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「ビジョンを守るために、株主総会で売上と利益を下げる宣言した」――有給取得を人事の帳尻合わせにしないためのサイボウズ流処方箋(後編)

企業の「健康経営」施策の中で「PCスーツ」が導入された過程で知った、多くの人事担当者が抱える悩み「人事の独り言になってしまう」。
この悩みをサイボウズの青野社長にぶつけたところ、「多様性」というキーワードを経営陣の独り言にしないために、株主総会で売上を下げる宣言をするほど徹底したというエピソードをお伺いした前編。
青野社長が「多様性」と一緒にキーワードに挙げたのが「自立」。その真意と、自立を促す仕掛けについて、引き続き青野社長にお伺いします。

青野慶久氏 インタビュー前編はこちら

社長メッセージで「ワールドカップを語らない」理由

――他企業でもグループウェアで、社長のメッセージを発信しているところはあると思いますが、社員がそれに大きなリアクションも示さず、ただ流されるシーンも多く見かけます。流されない発信の仕方のコツはあるのでしょうか?

 とにかく一貫性が大事だと思っています。ビジョン以外の情報はできるだけ語らないようにして、一個の最終ゴールだけを、手を変え品を変えて示し続けることが大切です。つい社員の気を引こうと「サッカーのワールドカップが……」と、別の話題で切り出しがちですが、それをやっていると「好き勝手喋ってるよ」っていつか無視されてしまうんです。

 あとは、インタラクティブであることでしょうか。グループウェアはある意味残酷で、「いいね!」ボタンがあるんです。だから僕が発信した内容にも、リアクションがない場合は一目瞭然になります(笑)。

「質問することは義務である」

――インタラクティブなシステムがあっても、実際にそれが機能するかどうかは別問題だという企業も多いと思います。「いいね!」ボタンが実際に機能していること自体がすごいと思えるのですが。

 僕が社員に伝えていることの1つに、「多様性」とそのための「自立」がありますが、自立した人間になるための行動として「疑問に思ったら、相手がどんな立場だろうと質問すること」があります。

 「相手が社長だろうが部長だろうが部下だろうが、分からないことがあったらその場で聞きなさい。質問することは義務である」と強く言っています。すると、みんな発信せざるを得なくなるので、オープンな環境が自然と醸成されていくんです。

 もちろん、僕も社員からの相談や質問が来たときは、たとえ納得いかないものであっても一度は受け入れるようにしています。ここで社長の僕が受け入れる姿勢を取らないと、もう意見は出てこなくなってしまう。「いろんな意見があって当たり前。それを否定しない」っていう姿勢を自分できちんと示すことで、みんなが発信しやすい空気は作っています。

――発言を許容する空気を自ら体現して社内に浸透させるのは面白い試みだと思います。同じように、青野さんからトップダウンで降ろしている考え方はほかにもあるのでしょうか?

 1つは、ビジョンでもある「チームワークあふれる社会をつくる」ということ。僕らが社会に対して何を提供するのかは、社長である僕に決めさせてくれと言っています。これがブレると企業として成り立たないし、そこに賛同してくれる人でないと、入社は認めないと言っています。

 もう1つは、キーワードである「多様性」のある環境を作るために「公明正大であれ」と言っています。要するに「ウソをつくな」ということなのですが、多様性を認めたとき、皆がウソをつくと収拾がつかなくなるんです。そのために「本当のことだけを言ってくれ」と強く言うようにしています。

 そして最後に、これも何度も出てきましたが、「自立しろ」ですね。これだけ守ってもらえれば、あとはサイボウズという会社を使って、好きに働き、楽しんでくれと言っています。

「経営陣の独り言」で終わらせないために

「結局は人事が目標達成したいだけ」人事・総務の本音が透けてみえる施策が蔓延する中で、サイボウズは、どのように経営陣の「独り言」化を回避したのか?冒頭の問いに対する回答は、「徹底すること」という驚くほどシンプルな回答でした。しかし、株主総会での宣言に象徴されるように、一切の例外を認めないその徹底ぶりは「多様性」を標榜する同社のイメージと相反する、気合と根性の「体育会系」の一面が垣間見えた瞬間でもありました。

2015年12月から、労働者に対して「ストレスチェック」を毎年1回実施することが義務付けられたことを契機に、CWO(Chief Wellness Officer)などの役職が設けられ、PCスーツの配布に限らず、“それっぽい”健康経営施策が誕生しました。しかし、単なる賑やかしに終わっている施策があることも否定できないのが現状で、その命運を握っているのは、気合と根性で徹底的に同じメッセージを発し続けることなのかもしれません。「その施策は、単なる“ばら撒き”ではなく、メッセージがあるか」健康経営を提案する企業の1つとして、今後より一層自戒していきたいと痛感した取材でした。

青野 慶久(あおの よしひさ)

1971年生まれ。愛媛県今治市出身。
大阪大学工学部情報システム工学科卒業後、
松下電工(現 パナソニック)を経て、
1997年8月愛媛県松山市でサイボウズを設立。
2005年4月代表取締役社長に就任(現任)。
社内のワークスタイル変革を推進し離職率を6分の1に低減するとともに、 3児の父として3度の育児休暇を取得。
また2011年から事業のクラウド化を進め、有料契約社は12,000社を超える。
総務省ワークスタイル変革プロジェクトの外部アドバイザーや CSAJ(一般社団法人コンピュータソフトウェア協会)の副会長を務める。
著書に『ちょいデキ!』(文春新書)、 『チームのことだけ、考えた。』(ダイヤモンド社)がある。

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