CSRへの取り組み
トップメッセージ
デサントのCSR経営についてのお考えと社内の取り組みについてお聞かせください。
中西 当社の経営理念は「すべての人々に、スポーツを遊ぶ楽しさを」、企業スローガンは「Design for Sports」。世界最先端の機能商品を優れたデザインでお客様にお届けする、これが当社のコアになる考え方です。私は、このコアになる考え方そのものが、当社の社会への貢献の仕方を具体的に述べたものであると思います。
そしてそれを実現するためにどうしていけばいいかを考えれば、当社がCSRとして果たすべき事項も自ずと見えてくる。そういう意味では、改めてCSRとは何かということをあまり意識する必要はなく、当たり前のことを当たり前にやっていくことが最も重要と常々考えています。
CSRの内容をもう少し具体的に挙げるとどういう事柄がありますか。
中西 まずはスポーツメーカーとして当社の経営理念と企業スローガンに基づいた最先端の商品をお届けすること。これがコアとなることは先程申し上げたとおりですが、同時にお客様が満足する品質であり、安全でなければならない。ここから「品質安全」や「顧客満足」という項目が出てきます。
そしてその前提として、企業としてしっかり利益を出すこと。株主の皆様からお預かりした資金をもとに利益を生み出すことは株式会社の本来の目的ですが、これは企業が継続するための必須条件でもあります。企業は倒産したらそれ以上活動できませんから。企業活動を行うために雇用もします。そして生み出した利益の一部を税金として納め、それが社会に還元されていく。利益を出すこと自体が社会に大きく貢献しています。
企業活動を脈々と続けていこうとすれば、その活動内容にごまかしがあってはならない。これは「コンプライアンス」です。脈々と続けていくにあたってどんなことが障害になりそうか予め考えておく。これは「リスク管理」に他なりません。
当社のこのような考え方を「デサントCSR方針 」として定め、その方針のもと具体的な活動内容を12項目挙げCSR活動体系としてまとめています。これらはみな、当社の経営理念と企業スローガンから導きだされたものばかりです。コンプライアンスの時代だからコンプライアンスをやらねばならないのではなくて、世界最先端の機能商品を優れたデザインでお客様にお届けし続けるためにやっていかねばならないのです。
最先端の技術を持った優秀な企業が一気に信用を失い、その存亡を問われかねない事態に陥る例が見られます。
中西 築城三年落城一日という言葉があります。築くときは長い時間をかけてやっと築き上げることができるが、崩れ落ちるときはあっという間だという意味です。好業績・技術力にあぐらをかいた驕り、経営者の独断専行に誰もストップをかけられない社風、そのようなものが失墜の要因となっているのではないかと思います。私は当社の経営陣には「きれいな経営をしよう」、「謙虚になろう」、「社内外の声に誠実に耳を傾けよう」、「消費者目線で行動しよう」、この四つのメッセージを繰り返し送っています。そして社員にコンプライアンスを語りかけるときは「ウソをつかない」、「ごまかさない」、「正直に誠実に行動しよう」という簡単で当たり前の言葉を使うようにしています。難しいことを求めているのではない、当たり前のことを当たり前に愚直にやっていくのだ、というメッセージです。
Compass2010では「アジアにおけるリーディングスポーツカンパニー」をビジョンに掲げています。アジアのグループ会社では、業績も順調に伸びていますが、これらの会社がうまくいっている要因や特徴はどんなところにありますか。
中西 デサントコリア株式会社や香港迪桑特貿易有限公司、寧波ルコック服飾有限公司を例にとると、まずは日本法人である当社の経営方針・物づくりを理解し、それを踏まえて現地特有の状況に応用していける現地人社長・現地法人パートナー。それを支える現地のスタッフ。そして現地のパワーと日本とをつなぐ当社の日本のスタッフ。この3つが非常にうまく連携できています。
海外グループ会社のCSRの方向性をどのように考えておられますか。
中西 まだまだ新しい会社なので、CSRの各論ではまだこれからということもあります。ですが同じ思いで経営が行われれば、CSRの方向性についても心配はいらないと思います。当社のコアと、「きれいな経営をしよう」、「謙虚になろう」、「周囲の声に誠実に耳を傾けよう」、「消費者目線で行動しよう」という四つの思い。これらを現地の方々とも十二分にシェアできていると思います。
当社は1980年代に在庫過多から非常に経営が苦しい時期もありました。日本法人の当社には歴史がある分、そういう失敗の経験もある。ですから当社の日本のスタッフには、また来たのかと言われてもとにかく現地へ行き現場を見、現地スタッフと交流するよう繰り返し指示をしています。当社の経験を海外グループ会社にうまく伝えていき、同じ過ちを繰り返さないようにもしたいと思います。
昨年3月の東日本大震災、9月の台風12号による豪雨、被害の大きな天災が続きました。依然として強毒性の新型インフルエンザが発生する可能性も指摘されています。デサントはこのような自然災害に対してどのように対処していきますか。
中西 2009年から昨年までの間に、社員の安否確認の仕組みの導入、新型インフルエンザ・大規模地震に対する物資の備蓄、大規模地震対策としての事務所のキャビネット・複合機などの転倒・移動防止措置を順次完了しました。現在、新型インフルエンザ・大規模地震などに対するBCP(事業継続計画)についての検討を進めています。
この中でも最も慎重にならねばならないのは、コンピューター化された様々な仕組みについてです。非常に高度にデジタル化された仕組みが動かなくなる可能性はないのか、それが動かなくなったときはどうするのか、そういったことに重点を置いてBCPを検証していきます。
これらCSRの取り組みを社外に発信していくことについてはどうお考えですか。
中西 日本人として、よい取り組みをしましたよということを自ら発表するということが美徳に反するという感覚をお持ちの方もおられます。しかし企業活動も投資家もワールドワイドになりましたし、時代もどんどん新しくなっている今日、以心伝心だけに期待することはできないと思います。
ですから企業の本来活動を広報していくだけでなく、このようなCSRの取り組みを積極的に発信していくことは必要で、当社の場合はまだまだそれができていないと思います。今後CSR活動の積極的発信をもっと重視していきます。
本日はどうもありがとうございました。(2012.1.30)

