HEAT NAVI ヒートナビ 光を、熱に。

太陽光のほぼ全ての波長領域を吸収して熱に変換するヒートナビ®は、プラス5℃*という高い保温効果を実現している。なぜ太陽光に着目したのか、どのようにしてプラス5℃を実現したのか。デサントと帝人フロンティアとの共同開発で作られたヒートナビ®の起源、その進化の過程を探っていく。

*当社従来ポリエステル素材とヒートナビ®素材の下記条件下での温度差であり、着用状態を表すものではありません。一定条件下での10 分後の上昇温度差[試験条件・環境:20℃、湿度65%RH。レフランプ下端より試料まで30cm、写真用レフランプ500W]

ヒートナビ®
プリントタイプの誕生。

 ヒートナビ®プリントタイプの開発は2010年に始まりました。製品をつくるうえで、糸の太さの制限、色の制限などの課題をクリアするためです。さらにヒートナビ®の基準である5℃をクリアしなければならないというミッションがありました。

 この開発で困難だったのは、表地の色にかなり左右されることでした。濃色なら太陽光を吸収しやすいので5℃をクリアできますが、白やピンクなど淡色だとクリアできない。ヒートナビ®プリントタイプはその面積によって温度が変化します。プリントの層を厚くしたり、面積を増やせば温度は出ますが、硬くなったり、剥がれたりするという問題が発生しました。ウェアとしてのパフォーマンスを維持しながら、温度も保てるギリギリのラインを探るのが大変でした。

株式会社デサント ロジスティクス統括部 開発部 部長 藤原一彦氏

 例えばストレッチ素材の場合、プリントに切れ目を入れて、伸縮性を損なわないようにしたりとデザイナーと綿密な打ち合わせをしながら、様々な工夫をしています。温度のスペックを維持する以前に、ウェア自体の着心地が悪かったら、スポーツウェアとしてお客様を満足させることはできないからです。

 プリントタイプの初期のものは見た目が真っ黒なものでした。さらに、アルミを加えたプリントタイプも開発しました。これは身体から出ている赤外線を反射することで、より保温性を高めることが可能になりました。さらに表地への影響も少ないメリットがありました。

 ヒートナビ®を使用する際には、温かさを保つためにアイテムや生地によってどれだけヒートナビ®を使用すればよいのかという社内ルールを、試験データを基に設定しています。生地から製品のデザインまで一貫して管理することで、プラス5℃というヒートナビ®のパフォーマンスを維持しています。

生地が薄いものでも保温性を高めることを可能にしたヒートナビ®プリントタイプ。
ハニカム構造をモチーフにしたデザインが目印。

より美しい色を
実現するために。

 従来のヒートナビ®は炭素系無機物質を使用していますので、黒いんです。表側が白などの淡色になった場合、裏の黒い糸が表に影響してしまい、色がくすんでしまうという課題がありました。

 アスリート系のウェアなら、ブラックやグレー、メタリックなどハードなイメージのカラーで十分という意見もありました。しかし、レディース向けやゴルフ関連のブランドはもっと美しい色がほしいという意見が非常に多かった。そこで、淡色をキレイに表現できるヒートナビ®を作ろうと2013年頃から開発がスタートしました。

 しかし、淡色で蓄熱性を出すというのが、なかなか難しい。編みかたを工夫して、なるべく表地に影響させない方法もあるんですが、生地が厚くないといけない。シャツなど薄い素材ですとグレーっぽくなってしまっていた。とはいえ、プラス5℃というパフォーマンスを下げるわけにはいきません。そこで、採用したのが赤外線を吸収するが、可視光は吸収しにくい、つまり見えにくい蓄熱材です。

帝人フロンティア株式会社 繊維素材本部 テキスタイル第一部 第二課 木奥安紀氏

 赤外線に反応する蓄熱材を加え、さらに編構造を改良しました。1本ずつ配置していたものをまとめてみたり、裏の混用率、表側に糸を出すことで蓄熱性をあげるなど糸だけではなく、編技術や織技術から考えることで、プラス5℃を出すことができました。こうしてヒートナビ®カラータイプは黒をなるべく薄くすることで表地への影響を抑え、キレイな色を再現することができるようになりました。

 最初は、基本となるカラータイプを使ったシャツの生地をつくりました。みなさん、これを使いましょうと呼びかけたんです。そうしたら、全ブランドが使ってくれました。各ブランドのデザイナーが集まってくれて、それぞれの個性をどうやって出すかと検討してくれたときは嬉しかったですね。こんなにニーズがあったのかと実感した瞬間でもありました。現在もスポーツウェアには様々な課題があります。お客様にもっと快適に、もっと楽しくスポーツを楽しんでいただけるよう、試行錯誤を続けていきたいと思っています。

ヒートナビ®カラータイプの開発により、淡色の美しい色の表現が可能になった。
左:カッター&バック ヒートナビ®ツインボーダー CBM1427 ¥8,500(税別)、
右:デサント DGM1066F ¥16,000(税別)

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