「今季は“強いガンバ”を取り戻したい。それができれば、きっと観ている人にとっても楽しいサッカーになると思います。」
明治安田生命J1リーグがいよいよ開幕を迎えます。昨季13位からの浮上を目指すのは、ガンバ大阪。2月19日に鹿島アントラーズとの初戦を迎えます。
その開幕戦を前に、今季の意気込みを語ってくれたのがガンバ大阪の福田湧矢選手。冒頭の言葉は、福田選手が何度も口にした“決意”です。
この記事では、福田選手のインタビューを掲載。さらに、ガンバ大阪は今季からエンブレムを一新。
デサントが展開する「アンブロ」は、そのエンブレムが入っているユニフォームやアイテムをチームに提供しています。
そこで、新ユニフォームの印象や、試合を観戦する人に向けた見どころなども質問。福田選手の好きなスタジアム周辺のスポットも教えてくれました。
ケガと2度の脳しんとうで、絶望を味わった昨シーズン
――昨季のガンバ大阪は、13位という悔しい結果に終わりました。改めてその1年を振り返って、どんなことを感じましたか?
みんなが納得できる結果を残せず、苦しい1年になりました。
昨季、僕は試合に出られない時期が長く続いたのですが、観客席から試合を見ていても、チーム全体が楽しそうにサッカーをやれていなかった気がします。
コロナで春先の試合が延期になり、その穴埋めで過密な日程になったのも痛かったですね。後遺症もきつく、チームが立ち直るのに時間がかかりました。
波に乗れないシーズンになってしまいましたね。
――先ほど「僕は試合に長く出られない時期が続いた」という話がありましたが、福田選手個人としても辛いシーズンだったと思います。
左足のケガで長期離脱したのに加えて、2度も練習中に脳しんとうを起こしてしまって。
意識を失ったり、記憶が飛んだりするほどで、一度ドクターストップがかかりました。ベッドで寝ているだけの時期も1〜2週間ほどありましたね。
ケガと脳しんとうの繰り返しで、気付けば昨年は7ヶ月ほどサッカーをしていない時期があって。
こんなことは初めてだし、チームの順位が落ちても何もできず、試合を見るだけの日々は本当にきつかったですね。
――それでも10月から復帰し、復帰2戦目からは先発でリーグ3連勝に貢献しました。
休んでいるとき、常に思っていたのは「ガンバを勝たせたい」ということ。それだけをモチベーションに、死ぬ気でリハビリを頑張りました。
なので、3連勝はうれしかったですね。今までやってきたことが間違いではないんだと、自信にもなりました。
昨季とは違うガンバの「攻めのサッカー」を貫きたい
――そして2022年のシーズンが開幕します。新たに片野坂知宏監督を迎えて、どんなチームを目指していますか?
今季の目標は、強いガンバを取り戻すこと。それができると思っています。
昨季は残留争いに絡んでいたので、ガンバらしくないサッカーが多くなってしまいました。残留のためには、どうしてもリスクが負えなくなるので、攻めのサッカーができない。
例えば、自陣のゴール前では早めにクリアするなど、安全策に徹するしかなかったんです。
今季は反対に、攻めのサッカーを観せたいですね。具体的には、ボールポゼッション(チームでボールを保持する時間)を長くする、あるいは、後ろからでもパスでつないでいくなど。
昨季とはまったく違う、新しいサッカースタイルです。それができれば、強いガンバを取り戻せると思っています。
――その言葉は、サポーターにとっても頼もしいですね。
今話したチームのスタイルは、きっと「観ていて楽しいサッカー」につながると思います。なので、ぜひ多くの人に僕らの試合を観てもらいたいですね。
もちろん、新しいことを取り入れるので、すぐには結果が出ないかもしれません。
ただ、そこで止まらずにやり続けることが一番大事。何かを形にするには、信じてやり続けなければいけないと分かっているので。
――やり続ける大切さを知ったのは、やはり昨年の経験も大きいですか?
休養するなかで本当にいろいろ考えましたし、メンタルは相当強くなったと思います。
復帰後に3連勝できて「自分のやったことが間違っていなかった」と確信できたのも良かったですね。
――ちなみに、他チームの戦力についてはどう見ていますか?
