・拡張のコントロールがうまく機能せず、上半身に熱が集中してしまうことが挙げられます。
体が熱いと感じると、脳が高温になるのを防ぐため、毛細血管や汗腺が発達している頭部や胸まわりから熱を放出するのです。
冷えのぼせを放っておくと、疲れや肩こりなど日常生活に支障が出るだけでなく、ほかの病気を誘発する可能性もあります。」
冷えのぼせを改善するには、熱を感じる上半身に負担をかけないよう、上手に下半身の冷えを解消すること、そして自律神経のバランスを整えることがポイントに。効果的な対策法を紹介します。
冷えのぼせ対策のポイント
上半身は重ね着で温度を調整
上半身は温度によって脱ぎ着ができるよう、薄いものを重ね着するのがおすすめです。
胸から熱を逃がしやすくするため、トップスは首やデコルテの開いたものを選びましょう。寒いときは、上からマフラーやストールなどで胸元を覆って温度調整を。
暖房の効いた室内では汗をかきやすいので、汗冷えしないよう吸汗速乾に優れたインナーを選ぶと良いですね。
下半身はしっかり保温する
冷えを感じる足元はしっかり温めるのが基本。ソックスやスパッツ、レッグウォーマーなどを着用して、足元の冷えを防ぎましょう。
ガードルなど締め付けの強いものは血流が悪くなるので避けて。5本指ソックスのような、足指を開放するタイプもおすすめです。
リラックスできる環境を整える
自律神経のバランスを整えるため、リラックスできる“五感に優しい”環境づくりを心掛けましょう。お気に入りの香りのアロマをたく、肌触りの良い寝具や部屋着を使用する、部屋を間接照明で優しく照らす、なども有効。
深夜までテレビやPC、スマホを見ていると、神経の興奮状態が続いてしまうので控えましょう。
ぬるめのお風呂にゆっくりとつかる
入浴も心と体をリラックスさせる作用があります。まずは下半身にかかり湯をしてから湯船につかりましょう。気持ち良いと感じるお湯の適正温度は38~40℃。肌に触れたときに、ホッとする温度がベストです。
ぬるいと感じる場合は、追いだきなどで徐々に42℃くらいまで温度を上げてもOK。最初から熱すぎるお湯は刺激になるので避けましょう。
スポーツ選手に限らず、睡眠と運動の関係については、これまで多くのことが語られてきました。しかし、知られていないこともまだまだ多いのが実情です。今回は、仕事や運動をする上で健康的なカラダを維持するために、知っておくべき情報をお届けします。[…]