アメカジのおしゃれな着こなしを紹介する本連載。前回は大人のアメカジスタイルをご紹介しましたが、今回のテーマはアメカジに取り入れたい旬な着こなしである「タックイン」。
ただ裾を入れれば良いのか?アイテムの選び方は?失敗しない「タックイン」の取り入れ方を、ペンギン バイ マンシングウェアのマーチャンダイザーである小森優敏さんが伝授します。
そもそもタックインとは?
タックイン(tuck in)とは、直訳すると“押し込む”という意味です。つまり、シャツやTシャツなどの裾をボトムスの中にしまい込んだ着こなし方を指しています。
今そんなタックインが、トレンドの着こなし方として注目を集めているのです。いつものコーディネートにタックインを取り入れるだけで、トレンド感のあるスタイルに早変わりしてくれます。
もちろんそれは、アメカジスタイルでも同様。本来アメカジ(アメリカン・カジュアル)と言えば、リラックスしたカジュアルなスタイルの典型でもあるので、やはりシャツの裾を出すことが当たり前という人はきっと多いはず。
若干抵抗がある人もいるかもしれませんが、今回の特集でそれも払拭してくれることでしょう。
しかし!ただインナーの裾をボトムスの中に入れればOKというわけではありません。タックインをおしゃれに取り入れるポイントがいくつかあります。
まずは、裾をしっかり入れすぎないこと。コーディネートにもよりますが、しっかり入れすぎるとダサく見えてしまうので、逆効果です。
少しゆとりを持たせてたるませるのが理想的です。あとはベルトの有無などによっても、タックインのバランスが変わってきます。
細かなコツを把握しておけば、コーディネートの幅が広がるだけでなく、タックインをすることで“きちんと感”のある上品なコーディネートが完成。
またボトムスの面積が広くなることで、脚長効果も期待できます。そんな良いことづくしのタックインをぜひ取り入れてみてください。

小森優敏さん
カジュアルの企画からブランド、ショップとのコラボレーションなどを担当。自身も大のアメカジ・ラバー。「タックインスタイルも最近は見かけることが増えてきましたが、まだまだ難しいなと感じる方も多いと思います。合わせるアイテムで、タックインしたときの裾の出すボリュームを工夫するだけで、雰囲気はガラッと変わり、同じアイテムでもコーディネートのバリエーションが増えるのでぜひトライしてみてください♪」
タックインをするだけでイメージ一新!春夏におすすめのアメカジメンズコーデ5選
シンプルなコーディネートこそ、タックインが効果的!
「裾を出すとリラックス感のあるコーディネートですが、Tシャツの裾をタックインするときれいめな雰囲気に早変わり。シーンに合わせて、タックインするかしないかを使い分けるだけで、コーディネートの楽しみが増えますね。
Tシャツ1枚だけだと寂しく感じる場合は、カーディガンを取り入れるのがおすすめです。
肩にかけるだけで“こなれ感”が出ますし、肌寒ければTシャツの上に着るのも良し。自分流のアレンジでコーディネートを楽しみましょう!」
「タックインをするうえで注意したいのは、ベルトが隠れるくらいに裾をたるませること。たるませた裾を少しつまめるぐらいがポイント。腰まわりがふんわりしたらOKです!
きっちりとタックインするのはNGですが、反対にダボダボになりすぎないようにも気を付けてタックインをしましょう。」
タックインするだけで、上品なアメトラスタイルに昇華
「このコーディネートもタックインをするかしないかで大きく雰囲気が変わりますね。タックインをするとアメリカントラッドならではの上品な雰囲気に仕上がります。
そんなときの足元は、やっぱりローファーがおすすめ。かしこまりすぎると思ったら、あえてベースボールキャップを取り入れて、ほど良く抜け感をプラスします。
逆に少しカジュアルにしたい場合は、スニーカーやサンダルを合わせましょう。」
「全体的にきれいめのスタイリングなので、ベルトがほんのちょっと見えるくらいのタックインが理想です。裾を出しすぎると、だらしなくなってしまうので注意しましょう。
裾を出すコツですが、シャツをボトムスにインした後、少し背伸びすると丁度良いバランスになっていると思います!」
トップスにアクセントを加えるなら、リンガーTシャツがおすすめ!
「このような丈の短いジャケットを着用する場合は、タックインのコーディネートがおすすめです。
今回は、袖と襟にトリムが施されたリンガーTシャツを合わせ、単調になりやすいトップスにアクセントを加えてスタイリングしています。
またカジュアルになりすぎないよう、ボトムスはストレートのチノパンツを、そして足元にはローファーをセレクトしました。チノパンツの裾をロールアップすると、全体のバランスも良くなります。
タックインしない場合、アウターからTシャツの裾が出すぎないよう、Tシャツのサイジングには注意が必要です。」
「タックインをする場合、ベルトが見えつつ、裾に2~4cmほどゆとりを持たせるのがポイントです。ベルトが無地か柄ものかで、裾のバランスを変えてみるのも良いと思います。
柄があるときは2cm、柄がないときは3~4cmくらいが理想的です。トップスがTシャツなので、合わせるアイテムなどで変化をつけたいですね!」
上級と思うなかれ!意外と簡単なスウェットパンツのタックインスタイル
「スウェットパンツはどうしてもカジュアルな印象が強いので、タックインのコーディネートが難しく思われがちですが、意外とどんなアイテムとも違和感なく組み合わせできます。
今回のように、デザインTシャツにカーディガンをレイヤードしたトップスにすると、カジュアルな印象だったスウェットパンツが上品な着こなしに変化します。
スニーカーではなく、あえて革靴を合わせるのもスウェットを引き立たせるポイントです。裾を出す場合は、リラックスしたカジュアルになり、これはこれでもとても新鮮です。」
「大半のスウェットパンツはウエストがゴム仕様なので、ウエスト部分が見えないように裾出しは5~6cmとたっぷりと出すのがポイント。
スウェットパンツを取り入れたいつものリラックススタイルが、タックインするだけでとても新鮮な印象になるのでおすすめです!」
今注目のデニムセットアップもタックインが新鮮!
「アウターとボトムスにデニムを組み合わせたデニムセットアップによるタックインスタイルです。インナーのTシャツをタックインすると、上品かつ清潔感のある雰囲気に変化します。
ベルトを見せたいときや、少しオトナっぽいコーディネートにしたいときなどは、タックインがおすすめです。足元をスニーカーにすると、また違ったイメージになります。
Tシャツの裾を出す場合は、ジャケットからのぞく裾のバランスに注意したいです。」
「デニムセットアップの場合は、裾をあまりたるませないのが理想的です。
セットアップがカチッとした印象になるので、合わせるトップスもきちんと入れてあげましょう。Tシャツでも同様です!」
裾を入れるか入れないかで、コーディネートはまったくの別物に!
いつものカジュアルなコーディネートを、タックインするだけで、印象はガラッと変わります。
裾の出し具合やアイテム選びに多少の注意は必要ですが、新しいアイテムを買い足す必要もないので、今すぐ楽しめるというのもタックインスタイルの良さでもあります。
その日の気分でタックインするかしないかを決めると、コーディネートがさらに楽しくなるはず。自分流のアレンジで、オリジナルのタックインコーデを楽しみましょう!