できるだけ軽いウェアを! 登山に必要な荷物の選び方
アウトドア
2015年3月12日
できるだけ軽いウェアを! 登山に必要な荷物の選び方

暖かくなり、登山が楽しい季節になりました。しかし、まだ山に登り始めて日が浅い方の中には、どのような荷物をどれだけ持って行けばいいか分からないという人もいるのでは。アウトドアグッズ専門店・ハイカーズデポのオーナーである土屋智哉さんに、登山にあたって必要な荷物と、荷物を持って登山する際のコツを聞きました。
登山も日常生活と変わらない?
ハイカーズデポは「軽量化」にフォーカスしたウェアや登山グッズを推奨しています。日常生活においても、買い物などで重たいものを運ぶのは疲れますよね? 「重たいと疲れる。体に負担がかかる。だったら軽いほうがいい」という考えを日常生活だけでなく、登山のときにも適用しているのがハイカーズデポの考え方です。
軽装すぎると不安になるのが登山
ただ、登山においては徹底した軽量化にブレーキがかかることがあります。遭難事件が起きると、報道番組などで「軽装すぎた」と指摘されることがあります。こうした報道を通じて、多くの人が「登山は軽装だと危険」という考えを持っている気がします。
本来の登山の格好は、TPOに沿っていればどんなものを着ても問題ないと考えています。たとえば雪山に行くとなったらそれなりの準備が必要だと思いますが、春から登山を始めたいという人は、遠足で行くようなハイキングコースからスタートするのでは。それであれば装備も、履き慣れた靴などがあれば十分です。
山登りは文化的な生産性があっても、経済的な生産性はありません。そういった意味では山登りをファッションと考えるのはアリだと思います。着たいウェアを着て登山を楽しめばよいですし、逆に「買えと言われたから」という理由で無理に買わなければいけないものも、基本的にはないはずです。そのうえで、登山をする際の最低限の装備は次のとおりです。
- 雨具(登山コースによっては折り畳み傘でも可)
- 防寒着(セーター、トレーナー、ダウンなど)
- 1リットル程度の水分
- 運動靴
- 帽子
いずれも行き先によって量や質は変わってきますが、これらはどこに行くにもあったほうが良いとされるものです。キャップやハットは普段あまり被らない人は慣れないかもしれませんが、強い日差しを感じたときにかぶるだけでも熱中症対策に役立ちます。また、これらの荷物を入れるリュックなども、両手があくものならなんでもよいと思います。よく「斜めがけは体のバランスが崩れる」などと言いますが、しっかり固定できればそれでも問題ありません。
安全に登山するために必要な装備

- ヘッドライト
- 地図・スマホ
- 非常食
ヘッドライトは下山の最中に日暮れがせまってきた場合などでも安心して歩けるので、結果的に自分の身を助けます。地図・スマホは、本来はコンパスを読めればそれが一番なのですが、今はGPSなどもあるのでそれで代用できるかと思います。ただ、電源が落ちたり電波が途切れたりしたらスマホは使い物にならないので、そこは注意が必要です。
本当に必要なものが何か想像すること
いくつかの登山グッズを紹介しましたが、登山の準備で大切なことは、本当に必要なものが何かを考えることです。万が一の状況を想定して準備をすれば、当日もきっと過不足ない荷物で動けるはずです。寒くなったら何を着るのか、そうした判断をひとつずつ下して、快適な登山を楽しんでもらえればと思います。
軽量化した荷物での登山のメリット

- ケガの心配が減る
- 自分の趣味を満喫できる
最後に、荷物を軽くした状態での登山のメリットをお伝えします。
荷物を軽くすると疲労も軽減されるので、結果的にケガをしづらくなります。登山初心者は一日中歩いていること自体が少ないため、疲労もしやすく、ケガにもつながりがちです。その点においても、荷物を軽くすることはメリットになります。
また、雑誌などでもよく言われていることですが、荷物を軽くしたぶんだけ自分の趣味に使う道具を増やせるのもメリットですよね。コーヒーが好きな人はドリップする道具を持っていけますし、バードウォッチングが好きなら双眼鏡を持てます。「一眼レフカメラを持っていきたいから荷物を軽くしたい」というお客様も、ハイカーズデポには多いですよ。こうした趣味の道具は用意するだけでも楽しいですよね。
? 体への負荷を減らせるよう軽いウェアや荷物を選んで、最低限の荷物で快適な登山を楽しみたいものですね!
識者紹介/土屋智哉
1971年埼玉県生まれ。東京三鷹にてウルトラライトハイキングの専門店ハイカーズデポを営む。自らもジョン=ミューア=トレイル、コロラド=トレイルといった海外トレイルをスルーハイクしている。またパックラフトによるアラスカでの川下りも実践している。著書「ウルトラライトハイキング」(山と渓谷社)