体温を上げすぎないことが、
パフォーマンス維持には重要

枝 伸彦 先生
獨協医科大学基本医学基盤教育部門(健康スポーツ科学)講師。専門分野は、運動免疫学・運動生理学・運動皮膚科学。早稲田大学で博士(スポーツ科学)を取得後、同大学にて助手・助教・講師(任期付)に従事した後、国立スポーツ科学センタースポーツ研究部を経て、2021年4月より現職。
運動パフォーマンスを維持するためには、体温を最適に保つことが重要です。
ウォーミングアップなどによる適度な体温上昇は運動能力を高めますが、過度な上昇は運動能力の低下を引き起こすことになり、特に深部体温の過度な上昇は、持久性の運動パフォーマンスの低下に深く関わっていると考えられています。
近赤外線は熱をよく伝える性質があり、肌のほてりやジリジリした熱さの原因と言われています。身体は体温が上昇すると汗をかいて熱を逃がそうとしますが、大量の汗による水分の損失は脱水につながり、熱中症のリスク、そしてパフォーマンスを低下させることになります。もちろん、汗をかくのは重要ですが、過度に汗をかいて脱水状態になると、心拍数もあがり「キツさ」を感じます。この「キツさ」は持久力やパフォーマンスにも影響を与えるのです。
近赤外線をカットすることで、適度に発汗や心拍数の上昇が抑制されたということは、身体への負担が少なからず軽減されていると考えられます。暑い時期のスポーツでは、紫外線のみならず、近赤外線対策を行うことがパフォーマンスの維持につながることが期待できそうです。