社長メッセージ

社長メッセージ社長メッセージ


 当社は、ブランディング、モノづくりの強化、新規事業の展開を重点戦略として実行しながら、企業価値の向上を図っています。ブランディングは日本が主導し、マーケティングは日本・韓国・中国それぞれで方針と戦略を定めています。日本では『デサント』のプレミアム化を推進するため、ブランドの世界観をお客様に直接お伝えできるDirect to Consumer(DTC)事業に注力し、なかでも直営店は、店舗数や売場面積、取り扱うアイテムなどを総合的に拡充しています。韓国では、『デサント』で顧客向けのランニングイベントを実施するなど、体験を通したファンづくりをすすめ、『アンブロ』はMZ世代に向けた商品展開やプロモーションの実施で効果をあげています。中国においても『デサント』がきわめて好調に推移しており、店舗の拡張や選手を招いてのスポーツイベントの実施など、プレミアムスポーツブランドとしてのポジションを確実にしています。また、『マンシングウェア』は中国市場でのブランドのさらなる成長を目指して新たに合弁会社を設立し、ビジネスをスタートしました。

 さらに、私たちの生命線であるモノづくりに関して、スポーツ関連のアパレルを取り扱う会社は数あれど、これだけこだわってモノづくりをしている会社は他にないと自負しています。代表となるのが『デサント』の高品質ダウン「水沢ダウン」です。30億円以上をかけて、生産拠点である水沢工場の建て替えに踏み切り、2025年の7月に新工場で稼働を始めました。工場を新しくするのは生産性の向上だけが目的ではなく、「水沢ダウン」の持つモノづくりのストーリーを大切にしたいからです。「水沢ダウン」は、一般的なダウンジャケットの倍以上である280もの工程を経て生み出す最高品質といえる商品です。その商品を、日本の岩手・水沢という場所に50年前からある工場を建て直して、地域と共生しながら今後もつくり続けていく。これだけの思想を持ってモノづくりをしているこの工場で描くストーリーは、『デサント』のブランド力の1つとして、何物にも代えることはできません。シューズはまだまだ課題がありますが、シューズまでトータルで提案することは、ブランドの世界観を伝える上で欠かせません。韓国のシューズの研究開発拠点「DISC BUSAN」とも連携し、当社らしいシューズの開発に取り組んでいます。

 2025年1月、当社は上場を廃止し、伊藤忠商事株式会社の完全子会社となりました。これにより、伊藤忠商事とのつながりが強まり、生産背景や人材といった機能とリソースをこれまで以上に活用することができる環境になりました。例えば、社員のアイデアを生かした新規事業であるチームスポーツ参加支援サイト「デサント フィールド」の拡大のために同社のネットワークを活用したり、欧米ビジネスへの足掛かりとなる海外戦略に長けた人材の紹介など、当社にとって大きなメリットがあると考えています。また、上場廃止により、中長期的な視点で大胆な事業の進め方ができるようになります。まだまだ課題もありますが、1つずつ解決し、成長のための戦略を打ち出しながら、更なる飛躍を遂げていきたいと考えています。

2025年9月
代表取締役社長 小関 秀一