株主の皆様へ:IR情報 社長メッセージ

社長メッセージ社長メッセージ


 当社は中期経営計画「D-Summit(ディーサミット)2023」において、「Ⅰ.日本・韓国・中国 地域別戦略の実行」「Ⅱ.日本事業の収益改善」「Ⅲ.モノづくりの強化」の各戦略を推し進めています。2023年3月期(以下、当期)はその2年目でしたが、日本・韓国・中国でバランスのとれた収益の獲得ができました。
 当期においては、新型コロナウイルス感染症(以下、コロナ)による行動制限の緩和および経済活動が正常化するという外的環境の変化も加わり、経常利益と当期純利益で過去最高益を達成しています。経営戦略の中でも最も注力したのは日本事業の収益改善に向けた構造改革です。生産量を抑制し、返品・値引きの水準を厳しく管理する社内体制を構築したことで収益性が改善しました。韓国事業は不買運動やコロナの影響を乗り越え、『アンブロ』の力強い伸長や新開発のシューズのヒットなどにより順調に回復しています。中国事業においては持分法適用関連会社が展開する『デサント』ブランドがプレミアムスポーツの代表ブランドとして力強く伸長しています。さらに『ルコックスポルティフ』『アリーナ』を展開していた持分法適用関連会社の2社を連結子会社化し、ハンズオン経営を強化することでその後、事業状況は着実に上向いてきています。

 2023年度では、各ブランドのポジションと価値を明確化し、お客様に訴求する「ブランディング」を強化します。商品構成・ロゴの見せ方・マーケティング施策を改善し、お客様が当社の商品を購入すること自体を楽しみ、着用してワクワクするといった感情を抱いていただけるようなブランドにしていきます。一歩目として、コーポレートブランドである『デサント』は、2023年春夏シーズンより商品構成を『デサント』と『MOVESPORT』に二分化しました。『デサント』は自社流通を中心に展開し、高付加価値・高機能のプレミアムスポーツブランドとして確立させ、ロゴのスピリットマークを目立たせる商品構成に変えています。一方で『MOVESPORT』はスポーツのパフォーマンスをサポートする機能性に加え、日常でも着用しやすいデザイン性を高めたレーベルとして、卸流通を中心に展開していきます。
 中国では『ルコックスポルティフ』のリブランディングを実行し、140年の歴史がある本物のスポーツブランドとして改めてスポーツを軸にしてブランドの価値を打ち出します。韓国では近年マーケットイン発想でのモノづくりに傾倒していたブランドもあるため、素材・パターン・仕様等にこだわる商品企画という原点回帰を進めます。特に、シューズの構成比を上げるべく開発商品のレベルアップに取り組みます。

 また、中期経営計画の柱の1つであり、当社の競争力の源泉である高品質・高機能商品を生み出し続ける“モノづくり”の強化策として、自社工場を高付加価値商品に特化した専用工場とするブランディングにも取り組みます。その施策の1つとして高付加価値商品「水沢ダウン」の専用工場である水沢工場を刷新し、国内自社3工場のマザーファクトリーとして環境配慮・地域共生・働きがいの実現を図ります。同時に自社工場のブランディングとして、水沢工場の「水沢ダウン」に続き、吉野工場はポロシャツ、西都工場は『アリーナ』水着を代表とする接着縫製に特化した専用工場として設定し、吉野工場では『マンシングウェア』の「10 YEARS POLO SHIRTS」の生産を開始しました。引き続き競争力の源泉であるモノづくりに磨きをかけ、より良い商品をお届けできるよう努めて参ります。

 株主の皆様のご支援もあり、業績は着実に向上し、収益構造も安定化してきています。2022年度は過去最高となる配当額にて配当を実施することができました。2023年度も同様の配当性向にて還元を実施する予定ですが、無配の苦しい時期にも我々に期待し支援いただいた皆様に報いるためにも、更に高い目標を達成していく所存です。引く続き、ご支援のほどよろしくお願いいたします。

2023年6月
代表取締役社長 小関 秀一