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おしゃれだけじゃない!山スカートの第一人者、四角友里が教える山スカート活用法

キャンプや山登りなどのアクティビティでは、パンツスタイルが基本だと思っていませんか? 以前は、激しい運動に適さないスカートを、ファッション性を重視し山ではくなんて……とされていました。しかしここ数年で、実は足さばきがよく、女性ならではのわずらわしさを解消してくれるといった利点に加え、おしゃれも楽しめるアイテムとして「山スカート」の存在が選択肢のひとつとして定着しています。

今回は山スカートの第一人者であり、開発も手掛ける、アウトドアスタイル・クリエイターの四角友里(よすみゆり)さんに、改めて山スカートについてお聞きします。

ニュージーランドでの運命を変えた山スカートとの出会い

四角さんがアウトドアの世界に足を踏み入れた16年前は、「アウトドアウェアの選択肢はパンツしかなかった」と言います。自然の中では命に関わるので機能最優先、おしゃれは二の次が当たり前だと思っていた四角さんに転機が訪れたのは、2004年、ニュージーランドでのこと。

「旅先のニュージーランドでトレッキングをして、生まれて初めて山小屋に泊まったんです。その山小屋で、アウトドア用のスカートをはいた、大きなザックを背負い、4日間の山道を歩いてきたというバックパッカーの女の子に出会って。山小屋でささっと着替える姿がすごくかっこよくて、スカートのかわいさと女の子のたくましさが印象に残りました。日本へ帰国後、アウトドア用のスカートを探し、実際にはいてみたら着替えは楽だし、なにより足さばきがよいので歩きやすくて。あとは和式トイレがすごく楽ちんだということにも気付きました」

着替えが楽、歩くのが楽、トイレが楽、といった使い勝手の良さに感銘を受けた四角さん、そんな山スカートを日本にも広めたいと思ったそうです。そこから、四角さんと山スカートの物語は大きく動き出しました。

「そのころの日本では山スカートの認知度は低く、商品もほとんどないうえに、展開されていた数少ない海外ブランドの商品も売れないためか、アウトレット品になってしまっていたり。そこで、ネット通販や海外から個人輸入などして、40着ほど集めました。まずはキャンプなどで使用し、徐々にいろいろなシチュエーションではいてみて『これなら登山にも使える』とか『これはここが使いにくい』など、素材やシルエットを徹底的に研究しました。

海外のアウトドア用スカートは、旅やキャンプ、ハイキングで使われていたもの。気候も環境も異なる日本での「登山」にもぴったりかというと、そうでもありません。また、海外の女性に比べて肌が弱く、肌の露出を控える文化のある日本人女性は、野外でスカートをはく場合、その下には必ずタイツをはいたほうがいいと感じました。ちょうど、筋力や関節をサポートするタイツが注目されはじめてきた時期だったこともあり、組み合わせればとても機能的だと確信しました。そういう日本の登山環境や、女性特有の悩みや特徴に合わせた商品を作りたいと思うようになり、2009年から本格的に商品開発をすることになりました」

おしゃれなだけじゃない! 工夫満載の山スカート

いまではすっかりアウトドア女子の定番となった山スカートですが、商品開発秘話や使い方について解説してもらいました。

「商品企画を始めた2009年当時の山スカートはラップスカート(巻きスカート)タイプが多くて、着脱は簡単なのですが、布の巻きつけ部分が風にあおられてしまうのがネックでした。ラップスカートとボックススカートの良さを両方兼ね備えたスカートを追求した結果、いまの形に落ち着いたんです。

スカートの丈が長めなので安心感があり、混み合う山でも後ろ姿を気にしなくて済みますし、ファスナーで上から下まで開閉できるので、着替えもしやすくなっています。写真の商品は、防風性と保温性に優れたソフトシェル素材を使っているので秋の山にも使えます。また、ダウンスカートはボタンを組みかえてハーフパンツに変形できちゃうんです。山小屋で着替えるときはスカート、ストレッチするときや寒いときはパンツと便利! こういった細かな部分にも『もっと山登りをラクに快適に楽しんでもらうにはどうしたらいいか』という思いが込められています」

一方で、山スカートを活用する場面においては、知っておくべきこともあると四角さん。

使いわけの知識が必要

「山スカートの良いところは、先ほどもお伝えしたように『歩きやすさ・着替えのしやすさ・トイレの楽さ』などがあります。しかし、パンツタイプに比べるとどうしても保温性と肌の保護性に劣ります。それは逆にいえば通気性に優れていて蒸れにくい、という利点でもあるのですが、秋の森林限界を越えるような高山や冬場の登山などには適さないですね。あとは激しいアップダウンがあるような岩場や鎖場、ハシゴなどのある難易度の高い山でも、足の保護を優先しパンツを選んだほうがよいと思います。混雑渋滞があるような山では、後続者への配慮も考えたほうがいい場合もあるでしょうね。

