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ゆっくりと山の時間を楽しむための山小屋とは?四角友里が勧める、魅力たっぷりの“山小屋泊”という選択肢!

「山小屋」と聞くと「山登りする人のための場所」「標高の高い山へ挑戦するときに寝泊まりする場所」、「登山上級者が利用する施設」といったイメージを持つ方も多いと思います。もちろん間違いではないのですが、「山小屋は、山歩き初心者の方にこそぜひ利用してほしい」と語るのは、アウトドアスタイル・クリエイターの四角友里(よすみゆり)さん。
今回はその言葉の意味をひも解くとともに、山小屋の魅力についてお聞きしました。

山小屋は貴重な体験をあたえてくれる場所

「みなさんが思い浮かべる山小屋のイメージってそれぞれあると思うのですが、わたしは『山の豊かな時間に身を委ねられる場所』だと思っています」(四角さん、以下同)

山小屋=ただの宿泊施設、ではなく「山小屋に宿泊することで、自然のなかでの滞在時間が長くなり、出会える景色を、ぐっと深く、奥へと広げてもらえます。刻々と色をかえてゆく夕焼けのグラデーション。都会ではみられないほどの星空。朝露に濡れる草木。そして美しい「今日」が始まっていく瞬間など、山に泊まることで日常生活では味わえないすてきな体験ができる」のだと四角さん。

その「すてきな体験」のひとつは、人としての原点を思い出せることだと言います。

「下界とはちがい、荷揚げの手間やコストがかかる山の上では、資源が限られています。また、山では水がとても貴重なので、使用量に制限があったり、せっけんや歯磨き粉が使えなかったりと、人によっては不便に思えるようなこともあります。だけどそれって、便利になりすぎた世の中で“人の暮らしの原点”を思い出させてくれることなんだと思っています。自然の中で生きることの大変さや素晴らしさを同時に教えてくれているんです」

では、四角さんが初心者にこそ山小屋を利用してほしいと思う理由はどこにあるのでしょうか。

「山小屋って、どうしても『今まで日帰りハイキングをしていた人が、次のステージへステップアップのために使う場所』というイメージがあると思うんですけど、決してそうではなくて。『ゆっくりと山の時間を楽しむための場所』だと考えてくれればいいな、と思っています。
 最初から何時間も歩いてようやくたどり着けるような山に挑戦する必要なんてなくて、むしろ日帰りでも歩けるところを1泊2日で歩いてみるとか。登山口から1〜2時間、歩いた先に山小屋があるようなところだと、着いてからの時間をゆっくり楽しめます。ヘロヘロに疲れてしまって2日目歩くのがツラい……なんてこともなくなりますよ。上高地や霧ヶ峰のような、自然豊かな観光地のような場所で、旅館と山小屋の中間のような存在の宿泊施設に泊まるのもおすすめです」

山小屋では「なにもない」状況を楽しむことも

四角さんご自身は、いつも山小屋に着いたらすぐにリラックスできる体制を整えるのだそうです。

「まずは疲れをとるためにストレッチをして、体をひやさないよう温かいウェアを着ます。そしてごはんをたくさん食べて、たくさん寝る(笑)。その合間に空を見たり、山小屋の本棚をチェックしたり、同じ空間にいる人との会話を楽しむんです。こういう機会じゃないと味わえない時間の過ごし方をしてもらいたいですね。

なかには温泉がある山小屋もあるので、まずはそういった山小屋に行ってみるのもいいと思います。だけど、シャンプーやドライヤーが使えるとは限りません。
そもそも、わたしたちが自然の中や山の中にお邪魔させてもらっているのだということを忘れてはいけないと思っていて。そういった謙虚さを持っていれば、山に対してのイメージも『なにもないところ』から『ぜいたくな場所』に変わると思うんです」

いろいろなモノが溢れすぎている現代において、「“当たり前”なものは、なにひとつない」こと、「なにもしない」ことを楽しめるのが山小屋の魅力だとも。

「たとえば、いつもは時間に追われて生活し、『そろそろ寝なきゃ』となるところを、山にいると太陽が沈んで空の色が変わって夜になったことを体感し、自分の体内リズムを元に戻してくれるんです。電気がないから星の光がキレイに見える、水道水がなくても湧き水がある。インターネットはなくて、その代わりあたたかい山小屋の人やほかの登山者との会話を楽しめる。山小屋の方と話をしていると、いま自分の登ってきた登山道がその方たちのおかげで整備されていることがよくわかるし、もし万が一なにかあったとき一番に助けに来てくれるのは山小屋の方だったりします。きっと自然の中に行こうと思うときって、少なからず『人と(世の中と)離れたい』という気持ちがあると思うんです。だけど、あたたかい山小屋に着くとやっぱりほっとしますし、人はひとりでは生きていけない、ってことを実感する瞬間でもあります。山のなかには、自然の美しさと、人のぬくもりの両方があり、大きな自然のなかに存在する、大切なものに気付かされるんです。あれこれと考えるよりも、まずは一歩踏み出して素直に楽しんでみたらいいと思いますよ」

今回のまとめ

四角さんのお話を聞いていると、人のために自然があるのではなく、人は自然のなかに存在しているということにあらためて気付かされます。

今までは少しとっつきにくい印象だった山小屋ですが、初心者向けに設備が整った場所もあるとのことですので、この機会に一度訪れてみてはいかがでしょうか。

四角友里(よすみゆり)

アウトドアスタイル・クリエイター。「大好きな自然と、自分らしいスタイルで繋がりたい」というメッセージを掲げ、執筆、トークイベント、アウトドアウェアのプロデュースなどの表現活動を続ける。 山スカートの第一人者、着物着付け師の顔も持つ。著書に、ライフスタイルエッセイ『デイリーアウトドア』、自身の試行錯誤から学んだ 山のノウハウが満載の『一歩ずつの山歩き入門』がある。
https://www.facebook.com/yuri.yosumi

http://www.respect-nature.com

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女性の不安を減らし、自然と触れ合う喜びを感じてもらうためのものづくり

今シーズンは彩りの秋から、森が眠りにつく冬へ、山の表情の変化を見届けるためのコレクションを作りました。冬のあいだは、山歩きを“おやすみ“していた以前の私。けれど今は、雪山は無理だけれど、冬の小さな里山歩きやスノーシューを楽しみながら、すべての四季をとおして自然との接点を持てるようになりました。春夏秋とめぐる季節と命のリレーの先にある、空気とこころが凛となる『冬』までをあじわうためのコレクションです。

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