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ヒートナビの起源と進化。

太陽光の全波長を吸収して熱に変換するデサントのヒートナビは、プラス5℃という圧倒的な保温効果を実現している。なぜ太陽光に着目したのか、どのようにしてプラス5℃を実現したのか。ヒートナビの起源、その進化の過程を探っていく。

光の全波長を利用するために。

発電などに使われているように太陽光は大きなエネルギー。夏はもちろん、冬でもエネルギーが大きなことに変わりないので、それを活用したいと考えていた。ヒートナビが開発される以前は、赤外線しか反応しない素材が多かったが、特殊な蓄熱材を開発したことで、ヒートナビの最大の特徴である全波長を熱に変えることを実現したのである。

ヒートナビ糸の中には、全波長を熱に変える特殊な素材が入っている。通常の糸は丸いが、特殊扁平断面にし、光が当たる表面積を多くすることで蓄熱性を大きくすることを実現した。高濃度で微粒子を練り込むと糸は切れやすくなる。この開発で最も難しかったのは、糸の強度を保ちながらパフォーマンスをどれだけ高められるかであった。

さらに、糸を扁平にすることで得たメリットは多かった。たとえば、吸汗性。扁平断面には溝があるので、水が拡散しやすくなった。また、丸断面より曲がりやすいので、風合いも柔らかくなった。大量に汗をかき、しなやかな風合いが必要なスポーツに、まさに最適な素材と言える。

プラス5℃への挑戦。

ヒートナビを開発する中で実際の製品にした場合に、そのあたたかさを体感できるというのが、一番重要だ。3度あればあたたかさを体感できると一般的には言われているが、さらに上を目指し、誰が着ても体感できることが目標だった。

何人かに着用してもらった実験では、プラス3℃ではあたたかさを感じないという意見があり、プラス5℃ならばあたたかさを実感できるという意見が多かったのだ。数値はもちろんだが、それ以上に人間の感覚、フィールドテストが重要だ。さらに外部機関で測定したところ、体感できるには5度以上必要というデータがでてきたので、目標値として設定することになった。

しかし、たった2度の差とはいえ、されど2度だった。製品をつくる際に使われる他の糸によっても結果が異なってくる。光をよく反射する糸が使われていると、ヒートナビを裏地に使った場合、なかなか光が到達しないということもあった。なんとかクリアしたいと考え抜いた答えが、特殊扁平断面への開発につながったのだ。

ヒートナビのさらなる挑戦。

ヒートナビを様々なアイテムでも展開するため、さらに開発を行った。そのひとつがヒートナビプリントタイプ。この開発で困難だったのは、表地の色に機能が左右されることだった。濃色なら太陽光を吸収しやすいので5℃をクリアできるが、白やピンクなど淡色だとクリアできない。プリントの層を厚くしたり、面積を増やせば温度は出るが、硬くなったり、剥がれたりするというデメリットもある。ウェアとしてのパフォーマンスを維持しながら、温度も保てるギリギリのラインを探っていった。

例えばストレッチ素材の場合、プリントに切れ目を入れて、伸縮性を損なわないようにするなど様々な工夫を行った。ヒートナビの機能を維持していても、ウェア自体の着心地が悪かったら、スポーツウェアとしてお客様を満足させることはできない。アルミのプリントタイプの開発も成功し、身体の赤外線を反射し、より保温性を高めることが可能になった。さらに表地への影響も少ないメリットがあった。

また、従来のヒートナビは炭素系無機物質を使用しており、表側が白などの淡色になった場合、色がくすんでしまうという課題があった。より美しい色を実現するため、赤外線に反応する蓄熱材を加え、さらに編構造を改良した。1本ずつ配置していたものをまとめてみたり、裏の混率、表側に糸を出すことで蓄熱性をあげるなど糸だけではなく編技術や織技術から考えることで、プラス5℃を実現した。ヒートナビカラータイプは、黒をなるべく薄くすることで表地への影響を抑え、キレイな色を再現できるようになったのである。

今ではヒートナビを使用する際に、アイテムや生地によってどれだけ必要なのかといった試験データを基にしたルールを設けている。生地から製品のデザインまで一貫して管理することで、プラス5℃というヒートナビのパフォーマンスを維持しているのだ。今では水沢ダウンをはじめ、さまざまアイテムに使用されており、冬季のアイテムに不可欠な機能となっている。お客様にもっと快適に、もっと楽しくスポーツを楽しんでいただきたいという思いが、新たな機能の開発へつながっていくのである。

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