山スカートの普及をしているのに不思議に思われるかもしれないのですが、必ずしも、山スカートで行く必要はないと思っているんです。あくまでも、選択肢のひとつとして、山スカートがあるのだと考えています。
 わたし自身、少しずつですが難しい山に挑戦できるようになったことで、パンツじゃないと行けないようなシチュエーションというのもわかります。それに合わせて、夏用にリバーシブルのショートパンツ、秋冬用に腰回りがゆったりとしたソフトシェル素材のサルエルパンツを開発しました。天候や山のレベル、その人の技術や体力的な差によって最適なアイテムを使い分けることがどんな山ウェアにも大事ですし、それぞれの不安や苦手なところを補ってくれるのがウェアやギアだと思うので」

「機能だけでなく、ファッション性も持ち合わせたアイテムが増えれば、いままで山に興味のなかった人にも身近に感じてもらえるのでは」という思いから開発にあたっているという四角さん。

『これでなければいけない』というスタイルではなく、自分にあったウェアやアイテムを環境や状況によって使い分けることが大事、ということがわかります。

山スカートにとどまらない、山でのおしゃれを楽しむコツは?

最後に、山でのおしゃれを我慢せずに楽しむコツを教えてもらいました。

「山ではアクセサリー類がつけられないぶん、表情を華やかにしてくれる色づかいのネックウォーマーや、今日わたしが着ているシャツのように首周りに装飾のあるアイテムを選ぶと女性らしさも出せるし写真にも映えますよ。

やっぱり山に行ったら自然の中でたくさん写真を撮って思い出に残してほしい。「おしゃれ」というよりは「自分らしさ」を我慢しないで楽しみたいと思うんです。

あと、わたしは山では日焼けを防止する意味もあって、ナチュラルなメイクをしています。
天然の日焼け止め効果のあるミネラルファンデであれば、お肌への負担も少ないしメイクオフも楽。マスカラをしたい場合は小さな下まつ毛用を選んだり。割れてしまって使わなくなったチークを小さなジップロックに入れて持っていけば荷物が小さくになります。それを指でちょんちょん、とつけるだけ。工夫次第で、メイク道具はとっても軽く簡単になりますよ!
ちなみにベースの日焼け止めは、山での乾燥が気になるのでSPF値の大きさよりも、保湿がしっかりできるものや、手が汚れにくいスプレータイプをこまめに塗りなおしています。最近は、リップクリームのようにスティック状になった日焼け止めもあるんです」

街と同じようにはいかなくても、アイデアやグッズ次第で無理や我慢をせず、だけどスマートにおしゃれを楽しめることを教えてくれた四角さん。「山歩きが“いつもの自分”の延長線上にあることを、まずはファッションや小物から感じてもらいたい」とのことでした。

今回のまとめ

四角さんが山スカートを普及した背景には、山でもおしゃれを楽しめるという要素があることで、山に興味をもつきっかけになったり、女性たちが感じている心のハードルを下げる役割になってくれれば、という思いがありました。

最初から山登りに挑戦しなくても、まずは自然のなかにある温泉旅館に泊まり、ついでに周辺を散策してみるのも大きな一歩です。または、旅行の際の便利グッズとしても活用できるアウトドア用品に触れてみるのも、アウトドアを身近に感じるきっかけになるのではないでしょうか。

四角友里(よすみゆり)

アウトドアスタイル・クリエイター。「大好きな自然と、自分らしいスタイルで繋がりたい」というメッセージを掲げ、執筆、トークイベント、アウトドアウェアのプロデュースなどの表現活動を続ける。 山スカートの第一人者、着物着付け師の顔も持つ。著書に、ライフスタイルエッセイ『デイリーアウトドア』、自身の試行錯誤から学んだ 山のノウハウが満載の『一歩ずつの山歩き入門』がある。
https://www.facebook.com/yuri.yosumi

http://www.respect-nature.com/

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女性の不安を減らし、自然と触れ合う喜びを感じてもらうためのものづくり

今シーズンは彩りの秋から、森が眠りにつく冬へ、山の表情の変化を見届けるためのコレクションを作りました。冬のあいだは、山歩きを“おやすみ“していた以前の私。けれど今は、雪山は無理だけれど、冬の小さな里山歩きやスノーシューを楽しみながら、すべての四季をとおして自然との接点を持てるようになりました。春夏秋とめぐる季節と命のリレーの先にある、空気とこころが凛となる『冬』までをあじわうためのコレクションです。

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