昨季は、川崎フロンターレが安定した強さで優勝しましたが、決して抜けた存在だとは思っていません。
どのチームも実力差はわずかで、混戦になると思っています。そのなかにガンバも入り込んで優勝争いをしたいなと。
あと、個人的にはヴィッセル神戸が強そうですよね。補強もすごくて、豪華メンバーですから(笑)。でも、そういうチームに勝つのもやりがいの一つ。対戦するのが楽しみですね。
新ユニフォームを見て、エンブレムの印象が変わった
――今季はユニフォームのデザインも一新されました。アンブロから提供させていただいていますが、福田選手は新ユニフォームについてどんな印象を持ちましたか?
シンプルで良いと思いましたね。普通にかっこ良くて気に入っています(笑)。
今回、チームのエンブレムが胸に大きく入っていますよね。
このエンブレムは、昨年できた新しいものですが、前のエンブレムに長く親しんできた分、新エンブレムが発表されたときは、ちょっと複雑な心境だったんです。
でも、今回のユニフォームを見たら「このエンブレムかっこいいな」と。
――そう言っていただけて良かったです。
ユニフォームは、選手のモチベーションを上げたり、闘志をかき立てたりすることが重要だと思っているので、かっこいいデザインで良かったです。
新しいエンブレムはすっかり気に入っていますよ。
――ちなみに今回の新ユニフォームは、汗をかくと涼しく感じる素材を使用するなど、快適性にもこだわっています。ユニフォームを着て試合をするのはこれからになりますが、その辺も選手の皆さんに伝わればうれしいです。
まだ試合では着てないので、その機能はこれから確かめたいと思います。
個人的に、夏は暑さとの勝負なので、薄くて軽いユニフォームや、暑さを感じにくいユニフォームが好きなんです。その意味で楽しみですね。
今回のユニフォームを何度か着た感じでは、薄くて軽い印象があったので、夏も良いと思いますよ。
――福田選手のユニフォームは、毎年ファンの方にも人気ということで、今季も多くの方に着ていただけたらうれしいですね。
本当にありがたい限りで(笑)。今年はユニフォーム姿をたくさん見せられるように、僕もケガなくプレーしたいですね。
ガンバならではの試合観戦の面白さとは?福田選手の意外な一面も
――コロナ禍でどこまで試合観戦できるか不透明ではありますが、ぜひ本拠地のパナソニックスタジアム吹田(パナスタ)に来るファンに向けて、見どころや楽しみ方も教えてください。
パナスタの魅力は、やっぱり観客席とピッチの距離が近いことですよね。僕が見てきたスタジアムのなかでも、一番じゃないかなと。
迫力がすごいし、選手とサポーターが一緒に戦っている感覚になれます。特にゴール裏の雰囲気は特別ですよね。
ぜひあの一体感を味わって欲しいし、来たらめちゃくちゃ楽しいと思います。
――確かにあの“近さ”はパナスタならではですよね。ちなみに、福田選手はパナスタ周辺の施設に行くこともあるんでしょうか?せっかくなら、試合を観に来た方が併せて楽しめるスポットも紹介できればと。
パナスタの隣にある「EXPOCITY(エキスポシティ)」はよく行きますね。レストランから買い物、遊びまで何でもそろっていますから。
試合後にお腹が空いたら、エキスポシティでご飯を食べることもありますし、あそこの映画館に行くことも多いですよ。1人でよく映画を観てます(笑)。
――1人で映画は少し意外でした(笑)。
全然行きますよ(笑)。あと、エキスポシティにある「NIFREL(ニフレル)」もおすすめですね。
いろんな生き物が見られるところで、ホワイトタイガーなんかもいます。試合前後に家族連れで行くのも良いかもしれません。
――情報ありがとうございます。では最後に、改めて開幕の意気込みをお願いします。
個人としては、ケガなく1年間サッカーをして数字にもこだわりたいですね。
そしてチームとしては、強いガンバを取り戻すこと。優勝争いに加わるのはもちろん、観に来た方が「また来たい」と思えるような、楽しいサッカーをしたいと思います。
ぜひ、今年のガンバを観ていてください!
文/有井太郎
福田湧矢
福岡県出身。ガンバ大阪所属のミッドフィルダー。高校時代は東福岡高校に所属し、インターハイと全国高校選手権の二冠を達成した。